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梅々

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パーフェクト

封真と土方の位置付け、私的には一緒なんだけど、一ヶ所違うのは土方は受けにも回るということ。
それ以外は変態レベルも独占欲も似たもの同士。銀さんは少し違うんだよなァ。きっと私的には、銀さんは独占欲すんごいのにあまり表に出さないと思うから。そこが大人と青年の違い?土方は青年じゃないかもしれない。あ、でも三十代前半の浅見さんは青年だから土方も青年だ。





それでは百人一首。今回は封→神。














難波潟 みじかき蘆の ふしの間も
逢はでこのよを 過ぐとしてよとや





振り返る猫





君と居られればそれだけで世界は色を放つ。




昨日は真っ白だった街が、雪が溶けていつもの灰色にもどってしまっていた。所々道端に残っている雪もたくさんの靴に踏まれ、元の純白色は消え失せている。
空は雲一つ無くて何処までも果てしなく高い。高いあの空を、自由に飛び回れたら……なんて、くだらないことを考えてしまった自分を叱咤する。
今は、それどころじゃないのだから。
早く帰ろうと、空から視線を離し、帰路につこうと前を向く。先程は誰も居なかったのに、行く手を阻むように人が立っている。
無意識の内にかすれた声で彼の名を呟いていた。

「………封真」

見間違いかと目を瞬くが、そこに立っている人影は変わりもしなければ消えもしない。ゆっくりと近付いてくるのは紛れもなく封真なのだ。

もしかして、と淡い期待を抱くがそれはすぐに打ち砕かれる。

「俺は“封真”じゃない。…何度言えば分かるんだ? 神威」

「……」

やっぱり。
自然に彼が戻るなんて、ありえないのだろうか。俺は彼と小鳥を守る為に、この地球を守ると決めたのに。
─────その覚悟の所為で、彼は変わってしまった。
俺の、所為で。

そっと頬を撫でられて、ハッと意識が浮上する。また、戦わなければならないのだろうか? 俺が封真と戦えるわけないのに。

「…飲みにでも行くか」

「へっ!?」

思わぬ一言に、思考が停止する。
封真なら絶対に言わない。─────今の封真でも、言わないだろうと思っていた。何回も何回も殺し合いしてきた相手を、そんな風に誘うなんて。
いきなりの展開についていけない。

「なぁ?」

「……未成年だろ。それに、なんで俺なんかと」

「よく言うだろ。気が沈んでる時とか苛々してる時は飲んで発散しろって」

だから、って。何で俺なんかとという疑問は解消されていないのだけれど。
無理矢理封真は手を掴んで俺の帰路とは反対方向へ進んでいく。鼻唄を歌いだしそうな程、機嫌が良さそうに見えるのは気のせいだろうか。
……それどころではないんだった。
勢いよく手を振り払い歩みを止めると、訝しげに封真は振り返った。どうしたんだ、と尋ねる瞳はあの頃と全く変わっていないのに。
変わっていない部分を一つ一つ見付けては現状とのギャップに落胆してしまう。元に戻す術を微塵も知らない自分がもどかしくて堪らない。全ては戻らなくていい。彼だけ、封真だけ戻ってきてくれれば。

「俺は、行かない」

「…未だ、結界は作れないんだろ?」

「どういう意味だ…?」

「そういう意味だよ」

ここら辺一帯を破壊する、と?
何で飲みに行くか行かないでそんな大事にするんだ。別にそんな重要じゃないことなのに。人間性を疑う、疑わない以前の問題だ。
逆を言えば、そこまでして俺と飲みたいのか。……休戦協定とか結ぶつもりは……無さそうだけど。
何の為に。
何で俺と。
別に飲む相手なんて誰でも良かったけど、視界に入ったから俺をからかっているだけかもしれない。
……それでも。

「どうする? 神威」

「……行けばいいんだろ」

「そうこなくちゃな。…ついて来いよ」

今日は折角、皆で晩飯を食う事になっていたのに、この分じゃ絶対に行けない。
渋々とはいえ大人しくついて行ってしまう自分も自分だ。ついて行ったからって何も良いことは起きないだろうに。
ただ、元気そうな姿を見ているだけで安心できるんだ。小鳥は姿さえ見ることが出来ないから。

「今日は、急に襲ったりするなよな」

「それはお前次第だ」

俺次第、っていつも先に攻撃を仕掛けてくるのはそっちだろう。俺から喧嘩売ったことなんか一度もない。なのにその言い草は何なんだ?
段々と腹が立ってくるが、それを表に出しちゃ敗けだ。今日は特に、喧嘩を売るようなことも、琴線に触れるようなこともあってはいけない。いつもそんなことしてないけど。

封真が入っていったのは、廃れた繁華街の外れにある二階建ての飲み屋らしきところだった。後に続いて入ってみるが、酒臭さはあまりなく、見た目も其処らの蕎麦屋と大差なくて、少しホッとした。封真に続き座敷の奥の席に座ると真向かいに座っている彼と目があった。
……少々、居心地が悪い。

「…未成年なのに、飲んでるのか?」

「……お前は?」

「あるわけないだろ」

再び話をはぐらかされる。
どうして、こんなに瓢々としているのだろう。本当の封真は、ただ優しくて、こんな掴み所の無い奴じゃなかった。人はこんなにも変われるものなのだろうか。
─────もしかしたら、これが封真の“本当”の性格なのかもしれない。
違って欲しいと思うけれど。
じぃっと睨んでいたら視線に気付いたのか、封真はメニューから顔を上げた。
フッ、と微笑んだ彼は、とても優しそうな顔をしていた。




すぅすぅと寝息をたてながら、テーブルに体重を預け安らかに眠っている姿はとても愛らしいと、ほどよく酒の回った頭で封真は思う。
焼酎を猪口で一杯煽っただけで酔い始めた神威は、日頃の不満等言いたい放題呂律の回らない口で言った後、二杯、三杯と飲んで限界を迎えたらしい。酒で頬を紅潮させ、うるんだ目でキッと睨みつけ「封真の馬鹿っ」と怒鳴り眠り始めてしまった。
俺の前でこう易々と眠るとは、どこまで俺を過大評価しているのだろう。“敵”である俺を。
それとも、俺ではなく“封真”を信頼しているからの行動なのだろうか。優しい優しい封真に懐いていた神威。
神威は俺を、ニセモノだと言う。
俺も封真であることにはかわりないのだが。

「…このまま連れ帰って監禁するぞ」

敵である運命を利用して。連れ帰って束縛して蹂躙したい。俺も封真なんだと、俺が封真なんだと、お前が言うまで、ずっと。





#19

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