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梅々

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いいくに作ろう鎌倉幕府

風邪気味です……………………。
鼻づまりが酷くてその所為か、熱っぽく感じる。完璧風邪気味だ。
最近勉強三昧で凄く疲れるし大変だけど充実してる気がします。前よりずっと。

これはこれでいいのかも。





それでは山崎誕生日ネタ。確か今日だったよね?
28日には出来ていたから今日アップ出来る。













我が庵は 都のたつみ しかぞ住む
世をうぢ山と 人はいふなり





黄金の狐の甘言





「沖田さんっ」

声をかけようとしては躊躇いと何度も繰り返した後、漸く少ししかない勇気をかき集めて声を振り絞った。それでも彼は振り返りもしない。俺がどんな気持ちで声をかけたか知らないだろうから、しょうがないけれどやはり凹む。

「どうしたんで、山崎」

「ミントンしませんか?」

「お前は素振り専門だろィ。それに昼ドラ見てっから邪魔すんなィ」

いつも、そう言って練習していたのが却って仇になってしまった。誰も相手してくんなかったからそう言ってただけなんだけれども。
折角…折角誘ったのに。
今日が俺の誕生日だと知らないだろうし知る気も無いだろうからせめて、ミントンの相手さえしてくれればいいと思ったけれどその細やかな夢さえ叶わないらしい。
誰一人として祝ってくれないのは過去の経験から分かっている。
今年もどうやら例年と代わりない誕生日になるだろう。
今年こそはと張り切っていたのに。

溜め息を吐きながらも立ち上がり、沖田さんの部屋を出ていこうとすると背後でテレビの消える音がした。

「ザキ」

「…そう呼ぶのは止めてくださいってば」

「相手してやらァ」

「え」

慌てて振り返ると先程と同じように寝っ転がった儘、沖田さんはにんまりと口角を上げ此方を見上げていた。
艶めいた眼差しに心拍数が上がる。

「何してぇ? お前がしてぇことしてあげまさァ」

ゴクリと喉が鳴る。
したいことは山程ある。一緒にお昼を食べに行ったり、キスしたり、それ以上だって。
それでも、臆病な俺は。
些細な願いが叶えばそれだけでいいと思ってしまう。

「ミントンしましょう」

「……そんだけでいいの?」

「ええ。いい天気ですし、ちょうどいいじゃないですか」

傍に居て、その笑顔を見ることが出来ればいいのだから。他には何もいらない。
沖田さんさえ居れば、それでいい。

「ホント、お前ってバカ」

「よく言われます。主に副長に」

だるそうにゆっくり起き上がり、沖田さんは乱雑に前髪をとかす。
そんな仕草までが色っぽく見えて慌てて目をそらす。
すると、山崎ィと小さな声で呼ばれた。

「ちょいと来な」

「はぁ」

一応閉めるべきかと障子を閉め、とことこと歩み寄り立ち止まる。どうしようも無くてそのまま立ち尽くしていると、くいと袖を引かれた。
そのまま袖を引かれ続けて、視界いっぱいに沖田さんの顔が映る程近くまで距離が縮む。
自分の顔が真っ赤になっているのがわかる。こんな間近でじぃっと見つめた事は今まで無くて、もう死んでもいい…。とさえ思える。

「お前、顔真っ赤」

「そ…それはしょうがないですよ」

「なんで?」

“小悪魔”とは仁くこういう人の事を言うんだろう。
我が儘で、自分中心で、傍に居て欲しいときは何処かへ行ってしまうくせに、自分が傍に居たいときは一緒にいて。
─────猫のようだ。
自由気儘なように見せかけて、芯がきちんとあり犬のような忠誠心を持っている、猫。
極稀に、ライオンのような獰猛さを見せることもあるし、ぴったりだ。

「…本当、心臓に悪い人ですよね」

「誉め言葉として受け取ってやりまさァ」

するすると細長い腕が背に回されドキリとした瞬間に唇が重なる。
柔らかいマシュマロのような感触が心地好くて、何度も角度を変えて触れ合わす。
それ以上しないのは経験がないから、じゃない。意気地が無いからだと自分に変な言い訳をしていると唇は離れていった。
馬鹿にしたように微笑を浮かべられるけど、そんな顔にさえも見惚れてしまう。

「もう少し度胸持てってんでィ。よくそんなんで真撰組居られやすね」

「…監察なんであまりそういうの必要ないんですよ。それに、関係ないでしょう、それとこれとは」

「……さぁ? どうでしょうねィ? …もう一度チャンスをあげまさァ。何して欲しい…?」

言葉を促すように、頬を撫でられる。熱を孕んだ視線が早くと急かす。
此処で言わなきゃ男が廃る。そうは分かっていても言葉が出ない。

「…したいです」

「よく言えやした」

再び唇が重なった。
今度は躊躇うことなく口付けを深く甘くしていくと、耳を犯す水音に重なり艶めかしい声が届く。
思考がとろけてしまいそうだ。嬉しさと、背徳的なこの行為に。

「……おめでとうっつって欲しい?」

「言って欲しいです」

やっぱり俺の誕生日知っていたんだ。こうして、祝ってくれているわけだし。
今日明日、俺は死んでしまうんじゃないだろうか。こんな、良いことばかりで。

「誕生日おめでと、山崎」

「ありがとうございます、沖田さん」

手に入れたかった温もりに触れて、誕生日の特別さを改めて実感した。

ああ、なんて幸せなんだろうか。

幸せなんて直ぐに壊されると分かっていても、酔いしれてしまう。





#08

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