梅々
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卯月
昨日の銀魂に出てきたハチだっけか?が好きです。沖ハチ的な(笑)
江戸っこッスよ、江戸っこ。あの二人が仲良く雑談してるとか面白そう。・・・やっぱ王子は受けかな・・・。いや、嘘嘘。冗談。江戸っこっていいよね。
それじゃあ百人一首で三角関係。
江戸っこッスよ、江戸っこ。あの二人が仲良く雑談してるとか面白そう。・・・やっぱ王子は受けかな・・・。いや、嘘嘘。冗談。江戸っこっていいよね。
それじゃあ百人一首で三角関係。
誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに
一掬いの恋心
この手にしたいと、求めるものは一つだけ。
「あっ、居る」
「・・・旦那、また来たんですかィ」
そんな、煩わしそうな目を向けられても、ちっとも嬉しくない。どうせなら、微笑でもいいから笑みを見せて欲しい。と、言ったところであまり変化はなく、鼻で笑われるのがオチだ。
大通りの喧騒から離れたこの甘味処を、見つけてから毎日通いつめている。ただでさえ空に近い財布の中身は数えてて泣けてくる程に少ない。
それでも、此処に、君がいつも来るから─────。
「人生相談、愚痴聞き、上司の暗殺計画・・・今日もなんかねぇ?」
「・・・また財布忘れたんで?」
ハァ、と溜め息をつく沖田の隣に腰掛ける。ギシッと、椅子が軋む。
店内に向けて一皿追加! と叫び、俺らの間に置いてある皿から団子を一本取る。
茶を待ちきれない、といった体を装い、覚めて半分程しかない茶を一口すする。さりげなく、間接キスを試みてみた。
「あっ、それ俺の!!」
文句を言っても、その事に気付いた気配はない。よし、とばれないように軽くガッツポーズして、人間ちっせぇなと憂鬱になる。
この、少女漫画に出てくる甘い恋心のような気持ちが、バレる事も叶う事も無いと、分かっているし、ばれても、叶われても困る。手に入れたいと思っているし、晴れて・・・ということになったら天に昇れる程嬉しいが、現実はパフェみたく甘くないのだ。それに、そう易々と手に入ってしまっても、面白みがない。
「・・・聞いて下せぇよ、土方さんがまた変なモン買ってきたんでさァ」
「今度は何を?」
「・・・ティッシュカバーを」
そりゃ変だ。なんつー選択だ。
財布、万年筆、ハンカチ、懐中時計、匂袋・・・。他にもいろいろと貰ったが、忘れたらしい。あのニコチン中毒が、朝帰りするたび買ってくるのだそうだ。まるで彼女のご機嫌取りのようだと、沖田はふざけて笑っていたが、アイツからしたらまさしくその通りなのだろう。
気付いてないのは本人と、ゴリラぐらいなものだ。馬鹿みたいにアイツは(そして俺も)、視線は釘付けになっているってのに、笑えるくらい気付かない。
素でそうなのか、作戦なのか。
「・・・変な人ですよねィ、土方さんも─────あんたも」
「・・・そうかぁ? 銀さんは健全でフツーの成人男性なんだけど?」
「・・・自分で言いやせんよ、フツーなら」
ふっと溢れた笑みに目を奪われる。網膜に焼き付けようとぎゅっと瞼を閉じる。
・・・・・・よし、インプット完了。これで二日ぐらい会わなくても平気だ、とはいいつつも、どうせ明日も来るのだろうけど。
「・・・沖田君て好きな人いんの?」
「えっ、俺? まさかァ、いるわけねぇでしょう」
なんて、自然に返すけれど。
所詮俺は論外なのだ。
二人の間には熟年夫婦みたいな何にも壊されない無敵な絆があって、それは俺がふらりと立ち入れるような、生温いものではない。これもまた、当事者は全く気付いてないけれど。
「旦那はいるんですかィ?」
「・・・。さぁ、どーだろーな?」
アイツよか先に言えたら、可能性は上がるのだろう。けれど、言えるわけもない。“引き裂く”ってのも面白そうだが、それもな、と躊躇われる。
「総悟っ!!」
遠くから聞こえた声に、隣の肩がびくりと震え、何で此処に、とでもいうように目を見開く。溢れ落ちそうな赤い色の瞳を横から眺め、少々おかんむりな“鬼の副長”さんに視線を移す。
嫉妬でもしてるんだろう、ギロリと睨まれ、苦笑を漏すとハッと隣の肩が再び揺れる。
「・・・どうして、此処が?」
「勘だ」
動揺してるような声に返されたのは鋭い声で、俺に嫉妬してんのに何も沖田君に当たらなくても、と思う。それを見透かしたようにジロリときつく一瞥をくらう。
「帰んぞ」
「・・・・・・へ~い」
逆らわない方がいいと判断したのか素直に従い、椅子を軋ませ立ち上がる。
小さな溜め息が耳に届いた。
「・・・団子、食っていいですぜ。土方さんが金払ってくれやすから」
「何言ってんだ、」
「いいじゃねぇですかィ。あんた金持ってんだから」
「・・・」
渋々、土方は今まで沖田が座っていた場所に代金を置いた。軽く俺を睨みつけ、土方は沖田の手首を掴み、足早に去っていく。
「じゃあ、旦那」
「おう、じゃーなー」
軽く手を降り、はぁ、と溜め息を吐く。
もしも、なんて今更考えても仕方がない。けれど、考えてしまう。今、言っていたら、と。大事な時に大事な事を言えない、そんな自分が恨めしい。
二度目の溜め息は、重く暗いアスファルトに飲み込まれていった。
#34
松も昔の 友ならなくに
一掬いの恋心
この手にしたいと、求めるものは一つだけ。
「あっ、居る」
「・・・旦那、また来たんですかィ」
そんな、煩わしそうな目を向けられても、ちっとも嬉しくない。どうせなら、微笑でもいいから笑みを見せて欲しい。と、言ったところであまり変化はなく、鼻で笑われるのがオチだ。
大通りの喧騒から離れたこの甘味処を、見つけてから毎日通いつめている。ただでさえ空に近い財布の中身は数えてて泣けてくる程に少ない。
それでも、此処に、君がいつも来るから─────。
「人生相談、愚痴聞き、上司の暗殺計画・・・今日もなんかねぇ?」
「・・・また財布忘れたんで?」
ハァ、と溜め息をつく沖田の隣に腰掛ける。ギシッと、椅子が軋む。
店内に向けて一皿追加! と叫び、俺らの間に置いてある皿から団子を一本取る。
茶を待ちきれない、といった体を装い、覚めて半分程しかない茶を一口すする。さりげなく、間接キスを試みてみた。
「あっ、それ俺の!!」
文句を言っても、その事に気付いた気配はない。よし、とばれないように軽くガッツポーズして、人間ちっせぇなと憂鬱になる。
この、少女漫画に出てくる甘い恋心のような気持ちが、バレる事も叶う事も無いと、分かっているし、ばれても、叶われても困る。手に入れたいと思っているし、晴れて・・・ということになったら天に昇れる程嬉しいが、現実はパフェみたく甘くないのだ。それに、そう易々と手に入ってしまっても、面白みがない。
「・・・聞いて下せぇよ、土方さんがまた変なモン買ってきたんでさァ」
「今度は何を?」
「・・・ティッシュカバーを」
そりゃ変だ。なんつー選択だ。
財布、万年筆、ハンカチ、懐中時計、匂袋・・・。他にもいろいろと貰ったが、忘れたらしい。あのニコチン中毒が、朝帰りするたび買ってくるのだそうだ。まるで彼女のご機嫌取りのようだと、沖田はふざけて笑っていたが、アイツからしたらまさしくその通りなのだろう。
気付いてないのは本人と、ゴリラぐらいなものだ。馬鹿みたいにアイツは(そして俺も)、視線は釘付けになっているってのに、笑えるくらい気付かない。
素でそうなのか、作戦なのか。
「・・・変な人ですよねィ、土方さんも─────あんたも」
「・・・そうかぁ? 銀さんは健全でフツーの成人男性なんだけど?」
「・・・自分で言いやせんよ、フツーなら」
ふっと溢れた笑みに目を奪われる。網膜に焼き付けようとぎゅっと瞼を閉じる。
・・・・・・よし、インプット完了。これで二日ぐらい会わなくても平気だ、とはいいつつも、どうせ明日も来るのだろうけど。
「・・・沖田君て好きな人いんの?」
「えっ、俺? まさかァ、いるわけねぇでしょう」
なんて、自然に返すけれど。
所詮俺は論外なのだ。
二人の間には熟年夫婦みたいな何にも壊されない無敵な絆があって、それは俺がふらりと立ち入れるような、生温いものではない。これもまた、当事者は全く気付いてないけれど。
「旦那はいるんですかィ?」
「・・・。さぁ、どーだろーな?」
アイツよか先に言えたら、可能性は上がるのだろう。けれど、言えるわけもない。“引き裂く”ってのも面白そうだが、それもな、と躊躇われる。
「総悟っ!!」
遠くから聞こえた声に、隣の肩がびくりと震え、何で此処に、とでもいうように目を見開く。溢れ落ちそうな赤い色の瞳を横から眺め、少々おかんむりな“鬼の副長”さんに視線を移す。
嫉妬でもしてるんだろう、ギロリと睨まれ、苦笑を漏すとハッと隣の肩が再び揺れる。
「・・・どうして、此処が?」
「勘だ」
動揺してるような声に返されたのは鋭い声で、俺に嫉妬してんのに何も沖田君に当たらなくても、と思う。それを見透かしたようにジロリときつく一瞥をくらう。
「帰んぞ」
「・・・・・・へ~い」
逆らわない方がいいと判断したのか素直に従い、椅子を軋ませ立ち上がる。
小さな溜め息が耳に届いた。
「・・・団子、食っていいですぜ。土方さんが金払ってくれやすから」
「何言ってんだ、」
「いいじゃねぇですかィ。あんた金持ってんだから」
「・・・」
渋々、土方は今まで沖田が座っていた場所に代金を置いた。軽く俺を睨みつけ、土方は沖田の手首を掴み、足早に去っていく。
「じゃあ、旦那」
「おう、じゃーなー」
軽く手を降り、はぁ、と溜め息を吐く。
もしも、なんて今更考えても仕方がない。けれど、考えてしまう。今、言っていたら、と。大事な時に大事な事を言えない、そんな自分が恨めしい。
二度目の溜め息は、重く暗いアスファルトに飲み込まれていった。
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