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梅々

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できたー。

できました漸く!!
これで一週間遅れにはならなかった!
今日は四月から描いてる個人の趣味な漫画原稿進めたり色々頑張りました。





では、おきたん・沖土verです。
後半若干濡れ場に御注意です。
おめでとーそごたん!
・・・フランスお兄さんも明日だったりしませんか。














 嫌なことをはっきり嫌だと言える程子どもじゃない。

 だからといってそのままなんて許せない、ずるい大人だから。





蜷色狂言





 出来事というのはいつも突然起こる。前兆があろうとそれさえも突然に感じるものだから、なだらかに事が起こることはこれから先もないだろう、人間には。
 抑なだらかの基準は人間による人間のための定規で図られるのだから突然なんなんだと文句を言うのも理不尽なものなんじゃないか。

 空は明るいが曇っている。雲自体は薄いのだろうが、それが空一面を覆っているから過ごしやすい。
 もう七月だ、早いもので。ミツバの誕生日だと騒いだのが昨日のことのようだ。
 そして今日はその弟の産まれた日だったりする。真ん丸い顔の、顔だけは天使のような子どもの。

 ・・・秘かな想い人の。

「・・・」

 その想い人が今、思わしくない行動をしている。
 門の向こう、珍しく立ち止まって話をしている二、三人の人々。その輪の中一人いる、少年。街からちょっと外れているから行き交う人はいても態々こんな場所で井戸端会議するような人は居らず。しかも、俺と同年代の女たちが用もないのにこの道場前にいることなんて、ない。
 用。それは、一つ。

「総悟君おめめまるーい!!」

「睫毛長いしいいなぁ」

「そういうお姉さん達だって可愛いですぜ?」

「またまたぁ!」

 違和感なく馴染んだ少年により愛らしさを見い出す自分の目が恐ろしく、にこやかに話している相手の女たちが羨ましく、妬ましい。そう考える脳が痛々しい。
 ここから川を下って西へ行った方の村じゃ最近少年の誘拐が勃発しているらしい。総悟も気を付けろな、かっちゃんが心配そうに、窒息する程強かに沖田を抱き締めていたのは数日前のこと。その犯人らみたいな少年愛者ではないけれど、あいつ一人にはその手のことを考えてしまう。
 よくない傾向だ。あと一歩で犯罪者。

「土方ーぁ!」

「・・・んだよ」

 ぱたぱたと庭先を掃く俺の元へ輪の中から駆けてくる。年相応の笑顔を向けるのが珍しくて眩しく、頭をぽりぽり掻いて気を紛らわそうとする。
 くい、と袖を引き滅多に見せない媚びるような表情を浮かべる子どもに、屈んで視線を合わせてやる。
 また一つ成長した沖田は変わらず猫のような眼を俺に向ける。

「あの人たちと遊びに行ってくるから、よろしく」

「おい、今日近藤さんが祝うって・・・」

「それまでには帰ってくるし」

「・・・俺と買い物行くんじゃねぇのかよ。今日じゃなきゃ買ってやんねぇよ」

「う゛。じゃあ、早く帰る」

「じゃあ、四時。四時にここの門前な」

「おう」

 とてて、と赤や桃の着物に交じる濃紺の袴。あれは今日下ろしたばかりだと近藤さんに言っていたのを聞いた。姉が買ってくれたのだとも。近藤さんは夜に渡すのだとでかい袋を寝室に運んでいた。でかけりゃいいという問題じゃないが。
 ―――――今日は普段よりマシだろうと、傍にいられるだろうと、思っていたのに。

「結局何も変わらねぇのか・・・」

 甘やかしてやりたい。もっと、傍にいたい。
願望は願望のままで、現実になりやしない、一向に。





 蝉の声のする、夕方。とはいえど暗くはなく茜色に染まってもいない。ジジジ、と音をたてるのはアブラゼミだ、暑苦しいことこの上なく煩わしい。
 時刻は四時を過ぎようとしているが依然としてあの餓鬼は現れない。子どもだからつい調子に乗って遅れる、そんなやつじゃない。基本的にあいつは行儀良いし、下手したら原田やそこらの大人よりも人間的には出来ている。例え嫌いなやつとの約束だろうと、遅刻をするようなやつじゃない。ましてや、俺がなんか買ってやるつってんだから。
なのに、もう五分が過ぎた。

「なぁなぁトシ、聞いたか?」

「あ?」

 ガラガラ、戸が開閉する音に次いでかっちゃんがのんびりと歩いてくる。
 はい、と金を渡されついでにケーキよろしくな、と頼まれる。パシリか。まぁ居候の身だから文句など言えないが。
で、と話の続きを促すと表情が少し引き締まった。あまり宜しくない話のようだ。

「誘拐犯さ、男だと思われてたじゃん? あれなんか違うらしいんだよね」

「と、いうと?」

「若い女の子二三人と男二三人でやってるらしい」

「女・・・」

 同年代の二三人の女、―――――帰らない総悟。
 もしや?
いやだが、そんな。そんな都合の良い話はない。見た目はそこらの女よか綺麗で愛らしかろうと、そんな偶然、あるわけない。
あるわけないのだが。事実は小説より奇なりともいう。

「あー俺ちょっくら行ってくる」

「あり? 総悟待ってんじゃなかったの?」

「迎えに行きゃあ安心だろ?」

 もしかしたらもう、誘拐されているかもしれないのだが。それを言ったらこの人を心配させるだけだ。
そうかと大きく頷いて気を付けろよー、近藤さんはそう俺の背に声をかけた。
 さて。探すにしろなんにしろ行きそうな場所の目星ぐらいはつけなければ。闇雲に探し回ったのでは見つからない。
 誘拐するのなら先ず人が少ないところがいい。街はまずない。すると河原か神社やその周辺の山か。この辺ならばそんなところだろう。だが、河原と神社じゃ行く方向が真逆だ。どちらか、一つ。時間から見てそろそろ実行しようか、というところだ。ニュースによれば。
 信憑性は薄いが、此処等で起こる誘拐は大体同じ手口らしい、愚かしいことに。先ず子どもを油断させるために数時間遊び、油断しきったところで連れ去るらしい。俺だったらばれないように近づいて相手の気を失わせて、とそんな手間かけないが。

「・・・神社か」

 俺ならば神社を選ぶ。そこまで考えて、誘拐されたと決まりきったわけではないと思い出す。
だが念には念を、だ。

 神社へと続く石段の前に着く。何段あるのか数えたくないが、夏祭りのとき総悟が三桁ぐらいまで数えていたのは覚えている。

 ふと。

 声を聞いた、気がした。
 もしかして。と声のした脇道を見る。奥の方に見える、木造の小屋。彼処かと足を進めながら何か武器代わりはないか確認する。けれど咄嗟のことで懐刀しか持ち合わせていない。万が一を考えるとこんなものじゃ役にたたないかもしれないがないよりましだ。
 一呼吸おいて、一気に小屋の扉を開く。

「・・・!」

「あ、土方」

「・・・なにしてんだ、おまえ」

 予想に反して、総悟はケロッとした顔で立っていた。それ以外のやつらは皆地に伏している。少年の手には部屋の隅に転がっているのと同じ角材。竹刀でなくとも同等の威力はあるのだろう、男らは白目を向いて泡をふいている。
女が一人もいないのを不思議に思いつつ、総悟の元へ近寄る。

「舞子さんたちと遊んでたらいきなりこいつらが此処に拐ってきやがって、しかも、脚撫で回しやがったから」

「・・・怪我はねぇのな」

「ねぇよ」

 良かった、安堵の吐息は震えて涙が出そうになった。




「・・・なんてことあったの覚えてやすか?」

「ッたりまえ、だろ・・・?」

「そいつは良かった」

「くぁっ・・・」

 にっこり笑み総悟は俺の喉元に噛み付く。肉食獣のように、無遠慮に。
 痛みに寄せた眉は直ぐに下からこみあがる悦楽にほどけて、喉からは悲鳴にも似た声が溢れる。指一本だけで何十分も犯され、堪らないと吐露したところにバイブを入れられ内部を掻き混ぜられて、自身がはしたないことになっているのを知る。
頭の中では羞恥が極上のエッセンスとなり、純度の高い淫楽を産み出していく。
ヴヴヴ、と内部で機械音が鳴り始める。

「ひぃあぁぁっ!!」

「あーあイっちゃった。・・・あんた、知ってやす?」

「んぁぁぁ! やめっ・・・とめ、ろっ! いぁぁぁ」

「じゃあ、何が欲しいんで? 堪らないと言ったのはアンタ。腰振ってんのもアンタなんですぜ?」

 あの頃は見せなかった嗜虐的な笑みを浮かべ俺を熟視る。その視線に体が甘い悲鳴を上げて、揺れる腰を自覚した。イヤラシイ、そう耳元に吹き込まれるだけで絶頂感を得た俺を総悟は嘲る。
 これは望んで手に入れた関係だ。それを考えると俺はMなのかもしれないが。
 漸く入った欲しかったモノ。ならば何をされてもこうなるのは至極当然のこと。

「お前がぁ、っあぁ、ほしっ・・・! ぉくを・・・っひ、突いてっ・・・!」

「突いて? それで?」

「俺ン中、満たしてくれっ・・・」

「なにで?」

 意地悪く訊ねる唇は答えようとしない唇を優しく舌で開き、中を愛撫する。そしてグッと、バイブを一気に引き抜く。
 すかすかになった孔が、おねだりをするように蠢く。
 焦れったさに腰が揺れる。

「総悟のッ、・・・精液で・・・、っあぁぁぁぁ!」

 優しさの欠片もなく隙間を埋める熱い楔が穿たれ、びしゃああ、と達したばかりだというのに大量の白濁が俺の肌を汚す。
 吐いた言葉の淫らさと受け入れた喜びに涙が止まらない。

「あのときのアンタの顔に俺は惚れたんでさァ・・・」

「くぁぁぁっ・・・、ぁんっは、ど、な・・・顔っ・・・?」

「今のアンタみたいな、泣き顔」

「ちがっ、ああぁい、いやぁぁぁ!!」

 泣いてまではないと抗議を始めようとした唇は言葉を発する暇もなく嬌声に代わり奥を犯す動きに合わせて腰を揺する。
飛び散る汗に、紅潮した総悟の顔、恍惚とした表情。がむしゃらに貪られて体が総悟にもっと愛されようと勝手に媚びる。
 このままだと時期に何も考えられなくなる。その前に。

「っ、めでとう、総悟・・・っ」

「・・・ありがとうごぜぇやす。プレゼントはカラダでいいですぜ。これ程高いのはそうそうねぇんで」

「はっ、好きに、しろっ・・・!」

 お前が求めるなら、なんだって。

 俺はお前にあげるよ、お前が俺のものである限り。

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