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梅々

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ロシアンルーレット

漸く出来た片想いの三角関係。いや、南戸は厄介者だけど。
南戸は沖田にだけMなチャラ男という認識です。
結構好きかもしれない。露骨なラブアタックに嫌そうな王子の図が。













村雨の露もまだひぬ 真木の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕ぐれ




硝子の森





「お前さ、柳生四天王って覚えてる?」
バリバリ、と煎餅を噛む音に重なって、品の良い、男の声が響いた。もてない、ムサイ真撰組の中で唯一、嗜好以外は良い男、土方さんの声だ。
昼間っからこんなとこに居るくらいなら仕事すればいいのに。なんてぼんやり思ったけど、そんなの俺にはあまり関係無いし。と、リモコンをいじって面白そうなチャンネルを探す。

考え事すんのが億劫だ。心地良い、倦怠感もある。風邪を引いたかもしれない。
「・・・何ですかィ、それ」
言葉を選ぶような沈黙。考える気がないこと、もろにバレてるんだろう。
だったら、わざわざ俺に分かりやすくソレを伝えるより諦めたほうが良策なのだけど、日を改めるとかそういう考えはないらしい。
「ほら、こないだ万事屋つと一緒に喧嘩した・・・」
「あんま記憶にありやせん」
一々、誰と喧嘩したとかそんなのあんまり覚えてない。仕事柄ってのもあると思うけど元から興味の無いものには一切構う気はない、生まれ持った性分でもあるんだろう。
だからこないだのアレだって、柳生家の次期当主ぐらいしか覚えていない。
「・・・お前が散々ボコボコにした奴だよ」
「・・・すいやせん、土方さんしか思い当たりやせんが」
「ボコボコにされた記憶はねぇけどな。・・・なんつったら思い出すんだよ」
最終的に8chを見ることにした。この時間帯にやってるのは決まってドロッドロな昼ドラ。醜い女の争いが何よりも面白いが、それに振り回される頼りない男共も見てて笑える。
まるで、土方さんを見てる気分になるから。
「なんつーか・・・かっこつけなヤツ」
「・・・それは土方さんじゃねぇですかィ」
「俺はかっこつけてなんざねぇ。あ~、あれ。写真撮ろうって言い出したヤツ。で仲良く三人で撮ってたじゃねぇか。あの、真ん中」
あ、なんか思い出せた気がする。
いじられキャラでかっこつけで俺がボコボコにした奴。・・・全部土方さんも当てはまるけれど、そこは今はどうでもいいだろう。
「チャイナ殺ろうとしたヤツですねィ」
「そうそう、そいつ」
「で、その人が、何?」
ますます頭がぼんやりとしてきた。熱が出てきたのだろうか?昼間はあまり上がらないはずなのだけど。
「お前に会わせろってよ。告白されんじゃね?野郎によ」
からかう口調なのに、振り向き見れば、顔は険しい。
心配でもしてるのだろうか?
この人の中で俺は庇護の対象だから。もう子どもでは無いし、誰かを守れる強さを手にしたというのに、相も変わらず。
「・・・じゃあ、行きやすか」
徐に立ち上がり、軽くのびる。
そうだ、テレビも消しとかなければ。最近経費の節約がどうのこうのとしつこく言われている上に、自然破壊までもが問題になっている。近藤さんに耳が腐る程に言われたぐらいじゃ節約とかしないけど流石に地球がヤバいとまでなればやるしかない。
他の星へ行くぐらいなら死んだ方がマシだし。
「・・・別に行かなくていいだろ」
リモコンを掴もうとした手が、止まる。

『人を待たせるな』

『礼儀を知れ』

と、たまに俺がお偉いさんと会う羽目になった時は、洗脳されそうになるぐらい言うくせに。
扱いが違うんじゃないか?
本当にコクられるんじゃないか、とか思っているのだろうか?
馬鹿みたい。
「人の心配よか、自分の心配したらどうです?・・・キスマーク、見えてやすぜ」
さっ、と慌てて首元に当てられた指先は見事に赤い痕の上に重ねられた。
思い当たりがあるのなら、ちゃんと朝、確認しろよ。
なんて心で突っ込んで、テレビを消した。
「・・・其処、退いて下せぇ」
出入り口に佇まれて外へ出ることが叶わない。
無言の間の後、不機嫌そうな表情で土方さんは部屋を出た。それに続いて、俺も部屋を出る。

縁側を歩いていると、微かに、頬を湿ったものが触った。朝から雨雲が頭上を覆っていたが、とうとう降り出したようだ。
俺に会いに来たとかいう人は、傘を持ってるのだろうか。もしかしたら土方さんの長話の所為でもう帰ってるかもしれない。
そうだったらいい。

下駄を引っ掛け扉を開くと、人影が、門のわきから覗いた。
傘を持つのも面倒だし、それ程時間もかからないだろうと手ぶらで石畳に足を踏み出す。
「・・・何の用?」
門を出て、立っていた人影に向かい口を開いた。
・・・ああ、確かに見覚えはある。
仲間に下ネタ連呼されてたヤツだ。・・・おもいっきりチャラ男だし、その気持ちは分からなくもない。
で、何の用だろう本当に。今思い出したけど俺熱っぽいんだった。
なんかついてない。
「ああ、やっと来た。結構待たせてくれたな~。まぁ、でも来てくれただけでいっか」
ベラベラ聞きもしてないこと、というか聞いてないことだけを喋る。まんまチャラ男じゃねぇーか。俺こういう人種、土方よりも嫌いなのに。
「だから、何の用だっつってんだろ。さっさと用済ませて帰れ、うざい」
「その言いようはないんじゃない?何十分も待たせといてさ」
「お前、俺と会話する気ある?消えろ」
「ヤル気だけはある」
「はっ」

―――――たまには、喧嘩の最中以外は鈍い土方さんでも直感が当たるらしい。

これは貞操の危機とやら?男の俺にはそんなの、異次元の話だろう、普通は。
「やっぱさ、綺麗で言うこと聞くだけの女はダメなんだよ。今の時代はツンデレ!! これに限るだろ! っと君に会ったあの時思った。だから、行こうぜ」
「一人で行け。俺ァ熱っぽいんで戻るから」
露骨に“早く帰れ”と態度に示しても、一向に帰る気配は見られなくて、少し激しくなってきた雨に伴って門の中に入ろうとした次の瞬間、腕を強く引かれ、背後から抱き締められた。
マジ気持ち悪い。何このチャラ男。
一刻も早く離れたくて、めいっぱい足に力を入れて蹴ろうとした瞬間、耳のそばで間抜けな音がした。
何かが崩れる音とともに拘束が解かれる。
目の前を見れば片足だけ下駄を履いた土方さん。
足元を見れば下駄が顔面に当たり気絶したチャラ男。
「土方さん、コイツ名前何?」
「・・・それぐらい本人に聞いとけよ」
「・・・聞いてもすぐ忘れるならいいかな、と思いやして」
「じゃ俺にも聞くなよ」
「つーか何しに来たのアンタ」
石畳と下駄がぶつかる音が頭に響く。
明日辺り本気でヤバそうだ。
「長話だったじゃねぇか。門の付近をいつまでも居られちゃ迷惑だからな」
「―――――告白されやしたよ」
「・・・そうか」
チラリ、と此方を見たのが気配で分かった。驚いたフリをしているのだろうか。

馬鹿じゃねぇの。俺、アンタが盗み聞きしての気付いてるってのに。

隠れて心配するぐらいなら、自分のものにしてくれればいいのに。
俺はそう望んでいるのに。





#87

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