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梅々

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冬至ですよね?

がらがらがらと、洗面所の引き戸を開けると珍しい男がそこにいた。

「あっ」

「おっ」

土方の長い指が器用に鈕を開けているのを一瞥してから隣に並ぶ。夕方のこの時間は人が少ない。だから俺は仕事のないときはほぼ毎日この時間に入るのだが、土方に会ったことは嘗てなかった。
土方が鈕を外すのを見た後だからだろうか、自分の指が嫌に短小に見える。一応標準の体型だし指だって普通の長さなのだが、この男と比べると何もかもが劣ってしまう。剣の腕、以外は。
先に風呂場へ向かった土方の後に続いて、自分も全部脱いで浴場へ向かう。すると爽やかな香りが湯船からした。柑橘系、柚の匂いだ。そういえば、山崎が柚のたくさん入った袋を両手に抱えて歩いていたのを見かけた。

「冬至か」

「そうですぜ。昔はよく姉上と入ったなァ」

「・・・一緒に?」

「一緒に」

肯定すると頭に湯をかけていた土方は驚いたように此方を見た。羨ましいだろ、とでも言うように笑うとばーかと頭を洗い出す。
昔、風呂に入っていた柚にかじりついて姉上に笑われたのを思い出した。いま思えばそれは当然の反応だけれど、そのときは恥ずかしくて堪らなかった。

「今日は早いですねィ、風呂入んの」

「まぁな」

「あれですかィ? 夜の蝶でも、買いに?」

「おまえがいんのに行く必要ねぇだろ」

「・・・」

前髪を後ろに撫で付けながら事もなさげに土方が言った言葉に一瞬動きが止まったが、幸いばれなかったらしい。ドクドクと心臓が喧しく騒ぐ。一応そういう関係ではあるけれど、そんな風にはっきり言われると、困る。何より恥ずかしくて、体が制御できなくなる。
脚の上に置いていたタオルを巻き直して、湯船に浸る。今度は少し距離を離した隣に入って、ぷかぷか浮かぶ柚を弄ぶ。
自覚のないのが一番質が悪いと、この人は理解していない。だから平然と殺し文句を言えるのだ。平然と、俺を動揺させる。

「死ねよ、アンタ」

「知ってたか? おまえが急にそういうときは必ず、照れたり拗ねたりしてて可愛い面してるってよ」

「なっ・・・!」

嘘だ、と思いばっと顔を向ける、と。思いがけない近さに土方の顔があり唇が重なったものだから、腕を思い切り振り上げた。
それまでも捕まれて、腰を抱かれ、舌が侵入してくるとどうしようもなかった。背に柚があたりここは風呂場だと認識するけれども、それさえも奪うように求められると答えずにはいられない。
最後におもいっきり舌を吸って、離れた土方の顔は綻んでいて、今度こそ振り上げた手は見事土方の頬に真っ赤な手形を残した。





うちには柚がなかったので、蜜柑の皮を母がレンジでチンしていたら焦がして、結果的に玩具のみかんとレモンが湯船に浮かんでいました。もうどこからつっこめばいいか分からないよパトラッシュ。
ライアーゲームがいいところですね。本当は九時に寝たかったけど二週分見てたらこんな時間に。
あのきのこ眼鏡にずっと苛々させられています。

明日はカラオケなのに!

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