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梅々

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少年趣味

試験二日目でした。
英語は何のためにするの。意味不明だよ必要ないね。数学なんて社会生活で使わないよ。主婦が街角で因数分解してますか。必要ないね。
先週は銀魂とリュウちゃんが潰れて精神的に凹んだけど今週は大丈夫だよね。明日はガンダムと地獄少女だ。


それじゃ沖土目指せ15禁。












「もう帰っていいですかィ」
何もしてないのに疲れたような顔をして肩をとんとん、と叩く沖田をちらりと見て、再びノートに目線を戻す。
「・・・俺、テスト前なんですけど?」
家庭教師だろ、と言外に含ませ、問題を解きながら返すとちぇっ、とふてくされたような声がした。文句を言いたいのは俺のほうだ。初めて雇った家庭教師は自分より勉強が出来なくて、俺が勉強している間ずっとゲームしたり雑誌読んだりしててこいつの仕事といったら丸つけのみ。
それでも、成績は上がったのだけれど。
それは、ある約束の為に頑張っているからで、間接的にこいつのお陰だから、親にはいい家庭教師だといってある。
「じゃあ今日はスパルタでいきやすか」
ドSの名に恥じない、意地の悪そうな笑みを浮かべ楽しそうに無能な家庭教師は言った。





素直な欲求の二乗





「あ~腹へった・・・」
ほんの少しだけ休憩しようと、腕を目一杯伸ばし、詰めていた息を吐く。隣で頬杖をつき、やる気のなさをおもいっきり態度に表している沖田をちらりと見るが、故意に無視しているのか聞く気が無いのか、反応はない。
「98点・・・。これじゃ永久に俺の下であがくことになりやすぜ」
「・・・本番は明日だ」
満面の笑みを視線から外し、間違えた問題をテキストで復習する。
引き留めてから、沖田はいつものように何か他のことをしたりせずに、じいっと俺の方を見てくる。ノートに書いてる時はペン先を。俺が悩んでるときは俺の顔を、静かに無表情に。
若干居心地は悪いが、嫌ではない。逆に、嬉しく感じる。引き留めたとき、帰らずにいてくれたこと、俺のことを見ていてくれることを。
「・・・腹へったんですかィ?」
「・・・さっきそう言っただろ」
眉を寄せると、腕を組みその上に頭をのせた体勢のまま、赤い双眼を輝かせた。
「土方さん」
「なんだよ」
「もしかして誘ってやす?」
「はっ、」
するり、と指先からシャーペンが落ちてゆく。

どこをどう捉えたなら、そういう結論に辿りつくのだろう。

落ちてしまったシャーペンを指で回転させながら、勝手に話を進めていく。
「・・・空腹時は普段より集中力が上がるんだそうで。それはつまり欲が満たされていない、飢えている時に動物は神経を一つに向けるということで、獲物を正確に捕える為であると俺は思うんでさァ、ここまではいいですかィ?」
「ああ」
何だかよく分からないが突然始まった講義のようなもの。普段の体たらくさは微塵も見せずに真摯な目をして此方を見ている。

何だか、悪い予感がする。

沖田がこう、真剣に物事をやったあとに、何か自分に良いことはあったか、考えてみるがやはり、悪いことしか起きなかった。
普段、馬鹿なのは演技じゃないか。そう思うが馬鹿なのは素なのだろう。頭の回転は早い方だが、勉強系はさっぱり駄目だ。
「だから、勉強する時は飢えている空腹時にすべきなんでさァ。・・・勿論、性欲も満たされていない状態で、ですぜ」
「・・・何が言いたかったんだ?お前は」
いつだったか、『年下のクセに偉そうにすんな』と言われたことがある。確かにその通りで、自分でも年上に向ける態度じゃあねぇな。と分かっていたが、気を付ける気が起きなかった。
それは、身長や童顔、男のくせにあまり低くない声、その他諸々のせいであるが、最大の原因は沖田自信にあるのだ。最初に会ったときから敬語、名前は“さん”付け。後輩を相手にしているような感じだったから自然と、態度にも出てしまった。
今はもう気にしていないようだが。
「・・・あれ?しらばっくれるつもりですかィ?今更」
「何の話だって、」
「─────誘ってたんだろィ?・・・いや、今もだから誘ってるんだろ、か」
「!!!!」
即座に否定できないのは、それが沖田の妄想だけではない、事実だから。
でも、誘ってる、のとは少し違う。ただ、堪っているから期待してみただけだ。俺には誘うなんて真似出来っこない。矜持が邪魔をするし、俺は、抱かれるよりも抱くほうがいいのだから。
「その顔じゃ当たりみたいですねィ」
「別に、違ぇよ。誘うわけねぇだろ」
「俺が来たとき、わざわざ親が明日まで帰ってこないつってやしたよねィ?いつもなら、そんなこと言わないのに。・・・素直に抱いてほしいって言いなせぇ」
「誰が言うか。てめぇが上なのも今日までだ。明日、満点とっててめぇを抱いてやる」

そう、約束。
いつだか、沖田が持ちかけてきたものだ。『テストで一個でも満点取れたら抱かせてやりやすよ。・・・だから、それまでは、』そのまま押し倒され、あれやこれやと気付けば迎えていた朝。横をふと見れば怪しい程爽やかに微笑んでいる沖田と目があったのは新鮮だった。

「残念でした、土方さん。明日はまだテスト返却されやせんし、あんたは満点をとれやせん」
「なんでだよ」
自信満々に言うのが不思議で、無機質な目を見返す。不意に赤い双眼が近付いてき、一気に抱き寄せられていた。
気付けば組み敷かれていて、背中が痛んだ。
「ベッドのほうがいいですよねィ?」
「・・・これで最後だかんな」
妥協してしまう限り、“最後”にはなりえないと、分かっているのだけれど。



「っく・・・は、」
体内を愛撫する指先が動くたび、耳に届く水音に羞恥が増す。いつもより優しくほぐす指先が、逆に焦らしてるようにしか感じ取れない。
体が疼く。はしたなく腰が揺れる。
「そう、ごっ・・・」
「おねだりはもっと可愛らしくしてくんなきゃねィ」
「うぁ・・・・・・!!!!」
二本の指がぐっと奥までさしこまれ体がのけぞる姿を見て、意地悪く笑う沖田を睨んだ。するといきなり蜜を溢しているものをきゅっと握られ、目の前が霞む。
収縮する中を乱暴に指が引き抜かれ、物足りなさに甘い声が出てしまう。
恥ずかしい、こんな姿を見られているという事実が。だがそれよりも、こいつを独り占めにしている優越感が独占欲を満たし、矜持も何もかもを捨てさせる。

俺だけの、もの。

「ほら、欲しいって可愛い声で言いなせぇ」
まだ握られたままのそれから次々に滴が垂れ、沖田の手先を汚す。
そう考えただけでも、体が益々熱くなる。
「ほしい・・・!!・・・んぁ、そうごっ・・・お願いだ・・・・・・っ!!」
瞬きすると、涙が溢れた。頬をゆるゆると伝うそれを唇で辿り、沖田は耳元に囁く。
「・・・次はもっとやらしい言い方にしてくだせェ」
中に、熱いものが入ってくる。体を引き裂くような痛みに呼吸が止まる。丁寧に慣らされたからいつもより痛くはないとは言えども、本来こう使うべきではないところなのだから自然と痛みはつきものになる。
「・・・っ」
「ひっ!!」
ぐっ、と無理に押し込まれ悲鳴のような声が漏れた。
痛い、けれど腰の奥から痺れてきて。痛みに麻痺するように、快感が押し寄せる。動かないうちは声をあげては駄目だと歯をくいしばった。
「・・・熱い」
呟きに目を向けると、余裕の無さそうな顔でじっと眺められていて、その表情に繋がってる箇所が甘く響いた。
「はぁっ・・・」
堪えきれない。
動いてほしい。下腹で疼く欲望を解き放してほしい。それなのに、動く気配を見せない。
微動だにしない、沖田の腰に足を絡ませた。少しだけ角度が変わり、襞を柔くかする。
「・・・動け、馬鹿野郎っ・・・・・・!!!!」
腰を動かし余計密着させると沖田の腹部に解放を待ち望んでるものが擦られる。
微かに喘いだその刹那、秘奥を勢いよく突かれた。
「っあああ!!!!」
目の前が真っ白になり、白濁が弾け飛ぶ。
痙攣するようにひくつく中を強く掻き回され意識を手放しそうだ。
「あっ、ぁあっ・・・!!」
「んっ・・・。あんたやらし過ぎ」
ぐっと硬度が増し、圧迫される。かすれた吐息が耳にかかる。
それにさえ恍惚としてしまう。

─────足らない。
全てが欲しい。心と体だけじゃなくて、この男のもの、全て。
満たされたい。
俺の全てを捧げて。

「っそうご・・・!!」
「土方さん・・・」
最奥を貫かれ二度目の絶頂を迎えたのと同時に、温かい液体が体内を満たした。
「・・・はぁ」
煙草に手を伸ばすが届かない。腕枕を止めれば済むことなのだけど、そんな気は起きない。

夜明けが近い。
これじゃ確かに満点はもう無理だ。今から勉強しても結果は同じ。
それなら、このまま。
無粋な目覚ましがなり出すまでは寝ていようと瞼を閉じた。

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