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梅々

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戒音

結局体調不良でネズミーランド行けませんでした。が、すんごいしあわせな一日だった。だって一日中寝れたんだもん。布団の中でゴロゴロゴロゴロしてても誰も文句を言わないって凄いことだよね。

明日も念のためってことでまたゴロゴロするのですが、問題は小説をうつ気にならないことですね。





それじゃ、一昨日ぐらいに表にアップした百人一首。










忍ぶれど 色に出でにけり 我が恋は
物や思ふと 人の問ふまで





花曇





まず目についたのは綺麗な髪だった。朝の日差しに金色の髪は溶けそうに輝き、春風にサラサラとその髪はなびく。人形のように白く綺麗な
新たな生活に胸を高鳴らせる人々が乗り込む電車、隣に立ったのが天使のような美貌をした学生だった。始め、女だろうとおもったのだが次いで目についた制服に驚いた。その制服は、俺が今年から通う高校から一駅分離れた場所にある、男子校のものだったからだ。
男だと分かっているのに、今日も目で追い掛けてしまっている。

「……おはよう」

「おはようごぜぇやす」

今日もいつものように、俺が乗った駅の次の駅から沖田は三両車に乗り込み、俺の隣の空いた空間に立つ。
三日程前だろうか。沖田が携帯を落とした。これはチャンスだとその携帯を拾ったら案の定、話をすることが出来て、その時に名前をとメアドをゲットした。
男相手に、何してんだよと思わなくはない。でもこれは恋愛感情ではないのだし大丈夫だ、と自分にいい聞かせている。
いい聞かせている時点でもう、自分が沖田をどう思っているのか、本当は気付いているのだが。

「そういや、今月体育祭あるんでさァ」

「此方もある。玉割りとかもあってよ、やる気でねぇ」

「玉割りやんですかィ!? いいじゃねぇですかィ。俺好きなのにやんねぇんですぜ、うちの学校」

すねたように唇を尖らせ沖田は首筋を掻く。
指先まで白くて綺麗だなと見ていたら、人指し指に絆創膏が貼ってあった。
確か昨日は貼っていなかったはず。って俺、このままじゃただの変質者に成り果てるんじゃないだろうか。

「指、どうしたんだ?」

「えっ? ああ。…ちょいと、ね」

ふわりと優しげに細められた瞳は何かに思いを馳せているようだった。

─────まさか、恋人?

有り得ない話ではない。こんなにも綺麗な顔をしているのだから。彼女の一人や二人、いてもおかしくないだろう。
いや、待てよ、沖田は男子校に通っているのだから下手したら男の恋人が………?
考え出したらきりがない。
正直に聞けりゃあいいのだけれど、そこまで親しいわけでもないし、この会話の流れからしても聞くなんて無理だ。

何かいい策はないか、そう考えていると車内アナウンスが流れた。どうやらもう沖田が降りる駅らしい。

「それじゃあ」

「ああ、頑張れよ」

「土方さんも頑張りなせぇよ」

それじゃあ、とヒラヒラ手を振り沖田は電車を降りて行った。
その後ろ姿を眺め、いつも思う。
例え距離が近付いたとしても、そんなの1ミリにも満たなくて、彼にとっては他人にといっても過言ではないのだろう。俺という人間は。
始まる前から見込みはないと知っていたのに。たった一ヶ月。こんなに短い時間でも深みに嵌ることはあるらしい。

「土方さん」

「ぎゃっ!?」

振り向けば、いつの間にそこにいたのか山崎が立っていた。
山崎とは中学から一緒で、クラスは違うが高校も一緒だ。仲が良いわけではないが。

「恋、してますね」

「…………何言ってんだか」

内心ギクリとした。コイツはこんなに鋭い人間だっただろうか。というか、そんな興味津々、といった態度で此方を見られても困る。
他人に相談するようなことではない。消さなければならない思いなのだから。

「誰ですか、この電車に乗ってる人ですかっ」

「ほら、降りねぇのか? もうついたぞ」

「えっ、あっ、ちょっと待ってくださいよ」

切符を探しながらホームに降り立つ。そのまま改札へ向かうがやかましい声は聞こえてこない。どうやら、人混みのお陰で山崎とははぐれられたらしい。
帰りに沖田といるところを山崎に見られないようにしなければ。勘が鋭いあいつのことだ。下手したらバレて学校中の噂になる。
どうせ噂になるのなら、晴れて結ばれたことが噂になってほしい。

叶わないことだと分かってはいるのだけど。





#40

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