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梅々

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下着姿むずい。( おなごの)

あと少しで試験一週間前突入します。あわわわわ。
今日勉強してたのに父がアメリをつけまして。まぁ、前々から見たかったやつなのですが勉強中に字幕つけるか?私フランス語は無理ですよ?悪意ある善意はいらないよ?
というのりでした。泣く泣く途中で消しましたが。





では試験前ラストかもしれない体育祭ネタ。無駄に長い。
















いつだってそいつは、俺の傍にいた。





虹色はちまき





貴方が生きているだけで、私は幸せなの。

確か、映画で観たんだ。この間暇潰しに二人で観に行ったやつで。主人公の幼馴染みの令嬢で、子どもの頃から彼を好きだった女。けれど、男は所謂“運命の出会い”とやらをしてしまう。自分の望みが叶うことはない、そう知った女が言ったのだ。
貴方が生きているだけで幸せ、だと。
ほんとうに?


風が強い。廊下の窓から見える大木の上方の葉が、さわさわ右へ左へと揺れる。そんな光景を眺めつつ、目当ての教室へと入る。
捜していた人物は予想通りの人間と共にいた。机を挟んで雑談、若しくは俺への嫌がらせの作戦会議をしているようだ。

「総悟」

「おっ、土方さん」

「ほら、帰るぞ」

「へーい」

ガタン、と立ち上がり薄っぺらい鞄を持つ。山崎にじゃあと手を振りドア付近にいる俺の元へと歩いてくる。珍しく遅いだの何だの文句を行ってこない、素直な沖田に深読みしてしまう。
とことこ人の少ない、微妙な時間の校舎を下駄箱へ向かい歩く。外は賑やかだが屋内はいないと言っても過言じゃないだろうと思うほど、人の気配がない。教師は職員室で涼んでいるのだろう、想像したら苛立った。
明日は体育祭、皆の気合の入り方が半端じゃなく凄い。だから練習してれば五月だろうとシャツが張り付くほど汗をかくし、テスト二週間前だろうと、勉強したりしない。

「なんであんたが応援団なんだか・・・」

「仕方ねぇだろ、銀八に押し付けられたんだから」

「お陰で俺は退屈でさァ」

ふん、と拗ねたように言われて俺が悪いのかと一瞬思ってしまうけれどそうじゃなくて。待っていろ、なんて欠片も言っていないのに待っている方が悪い、はず。
言い切れないのは何故だ。俺は正しいはずなのに。

「先誰かと帰ってろよ」

「いねぇんでさ、一瞬に帰る人が」

「・・・」

躊躇いもなく言われた言葉に絶句した。普通そんなの、恥ずかしくて言えない。
でも確かに、よくよく考えるとその通りなのだろう。
行きも帰りも学校にいるときも、大抵近藤さんを含めた三人でいて、あの人がストーキングでいないときは二人。授業で強制的に、とかではない限り他人といるところを見たことがない。山崎以外。
山崎は他学年だし帰る時間が合わないことも多い、けれど。
そんなこと気にするようなキャラだったろうか。

「まぁ、あんた苛める為に俺が勝手に待ってるだけだから、気にしないでくだせぇ」

「・・・ったく。なら、練習でも見てりゃあいいのに。少しは暇潰しになるだろ」

「なんか、あんたが踊ってんの見るの癪なんで」

「ああそう」

これ以上問いを重ねても不可解な答えしか帰ってこないのは分かりきっている。
話題を変えて、未だ暮れる気配を見せない空の下をのんびり歩いて帰った。





そして当日。
晴れた、昨日までの曇りが嘘のように。眩しい程の日光に照らされながら最終調整して団長がびしっと決めて、HRの後からは体育祭が始まる。
朝は別々に登校したから顔を合わすのは教室で会ったのが最初だった。俺の後ろの席を、荷物を置きながら振り返って我が目を疑った。
染めずとも色素の薄い髪。それに編み込まれた赤のみつあみ。その衣装。・・・女子の応援団が着ているのと全く同じ、袖がふんわりとしたピタTに黒地に白の水玉のかぼちゃパンツ。流石に化粧まではさせられていないようだけれど。
完璧弄られたのが分かる格好。沖田はむすっとした顔で頬杖をついている。

「・・・あんまじろじろ見ねぇでくだせぇ」

「・・・悪い」

謝りはするけれど視線は反らさない、否反らせない。
あまりにも新鮮な格好で、無意識の内にじぃっと見入ってしまう。沖田も応援団やればよかったのに、と思うがそれは女子のポジションを想像していて。頭の中をもし見られたら、間違いなく殺られるなと覚悟しつつ、席に着く。

「もうやだ、あんた」

「何でだよ」

「見んなって言ったのに値踏みするみてぇにこっち見てきて。俺だってしたくてこんな格好してんじゃねぇのに」

「あら、何か言った?」

会話に参加してきたのは近藤さんの想い人である志村妙だ。Tシャツの色が沖田と同じで、首謀者がこの人じゃ確かに抗えないと納得する。いえいえなにも。そう返して沖田ははぁと息を吐く。
可愛いと思ってしまった自分を叱咤して担任の気だるい声が教室に響く前に前を向き直した。
これから体育祭が始まる。



100M走に綱取り、棒倒しと玉入れ。メジャーな競技だらけの我が校体育祭も午前の部は残すところあとひとつ。クラス対抗リレーだけだ。
入場門、と書かれた柱の間に並ぶ。女子男子女子・・・の順で走ることになっていて、成り行きで俺はアンカーに。今年の体育祭はそんなんばかりな気がする。
そして、集合だと知らないのか、俺の前に走るやつは居なくてその前の、沖田が目の前にいる。
ジャージを羽織っているその足元にはルーズソックス。HRの時よりも悪化している。
ちょんちょん、と背中を突っついて、振り返った顔は無表情。けれど少し機嫌が悪そうだ。

「暑い死ぬ。土方死ね」

「おかしいだろ。・・・その靴下重くねぇの」

「その質問こそおかしいでさァ。まぁ普通ですぜ。アイスは俺のもの」

「あぁ、アイスね・・・」

一位のクラスに理事長の気紛れで贈られることになった優勝賞品。志村姉を筆頭に食い意地張った身体能力がずば抜けたうちのクラスは食う気満々だ。俺の分は沖田にやろうかと思っている、というのは置いといて。
自分の足を抱き締め縮こまる姿は宛らばて気味の女子で、男には見えない。格好の所為だけではないことは分かりきっているから沖田は不機嫌なんだ、絶対に。

「まぁ、頑張ろうな」

「へい。頑張りやしょう」

表情を崩して沖田は素直に頷く。それに驚くと同時に何だか嬉しくなって、手が、勝手に。
そっと頬を撫でていた。
真ん丸い瞳をぱちくりさせ、沖田は固まる。つられて俺も、頬に触れたまま固まる。
なにを、しているのだろう。一体、なにを。

「・・・悪い、なんか手が」

「あんたそうやって女たぶらかしてんだろィ。手癖悪ィー」

「違うって、」

『では、プログラム九番、学級対抗リレーです。選手の方は入場してください』

「ほら、行きやすぜ」

ぎりぎりで入ってきた似非チャイナが間に割り込み強制的に会話が終了する。
別にこんなことして女を落としたことなんて一度もない。というか自分から攻めていったことがない。近藤さんのように。
だから、不思議で堪らない。この指は何故勝手に沖田に触れたのか。

「行くアル! 大串君!」

「その呼び方止めろ!」

「死ね土方! とっとと走れィ!」

「おまえが死ね!」

何故俺は。たくさんの罵声に突っ込みを入れながら走らなければならないのだろう。バトンパスの際のあだ名に始まりそれに乗る沖田。坂田まで参加してくる始末。
いいじゃないか、トップのままなのだから。これ以上抜きようはないし、抜かれる気配はないのだから。
最後の直線、ゴールテープまで20m付近で、ゴール脇の群衆の中、一人の姿を捕らえた。

『傍にいられなくても、貴方が生きているだけで幸せなの』

ふと思い出したあの言葉。嘘だな、と思った。
ついさっきまで罵っていた沖田の口は必死に俺を応援していて、笑ってしまう。と、同時にゴールイン。

『一位、三年Z組・・・』

「よくやったアル!」

「よっしゃアイスだぁぁ!」

「っ土方コノヤロー!!」

「う、わっ・・・」

直ぐ様囲まれて、一際大きな沖田の声に振り向いた瞬間、ぐらり。
世界が揺れた。
次いで背を襲う痛みと衝撃。頬に触れる絹の感触。ざわざわと騒々しさに瞑っていた瞼を開けると級友たちが俺を見下ろしていた。俺と、俺に抱きついたらしい沖田を。

「・・・総悟?」

「あんたのお陰でハーゲンダッツでさ。ご苦労様でィ」

「・・・はぁ、」

「うわ、大串君が照れてるよ。きもーい」

「先生ー、男同士の抱擁なんか見ても楽しくありませーん」

「俺らも、さぁ! お妙さ・・・っゴフッ!!」

「あらやだ。腕にゴリラが止まったわ」

ぎゃあぎゃあやりつつ散ってった奴等のお陰でもう皆退場したのが分かった。
この後は昼食、そして応援合戦。
暫く競技がないとはいえ、寧ろだからこそ、グラウンドの中心でこうしているのはおかしいだろう。
嬉しいけれど。

「ほら、メシ食うぞ」

「・・・ああもう本当嫌だ」

「何が」

なんとか上体を起こす。足の上座った沖田の足が、とても白い。
視線を感じて沖田と目を合わせば俺のシャツを掴んで口をへの字にしていた。

「あんた、なんでそんな格好いいの」

「そういうおまえはなんでそんな可愛いの」

「は、」

「・・・あ」

思わず唇から滑った言葉に慌てて口を覆うが意味はなく。
逃げることもできず視線を反らす。

「・・・死ね」

「・・・顔赤いぞ、おまえ」

「あんただって!」

かつてない程に頬を紅潮させた沖田の手を握り、足早に校舎へ向かう。
傍にいるから、こうして分かり合えて想うことができる。だから、生きているだけで、なんてのは本心を隠した嘘に過ぎない。
なんて、手に入れたいま、思う。

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