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梅々

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解毒剤

多分明日はアップどころか何もしないだろうから一言叫ぶ。


宗次郎大好きだぁぁぁぁぁぁ!!!!



さて、じゃあ危ない小説を。・・・大体沖土だけど前半土沖。















総悟、と呼び掛ける声は不自然に低く、甘さを含んでいて、その声にチョコレートの甘くほろ苦い味を思い出した。
─────チョコレートだかココアだか、何かは忘れたけれど媚薬のような成分が含まれているという話を聞いたことがある。あれは嘘か本当か、あやふやな記憶だからあっているか分からないが。

─────あれに、この人は似ている。





約束は不確かな





「っは、ん・・・」
部屋の中響く水音は、静かに沖田の理性を狂わせてゆく。
音だけではなく、皮膚が感じている、背筋を這うような感覚も、思考を段々と犯していく。
しきりに淫らな水音をたて、節榑立った男らしい指先が疼く前を追い立てようとせわしなく動く。見なくても存分に光景を想像出来て胸の内でくすぶる、歪んだ欲望がまた一段と膨れあがる。

もう、流石にいいだろう、と。

「っあ・・・!!!!」
やらしい指に愛撫され白濁を散らすのと同時に、欲望も破裂した。

─────抱きたい。

「・・・土方さん」
「何だ?」
「手、貸して下せェ」
何をする気なんだ、という顔をしながら、左手が差し出される。その手首を掴み、右手も、と言うと素直に両手とも沖田の手の中に収まる。
カシャリ、と土方の両の手首が冷たい金属に包まれる。
束の間の静けさの後、土方は気を取り直し手錠を外そうと画策し実行するが、鎖が鳴くだけで外れやしない。
「土方さん」
「・・・なんのつもりだ」
微笑む沖田とは対照的に、土方は顔をしかめる。その、土方の反応に沖田は気を良くし、自分の上に居る男を押し倒し、そのまま立場を入れ換えた。

土方の反応はごく普通のものだ。物事の邪魔をされて喜ぶものは例外を除き、いない。

─────こんな真っ最中に、なんでこう色気の欠片も見られないことを。

こう思うのは当たり前で、気持ちをそのまま表情に出し、土方は沖田を見上げる。若干の、嫌な予感を胸に抱きながら。
「・・・俺は何回アンタに抱かれやしたっけ?」
「・・・七、八回ぐらいか?それが、どうした」
手錠の鎖を持った手を土方の頭上に置き、そのまま片手で押さえ付ける。片手を押さえるよりも効率良く動きを封じることが出来て、やっぱり道具って凄いなと改めて沖田は感心した。
「実を言いやすと、抱かれたくないんでさァ」
今更なんだけど。
そう言うと、確かに今更だな。と罰の悪そうな顔で土方は頷いた。土方に最初からそう言っとけば良かったと後悔したが、別に、抱かれるのが死ぬほど嫌だった訳じゃねぇし、と思考を本筋に戻す。
「愛し合うもん同士、ヤるのは悪いことじゃねぇと思うんですけどねィ、俺らは男同士じゃねぇですか、異性となら別に問題にならねぇけど同性同士だから生じる問題もあるじゃねぇですかィ」
「・・・どっちが上になるか、って話だろ?」
「そうでさァ。・・・俺は上が良かったんでさァ」
「・・・で、何でこうなる?」
聞いてからはっ、とした土方に、アンタの予想通りですぜ、と告げると手の下の手錠に力が込められた。それを抑えたまま、ちゅっと唇を重ねる。
「・・・手錠外してくんねぇか?ってかてめぇの手につけろよ、コレ」
「ヤだなァ。俺が自分の手に枷なんてつけるわけねぇだろィ?アンタじゃあるまいし」
「喧嘩売って・・・ん!」
くちゅ、っと聴覚を刺激する音をたて、舌を絡ませると、存外甘い声が沖田の耳に届いた。そんな自分の声に羞恥心を刺激されたのか頬が朱に染まり、苦しそうに眉が寄せられている。

もっと感じる姿を見たい。

もっと喘ぐ声を聞きたい。

愛されるだけじゃ、物足りない。
「・・・政権交代ってヤツでさァ。観念しなせェ」
「なんか意味違うだろ。・・・お前にヤられてる姿なんざ想像出来ねぇんだけど」
「想像なんかしなくていいんでさァ。ただ、自分が抱かれてる事を体中で分かってくれれば」
悪魔の笑みでさえ、こんなに黒くは無いだろう。
そんな笑みを浮かべ、沖田は土方の首筋に顔を寄せた。







甘い。
キスが、とてつもなく。今までに無い程に、夢中になる。それは土方にとっても同じなようで、沖田の背に手錠を掛けられたままの腕を回し、より貪るように深く口付ける。
「っく・・・ぁ、ふっ・・・」

疼くのは、体だけじゃない。

一つになりたいと、心が疼く。

「・・・やっぱ、アンタが下で正解でしょう・・・?」
「あっ、ん・・・そう、ご・・・っ」
繋がった後に残るのは快楽だけで、挿入の瞬間の痛みや、体中隅々まで愛撫し見られる羞恥だとかも全て、快楽に塗り替えられる。
「もっと、喘いでくだせぇ」
吐息も何もかもが淡くとけ、混ざっていくような変な感覚がする。
理性なんかもう微塵も残っていないからか、純粋な感情が心を満たしていく。
言葉に、ならない。

敢えてそれを言葉というかたちにするのなら、“愛しい”と、いうのだろう。
「・・・好きでさァ。多分、土方さんの事、誰よりも」
「ぁ・・・多、分じゃねぇ・・・だろっ・・・」
「今、こうして真っ赤な顔してる土方さんの事は、絶対誰より一番ですぜ」
「っ!!!!余計なお世話・・・あっ、ん」
じゃらり、と背に冷たい鎖が触れ、沖田は身をすくめた。

─────言ってくれりゃあいいのに。と、切に思う。此方も、腹くくって言ったのだから。
だからって催促して言わせてもそれはこの人の“本心”ではない訳で。気長に待つしかない、そう結論づけた。
自分のモノであってくれればそれだけでいいのだし、多くは望まない主義だから、と。
「・・・そうごっ・・・好き、だ・・・」
「へ」
呆気に取られた沖田に土方は、してやったりと余裕なく口角を上げた。
「・・・それは卑怯でしょう」
「あぁっ・・・!!!!」
照れ隠しに律動を早めると、土方は呆気なく達した。それとともに、沖田も白濁を散らした。







鍵をズボンのポケットから取り出し、土方の両手首の間にある鍵穴にそれを差し込み、カチャ、と音がするまで回してから鍵を抜いた。漸く自由になった手の感触を確かめるように、土方は手を開いたり閉じたりする。
「土方さん」
「・・・んだよ」
かすれた声が、脱力したように呟く。それに沖田が苦笑すると、当て付けがましく二三の咳が。
「上と下どっちがいいですかィ」
「上に決まってんだろ」
「残念でした。俺が上なんで、あんたは下でさァ」
鍵の冷たさが、ほてった手先に気持ちいい。指先で弄んでいたそれを頬にあてると、これまた心地よい冷たさについうとうとしそうになる。
「今の質問無意味じゃねぇかよ。・・・つーかマジで腰痛ぇし嫌だからな。今回だけだ」
「・・・俺だってハジメテの時はすんげぇ腰痛かったですぜ」
「・・・。お前のほうが喘ぐ声がやらしいし」
「あんたのほうが淫らに腰振るじゃねぇでしかィ」
いつの間にか相手がより淫らか、という口論になっていて不毛だと、土方はテーブルの上に置いてある煙草を取ろうとしたが届かない。態勢を変えようとすると腰が痛み、動けない。
「愛されるより愛したいんでさァ」
ベッドから出る沖田に何処行くんだ、と視線で追うと煙草の中から煙草を一本取り出し、俺の口元にそれをあてた。
「そういう歌、あったよな」
土方はありがたくそれを口に含み、火をつけてもらった煙草を味わう。
「まさしく俺のテーマソングって気がするでしょう」
「・・・もう勝手にしろよ」
その通りだと、言おうとして止めた、土方の口元から煙草を取り上げ、代わりに沖田は口付けた。
「・・・政権交代ですねィ」
「だから、合ってんのかよ、それ」
かすれた声で優しく問う土方に、沖田はチョコレートみたいだと思ったのを思い出した。

甘くほろ苦い、神聖なもの。

やはり、そっくりだ。と、沖田は一人微笑んだ。

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