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梅々

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二周年。

はっぴばーすでーとぅみー♪
はい、本日でこのブログは二周年になります、多分!あ、多分じゃない、多分じゃ。

飽きっぽい私がこんなにも小説を書いてブログ続けてるのも萌えの力とこのようなところに来てくださる皆様のお陰です。
うわー二周年だって。
なんか怖いなぁ。二周年かぁ。よく続いた。
死ぬまで土沖書いてたい。というのが願望です。新撰組はツボだからな。ありえなくもなさそう。

なんて地に足つかない話は止めて、本当にありがとうございます。今年も頑張ってきます。
・・・濡れ場は控え目になるといいなぁ←
でも書きたいなぁ。





では、二周年記念の沖土です。今日一日で殆どを書いた自分を褒めたい。前編です。
どうせなら一話にまとめろよって話だけど、明日から濡れ場頑張ります。
一応未だ健全で監禁チック。自分的お題は沖田をS星の王子らしくしよう、という。果たせるかな・・・・・・。














幾度捕えて口付けても

貴方は逃げ行くと云うのならば

その羽根をもぎ取ろう





荊の獄 前編





しとしと降り続く雨は明日の朝まで止むことがないらしい。余所から音を奪う空からの滴はより一層、自分の行動により生ずる音を響かせる。
とすっ、と傘を閉じ布に着いた水滴を払う。三分もかからぬこの距離、傘など必要ないんじゃないかとは思えど、近藤さんに言われたんじゃあ差さぬわけにはいかず。
脇に抱えた盆を持ち直し、硝子戸を開け屋内へ入り込む。傘は入り口に立掛けたままだが、濡れないだろうからそのままにしておこう。
玄関らしき土間は小さく、一歩歩くことさえままならない。靴二足ですぐにいっぱいになってしまう。故に玄関はもう足の踏み場もない状態。だが、気にする必要はないのだ、此処に来るのは俺だけなのだから。
ぎしぎし軋む、階段を上ると一つだけ障子がある。一般的な家屋にしてはとても珍しい部屋割りで、目の前の障子の向こうに一室だけあり、そこから便所にいけるようになっている。
なんとも、お誂え向きな建築仕様。
滑りそうな盆を持ち直して障子を開く。現在、唯一のこの家の住人は相も変わらず窓を背に書類を読んでいた。

「懲りもせず仕事ですかィ」

「仕事ったって、読んでるだけだがな」

障子を閉じ暖かい部屋の端に置かれている小さなちゃぶ台に持ってきた盆を置く。此処へ来る間ホッカイロ代わりだったそれは今も変わらず温かい。丼の蓋を開けるとカツ丼だった。食堂のおばちゃんが作るカツ丼はたれと卵の具合が丁度よくて好きだ。
頂きます、と手を合わせ存分に味わってから振り返る。男は未だ書類から顔を上げない。

「食わねぇんで?」

「あと一行読んだら」

本当、相変わらずだ。
こんな状況で。
俺はそれにとても腹が立つ。勿論、予想通りであるし何度もこの手の状況にいるから妥協してはいるが。
読み終えた書類を適当に放り、土方は平然と近付いてくる。
苛立ちを、表に出したら負けだ。気持を落ち着けようとコップに手を伸ばすと、指先に何かが触れた。あっ、と思った時には既に遅く、畳には大きな染みが出来ていた。
もったいねェ。呟いて水を飲む。

「・・・ったく。拭けよ」

「寧ろアンタ舐めなせぇよ」

「なんでそうなんだよ」

文句も言わず土方は、雑巾を持ってきて染みを拭う。
項が綺麗だ。そう思うのもこの男に落ちてしまったのも、世間一般から見たら異端でしかない。

ああしまった手が滑った。

棒読みで言いながらぼとぼとと土方の頭上に水をかける。

「っにしやがんだテメェ!」

「だから言ってるでしょう。手が滑ったんでさァ」

「おもいっきり棒読みだったじゃねぇか!」

「いいじゃねぇですかィ。水も滴るいい男って言うでしょう」

幾分すっきりした心のままに口角を上げると土方は目を瞑りぎゅっと拳を握って色々と耐えているようだった。
ご苦労なこって。
これを言ったら流石にガツンと一発来そうで心中で呟くことにする。
飲み物を何もかも溢してしまったことに漸く気付いて、そういやと近藤さんがくれた酒を思い出す。盆の上に置かれた酒は、普段飲んでるのよりほんの少し高い。

「近藤さんが見舞い代わりに酒くれやしたよ」

「・・・俺の容態はどんなって伝えてんの」

「やっと起き上がれるようになったけど咳は続くし熱はあるし大変大変」

「インフルエンザか・・・」

どんな嘘も厭わない、そう決めた直後に流れたニュース。インフルエンザなんて土方がなる筈ないけれど、鬼の霍乱というのもある。
この時期は仕事も少ない。我が儘で行動するにはうってつけだった。
こんな時期じゃなければ、行動には移さなかったのに。

「甘んずるアンタもアンタでさァ」

「・・・甘んじた覚えはねぇけどな」

猪口に注いでちびちび飲む。満足いくまで頭を拭いた土方が、半日ぶりの飯をかきこむ。
長閑だ。と、食事時は思うのだけど、夜になるとそんなのが嘘になる。まぁ、そうしてるのは俺だけど。

「不自由はねぇですか」

「滅茶苦茶不自由だろ。こんなのまで用意して」

そう言い左手を上げる。鎖の繋がった、真選組の者なら皆が持っている手錠が手首に輝いている。その先がトイレのパイプに結わえてあるのは何かの漫画の影響だ。何だったかは思い出せないが。
捕まえたら手に入る、なんて安直なことは思っていない。当初から、今までずっと。
だけどこうも太太しくいられると。

「アンタも呑みやす?」

「ってか俺のだろ」

食べ終わった土方の為に注いでやって、それをそのまま畳に溢す。今日は水難の相が出てそうだ。
オイ、と鋭い声に顔を上げればとても不機嫌そうにしている。常に機嫌が悪そうだが。

「ほら、美味い酒ですぜ? これなら舐めるだろィ?」

「舐めねぇよ、ったく・・・」

「舐めなせぇよ」

従わないのは分かりきっている。だからこそ、高圧的に言うと大人の顔をして怒るのだ、この人は。
そして言う。

「お前なぁ、」

「俺だから許されるけど他のヤツにそういうこと言うんじゃねぇよ、だろィ。・・・それって独占欲みてぇじゃありやせん?」

「っなわけねぇだろ!!」

思いの外独占欲という単語に反応して、土方は俺を睨みつける。他の人間なら怯む目付きも、俺には効かない。それどころか、支配欲が胸でざわめく。
何故俺は土方にだけこのような感情を抱くのだろう。支配欲だとか独占欲だとか、それは手に入れたいという欲求から生まれるものであり、その欲求はどこから生まれるのか。
とどのつまり、これ以上ないぐらい、俺は。
その答えを認めるのは余りにも癪で、腹立ち紛れに目の前の唇にかぶりつく。

「っふ、ン・・・!!」

煙草の味が濃くなっている。動けない、というのはこの人にとってそこまでストレスになるらしい。
ならば俺の存在は、アンタに何らかの変化を与えるのか。
与えたくて、こうしているのだけれど。

口腔内を余す所無く貪り尽し、奥歯を擽るようにすると嫌がって突っ張っていた腕からも力が抜ける。本人も気付かぬ間に。
ちゅぷ、と何方のものか分からない唾液が銀糸を紡ぎ、人工の灯りに煌めく。

「体は素直ってヤツですかねェ」

「っ違ぇよ、止めろっ・・・・・・!」

懐から手を忍ばせ、すぅっと胸元を撫でる。ビクリ、と跳ねた体は、この先の行為で得る多大な享楽を期待してだ。
こんな感じ易いのに、女泣かせと呼ばれるのはおかしい。そう思うのは俺だけが知る土方がいるからだ。
ああ、みみっちい。こんな些細なことで。

「可愛がってやりまさァ・・・言うこときけない土方サン」

「っざけんな!! ・・・ァッ!」

胸の赤い実を爪弾けば容易に声色が変わる。

もう逃げられないように、俺だけを求めるように愛するから。

あんたも俺を愛してよ。

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