梅々
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真面目に考えて。
久々にリボーン(EDだけ)を見た。雲雀さんかっこよすぎ。ディーノさんも好きです。だから、初めてアニメリボーンを見たとき、ディーノさんが雲雀に「さて、どうてなずけようか」と言った時タイミングヤバいなと思った。私の中では“てなずける”が“調教する”になっててどっちが本当だかわからない。
バブルへGO見て、タイムスリップで土沖ネタ書きたくなった。沖田が過去の土方の元へ無理矢理転がり込むのですよ。で、あることないことべらべらべら・・・・・・。いつか書きたい。
それじゃ野球ネタ。・・・BL路線にする気はないけど・・・・・・。
バブルへGO見て、タイムスリップで土沖ネタ書きたくなった。沖田が過去の土方の元へ無理矢理転がり込むのですよ。で、あることないことべらべらべら・・・・・・。いつか書きたい。
それじゃ野球ネタ。・・・BL路線にする気はないけど・・・・・・。
眩しい夏の景色はあっという間に過ぎて、寂しい冬も風に吹かれて過ぎてった。
春が来たら俺の手元から何もかもが消えていた。
SIGNAL
一陣の風が青く茂る木を揺らした。サワサワと篭れ日がざわめき動き、目が少しチカチカする。
手元に何かが当たって視線をそっちに移すとあの人がくれたグローブだった。
─────楽しくなかったわけでは、ない。
俺が、試合で投げて完封勝利したと告げる度に姉上は笑顔で喜んでくれてたし、日々、色んな投げ方を教わって皆と練習するのはとても満ち足りていた。
でも、それも去年の冬までのこと。
「・・・・・・マウンドに、立つ度・・・ある人を思い出すんでさァ」
「ある人?」
「前に組んでたキャッチャーなんですけどねィ、あんたに被って見えて。・・・だから、あそこに立つのは好きじゃない。野球自体は好きですけどね、勿論」
「ふ~ん・・・」
軽い相槌を打ちながらも、目は続きを促す。
別に、俺の野球の始まりとか聞いても意味無いだろうと思うけれど、一歩も譲る気が無さそうで渋々、どう話そうか考える。
「・・・そのキャッチャーのこと話せばいいですかィ?」
「いや、全部ききてーなァ」
面倒くさいな、と溜め息を吐くと小さく笑われ、「話してくれたら甘味奢ってやるよ」と仕方がなさそうにそう言われ少し機嫌がよくなる。
─────全ての始まりは二年前。
「土方、って言うんですけどねィ、そのキャッチャー。そいつと俺と近藤さんは、幼馴染みってぇのかな。兎に角餓鬼の頃からよくつるんでたんでさァ。中学入ってからも、同じ委員会に入ってたんですけどねィ、部活だけ、別々だったんでさァ。俺が帰宅部で土方さんと近藤さんは野球部」
「・・・最初から入って無かったのか?」
「ええ。うちビンボーでしたし、姉上が少し病弱でして。留守中に何かあったら困るし部活とか面倒だし入らなかったんでさァ」
「へぇ・・・」
「・・・んで、中二の梅雨ぐらいかな。ちょうど今ぐらいの季節でこんな天気の、少し蒸し暑い日に、土方さんと帰ってたんですけど、あの人昇降口出た辺りで忘れ物したって言って荷物置いて取りに引き返しちまったんでさァ。・・・そんで、」
暇だった。
ほんの少しでも蒸し暑いのは昔から苦手で、じぃっとしてるとストレスで死ねるをじゃないか、そう思うぐらいだった。
何かして気を紛らわそうと思い、辺りを見回したらちょうど土方さんのボールとグローブが目についた。
流石に昇降口の真横で壁当ては危ないかと思い、少し裏に回ったところの壁に思いきりボールを投げつけた。バコォンと音を反響させ校舎に球をぶつけるのが意外と楽しくて、何度も繰り返して投げていたけど、やはり、飽きがくる。
そこで、“違う投げ方”にチャレンジしてみようと閃いた。
土日に試合があると必ず、土方さんに試合を観に来いっつわれてて、渋々毎回姉上と応援しに行っていた。それで、その時はまだピッチャーだった土方さんをよく見ていた。三年を押し退けてピッチャーの座についただけはある、見事な投球フォーム。カーブを得意とする土方さんはよくそれを使っていた。
見よう見まねで投げれるか。
ほんの興味を胸に、ボールの持ち方を変えてみる。
一呼吸して、ボールを壁に投げつけた。
─────俺の手から離れたそれは、綺麗な弧を描き壁にぶつかる。
これは、成功としかいいようがない。
意外と簡単じゃねぇか。こんなん得意ってそりゃ当たり前だろ。土方さんってやっぱ馬鹿だ。
再び投げようとした刹那、背後から声が聞こえた。
「おい、そこの嬢ちゃん」
背後から聞こえた声に振り返る。声の主は野球部の顧問をやっている生活指導の松平。
辺りを見回すが、俺と、そのおっさん以外誰もいない。
「嬢ちゃんって俺のことですかィ?」
「おう、そうだ。ちょっとおじちゃんについておいで~。大丈夫、変なことしないから」
「見るからに胡散臭いですけどねィ、あんた」
この先生がスケベな事はこの学校では有名だ。それに仕事は適度に手を抜いてるけれどいい先生なのだと土方さんからも聞いたことがある。
俺はこの人と会話した事がないから本当かどうかわからないけれど。
「お前野球やったほうがいいって。才能あるからよ。ちょっと時間くれな」
「なっ・・・!! 勝手に決めねぇでくだせェ!!」
「文句言ってんじゃねぇよ~。おじさんに逆らったら退学にするぞ?」
「そんな権限持ってねぇくせに。第一、俺は土方さん待って・・・」
「土方ならさっきからそこにいんぞ」
えっ。
と振り返れば、壁に寄りかかるようにして土方さんは立っていた。いつにも増しての無表情。
居たのなら言えばよかったのに。そうすりゃ、俺はこの人に捕まらずに済んだのに。馬鹿土方はどこまでも果てしなく馬鹿だ。
「じゃ、荷物持ってこい、土方。お前のポジション変えんぞ」
「はぁ!?何勝手なこと言ってんだよアンタ」
憤慨する土方さんを放り、松平はずんずん歩みを進める。
─────結局その日俺はピッチャーの座に無理矢理つかされ、土方さんはキャッチャーになった。
近藤さんは前からしつこく勧誘してきていたから、俺の入部、そしてピッチャーになったことを喜んでいた。
土方さんも、俺を目の敵にしたような態度をとっていたけれど、確かに喜んでくれていた。俺らは“ピッチャー”と“キャッチャー”である依然に餓鬼の頃からつるんでいたから直感的にわかった。
姉上も皆、幸せだったのに。
全てを狂わせた。
「・・・その日から土方さんと猛特訓して、三日後の試合で見事完封勝利をしたんでさァ。俺らのチーム」
「・・・すげぇな、お前。才能があってもその才能を活かせる奴なんてそういねぇよ。ついてんだな」
「そうですかねィ?」
運が良いのかもしれない。けれど、野球さえしてなければこんな理不尽な思い、胸に抱くことなんか無かったのに。馬鹿みたいにあの人との別れに執着し続けることなんて無かったのに。
結局のところ俺は運が良いわけじゃないんだ、全然。
「で、続きは?」
「言いやせんよ。あんたどうせ金あんま持ってねぇんだろィ? 甘味一品じゃ割が合わねぇや」
「しゃあねぇな・・・」
ぶつぶつと小言を耳に受けながら立ち上がる。
長話しすぎたようで見物してた人々はとっくに自分の練習に戻っていた。
「・・・よし、やりやすよ!」
旦那に話したことで、何故か知らないが胸がスゥッとした。
これからはもうちょっと真面目に野球に向き合えそうな、そんな気がする。
春が来たら俺の手元から何もかもが消えていた。
SIGNAL
一陣の風が青く茂る木を揺らした。サワサワと篭れ日がざわめき動き、目が少しチカチカする。
手元に何かが当たって視線をそっちに移すとあの人がくれたグローブだった。
─────楽しくなかったわけでは、ない。
俺が、試合で投げて完封勝利したと告げる度に姉上は笑顔で喜んでくれてたし、日々、色んな投げ方を教わって皆と練習するのはとても満ち足りていた。
でも、それも去年の冬までのこと。
「・・・・・・マウンドに、立つ度・・・ある人を思い出すんでさァ」
「ある人?」
「前に組んでたキャッチャーなんですけどねィ、あんたに被って見えて。・・・だから、あそこに立つのは好きじゃない。野球自体は好きですけどね、勿論」
「ふ~ん・・・」
軽い相槌を打ちながらも、目は続きを促す。
別に、俺の野球の始まりとか聞いても意味無いだろうと思うけれど、一歩も譲る気が無さそうで渋々、どう話そうか考える。
「・・・そのキャッチャーのこと話せばいいですかィ?」
「いや、全部ききてーなァ」
面倒くさいな、と溜め息を吐くと小さく笑われ、「話してくれたら甘味奢ってやるよ」と仕方がなさそうにそう言われ少し機嫌がよくなる。
─────全ての始まりは二年前。
「土方、って言うんですけどねィ、そのキャッチャー。そいつと俺と近藤さんは、幼馴染みってぇのかな。兎に角餓鬼の頃からよくつるんでたんでさァ。中学入ってからも、同じ委員会に入ってたんですけどねィ、部活だけ、別々だったんでさァ。俺が帰宅部で土方さんと近藤さんは野球部」
「・・・最初から入って無かったのか?」
「ええ。うちビンボーでしたし、姉上が少し病弱でして。留守中に何かあったら困るし部活とか面倒だし入らなかったんでさァ」
「へぇ・・・」
「・・・んで、中二の梅雨ぐらいかな。ちょうど今ぐらいの季節でこんな天気の、少し蒸し暑い日に、土方さんと帰ってたんですけど、あの人昇降口出た辺りで忘れ物したって言って荷物置いて取りに引き返しちまったんでさァ。・・・そんで、」
暇だった。
ほんの少しでも蒸し暑いのは昔から苦手で、じぃっとしてるとストレスで死ねるをじゃないか、そう思うぐらいだった。
何かして気を紛らわそうと思い、辺りを見回したらちょうど土方さんのボールとグローブが目についた。
流石に昇降口の真横で壁当ては危ないかと思い、少し裏に回ったところの壁に思いきりボールを投げつけた。バコォンと音を反響させ校舎に球をぶつけるのが意外と楽しくて、何度も繰り返して投げていたけど、やはり、飽きがくる。
そこで、“違う投げ方”にチャレンジしてみようと閃いた。
土日に試合があると必ず、土方さんに試合を観に来いっつわれてて、渋々毎回姉上と応援しに行っていた。それで、その時はまだピッチャーだった土方さんをよく見ていた。三年を押し退けてピッチャーの座についただけはある、見事な投球フォーム。カーブを得意とする土方さんはよくそれを使っていた。
見よう見まねで投げれるか。
ほんの興味を胸に、ボールの持ち方を変えてみる。
一呼吸して、ボールを壁に投げつけた。
─────俺の手から離れたそれは、綺麗な弧を描き壁にぶつかる。
これは、成功としかいいようがない。
意外と簡単じゃねぇか。こんなん得意ってそりゃ当たり前だろ。土方さんってやっぱ馬鹿だ。
再び投げようとした刹那、背後から声が聞こえた。
「おい、そこの嬢ちゃん」
背後から聞こえた声に振り返る。声の主は野球部の顧問をやっている生活指導の松平。
辺りを見回すが、俺と、そのおっさん以外誰もいない。
「嬢ちゃんって俺のことですかィ?」
「おう、そうだ。ちょっとおじちゃんについておいで~。大丈夫、変なことしないから」
「見るからに胡散臭いですけどねィ、あんた」
この先生がスケベな事はこの学校では有名だ。それに仕事は適度に手を抜いてるけれどいい先生なのだと土方さんからも聞いたことがある。
俺はこの人と会話した事がないから本当かどうかわからないけれど。
「お前野球やったほうがいいって。才能あるからよ。ちょっと時間くれな」
「なっ・・・!! 勝手に決めねぇでくだせェ!!」
「文句言ってんじゃねぇよ~。おじさんに逆らったら退学にするぞ?」
「そんな権限持ってねぇくせに。第一、俺は土方さん待って・・・」
「土方ならさっきからそこにいんぞ」
えっ。
と振り返れば、壁に寄りかかるようにして土方さんは立っていた。いつにも増しての無表情。
居たのなら言えばよかったのに。そうすりゃ、俺はこの人に捕まらずに済んだのに。馬鹿土方はどこまでも果てしなく馬鹿だ。
「じゃ、荷物持ってこい、土方。お前のポジション変えんぞ」
「はぁ!?何勝手なこと言ってんだよアンタ」
憤慨する土方さんを放り、松平はずんずん歩みを進める。
─────結局その日俺はピッチャーの座に無理矢理つかされ、土方さんはキャッチャーになった。
近藤さんは前からしつこく勧誘してきていたから、俺の入部、そしてピッチャーになったことを喜んでいた。
土方さんも、俺を目の敵にしたような態度をとっていたけれど、確かに喜んでくれていた。俺らは“ピッチャー”と“キャッチャー”である依然に餓鬼の頃からつるんでいたから直感的にわかった。
姉上も皆、幸せだったのに。
全てを狂わせた。
「・・・その日から土方さんと猛特訓して、三日後の試合で見事完封勝利をしたんでさァ。俺らのチーム」
「・・・すげぇな、お前。才能があってもその才能を活かせる奴なんてそういねぇよ。ついてんだな」
「そうですかねィ?」
運が良いのかもしれない。けれど、野球さえしてなければこんな理不尽な思い、胸に抱くことなんか無かったのに。馬鹿みたいにあの人との別れに執着し続けることなんて無かったのに。
結局のところ俺は運が良いわけじゃないんだ、全然。
「で、続きは?」
「言いやせんよ。あんたどうせ金あんま持ってねぇんだろィ? 甘味一品じゃ割が合わねぇや」
「しゃあねぇな・・・」
ぶつぶつと小言を耳に受けながら立ち上がる。
長話しすぎたようで見物してた人々はとっくに自分の練習に戻っていた。
「・・・よし、やりやすよ!」
旦那に話したことで、何故か知らないが胸がスゥッとした。
これからはもうちょっと真面目に野球に向き合えそうな、そんな気がする。
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