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梅々

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マッハでやろう。

ホワイトデー!!!
なのにやっとこさ卒業ネタ。
もう、グダグダ。

これから滅茶苦茶頑張ります!













春は、出会いの季節であり、別れの季節でもある。 

始まりで、終わり。 




今年は俺の恋が、終わるのか。 




そんなのは嫌だ。煮え切らない。 









Believe 










「なんでっ・・・?」 

急にそんなことを言うのか、全くわからない。昨日・・・今日の朝まで普通だったのに。 


驚愕してる土方に、沖田はただ微笑み返した。 

「じゃっ、土方さん。また今度」 

立ち去ろうとする総悟をなんとか引き止めようと後ろから抱き締めた。 

「・・・行かないでくれ」 

「アンタ・・・いくら人気ないからって一応外ですぜ?此処」 

いつも、外とか人前で手を繋ごうとすると怒るくせに。と、沖田は腕を剥がそうとするが、思いのほか力が強い上に、この体勢の所為で腕に力が入らない。 

「じゃあ俺ン家来いよ」 

「だから、」 

「なんでだよ。ちゃんと納得出来るまで説明しろよ」 

――――言わなけりゃよかった。別れる理由なんて相場は決まってる。余計、傷つくだけだ。 

別れるときが来たら潔く別れよう――――――ずっと、そう、思ってはいたのだが。 

「・・・言いやすから離しなせぇ」 

「逃げんなよ」 

「逃げやせんよ。飯食いに土方さん家行きやしょう」 

「・・・俺ン家かよ」 

溜息をつくと、腕から擦り抜けながら総悟は笑った。 

「逃げられたくないんだろィ?おてて繋いで帰りやしょう」 

ほらと手を差し出す姿がなんかかっこよくて、見惚れて無意識に手を握り返しそうになったが、慌ててそのことに気付き手を戻した。 

「なんでィ。あとちょっとだったのに」 

口を尖らす総悟の腕を掴みズカズカと歩き出した。 


いつもと変わらないやり取り。 

別れる、なんて言われたのが嘘みたいだ。 


・・・総悟は、俺に愛想がつきたのだろうか。それとか、好きな女が出来たとか。だから、急に別れようなんて言いだしたのか。・・・急、じゃないのかもしれない。前々から卒業までの遊びだったのかも。 


「土方さ~ん?」 

「あ?」 

顎で示されたのは玄関のドア。気が付けば既に家の前で、ポケットから鍵を取り出し若干急いで鍵を開けた。 

「親は?」 

「一週間旅行だってよ。卒業式来たその足で行っちまった」 

「へー」 

どうでもよさそうに返答し、総悟は自分家かのような足取りで俺の部屋へ向かった。 

「やっぱ落ち着きますね、この部屋」 

その部屋を捨てようとしてるのはおまえだろ。なんて口に出して言わないけれど。――――落ち着く、とか言わないで欲しい。諦められなくなる。 

「なんで、別れるんだ?」 

一瞬、布団を撫でる手を止めたが、また愛しそうに撫で始めた。 

「・・・飽きたんでさァ」 

その台詞を聞いたら、俺は死ぬんじゃないかと思っていた。今、俺の存在意義は総悟にある。だけど、冷たく突き放されたのに、俺は逆に、近くに総悟を感じた。さらに愛しくなった。 


淋しそうに、笑んでいたから。 


「・・・目ェ合わせて言えよ」 

「・・・飽きやした」 

しっかり見返してくる目は総悟らしくない色を浮かべていた。 


期待しても、いいのだろうか?諦めなくても。 


「総悟」 

「何・・・っ!」 

ギュッと強く抱き締めた、というか抱きついた。勢いに任せて押し倒してしまったけど。表情は見えないが、多分驚いてるのだろう。 


こんな風に、正面から抱きついたのは初めてなのだから。 


「好きだ」 

「・・・!」 

弱々しく服を掴み、沖田は体を離そうと藻掻いた。が、どう藻掻いても、離してくれる気配はなかった。 




いつも、有利なのは俺なのに――――― 




今日は、運が悪いらしい。いや、そんな一言じゃ片付けられないか。今日は土方さんが、土方さんらしくない。積極的だし。そりゃあキスねだってくることは多かったけど、それは甘えてきてる感じで可愛かった。 

今日は―――――力強い、男らしさを感じる。それ程、別れたくないのか? 




それ程、俺の事を好きなのか? 



自惚れ、じゃなくて。 


「・・・ったく、土方さん。離しなせェ」 

「・・・」 

無言のまま、数秒が過ぎたが、離す気配はないどころか、さらに腕に力を込めてきた。しょうがない、と溜息一つつき、上体を起こす。 

「土方さん」 

「・・・・・・」 

「離してくだせェ、ってば」 

「・・・・・・」 

・・・もしかして、ばれてるのだろうか?俺の考えが。だって、そうじゃなきゃ土方さんはプライド高い人だ。たかが別れる、別れないごときで抱きついてきたりしないだろう。でも、土方さんにはわからないよう、ちゃんと演じたはずなのに。 

「重いでさァ、土方さん」 

「・・・うるせぇ」 




えっ、と思った。 



だって、声が。 


「泣いてるんで・・・?」 

「泣いてなんか・・・ねぇ」 

嘘だ。声が震えてるし、鼻啜ってるし、しゃくり上げている。 

泣く程嫌なんだ?土方さんは、俺と別れるのが。 

「・・・ハァ。しょうがねぇなァ。別れねぇでいてやりまさァ」 

「えっ・・・?」 

バッと顔を上げた土方さんは、思った通り泣いていた。目を真っ赤にしてボロボロ涙零して。 

涙を舌で掬いながら、この人が涙もろかったことを思い出す。 

「やめっ・・・ろっ!」 

赤い顔して身を捩り、腕の中から逃げようとするけど、さっきの仕返し代わりにとより強く抱き締めた。 

「・・・別れるんじゃなかったのかよ」 

「アンタがいいなら、いいんでさァ」 


だって、飽きる訳がねぇだろィ?アンタみてぇな面白い人を。強がってて、プライドが高くて、そのくせ猫みたく戯れてくる、アンタを。 




――――ただ、稀に俺もアンタの事を考える時があって。あ、妄想とかアンアン言わせてるのじゃなくて。世間体、気にするんじゃないかな、と思った。 

俺ら、男同士だから。 


俺はそんなこと、どうでもいいけど。愛し合っているのなら、性別も何も関係ない。

そう思っているから。 

「好きでさァ。土方さん」 

体勢を変え、土方を横たえさせながら囁く。土方は沖田の背に腕を回し、身を委ねて微笑んだ。 

「・・・初めて、言ったな」 

そういえば。好きかどうか訊ねる事はあっても、自分から言った事はなかった。普通に恥ずかしくて言えない。土方さんみたく、好きって素直に。俺は自他ともに認める天邪鬼だから、土方さんの為になんて何一つしてやろうとは思わなかった。 

「勿体ねぇだろィ?・・・その分、態度に示してやすから。ね?」 

唇を重ね、シャツの中に指を這わせた。 

「態度?・・・足んねぇよ」 


不敵に笑うその口を、どう淫らにさせようか。

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