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梅々

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破裂した

明日はバイトです!頑張る!
今日はカイザー様にあらぶりました。
モザイクロールの、「愛したっていいじゃないか 縛り誰も触れないように」の歌詞が土方と沖田の根本にあるけど実行できないもので、カイザーはこれを実行した。
大切に自分に縛りつけて束縛した。でもあの世界は持続的なものではないから様々なところが綻びて崩壊していく。その中で、カイザーは「・・・分かってた」って泣きそうにしながら悔しそうに笑う。土方の全てを手に入れるなんて無い物ねだりにすぎないと分かってた。
そんなカイザーを土方は全力で愛す。あわれみと愛しさを抱いて慈しんであげてほしい。
諦めながらも土方を想う沖田とカイザーに土方は愛を抱くといい。





というのりから紆余曲折を経て銀さんと松陽先生になりました。
小説です。
明日には土沖えろの後編があげられるはず!





















ぶりきの兵隊





君にこれをあげましょう。

声が聞こえて振り向いた。長く続く道の真ん中、懐かしい人が立っていた。
おぶられた。温もりを知っていた。色んなものを与えてくれた。
―――――先生。
ぱたぱた駆け寄ると先生は微笑んだ。壊れそうな笑みだ。消えてしまいそうに儚い。

「先生、」
「君は今、空っぽのこの箱と同じです」

俺の目の高さにある先生の手の内に、ぶりきの箱があった。そっと受け取って中を覗く。薄汚れたそれはただの箱だ。なんの変哲もない。両手に抱えて先生を見上げる。
これはなんだろう。

「君が心惹かれた物をこの箱の中に入れなさい。それがどんな物でもいい。塵でも、石ころでも何でもいいです」
「この中に?」
「そう。これは宝箱ですよ。中に入れたものは大切に守らなきゃいけないんです。出来ますね?」

夕陽が眩しくて顔が見えない。でも、笑顔は変わらず優しい。
守ることを教えてくれた、先生。
俺はそれを返したのか?

「はい、松陽先生」
「じゃあ行きなさい。君はちゃんと守ることを知っているんだから・・・銀時」

 くしゃり、頭を撫でられて胸がむず痒くなった。でっかい掌が離れて先生、と顔を上げる。
けれど目の前には道が続いているばかりで誰もいない。慌てて振り返ってもキョロキョロ辺りを見回しても、俺しかいない。
手の中のぶりきの箱だけが残った。
どうしようもなくてとぼとぼ、歩き始める。空は橙色で足元は灰色で果てのない砂利道。そろそろ飽きてきて足取りも重くなる。

「あっ!」

少し先にきらり、何か光る物が落ちていた。
たたたっと駆け寄ると硝子の破片が落ちていた。ラムネの色したそれは手に取ると薄汚れていたけれど、構わず箱に入れることにした。顔を上げると今度は真っ白なものが目に入った。また駆け寄るとそれは真っ白で真ん丸い石だった。すべすべしていて手触りがいい。それも、箱に入れる。

ビーダマにお手玉、小銭に赤い釦、青い花びら。
数えきれないぐらい拾って箱も重くなった。片手じゃ持てなくて両手で抱える。もう何も入らないかもしれない。
大分歩いて足も疲れてきた。草履の爪先も石ころで傷んでいる。

「銀時」
「・・・先生!どこ行ってたんだよ!」

はっと顔を上げる。大きな桜の木の下で先生が待っていた。もう走れなくて歩きながら唇を尖らせる。いつの間にか空は青く、桃色の花弁がヒラヒラしている。
また俺の頭を撫でて、先生は嬉しそうに笑った。

「先生・・・?」
「たくさん集められたみたいですね。見せてご覧なさい」
「驚くなよ、先生!」

じゃーん!と箱を開ける。重たいそれにはじゃらじゃら、宝物が入っている、はずだった。

「あれ・・・?」

重たいままなのに中は空っぽだ。変だ、思って覗き込むと同時に、声を聞いた。一人じゃない、たくさんの人の、声。

「銀さん」
「銀ちゃん」
「銀時」
「坂田さん」
「万事屋」
「旦那」
「パー子」
「兄貴」

訳が分からなくて顔を上げる。困ったような顔をした先生が俺の頬を拭った。泣いている。
なんで俺は泣いているんだ。

「・・・もう君は、空っぽじゃないみたいですね」
「先生・・・」

なんですか、と返事したくせに先生は遠くなってく、消えていく。
待ってくれ、行かないでくれ。俺はまた何も返せていない。

「っ先生!」

目の前で空を掴む手はいきなりでかくなってハッとした。手の先には天井と電球がある。青い空も桜の花も懐かしいあの人も、欠片もない。
夢だ、全部夢だった。
はぁと息を吐く。汗をかいてはいるが気持ちの悪いものではない。

「よし」

今、守れるものは全力で守る。後悔を二度としない為に。同じ過ちを繰り返す程俺は馬鹿じゃない。
ちゃんと笑えてる。
ちゃんと背筋を伸ばせてる。
守るべきものも守り方も俺は、知ってる。
もう立ち止まらない。

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