梅々
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天地無用
純情ロマンチカ買いました&読みました。
どうしよ。あんな危ない物とは露しらず。買ってしまった子羊が此所に一匹。
まぁ、自業自得ですね。・・・あれ、なんか少し意味がずれてる。
そうそう、七月に土沖オンリーやるらしいッス。行きたいなぁ。無理だろうなァ。
それでは、百人一首で病んでる感じ。
どうしよ。あんな危ない物とは露しらず。買ってしまった子羊が此所に一匹。
まぁ、自業自得ですね。・・・あれ、なんか少し意味がずれてる。
そうそう、七月に土沖オンリーやるらしいッス。行きたいなぁ。無理だろうなァ。
それでは、百人一首で病んでる感じ。
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね かわく間もなし
砂漠の水
好きです。
好きです。好きです。
どんなに愛しても貴方は決して俺を見てはくれないけれど、それでも誰よりも貴方を想い、恋慕います。
好きです。
哀しい程に。
石を軽く蹴りながら、見慣れた町を行く宛てもなくぼんやりと歩く。気付けば分かれ道に立っていて、何方へ行こうか悩む。
右か、直進か。
いつもなら真っ直ぐ行くのだけど、今日は石を蹴って、石が行った方にしようと思う。いつもいつも同じようにしてたら、同じ道しか通らなくなってしまうし。
思いきり強く石を蹴ると、何度か地面と衝突しつつも右へと進んだ。
石の後を追い、蹴っては追いまた蹴っては・・・と繰り返す。
ふと香った煙草の匂いに、あの人を思い出す。
─────どうにかなって欲しい。
出来ることなら、諦めたい。
こんな不毛な恋心、もういらない。
だって、どんなに想ってもあの人は─────土方さんは応えてくれるわけがない。女好きなあの人が、男である俺なんかを選ぶわけが。・・・もっと、俺が素直で可愛げのある性格だったのなら、この女顔からして少しは好機があったのかもしれないけれど、それだって万に一つで可能性が低い。
男なんかに産まれなければよかったのだ。
そうすれば、もっと可能性があった上に、こんな想い抱かなかったのに。
腹立ち紛れに強く蹴った石は、灰色の汚れた通りを遠く転がっていき、黒い革靴に当たった。
あの、革靴は。
徐に顔を上げると、ばっちりと目があってしまった。土方さんの前には、いかにも彼の好みそうな女性が三人。
此処で引き返すのも癪で、堂々と横を通り過ぎようと再び歩を進め、段々と彼らに近付いて行く。
あと少しで通り過ぎる、と少し安堵した刹那、ぐぃっと強く腕を引かれた。
「っちょっ・・・!」
「悪ィな。俺はこいつが一番だからよ」
「─────っ!!」
驚いたのは、そんなアブノーマル宣言をされた三人だけじゃない。
俺でさえも驚いた。
いくら、迅速に別れ話を終わらせたいからって、こんな酷く滑稽な嘘をつく必要なんてどこにもない。たまたま俺が通りかかったからって。
─────こんな、本当の事になって欲しい、嘘を。
嘘だと分かっていても、心臓がどきどきしてしまう。
嘘だと分かっていても、その口からその言葉を聞けただけで何もいらないとさえ思ってしまう。
あんたは知らないだろう。俺がこんなにもあんたを好いていることを。些細な嘘が、俺を散々悩ますということを。
肩を抱かれ引きずられるようにしてその場を立ち去る。
チラリと振り向いて、流石にもう大丈夫だろう、という距離の所まで来て、勢いよく側にある体を押した。
「・・・ってぇな」
「冗談にしてもあれはねぇでしょう。俺は男なんですぜ? 絶対また何か言われやすぜ、あんた」
「そうか? お前話さなかったし単語発したぐれぇだろ。男だってバレてねぇんじゃねぇの?」
「・・・ありえねぇ」
いくら何でも酷い。男としての矜持、ぶち壊しだ。
餓鬼の頃から、かっこいいと言われた事は無かったけれど。
“可愛いお嬢ちゃんだね”と何回も言われた事あるけれど。
どうせ“恋人”になれないのなら、ちゃんと“男”として見て欲しい。
同じ志を持ち、共に戦って生きているのだから、そんな言葉を吐かれたくはない。俺が自分の顔を嫌いだと知っているのだから尚の事。気を使わない仲、という意味で受け取れば、納得出来なくはない。
それでも。
時々本気で殺したくなる。
それは、募り過ぎた想いや小さな苛立ちからの殺意でもあり、妬みや醜い独占欲からの殺意でもある。
いつまで立っても諦めきれない自分の肩を押すように、心は理性を振り切り鞘に手をかけるよう命令する。
いくら理性があがいたってこの手は止まらない。何よりも、諦める事を望んでいるから。
それに、土方さんならば避けられる。
そう自信があるからこの手は動く。目の前の男を屍にしようと、歩き出した背中に向かい、刀を振り下ろす。
どうか、避けて。
「・・・!!」
殺気に気付いたのか、肩がぴくりと震えた。
けれど、いつもなら過剰な反応をし、奇声を上げながら刀の軌道から退く体は、軌道上にある儘で。
「─────何で、避けなかったんですかィ?」
「たまには、いいだろ。気分だ、気分」
肩口の布を裁断した刀を鞘に納め、更に溜った行き場の無い鬱憤を持て余す。
詰まらない悪戯を仕掛ける気さえも、霧消する。
「血だるまになって死にゃあいいのに」
「だったら今殺りゃあよかっただろ」
「気分でさァ、気分。今日は殺る気失せたんで」
血みどろの亡骸ならば、俺がこの人に素直な気持ちを告げ、抱き締める事が出来る。物言わぬこの人を俺だけの物に出来る。
ずっと、俺が死ぬまで、俺だけを視て俺の傍に居る。
すごくそれは幸せな事に思えた。何の不安も無く、何の不足も無い日々。仁く夢のようだ。
そうなってしまえばいい。
俺だけの、物に。
どうせなら、捕まえればいい物を。
俺なら、殺したい程人を愛してしまったのなら、何処へでも監禁して無理にでも俺だけの物にする。
どうせ諦めきれないのならば、屍でもいいから永遠に自分の傍にその存在が在って欲しいのならば、観念して素直にその想いを吐露してしまえばいい。
早く。
「早く堕ちてこい、総悟」
どうせもう、俺から逃げられないのだから。
#92
人こそ知らね かわく間もなし
砂漠の水
好きです。
好きです。好きです。
どんなに愛しても貴方は決して俺を見てはくれないけれど、それでも誰よりも貴方を想い、恋慕います。
好きです。
哀しい程に。
石を軽く蹴りながら、見慣れた町を行く宛てもなくぼんやりと歩く。気付けば分かれ道に立っていて、何方へ行こうか悩む。
右か、直進か。
いつもなら真っ直ぐ行くのだけど、今日は石を蹴って、石が行った方にしようと思う。いつもいつも同じようにしてたら、同じ道しか通らなくなってしまうし。
思いきり強く石を蹴ると、何度か地面と衝突しつつも右へと進んだ。
石の後を追い、蹴っては追いまた蹴っては・・・と繰り返す。
ふと香った煙草の匂いに、あの人を思い出す。
─────どうにかなって欲しい。
出来ることなら、諦めたい。
こんな不毛な恋心、もういらない。
だって、どんなに想ってもあの人は─────土方さんは応えてくれるわけがない。女好きなあの人が、男である俺なんかを選ぶわけが。・・・もっと、俺が素直で可愛げのある性格だったのなら、この女顔からして少しは好機があったのかもしれないけれど、それだって万に一つで可能性が低い。
男なんかに産まれなければよかったのだ。
そうすれば、もっと可能性があった上に、こんな想い抱かなかったのに。
腹立ち紛れに強く蹴った石は、灰色の汚れた通りを遠く転がっていき、黒い革靴に当たった。
あの、革靴は。
徐に顔を上げると、ばっちりと目があってしまった。土方さんの前には、いかにも彼の好みそうな女性が三人。
此処で引き返すのも癪で、堂々と横を通り過ぎようと再び歩を進め、段々と彼らに近付いて行く。
あと少しで通り過ぎる、と少し安堵した刹那、ぐぃっと強く腕を引かれた。
「っちょっ・・・!」
「悪ィな。俺はこいつが一番だからよ」
「─────っ!!」
驚いたのは、そんなアブノーマル宣言をされた三人だけじゃない。
俺でさえも驚いた。
いくら、迅速に別れ話を終わらせたいからって、こんな酷く滑稽な嘘をつく必要なんてどこにもない。たまたま俺が通りかかったからって。
─────こんな、本当の事になって欲しい、嘘を。
嘘だと分かっていても、心臓がどきどきしてしまう。
嘘だと分かっていても、その口からその言葉を聞けただけで何もいらないとさえ思ってしまう。
あんたは知らないだろう。俺がこんなにもあんたを好いていることを。些細な嘘が、俺を散々悩ますということを。
肩を抱かれ引きずられるようにしてその場を立ち去る。
チラリと振り向いて、流石にもう大丈夫だろう、という距離の所まで来て、勢いよく側にある体を押した。
「・・・ってぇな」
「冗談にしてもあれはねぇでしょう。俺は男なんですぜ? 絶対また何か言われやすぜ、あんた」
「そうか? お前話さなかったし単語発したぐれぇだろ。男だってバレてねぇんじゃねぇの?」
「・・・ありえねぇ」
いくら何でも酷い。男としての矜持、ぶち壊しだ。
餓鬼の頃から、かっこいいと言われた事は無かったけれど。
“可愛いお嬢ちゃんだね”と何回も言われた事あるけれど。
どうせ“恋人”になれないのなら、ちゃんと“男”として見て欲しい。
同じ志を持ち、共に戦って生きているのだから、そんな言葉を吐かれたくはない。俺が自分の顔を嫌いだと知っているのだから尚の事。気を使わない仲、という意味で受け取れば、納得出来なくはない。
それでも。
時々本気で殺したくなる。
それは、募り過ぎた想いや小さな苛立ちからの殺意でもあり、妬みや醜い独占欲からの殺意でもある。
いつまで立っても諦めきれない自分の肩を押すように、心は理性を振り切り鞘に手をかけるよう命令する。
いくら理性があがいたってこの手は止まらない。何よりも、諦める事を望んでいるから。
それに、土方さんならば避けられる。
そう自信があるからこの手は動く。目の前の男を屍にしようと、歩き出した背中に向かい、刀を振り下ろす。
どうか、避けて。
「・・・!!」
殺気に気付いたのか、肩がぴくりと震えた。
けれど、いつもなら過剰な反応をし、奇声を上げながら刀の軌道から退く体は、軌道上にある儘で。
「─────何で、避けなかったんですかィ?」
「たまには、いいだろ。気分だ、気分」
肩口の布を裁断した刀を鞘に納め、更に溜った行き場の無い鬱憤を持て余す。
詰まらない悪戯を仕掛ける気さえも、霧消する。
「血だるまになって死にゃあいいのに」
「だったら今殺りゃあよかっただろ」
「気分でさァ、気分。今日は殺る気失せたんで」
血みどろの亡骸ならば、俺がこの人に素直な気持ちを告げ、抱き締める事が出来る。物言わぬこの人を俺だけの物に出来る。
ずっと、俺が死ぬまで、俺だけを視て俺の傍に居る。
すごくそれは幸せな事に思えた。何の不安も無く、何の不足も無い日々。仁く夢のようだ。
そうなってしまえばいい。
俺だけの、物に。
どうせなら、捕まえればいい物を。
俺なら、殺したい程人を愛してしまったのなら、何処へでも監禁して無理にでも俺だけの物にする。
どうせ諦めきれないのならば、屍でもいいから永遠に自分の傍にその存在が在って欲しいのならば、観念して素直にその想いを吐露してしまえばいい。
早く。
「早く堕ちてこい、総悟」
どうせもう、俺から逃げられないのだから。
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