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梅々

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お待たせ致しました!

昨日の内に終わる予定だったのに(((・・;)
ギリギリアウトですね。
うわーん。





それでは、maya様リクエストの「つれない沖田だけど実はツンデレだったという沖土」です!
大変遅れて申し訳ございません!
その上土方の乙女度が高いです←
肆萬千打アンドリクエストありがとうございました(*^o^)/\(^-^*)
あ、微妙に背後注意かもしれません。本当に微妙に。
















手袋もマフラーも外套もいらない。

君の温もりだけで十分だ。





寒空の下の君に捧ぐ





のんびりと、今月出したばかりの炬燵に入り何気なくニュースを見ていると、あぁ寒い寒いと縁側から声が聞こえてきた。続いて急ぎ気味の足音が近づいてきて、口元が緩む。憩いの時間にはやはり、傍に彼がいなければ。と、テンションが少しあがるけれど、足音が二人分であることに眉が寄る。総悟と・・・近藤さんにしては軽い、足音。
ガラッと障子が開いて、無表情が一気に嫌そうな顔に変わった。

「うっわ土方さんいたし」

「だから言ったじゃないですかー」

見廻り帰りなのだろう、鼻の赤い総悟と、用意のいいことで三人分の湯呑みをお盆に乗せた山崎が冷気とともに入ってきた。俺を挟んで二人が向き合うように座る。
さっさと戻れよ、と山崎を睨み付けるも、顔色を悪くしただけで退く気配がない。仕方なしに山崎が淹れてきた茶を一口含む。

「土方さん仕事ねぇんですかィ」

「いまは休憩中だ」

「俺には休憩すんなっつうのに?」

「お前はただサボってるだけだろ」

「アンタだって変わりやしねぇだろうよ」

唇を尖らせ総悟は不愉快さを全面に押し出してくる。そして、たった今俺が山崎にしたように、早くでてけというオーラを醸し出す。
自覚した途端これだから困る。いや、前からこうだったけれど自分があまりそこまで気にしていなかっただけで、変わりはないのかもしれない。
好きになっていた、いつの間にか。自覚したのはつい最近、だけれどずっと昔からそうだったのだと思う。何だかんだ甘やかしていたのはその所為なのだから。

「あ、俺茶菓子とってきますね」

「なら俺が行きまさァ。茶箪笥の上の近藤さんのだろ」

「いやでも・・・」

空気を読んだ山崎が立ち上がるよりも早く総悟は立ち上がり、パタンと障子を閉じ部屋を出ていった。
避けられている、これは絶対そうだ。被害妄想でもなんでもなく、避けられている。普通なら早く取ってこいと平然と山崎をパシリに使うのだから。
重い沈黙に耐えかねた山崎がわざとらしく咳払いをする。

「あの、副長。気にすることはありませんよ。沖田隊長はあれ・・・思春期ですから」

「別に気にしてなんかねぇ」

「・・・」

フォローになっていないフォローに嘘を返し、これ以上此処にいてもと自室へ戻る。いまはそれほど仕事はないが、顔を見たくないと思われているのに同席するようなサディスティックな、或いはマゾな神経は持ち合わせていない。
せっかく副長の権限を生かし今月の見廻りを殆ど総悟と組んだと云うのにあまり意味を成していないどころかより険悪になっている。
何かしたか、俺は。





「お前死ねよ」

「ほんっっっとうにすみません」

既に頭に瘤を作っている山崎が畳に頭を擦り付ける。
今日は総悟との見廻りだというのにその直前に持ってきた書類。それは至急と書かれた紙袋に入っていて、松平のとっつぁんに提出するものらしい。それだけなら未だ仕事だ仕方がないと割りきれるが昨日届いていたのをついさっきまで山崎が忘れていたという曰く付き。
俺の時間を返せ。

「死ねよ」

「ずみまぜん~!!」

「こんこん。失礼しやーす」

「・・・口で言うなら普通にノックしろよ」

手元の携帯を見るとちょうど見廻りの時間で、予想通り間に合わなかったかと誰にも気付かれないよう落胆する。あと半分。後回しにするには量が多い。
振り返ると魔が差しそうで、筆を止めず悲惨な姿に成り変わった山崎を呼ぶ。
重ね重ね死んでほしい、総悟と一緒に見廻りだなんて山崎には不相応。

「土方さん、見廻り」

「俺の代わりに山崎が行くから。・・・帰ってきたら切腹な、山崎」

「マジですみません堪忍してくださぃぃぃぃ!!」

「・・・・・・。じゃあ山崎行くぜィ。おまけに首輪つけてやらぁ」

「沖田隊長には何もしてませんてっ!」

ずずず、と畳の上を何かが引き摺られる音がした。ああ山崎が襟首捕まれて総悟に引き摺られてんだ、と容易に想像でき、障子の開閉する微かな音の後にハァと重々しい溜め息を吐く。
本当なら、と山崎の代わりに隣で歩いているであろう自分を思う。総悟にとっては俺も山崎も変わりないだろうけれど、此方からしたら大きな問題だ。有無を言わさずに傍にいられるのは仕事のときだけなのだから。

「・・・くそっ」

さっさと片付けよう腰を捻るとボキッと大袈裟なまでに背骨が音をたてた。





これは夢なんじゃないか。
と思うような総悟が目の前にいる。真摯な瞳を此方へ向けて、俺の腰を支えるように腕を回し。

「そ、うご・・・?」

「これが夢かどうか、分からせてやりまさァ」

いつものやる気のなさげな無表情はどこへやら、凛々しい表情で顎に手をかけられて喉が鳴った。
次第に近づいてくる顔を、見逃さないように熟視る。すると、顎に触れていた手は首に絡み、力が加わった。
そして、殺意。

「っぐ・・・!!」

ばちっ、と勢いよく目を開く。やっぱ夢か、なんて落胆するよりも苦しく、喉を締める腕を掴む。
現実の総悟は多分無表情で俺の上にどっかり座って首を締めていて、苦しさとそなギャップに視界が滲んだ。
どうせ妄想だと思ったけれど、せめてキスぐらいさせろっての。それぐらい求めたって罪はないだろう。俺が何したってんだ。
躍起になって手を動かしていたら漸く離れて、激しく咳き込む。それでも容赦なく腹部に総悟が座ったままだから苦しくって堪らない。

「お、まえっ・・・なにしやがんだよ」

「いや、ムカついもんで」

「だからってなんでこんな時間に首締められなきゃなんねぇんだ!」

「日頃の行いが悪いアンタが悪い」

「そりゃてめぇだろっ!」

殺意は手が離れた瞬間に感じなくなったが未だ油断はできず、警戒しつつも携帯に腕を伸ばす。液晶を見ると午前二時。そりゃあ、真っ暗なわけだ。
用は済んだだろう、それとも未だ何かする気か。神経を尖らせながらも待つが何もなく、変に意識しはじめてしまう。
真夜中に、二人きり。
そして触れている、布団越しに伝わる温もり。
あまりに暗く表情は窺えない。それはつまり総悟からしても同じなはずだが表情には出すまいと内側にも神経を尖らせる。
欲情がばれたら死活問題だ。

「あぁもう、我慢できねぇ」

「・・・なんだよ?」

「だから傍にいたくなかったってのに」

噛み合わないことよりも「傍にいたくなかった」というフレーズが琴線に引っ掛かった。わざわざそんなことを言わなくていい、俺のMPはただでさえ磨り減っている、のに。
自棄になって忌々しくも求めて止まなかった唇に噛み付いてやろう、としたところで先手を打たれた。
呼んだ名前はくぐもった声として耳に拾われ、視界が写すのは闇の中でも色づいた、赤い瞳と長い睫毛、さらさらの猫っ毛。

「ん、ん・・・?」

唇には柔らかくも弾力のあるものが触れていて、気付けばそれぞれの手首が掴まれている。一度ゆっくりと総悟が瞬きをして、それだけの生理的行動に見惚れていると唇を割って熱を伴うものが口の中に触れた。
カッと顔面に血が集まるのと同時にどうにか蓋をしていた欲情を抑えきれなくなり、舌を絡め返した。
驚きに見開かれた瞳に吸い込まれながらも夢中になって舌を総悟のそれに擦り付ける。すぐに総悟も攻めてきて、舌先で戯れ合う。
手首を掴んでいた手は官能的に素肌をなぞり、肘まで辿ると袷の中に入りこみ、冷気と共に肌を撫でてくる。

「・・・なんだ、アンタノリノリじゃねぇかィ」

「ッハ、ぁ・・・お前、俺のこと嫌いなんじゃねぇのかよ?」

キスに濡れた唇が弧を描く。
暗さに慣れた目は情欲の満ちた総悟の顔をはっきりと写して、息が荒くなる。
互いを感じて欲情しているのは一目瞭然。

「アンタの顔見てると襲いたくなるから傍にいたくなかったんでさァ。・・・なんだ、我慢しなきゃよかった」

「・・・俺も我慢しなきゃよかった」

呟くと今まで見たことのないくらいに凛々しく総悟が笑って、それだけで達しそうになった。

今年の冬は温かそうだ。

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