梅々
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ありえない。
なんで明日学校あるんだよォ~!!折角人が、沖土オンリーだァ!って喜んでたのに・・・!
それでは3、4話をどうぞ(;_;)
それでは3、4話をどうぞ(;_;)
掴み、というものは大切だとは思う。だけど沖田の掴み方は非常に間違っている。
いきなり同性にむかってキスするか?帰国子女でもあるまいし。って子女か?男だろ。
ma cherie 第三話
「おっまえ何しやがんだよっ!」
「なんですかィ?ファーストキスじゃないんだし。いいじゃねぇですかィ」
「同性とは初めてだっ!」
「・・・五月蠅ェなァ。生娘でもあるまいし」
さり気なくすげぇ事言ってねぇ?呆れてものも言えねぇってこういう時のことだな。きっと。
「さ、予定詰まってんだろィ?アンタ。馬鹿げた議論してる暇はありやせん。おとなしくしてろィ」
「・・本当に大丈夫なんだよな?」
少し、不安だ。消費税の計算さえ出来ねぇ奴がカメラもメイクも出来る、とは信じにくい。
「そうですねィ・・。アンタが満足するかはわかりやせん。気に入らなかったらチェンジでもしなせぇ」
チェンジ、ってお前の仕事はなんだとききたくなるようなことを言わないでほしい。
「ま、なるようになりまさァ」
たしかに。
*
「さ、どうでィ。チェンジ頼みやすかィ?」
「・・凄くねェ?おまえ」
非のつけようが、ない。まぁ男は化粧なんざしなくて多少調えりゃいいんだが、きっと女の化粧も上手なんだろう。
「気に入ってもらえて何よりでさぁ」
万更でもないように照れ笑いをする沖田に少し見惚れた。それを隠すようにぶっきら棒な口調で話かける。
「珍しいよな。カメラマンで化粧までできるなんてよ」
「俺的にはメイクできねぇ方がおかしいと思うんですがねィ・・。だってさ、気に入った被写体を自分好みに調教して自分の好きなように撮れるんですぜ?最高じゃねぇですかィ」
確かにわかるが、調教って・・。蛇に睨まれた蛙みてぇな感じ?俺。でも、好きな事を自分が満足出来る位できるなんて羨ましいと思う。俺には、好きな事や物さえないのだから。
「さ、とりやしょう?」
・・彼は、俺なんかのどこが気に入ったんだろう。と、ふと思った。というか、俺のこと気に入ってるのか?あれ程の腕があるならば、俺なんか足元にも及ばない程有名なモデルとかの下にだってつけると思うのだが。
なんで、なのだろう。
「・・やっぱ土方さんはいいなァ。撮りやすい」
今日撮った写真を月明かりに照らしながら沖田は呟いた。俺なんかのどこがいいのかわかんねぇって。マジで。
「どこがいいんだよ?」
「・・秘密」
「ハァァァァ!?何だよそれっ」
「・・焦らしてみようかと」
前を行く総悟の表情はわからないが、きっと笑っているのだろう。声が弾んでる。
「あのなァ・・」
「お、流れ星ですぜ!」
上を見上げると漆黒の空を白い輝が横断していた。
流れ星なんか久々に見たな・・。
「よし、次流れたら願い事唱えなきゃなァ・・」
そんな事すんの女子供だけだと思っていたが、男にもいるらしい。
「アンタも・・あっ!」
また星が落ちた。総悟は両手をくんで目をつぶっている。
願い、か・・・。
俺は・・・。
「よし、三回唱えられやした。アンタは?土方さん」
「俺?別に願いなんざねぇよ」
「悲しいなァ。あんたの人生」
「うっせぇな!願いがねぇぐらいで人の人生の善し悪し決めんな!」
「ま、可哀想なのはホントの事ですがねィ」
なんかすんごいムカつくんですけど?年下に可哀想なんて言われたかァねぇよ。
「お前は何願ったんだよ」
「この世は等価交換でなりたってんですぜィ?タダで聞こうなんて思うなよ」
「お前何処の誰だよ・・」
星の輝く月夜に願う事は?
“沖田”と“土方”という人物の接点は、“モデル”という“職業”にしかない、と思っていた。ほかに、接点の作りようがないし。
俺らの関係は“夜だけの関係”だと思っていたから。
あ、なんかアダルトって感じ?まぁ、仕事の関係だけだけど。
いまは、ね。
Ma cherie 第四話
「おーい総一郎君、なんか友達ー」
「旦那ァ、総一郎じゃなくて総悟でさァ」
食堂の向こう、入り口あたりから呼び掛けるというか叫ぶ旦那に律儀につっこみ、ちょうど食べ終えたランチを持って入り口へ向かう。
友達?誰だろう。近藤さんかな?でもそれだったら旦那も知ってるはずだし。
「あら、総悟君。オレンジジュースまだ一口残ってるわよ」
食堂のおばさんに言われ、コップを見ると確かにまだ少し残っていた。
「あ、すいやせん」
ズズッ、と啜りながらも考える。
誰だ?
「御馳走様でしたィ」
足早にその場を去ろう、としたら・・・。
「あ、待って」
振り返るとさっきのおばさんがカウンターから身を乗り出している。何か、片手に持って。
「これ、お友達と一緒に食べなさいな」
「はぁ・・。ありがとうごぜぇやす」
中々可愛らしくラッピングしてある小さな包み。中身が楽しみだ。
「いいなァ。あのおばさん総一郎君にしかそーゆーモンやんねぇんだよ」
「今回はやりやせん。次もらった時、一緒に食べやしょや」
「約束な。次回はパフェだといいなァ・・。あ、そうだ。なんか中庭のほうにいるってよ。オトモダチ」
「へいよ。じゃっ」
*
向こうから総悟が走ってきた。きょろきょろ辺りを見回しながら。なんか遠くから見てると迷子になった子供みたいだ。
「総悟」
呼び掛けるとこっちを見て少し目を見開き、全速力でかけてきた。やっぱ、似てる。迷子の子供に。顔が、親を見つけたときそのものだ。
「土・・・方さん、ですよねィ?」
「ああ」
「有名なモデルがこんなとこきていいんですかィ!?」
声を荒立て、眉間にしわを寄せ俺を見下ろす姿は親を思い出す。親、っつうか姉さんだな。
「ばれなきゃいいんだよ。ばれなきゃ、な。まぁとりあえず座れよ」
促されるまま、沖田は隣に腰を下ろした。少し膨れていたが、面影は何処かうれしそうだ。
「・・なんか、用でもおありで?」
「別に。暇だったからよ」
「ハァァァァ!?あんた自覚あんの?ファンクラブ持ってるんてすぜ?ここにだって、町中にだって、あんたのファンがいるんですぜ?いくら変装してるから、って・・」
信じられない、といった表情をされても。誰にもばれなかったし?(それはそれで悲しいけど)結果オーライなんじゃねぇの?駄目なのか?それでも。
「・・もういいや。あんた馬鹿すぎ。何言っても駄目だな」
「んなこたァねぇよ!」
「じゃあ今度は女装でもしてきなせぇ。今度があったなら」
「俺一人じゃできねぇよ」
それ依然にしたくはないが。
「・・あ、そうだ。コレでも食いやすか。疲れたし」
そういって総悟は手に持っていた包みのリボンを解いた。さっきから何だろう、と思っていたが、どうやらお菓子だったらしい。包みを開いた瞬間甘い芳香りが鼻を掠めた。
「ああ、それか。どうしたんだ?」
「おばちゃんにもらった。あ、クッキーでさァ」
星やハート型などの、シンプルなクッキーが小さな入れ物の中犇めきあっていた。
沖田は手にとり、パクッとうまそうに食べた。そして、土方にむかってクッキーを一枚、差し出した。
「・・なんだよ」
「あーん。一回百円でしてやりまさァ」
「しなくていいっつーの!っつうか金とんのかよ」
そういうと沖田は手に持っていたクッキーを自分の口に運んだ。
「俺があんたみてぇな男にやるワケねぇだろィ?」
「まぁな」
そう言った土方を沖田は一瞬見つめ、何か呟いた。土方の耳に届かない程、小さく。
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