梅々
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冷たい温もり
銀沖(個人的)オフィシャルソング。
・まほろば○△
・・・ポルノグラフィティ
・甘いワナ
・・・宇多田ヒカル
・Hurry Xmas
・・・ラルク
今日思ったんですよ。ラルクのアルバム聞いてたら、プレゼント抱えて白い街をスキップしてる銀さんが。銀新でもいける。両方・・・?それじゃ両手に花だ(笑)
それじゃ百人一首。現代で。
・まほろば○△
・・・ポルノグラフィティ
・甘いワナ
・・・宇多田ヒカル
・Hurry Xmas
・・・ラルク
今日思ったんですよ。ラルクのアルバム聞いてたら、プレゼント抱えて白い街をスキップしてる銀さんが。銀新でもいける。両方・・・?それじゃ両手に花だ(笑)
それじゃ百人一首。現代で。
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
海の底の櫻色
声無き声は届くのだろうか。
大切な人へと。
「うわっ・・・激マズでさァ。舌がおかしくなりやすぜ、この味噌汁」
一口すすり、顔を歪め舌をべーっと出す、沖田の幼い仕草に顔をしかめ返し、土方は味噌汁を口に含んだ。
確かに、不味い。
今までで最低の出来だ。味噌を入れすぎたらしく、味が濃い。・・・隠し味にマヨを入れたのも原因かもしれない。マヨはやっぱトッピングに使うべきだ。
「・・・言葉の乱れを正せ。それでもお前は日本人か」
「それなら土方さんは性欲の乱れを正したらどうですかィ? 毎夜毎夜、女の人ンとこ行ってんだろィ?」
もきゅっもきゅっと沢庵を噛みながら、図星をさされ言葉がつまる。なんでこいつは、無表情で普通の会話の最中にこういう事を言えるのだろう。言いたいことをすらすら言えるのは、良いことだけど。
総悟が家へ来てから一ヶ月が経った。
それは則ち、総悟の姉─────ミツバが死んでから一ヶ月が経ったということだ。
彼女とは俺が勤めている大学で出会った。定期演奏会でピアノを弾く姿に一目惚れしてしまったのだと、目元を染め彼女は言っていたのを昨日のことのように鮮明に覚えている。実際、たった二、三ヶ月前の話なのだが。
俺が彼女の事を知ったのはそのもう少し後で、知り合い、休日や暇な時間を共にするようになった頃、同じ大学の違う学科に弟がいると紹介されたのが総悟だった。“神童”と、有名な一期生で、彼女と見た目が瓜二つなことに驚いた。だから、何処かで会ったような気がしていたのかと納得し、その弟の無口さに嫌われてるのか、はたまたただこういう性格なのか、とにかく付き合い辛そうな奴だと思った。
─────それが、同居することになるとは。
夢にも思わなかった。
「・・・姉上も浮かばれねぇでしょうねィ。あんたがこんなんじゃ」
「・・・うっせぇな」
「どうせ、姉上のこと忘れようと無理してんでしょ。そんなんするぐらいなら俺を追い出しゃいいのに」
「だから、違うっつってんだろ・・・」
確かに、ふとした瞬間、彼女が未だ傍に居るのだと錯覚しそうになる時はあるけれど、その所為で、って訳ではない。
ただ自分が弱い、だけ。
「─────たった、一ヶ月だけでしたね」
優しい声色に顔を見ると、寂しそうな笑みを浮かべていた。そんな表情が彼女のものと重なって見える。
たった、一ヶ月だけの、結婚生活。仁くそれは泡沫の日々だったけれど。
今までで、そしてこれから先も含めて一生の内で最も幸せな一ヶ月だった。誰も居ない、冷たく広いだけだった家は暖かく、燈を灯したように明るくなった。それは彼女の笑顔のお陰だったのだと思う。
未だこの家の所々に彼女の存在の欠片が溢れていて、歯ブラシやエプロン、スリッパ等が主の帰りを待つようにして残されている。
それを俺らは捨てられなくて、きっとこの家がある限り、永久にあり続けるのだ。
常に、胸の中に彼女が在り続ける為に。
「・・・時間なんざ関係ねぇだろ」
「嘘ばっか。もっと早く出会って、もっと早く告白して、もっと早くプロポーズしてりゃよかったって後悔しまくりじゃねぇですかィ」
顔に出てたのかと、そうしても仕方がないのに慌てて視線をそらす。小さく笑われたが気にせず、食器を下げる。
観察力があるというのも困りものだ。気付かれたくない本心は流石に気付かれないが、その周辺をかすめとるように、俺の言動の節々から感じとる。
それは本当に観察力が鋭いからというだけの理由だろうか?
「─────土方さん」
「うぉわっ・・・!!」
背後からいきなり聞こえた声に勢いよく背が跳ねる。何だと、返事しつつ振り返ると珍しく茶碗を下げにきていた。
本当、珍しい。
「何だよ」
「・・・俺、やっぱ出てきやしょうか」
「ハァ?」
何故そんなことを言うのかわからず、半ば裏返り気味な声で聞き返すと、戸惑ったような、滅多に見せない表情で狼狽した。
つられて俺まで少し狼狽する。何か変なこと聞いたか? ・・・いや、特別変わった事を聞いた訳ではない。それなのに何故こんなにも?
「俺、いねぇ方がいいでしょう」
「・・・味噌汁そんなに不味かったか? もうマヨいれねぇから許せよ」
「あんたそんなモンいれたんですかィ? 脳にマヨが回っちまってんじゃねぇの?」
「酷い言い様だな、てめぇ・・・。マヨが脳にいくなんざ人間の体の構造上有り得ねぇだろ。・・・・・・味噌汁の事じゃねぇのか?」
てっきりそのことだと思ったのだが。反応からして違うらしい。
それならば、ただ単に俺と居るのが嫌なだけか? だが、もしそうならば此所へ来るかと尋ねた時に断っていた筈だ。
思い当たるものなど、何も無い。
此所にはミツバの温もりが残っている。その上、総悟に行くアテなんざ無い。
「別に、あんたがいいならいいでさァ。忘れなせェ」
真摯な瞳で睨むように見上げられ、つい、頷いてしまった。─────これじゃ理由なんざ聞けやしない。
だが、いいか。
食器を水に浸し、総悟の後に続き居間へと戻る。好きな番組が始まったのかテレビの前、身動きもしない背中に哀愁が漂ってる気がして、もしかしたら自分も同じように哀愁漂ってんじゃないかと気になった。
─────欠けた心は独りでは直ぐに治せない。
だから・・・・・・寄り添い合うのだ、人間は。
#83
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
海の底の櫻色
声無き声は届くのだろうか。
大切な人へと。
「うわっ・・・激マズでさァ。舌がおかしくなりやすぜ、この味噌汁」
一口すすり、顔を歪め舌をべーっと出す、沖田の幼い仕草に顔をしかめ返し、土方は味噌汁を口に含んだ。
確かに、不味い。
今までで最低の出来だ。味噌を入れすぎたらしく、味が濃い。・・・隠し味にマヨを入れたのも原因かもしれない。マヨはやっぱトッピングに使うべきだ。
「・・・言葉の乱れを正せ。それでもお前は日本人か」
「それなら土方さんは性欲の乱れを正したらどうですかィ? 毎夜毎夜、女の人ンとこ行ってんだろィ?」
もきゅっもきゅっと沢庵を噛みながら、図星をさされ言葉がつまる。なんでこいつは、無表情で普通の会話の最中にこういう事を言えるのだろう。言いたいことをすらすら言えるのは、良いことだけど。
総悟が家へ来てから一ヶ月が経った。
それは則ち、総悟の姉─────ミツバが死んでから一ヶ月が経ったということだ。
彼女とは俺が勤めている大学で出会った。定期演奏会でピアノを弾く姿に一目惚れしてしまったのだと、目元を染め彼女は言っていたのを昨日のことのように鮮明に覚えている。実際、たった二、三ヶ月前の話なのだが。
俺が彼女の事を知ったのはそのもう少し後で、知り合い、休日や暇な時間を共にするようになった頃、同じ大学の違う学科に弟がいると紹介されたのが総悟だった。“神童”と、有名な一期生で、彼女と見た目が瓜二つなことに驚いた。だから、何処かで会ったような気がしていたのかと納得し、その弟の無口さに嫌われてるのか、はたまたただこういう性格なのか、とにかく付き合い辛そうな奴だと思った。
─────それが、同居することになるとは。
夢にも思わなかった。
「・・・姉上も浮かばれねぇでしょうねィ。あんたがこんなんじゃ」
「・・・うっせぇな」
「どうせ、姉上のこと忘れようと無理してんでしょ。そんなんするぐらいなら俺を追い出しゃいいのに」
「だから、違うっつってんだろ・・・」
確かに、ふとした瞬間、彼女が未だ傍に居るのだと錯覚しそうになる時はあるけれど、その所為で、って訳ではない。
ただ自分が弱い、だけ。
「─────たった、一ヶ月だけでしたね」
優しい声色に顔を見ると、寂しそうな笑みを浮かべていた。そんな表情が彼女のものと重なって見える。
たった、一ヶ月だけの、結婚生活。仁くそれは泡沫の日々だったけれど。
今までで、そしてこれから先も含めて一生の内で最も幸せな一ヶ月だった。誰も居ない、冷たく広いだけだった家は暖かく、燈を灯したように明るくなった。それは彼女の笑顔のお陰だったのだと思う。
未だこの家の所々に彼女の存在の欠片が溢れていて、歯ブラシやエプロン、スリッパ等が主の帰りを待つようにして残されている。
それを俺らは捨てられなくて、きっとこの家がある限り、永久にあり続けるのだ。
常に、胸の中に彼女が在り続ける為に。
「・・・時間なんざ関係ねぇだろ」
「嘘ばっか。もっと早く出会って、もっと早く告白して、もっと早くプロポーズしてりゃよかったって後悔しまくりじゃねぇですかィ」
顔に出てたのかと、そうしても仕方がないのに慌てて視線をそらす。小さく笑われたが気にせず、食器を下げる。
観察力があるというのも困りものだ。気付かれたくない本心は流石に気付かれないが、その周辺をかすめとるように、俺の言動の節々から感じとる。
それは本当に観察力が鋭いからというだけの理由だろうか?
「─────土方さん」
「うぉわっ・・・!!」
背後からいきなり聞こえた声に勢いよく背が跳ねる。何だと、返事しつつ振り返ると珍しく茶碗を下げにきていた。
本当、珍しい。
「何だよ」
「・・・俺、やっぱ出てきやしょうか」
「ハァ?」
何故そんなことを言うのかわからず、半ば裏返り気味な声で聞き返すと、戸惑ったような、滅多に見せない表情で狼狽した。
つられて俺まで少し狼狽する。何か変なこと聞いたか? ・・・いや、特別変わった事を聞いた訳ではない。それなのに何故こんなにも?
「俺、いねぇ方がいいでしょう」
「・・・味噌汁そんなに不味かったか? もうマヨいれねぇから許せよ」
「あんたそんなモンいれたんですかィ? 脳にマヨが回っちまってんじゃねぇの?」
「酷い言い様だな、てめぇ・・・。マヨが脳にいくなんざ人間の体の構造上有り得ねぇだろ。・・・・・・味噌汁の事じゃねぇのか?」
てっきりそのことだと思ったのだが。反応からして違うらしい。
それならば、ただ単に俺と居るのが嫌なだけか? だが、もしそうならば此所へ来るかと尋ねた時に断っていた筈だ。
思い当たるものなど、何も無い。
此所にはミツバの温もりが残っている。その上、総悟に行くアテなんざ無い。
「別に、あんたがいいならいいでさァ。忘れなせェ」
真摯な瞳で睨むように見上げられ、つい、頷いてしまった。─────これじゃ理由なんざ聞けやしない。
だが、いいか。
食器を水に浸し、総悟の後に続き居間へと戻る。好きな番組が始まったのかテレビの前、身動きもしない背中に哀愁が漂ってる気がして、もしかしたら自分も同じように哀愁漂ってんじゃないかと気になった。
─────欠けた心は独りでは直ぐに治せない。
だから・・・・・・寄り添い合うのだ、人間は。
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