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梅々

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とうとうこの日が。

去年のお祝いは酷かった。主人公だというのに小話という、扱いの酷さ。




銀さんお誕生日おめでとー!!!!




あなたのお陰で土沖土があり銀沖がありミツバさんがいて鴨さんがいるのです。
10月10日。
姫初めで・・・とか不埒なことを考えたことは一切ないよ!
よくよく考えると銀さんって格好いいんですよね。人気ランキング上位三人大好きです。

と打っているここは慶應行きの電車の中。





それでは7日にはできてた銀誕で銀沖。
今年はちゃんと準備しました。あ、軽く濡れ場注意です!
















彼が傍にいるだけで、何かが変わる、そんな気がした。





甘いワナ





笑う、怒る、泣く・・・表情はなんて数えきれないぐらいあるけれど。どれだけ多く、君のコロコロと変わる表情を見ているのだろうか。
なんて乙女チックな若人チックなことを考えて溜め息がもれる。笑った顔、悲しそうな顔、悪戯をする子どものような顔、真剣な顔、そしてだるそうな無表情。片手で足りるぐらいしか見ていない、ような気がするというか絶対そうだ。
どう考えても確実に、多串君より彼の表情を見ていない。恋愛は時の長さとイコールではないと云う。そうだろうと不利なことには変わりがないだろう。
別にこれは恋愛的な感情ではなく単なる興味なのだけれど、あの子に対する。
ぴんぽーん、とチャイムが鳴りその後にガラガラと玄関の扉が開く。もうそんな時間かとテレビをつければ丁度ドラマの再放送が始まったところだった。
パタパタと半ば急ぎ目で廊下から向かってきたのは予想通り、そして期待通り沖田君だった。俺を見てからチラリとテレビの画面を見て遅れやしたね。とどこかがっかりしたように呟きソファにドカッと座った。ドカッと座っても面積をとるわけではなくちょこん、と隅の方に腰をかけるだけ。

「遅れたっても数秒だけど?」

「それでも遅れたことに変わりはないじゃねぇですか」

「誠実だなァ。多串君よりもてるんじゃね?」

「よしてくだせェ」

テレビから視線を離さずにピシャリと機嫌悪そうに一蹴される。いつものことだから気にも止めないが。

三ヶ月程前のことだった。
久方振りに万事屋を訪れた彼は話がある、と神楽や新八を家から追い出させた後、好きだと言った。真っ直ぐ、俺を睨むように見上げてきて、震えることのない、強い声で。そのくせ袴を握った指が震えていて、睨んできているのは虚勢なのだと気付いた。
だからって男にしておくのは勿体無い顔をしているが流石に男相手に疚しい思いは生まれないし付き合う気も湧かない。そう、断ったのだが。
―――――それなら依頼しまさァ。旦那の時間を俺にくだせぇ。一緒にテレビ見るだけでいいんで。
そう返され、毎日基本この時間にドラマの再放送を見るためだけにやってくる依頼主。たまに、奢ってもらい甘味処へ行くこともあるが極稀にだ。

その依頼の間、多串君のことを話題に出すと必ず、今みたく一蹴される。
アイツが、どんな目で沖田君のことを見ているのか、知っているわけではないだろうけど。
細く白い首筋、何も塗らなくても赤い唇。姉に瓜二つで、綺麗な顔立ちをしているけれど。同性に恋愛感情を抱くなんて、アイツもこの子もどうかしている。
どうか、している。

「・・・旦那」

テレビがコマーシャルに入ったのを境に、彼が此方を振り返る。近くにいたらフワリといい香りがしそうなどとどうでも良いことを考えるけれど、彼の表情はいつもより少し浮かない。
何かあったのだろうかと愚鈍に考えるフリをして、いつも座っている椅子から沖田君の前に移動する。今まで向かいに座ったことはなかった。あくまで、依頼主と万事屋というスタンスを崩したくなかったからだ、他意はない。
手持ち無佐太で何と無くテレビを消す。リモコンをテーブルに置くと同時に凛とした声にもう一度名を呼ばれた。

「依頼、今日で終わりにしまさァ」

やはり。
この依頼を承けた当初、終わりにすると言われた時俺は何を思うのだろうと想像してみたことがあった。
解放感があるのか、収入が減ると憂鬱になるのか。
苦しんで苦しんで、出しただろう、答え。

「多串君になんか言われた?」

「・・・もう三ヶ月経ったんだ、諦めろ。アンタの迷惑も考えろってさ。・・・俺も、そう思う」

「そう思うぐらいだったら最初から・・・」

途中で、諦めるくらいなら。
本当にそう思う。当てがないと分かりきっていたのなら最初から変な期待もしないで無意味な恋心の延長を求めたりしなければいい。
そんなことをするから。

「・・・で、言いなりになるんだ? アイツの」

「言いなりってわけじゃねぇでさァ。・・・でも、迷惑でしょう?」

「―――迷惑じゃねぇよ」

「え?」

押してダメなら引いてみろ。
そんな作戦に易々とはまってしまうとは。少年の心が健在なんだ、と狡猾な大人だと自覚しているから逃げ道をまた作り出す。
こうやって、ずるく生きてきたから逆に、こう真っ直ぐにこられると弱いのかもしれない。
弱くて強くて真っ直ぐで、震えながらも好きだと言われたときに既に、堕ちていたのかもしれない。
男だからこそ、逃げずに立ち向かう、凛々しい姿が。

「嫌になってたら俺からさっさと止めるって言ったに決まってんだろぉ? 本当に頭空っぽなんだな。・・・いいよ、付き合っても。ずるくて意地悪で独占欲強くて亭主関白な銀さんでいいなら」

「・・・ッ旦那ぁ・・・!」

口をヘの字に結び、目の縁いっぱいに涙を溜めた。
泣き顔なんて、余程のことがない限り見せないくせに、勿体ないと思うが優越感も感じる。
テーブルに身を乗り出し、膝の上で握られた手を包んでやる。綺麗な剣筋を生む、俺よりも小さな手。

「あらら、泣いちゃったの?」

「別に泣いてなんかッ・・・」

誰よりも、何よりも。

自覚した途端に欲が芽生える自分に失笑しか生まれない。

抱き寄せて、膝の上に向かい合わせで座らせる。キョトン、と見上げてくる表情が愛らしく、頬をそおっと撫で上を向かせ口付ける。
先ずは触れるだけ。神聖なものにでもするように優しく、触れる。それだけで頬を染め恥ずかしそうに目を閉じた沖田君の耳裏をひっかく。

「んぅっ・・・!」

「・・・あれ? これだけで感じた?」

びくん、と跳ねた体を示唆すれば真っ赤な顔をして否定する。
ドS王子の名は何処。
されるがままの少年の唇に再び口唇を寄せ、今度は深く深く、思考も何もかもを奪うように熱い中を愛撫する。弱いところを探るように、余すところなく尖らした舌先で触れ、逃げる舌を捕まえて絡め合わせる。

「んっ、んんぅ・・・っぁ、ン」

零れる声に興奮する。高く鼻にかかった音は娼婦のような女の色香や妖艶さでもって男を刺激するのに、弱々しくも縋る指はどこまでも初初しく。
これは本当に同じ性別の者がする所作だろうか、と考えてみるが目のあたりにしているのは事実で。
一層、もっと早く―――――と後悔するが後の祭だ。
それに、こうして手に入ったのだから万事オッケーということで。

チュ、と濡れた音を響かせ身を引くと、とろんとした表情で沖田君は不足した酸素を求めて肩で息をした。

「ん・・・だんな・・・」

「早速なんだけどさ、もっとしても平気?」

「もっと、って・・・?」

「大人が大好きなコト」

「大人ってか旦那がだろィ? でも・・・そんなの俺とできんの?」

「嫌いなヤツとはやんねぇって」

「そうじゃなくて、」

その、と言い淀み視線がどんどん沈んでゆく。シュン、と塞ぎこんだ小動物のようだ、なんて素直に言うと怒って帰ってしまうかもしれない。
背骨に沿って首筋から下へ、撫でる掌を下ろしてゆく。ベルトを越えた辺りで手を掴まれて指を揉んだり撫でたりされる。稚拙な行為だけれど、それでも煽られる自分が若干嫌になる。

「俺、男ですぜ? 挿れる穴なんてねぇんでさァ。それぐらい知ってるだろィ?」

「穴がなけりゃ作ればいいだけだし?」

「はぃ?」

「・・・だからまぁ、出来る限り痛くしないから、銀さんの好きにさせてくんねぇ? それに君知らないだろうけど、今日俺の誕生日だから」

「・・・いいですぜ。痛くしねぇってなら、好きにして」







白い無機質なシーツの上、元は白かった肌理の細かい肌が桃色に染まり、高ぶった熱そのままに、吐息混じりに呼ばれた。欲望のままに貫きたくなるが一応俺だって大人だ、そこは我慢。
挿れただけで動かさずにいたモノで少し内部を穿つ。
上がった声に痛みの色は滲まず、ただ快感に支配されていた。

「動くよ・・・?」

「ん・・・うごい、て・・・ッアァ!」

背がしなり、露になった喉元に口付ける。衝撃に頬を伝った涙を舐めとりながら、ゆっくりと腰を動かしていく。
軽く突くだけであがる嬌声も背中を抱き締める桜色の爪がついた指先も、愛らしくてあまりにも享楽的ではなくて、だけれどかえってそれが、確実に理性を奪って。
ワナに嵌ったような、気さえする。

「・・・あぁ、ッぁン、だん、な・・・ッアゥン!」

「ん・・・? なぁに?」

「ヒァ、ッ・・・きもち、イ・・・?」

涙目で、とろんとした表情で、舌ったらずにそんな風に言われて。

冗談抜きで達するかと思った。

こんなに可愛らしい人間だったのだろうか、などと思っている暇もなく、ズン、と貫く。
堪らない。
大人の余裕なんてこれしきのことで粉砕してしまう。

「アンッ、ぁっ・・・も、だんなァ!」

「最高級に気持ちいいから、安心しな」

「ひぁぁ!! っアン、あぁぁ!!」

先刻知った最も弱い点を重点的に擦りあげ抽挿を激しくしてゆく。
とろけそうな熱さで収縮を繰り返すそこからは、ぐちゅぐちゅと腰を動かす度に音が鳴る。

「あっ、ァア、も、イきまさ・・・ぁッ」

「ん、俺もヤベェかな・・・」

「ッアァァ! ん、あっァ・・・あぁぁぁっ!!」

蜜を弾けさせ、キュゥ、とより強く締め付けられて一つになれそうな程とろけた内部に欲を放つ。
どくん、どくん、と心音に呼応して薄い肩を上下させる目の前の少年がとても、愛しくて。
チュッ、と刹那唇を重ねる。

「・・・旦那ぁ・・・おめでとうございまさァ」

「・・・ありがと」

腕の中に抱き締めて、最高な誕生日に心の中で礼を言った。

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