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梅々

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希望に満ちた未来なんて

こないだ父がアニメのホリックをつけててそれを見てから麻雀に再びはまった。とりあえず、門前ツモ、リーチ、ピンフ、一発とかは微妙にわかる。あと天和?違うな、なんかそんなの。
ゲームの麻雀しかやったことなくて、リーチかければゲームがどうにかしてくれるんですよね。だから雀たく使ったら無理。ロン出来なさそう。カン・ポン・チーもタイミング外しそうです。でもやってみたい、雀タクも杯もうちにありますし。問題は面子が足りない。

そう。土沖ってそのまんまでも百合なのかもしれないと思った。





それでは3Z。
続きこれからうちます(終わらなかった)。
祭りネタいれるぞ~!
















絶対に口には出さない。
だって、言ったらこの関係でさえ無くなってしまう。
それだけは嫌だから。





憂鬱な月を手に入れて





いつものように、退屈で束縛的な授業の終わりを告げる鐘がスピーカーから響く。ガヤガヤと煩くなる教室、でもいつもと違うのは皆の顔が激しくうかれていることだ。
鞄を肩に担いで出ていくクラスメイト達を眺めながら、計画性がないのか次々に鞄に教科書・ノートなどを詰めてゆく近藤さんを待つ。
明日から、夏休みだ。
そして今日までテストだったのだから皆の浮かれ具合が異常な程なのは仕方がない。
沖田が窓辺に立って意気揚々と歩いていく人混みを見下ろしていると廊下から足音が近付いてきてそれが、この教室へ入ってきた。

「なんだ、近藤さん未だ荷造り終わってねぇのかよ?」

「トシも総悟も、何でそんな鞄薄いの?」

「俺は試験だったし持って帰ったまんまなんだよ、殆んど」

「俺ァ全部置きっぱですぜ近藤さん」

「偉そうに胸張って言うな!」

ペシッ、と紙かなんかで頭を叩かれ、叩かれた部位を擦りながら振り返ると漸く荷造りが終わったのか、不可思議な凹凸のある鞄を閉め終えた近藤さんの横の席を借りて土方はさっきの武器に何か走書きしているようだった。
財布と何かあったときの為に、と入れっぱなしのポケットティッシュ、そして同じく入れっぱなしの筆箱ぐらいしか入ってない鞄を肩にかけて、三人仲良く廊下へ出る。

「職員室寄って平気か?」

「ああ、そんぐらいなら」

「そっか、今日近藤さん病院行くんですもんね」

そうこう会話しているうちに職員室について、土方はノックして涼しい別世界へ入っていく。
職員室の横にある小さなホールのような場所には自販機が二、三個並んでいる。
土方が戻ったら奢らせよう、とか思いつつそれらを見ていると見慣れた他人の姿が目に入った。土方の彼女だ。

「悪ィ、待たせた」

「平気平気、行こうぜ」

歩きだそうとすると此方に気付いた彼女が、手にジュースの缶を持ち、大股で寄ってきた。手に持ってるジュースにあっと驚く。前に土方に奢らせたら「もっとマシなの買えよ、奢る気失せる」とまで言われたいわくつきの夕張メロンジュースだ。・・・類は友を呼ぶというが、本当に沖田の周りには味覚音痴が多い気がする。
盤若、とまではいかないがそれなりの形相で歩み寄る彼女に気付いた土方が足を止める。どうした、と近藤さんが土方を見てそれから前方の彼女を見て、ああ。と納得した顔で半歩下がって沖田の隣に立つ。

「なぁ、何人だっけか。トシの高校入ってから彼女」

「あの人が十五人目ですからねィ、十五人ですぜ」

いいなぁ、もてて。
近藤さんのその率直な願望は果たしてそんなにいいものだろうか、と思う。
好きでもない人間に好かれても迷惑なだけだろう。好きな人間と両思いで居られればそれでいい。・・・なんて、叶わぬ恋とやらをしているから思うのだろう、こんなことを。

「っなによ、あんたなんかともう付き合えないわッ!!」

威勢のいい声に思考を現実へと戻した途端、怖い顔をしていた女が驚愕を浮かべてバシャ、と手にしていた夕張メロンジュースを沖田にぶちまけた。
頭から水が滴るけれど、どうしてこうなったのか分からずえっ、と間抜けな声を上げてしまう。
困惑した表情の、どうやら思案しているうちに土方と別れた彼女はバタバタと何処かへ駆けていく。

「総悟大丈夫か?」

「・・・平気、ですけど」

目の前でしゃがんだまましまった、という顔をしている土方を見下ろす。土方にかけようとしたのを、土方のくせに避けたから被害を被ったらしい。顔面を蹴り飛ばそうとするけれどそれより早く土方は立ち上がって、沖田の腕を掴みスタスタ歩き出す。
突然の行動に意味も分からず成すがままになっているとくるり。土方が振り向く。けれど視線は沖田の向こう。

「こいつ洗ってから帰るわ。近藤さん、先行っててくれ」

「わかった。いい夏休みを!」

笑みで去っていく近藤さんは無垢な悪魔だ。何も知らず、沖田を地獄へ突き落とす。夏休み前最後の別れの挨拶がこんなだなんて今日の占いは何位だったの、俺ってば不幸。なんて悲劇のヒロイン演じてみる。
ズルズル、半引きずられるように連れて行かれた先は人気の少ない校舎裏の水道。こんなとこ来たことなかった、だからこんなとこに水道があるなんてのも知らなかった。
どうせおモテになる土方のことだ、女子に呼び出しでもくらったのだろう。

「ほら、上脱げよ」

「ハァなんで」

「洗うから」

抵抗の意で何もしないでいるとボタンをひとつひとつ外され、脱がされる。
手慣れたその仕草に胸が靄々としていくが、それを気にしたら敗けだ。されるがままおとなしく、シャツを脱ぐ。

「・・・セクハラ」

「うっせぇよ」

ざぁぁぁぁ、とシャツを流水につけ洗い始めたその隣で顔を洗う。見事上半身に集中した夕張メロンはベタベタする不快感を伴う甘い香りだけになっている。

この感触も、

土方と二人きりでいることも、

胸の靄々も、

不快。

こんな不快感、すぐに消し去れればいいのだけど。
よし、と隣で満足げな声がしてそちらを向くと、土方が沖田のシャツを見つめ一仕事終えたような顔をしていた。
その手からシャツをひったくり、沖田は白い肌を未だ乾きもしていない布で太陽から隠す。

「・・・未だ濡れてんだけど」

「んなのわかってまさァ。着るものねぇし、どーせすぐ乾くし」

「でもよ、」

でもも何もないだろう。
視線で土方の言葉を遮るといつの間にか下に落ちていた鞄を乱雑に拾い、その場から立ち去ろうと沖田は土方に背を向けた。
オイ、と声がかけられて、ああどうせ、礼ぐらい言えとか言われるのかかったるい。と思っていると突然、腕を掴まれた。力の強さは先刻と変わってない、けれどどこか優しげに感じる掴み方。

「なんですかィ」

「あいつが・・・。・・・・・・悪かった」

「俺に謝るよか彼女に謝ったほうがいいんじゃねぇですかィ? それに謝ってほしいこと別にあるし」

「あいつはもういいんだよ。・・・・・・謝ってほしいことって、なんだ?」

何も思い当たる節がない。そんな顔をした土方にやはり憶えてないか、と沖田は諦めたような微笑浮かべる。
そう。忘れもしない、あれは小学一年生の夏休み。

「あんたは俺の、ファーストキスを奪ったんでさ」

「―――」

目を見開き驚愕した顔を沖田は滑稽だと鼻で笑った。
だけど、解っている。本当に滑稽なのは、そんな小さな事をしっかりと憶えていて、忘れないよう温めている自分自身だと。

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