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梅々

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頑張るぞー!

はい、ではでは最終話。これから暫くは沖土に絞ってやってこうかな。土沖の方がネタたまってるけど。短編は土沖でいこう。うん、そうしよう。

これから、もっっとエロを頑張ろうと思います。














“距離”なんて曖昧なもので愛ははかれず、“愛”の深さで心の距離ははかれない。傍にいたって、心は遠い・・・かもしれない。

そもそも、心の距離なんてそう易々とわかるものだろうか。信じられるものだろうか。

――――――互いが信じ合っていれば、距離なんてないに等しいのだろうか。 










Ma cherie 第十九話 










「愛してまさァ」

「・・・」

「無視ですかィ?」

「どう反応して欲しいんだよ」

仕事前に告げた通りべたべた後ろから抱き付いてくる総悟を放っといて雑誌を読んでいると、急に耳元に唇を寄せて囁いてきた。

そりゃあいつも言われているけど言われ慣れている訳ではない。ありがとう、というのはおかしいし。

「本当の気持ちを言ってくれればいいんでさァ」

そう言われても、未だに気持ちの整理は出来てない・・・というか気持ちの整理?整理であってんのか?

「まだわかんねぇっつってんだろ?」

「ったく・・しょうがねぇお人だねィ」

「お前に言われたくねぇよ」

「まぁまぁ二人とも。今日は仕事終わったんだし家に帰ってからにしろよ。な?な?」

家に帰ってからの方が危ない、っての。ただでさえ人目を気にしないのが、二人っきりになるわけで見境なしにくっついてくるし。

「じゃっ、土方さんお持ち帰りしやーす」

「・・ってオイ!・・待てって・・オイ!」

漫画みたく襟首持って引き摺られ、本当、コイツって意外と力あるよな、と感心してしまった。

って首締まる!死ぬって!

「・・・ちょっ・・マジ離せ!死ぬっ!」

「えっ?ああ、すいやせん」

バッと手を離されしこたま頭を地面にぶつけた。脳みそが揺れてる気がする。目の前を星が回ってるっつうの。

「ほら、土方さん」

顔を上げ、視線を上げると総悟が手を差し伸べ微笑んでいた。こういう風に笑ってる時に限って、何かを仕掛けてくる、というのを経験上わかっている。けれど、たまには、いいか。総悟の手の上で踊ってみるのも。何事も信じるべきだというし。

俺より小さいその手に自分の手を重ね、立ち上がろうと体重をかけた。絶対、邪魔してくるだろうと思っていたのに、総悟は腕を自分のほうに引いて、立ち上がれるよう促してくれた。―――――が、やっぱり総悟は総悟で、立ち上がっても尚腕を引っ張り、キスしてきた。

「あ、漸く照れなくなってきやしたねィ」

「ったり前だろ!」

平均で一日一回ぐらいキスされてりゃ、いやでも慣れると思う。

「じゃあ、そろそろ」

「そろそろ?」

目に妖しい光を帯びさせ、総悟は至近距離で告げた。

「・・・返事、しりてぇな」

最初、何か別の事を告げようとしたが、言い換えた。っていうかそう言われても困るのだが。

「・・・ねぇ、どうなんで?」

首の後ろに腕を回し、上目遣いに見つめてくるのだが、可愛い、ではなく・・・危険、て感じ?思わず後退りしたくなるような、背景が紫色的な。

「家、帰ってからな」

「嘘ついたら舌噛みちぎりやすから」

ニッ、と笑い、総悟は鼻歌を歌い俺の手をひき歩き出した。


俺は、憂欝で鼻歌なんて程遠い気分だったが。 

















始発駅から見ると終着駅は果てしなく遠く見えるけれど、走り終えて振り返ってみると呆気なくて。進むべき道に視線を戻すとまた新たに道ができている。


終着駅までは果てしなく遠く、そこから先の道程も同じぐらい長い。


それでも、二人一緒に行けるのなら。 










Ma cherie 最終話 










嫌いでも、いい。

素直な気持ちを俺に、瞳と瞳を合わせて言ってさえくれれば。嫌いでも。―――――しょうじき、怖い。嫌いでもいいけど、やっぱ好きでいて欲しい。不安で不安で堪らない。そりゃ、いつも急かすように訊ねてたけど、絶対真面目に返答しないってわかってたからってのもあるし、土方さんは嫌いなヤツにキスなんてさせねぇって自信があったし。


でも、いまは。

“愛に理論なんて無意味”

なんだと思う。

土方さんは優しいから、あからさまに拒絶なんて出来なかったのかもしれない。と、心を黒い霧が覆う。


―――――――なんて、女々しいことを思うようになるとは夢にも思わなかった。 


「総悟、まだか?」

「あっ・・へい!」

今から緊張したって意味がない。早まる鼓動を落ち着けて、カップにゆっくりと紅茶を注いだ。

「どーぞ」

「ありがとな」

それから、また帰ってきた直後と同じように沈黙が続いた。今更緊張したって意味ないのに。成績表もらうときと同じようにどきどきしてる。成績はもうついてるのに、的な。

先に口を開いたのは土方さんだ。

「お前は、俺の何処が好きなんだよ」

「そこ、拘りやすねィ」

前も聞かれたような気がする台詞に、苦笑しつつも真面目に考える。

「まぁな」

確かに、その気持ちはわかる。上辺しか見ないやつなんかと付き合いたくはないし、土方さんは誰よりもその思いが強そうだし。

でも俺は、アンタの心、奥深くまでわかってる自信だけはある。それを口にするのはひどく恥ずかしいけど。

「・・純粋で可愛いとか」

「かわいい?」

「そ。あと真っすぐなとこ・・・」

言ってて本当に恥ずかしくなってきて、顔を背けた。

「・・・俺は、素直なのが羨ましい」

「え?」

また目線をあわせると、土方さんは少し照れていた。照れるとぶっきらぼうな物言いになるのも、土方さんの癖だ。

「俺は、お前みたいに自分に正直になれねぇから」

でもそれぐらいの素直さがちょうどいいと思う。俺みたいなのはただの我儘だし。

また視線を外すと目にうつったのは寄り添うように置いてある枕。・・・なんか新婚夫婦の布団みたいで可笑しい。思わずクスッと笑ってしまった、その直後。

「――――好きだ」

迷いなく土方さんは告げた。

「えっ?」

「・・・もう二度と言わねぇからな」

「マジ?」

好き――――――その言葉は、俺が今一番聞きたかった言葉だ。

実際聞いてみるとものっそい現実味がなかったけど。

余程おかしな顔をしてたらしく、土方さんは目を細めフッとニヒルに笑った。素でこう笑って、それが似合ってるなんて土方さんぐらいしかいなさそうだ。

「これから死ぬまで、俺だけを撮れよ」

「じゃあ、アンタの笑顔も全部、死んでも俺のものでさァ」

「笑顔、ってなんだよ」

「あ、近藤さんは別でいいですぜィ。それと、人はアンタ以外撮んないけど、犬とか猫とかは撮りやすんで」

「ハァ?他のもん撮んのかよ」

心の底から嫌そうな声を上げる土方に、揶揄うように問いかけた。

「犬猫にも嫉妬するんで?急に積極的になりやしたねィ」

「なっ・・・!そんなんじゃねぇよ」

「へいへい」

サーッと目元を朱に染めた土方さんに、終わりで始まりの口付けを。




零れ出

恋ほし心

掬い上げ


そつと君を

濡らすもよしかな

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