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梅々

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雷獣

アニメイトでコピック買いました。やった。今、持ってるコピック数、14本かな。少ないけど、まぁそれはそれで。色塗り下手だから練習しなきゃだし。
そういや、沖田総受けアンソロがあったな・・・。ちょっと胸キュンしたけど財布の中身がきついんで。

それでは昨日の小説の続きチックなもの。
















「は~い、んじゃあ今日のHRは~」
いつもは耳に馴染み、子守唄に聞こえる先生の声が、腰の鈍痛の所為で腹立たしく聞こえる。それもこれも全部土方さんが悪いのであって、土方さんはすっきりしたかもしれないけど被害者の俺には痛みしか残らない。それなのに反省もしてないとは有り得ない、人間性を疑う。腹立ち紛れに瞼を閉じると、案外思考が霞んできた。
落ちる、そう思った刹那に聞こえた言葉に意識が覚醒した。
「ああ、あと、新八と沖田君は明日セーラー服で登校すること。じゃあ、今日のHRは終了・・・」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」
すかさず突っ込みを入れたのは突っ込みの達人志村だ。ナイス。
「なんだ~?なんか突っ込まれなきゃいけねぇこと俺言ったか?あ、突っ込むってそっちの突っ込むじゃないから」
「言いました!何ですかそのセーラー服登校って!それに下ネタ止めて下さい」
「本当でさァ。なんで俺と眼鏡だけなんですかィ?」
今日は厄日なのだろうか。非日常的なことばかりが起こる。土方さんと先生は思考回路が似てるからしょうがないっちゃしょうがないのかもしれない。
「異議があるなら放課後資料室に来ること。じゃあな」
びしっと言って去っていった後ろ姿はかっこいいけれど、あんな無茶な指令を出された後では苛立つだけ。
資料室に眼鏡と一緒に行くか、と考えていたらその志村に話かけられた。
「沖田さん。今日ちょっとバイトがあるんで・・・」
「あ~。じゃあ一人で行きまさァ」
「すみません」
誰か他に仲間が入ればいいのだが。例えば、志村(姉)とか。そうすれば有無を言わせないのに、逆に制服貸してやる、とか言ってたし・・・。
「総悟、行くぞ」
気が付けば教室内には俺と土方さんの二人だけで、朝のことが鮮明に、脳裏に蘇る。それを無理矢理頭から振り払い、立ち上がった。
「じゃあ、行きやすか・・・」
いつも通り、土方さんの斜め後ろを歩く。いつの間にか定位置になってしまっていて、横に並んで歩く、とか土方さんの前を歩く、とか考えられない。
「別に行かなくてもいいけどな」
「えっ・・・。もしかして見たいとか言っちゃう?」
ギョッとし間隔を詰め、顔を見上げると思いの外真顔で困惑する。冗談、だよな・・・?
「見てぇけど、文句あっか?」
偉そうに言う姿にさっきの先生の後ろ姿が重なる。何でこの人達はこうも変人なのだろう。そしてそれを恥じることなく普通のことだと、堂々としているのが呆れるのを通り越して尊敬する。
「あんたってやっぱり変態なんですね・・・」
「そうか?」
そうか?ってそうに決まっているだろう。ハァと溜め息をついたら、それに被さるように、でも、と土方さんは呟いた。
「・・・誰にも見せたくねぇけどな。俺だったら、そんな可愛い格好したお前を」
真っ直ぐな目で見つめられ言葉を無くす。遅れて赤くなった顔を隠すように定位置に戻った。
なんで自分が照れてるのか分からない。俺こそおかしいんじゃないだろうか。
感化されてたりして・・・。
「着いたぞ」
「あ、じゃあ行ってきまさァ」
室外で待っているつもりなのか、鞄を下に置き、腕を組んだ。駅前でそうしてたら逆ナンされそうだな、なんて考えたけれどそれより先に自分の事を考えなければ。
「先生ー」
「あ、もう来た」
本や紙の山になっている室内、ソファとテーブルが辛うじて其所にあることが窺える。紙が散乱しているテーブルの上には煙草が詰まれた灰皿があって、そこへまた新しく、火をつけたばかりの煙草が詰まれた。
「で?交換条件でも出す気ですかィ?」
「いい勘してんなァ、その通り。一つだけ交換条件出すから」
何だろ、と首を傾げていると、先生はくるりと振り返り、チェシャ猫のようにニヤリと笑う。
「ちゅー一回で手をうってやるよ?」
「は、」
突拍子の無い言葉に、本当土方さんと同じ人種だな、と変な意味で感心した。下心丸出しな所が、この人らしいけど。
「どっちがいい?」
「・・・しょうがねぇなァ」
大勢の前で恥を晒すぐらいなら、先生とキスした方が何万倍も良い。
そう思い、徐に近付くと先生が立ち上がった。少し背伸びするようにして目を瞑る。
顎を捕えられ、唇同士が軽く触れ合う。感触を楽しむように角度を変えられる。
いきなり、唇に湿ったものが触れた。執拗にそこを舐めるそれは、隙間を縫うように口内へ入ってくる。
「んっ・・・!」
「オイ」
声と共に口唇が自由になり、驚いて後ろを振り返った。開け放されたドアを背景に立っているのは勿論土方さんだ。
「人のモノ盗ってんじゃねぇよ似非教師」
「似非じゃねぇし、お前のモンでもないでしょ、沖田君は」
突如始まった口論を横から眺めていると、不意に手首を捕えられた。
「・・・土方さん?」
「用は済んだだろ。帰んぞ」
「はぁ・・・」
そのまま引きずられるように、昇降口へ向かった。強く握られた手首が痛い。
「ったく何怒ってるんで?」
「怒ってる訳ねぇだろ」
「じゃあ手ェ離しなせぇ」
「・・・」
パッと離された手首には軽く手の痕が残っていて、不気味だと思った。でもちょうど長袖だし隠れるからいっか、と自分の靴箱から靴を取り出す。
ガタッと耳障りな音が響き渡る。目の前に見えるのは大きな手に閉ざされた空っぽの靴箱。
「土方・・・さん?」
後ろから感じる無言のプレッシャーに生唾を飲む。やっぱり、怒ってるじゃん。というか今更何に怒ってるんだろう?面と向かって聞いてみたいけど、それすらも憚られる。なんでこんなに緊張しているのだろう。怖い。やましい気持ちがあるからかもしれないけど、俺らは別に付き合ってるわけじゃない。
「総悟」
耳元に囁かれ体が震える。声色がいつもよりか低くて、いつになく苛立ってるのがわかる。振り向くべきか悩んで、結局ゆっくりと振り向いた。
顔が近い。無表情なのが余計不安になる。
「何ですかィ・・・」
「もうあいつと二人っきりになるなよ」
「・・・・・・何で、そんな事言われなきゃいけねぇんで?」
そんな忠告を受ける筋合いはない、そう返せばいいのに口をついて出たのは違う言葉だった。
「理由なんてなんでもいいだろ」
良くないから聞いてるのに。それを無視するようにいいな、と念をおし口付けられる。
「はっ・・・んぁ」
唇を執拗に舐められて誘うように開けた口内に、熱い舌がさしこまれる。むさぼるように舌が絡まる感触に思考が止まり、広い背に手を這わした。
「んっ・・・ふっ・・・あっ」
殊更ゆっくりと離れた唇が濡れていて、そんな姿に熱が振り返す。
「続き、しやしょうよ」
「・・・朝しただろ」
「折角おねだりしてやってんのに」
そう言うと、少し驚いたような顔をし、嬉しそうに笑った。
「じゃあもっと可愛いくおねだりしてもらおうかな」
ニッと笑ってはや歩きを始めた土方さんに手を引かれ、夕暮れに向かって歩き出した。

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