梅々
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鳥の羽
今日Coccoを熱唱し音痴なのを自らアピールしてしまったたわけですこんばんは。
他にもラルクとかアリプロとか熱唱し燃え付きました。四人で六時間半・・・。すごいね。
それじゃ昨日の続き。
他にもラルクとかアリプロとか熱唱し燃え付きました。四人で六時間半・・・。すごいね。
それじゃ昨日の続き。
手を伸ばしたら触れられる。
触れた途端壊れる硝子細工の月のような、儚さに躊躇われるだけで。誰にも壊されないよう、籠に閉じ込めて愛でたい。
氷のように冷たい温もりに抱かれて
本当は止めて欲しくなんか無かった。あの時、俺はずっと罵られていたかった。
別に被虐されたいとかそういうノリなわけじゃない。俺はドSらしいし。
ただ、あのままならば俺は死ねてた気がするから。・・・生きてる価値なんか無いのだし、そうして欲しかった。
だから、そういう機会を待っているのに全く、あの日から一ヶ月近く経つけど不自然な程何もない。平穏が何よりもいいとは思う。でも、今は誰かテロとか事件を起こしてくれないだろうか、そんな気分だ。
月が綺麗だ。
見惚れて散歩していると、気付けば河原に着いた。今日は非番だしどうせ明日も何もないだろうからこのまま帰らなくてもいいなと、年中無休で枯れない雑草の上に腰を下ろした。
瞼が重い。本来ながら既に寝入ってる時間で、こんなに起きてるのは珍しいと自分でも思う。そこまで今日の月は格段と美しかったのか、というとそうでもない、いつものように黄色く、少し欠けた月だ。
でも何故か、光輝くのが普段より神々しく感じて。
『怖や怖や。子どもが一人消えるよ。鍵かけて布団の中で脅えてな。お月様に連れてかれるよ・・・・・・』
ふと、近所の廃屋に住んでた御婆さんがよく歌っていた歌を思い出した。物騒な歌を歌っていた所為で皆には嫌われていたけど、俺は好きだった。
あの人も、俺の目の前で知んでしまったけど。
『・・・大丈夫か!?』
昨日、不注意で皿を落としたらいつもより大袈裟な程心配されて、土方さん喋ったんだろーな、とぼんやり思った。心配、掛けさせたくなかったから言わなかったのにあの人が言っちゃったら意味ないじゃないか。
誰よりも優しいから、近藤さんは俺を求めてくれる。
必要とされるように、餓鬼の頃から必死に稽古してたけどそんな努力しなくてもあの人なら何もない俺でも手元に置いといてくれただろう。
こんな時間なのに走る足音が聞こえてきた。段々と近付いてくる、土を踏む下駄の音、小さいけれど荒い呼吸も耳に届く。そういえば、俺は耳がいいらしい。そのおかげで誉められたことが数度ある。
「総悟!」
いきなり止まった足音に続いて名を呼ばれ反射で肩が揺れる。
・・・予想外の声でもあり予想通りの声でもある。嬉しいような嬉しくないような。
「・・・土方さん」
振り返れば土手の上に黒い着流しを少し乱した土方さんが立っていた。
何のため走ったのだろう。放っといても俺には彼処しか帰る場所は無いのに。
「・・・夜遅ェんだから出歩くな」
最近、無駄な程気にかけられてる。二人して余計に優しいからそれがおかしくて堪らない。
優しさなんて望んでないのにくれるから。
「月、綺麗ですぜ」
「・・・だな。行くぞ」
言うと同時に今来た方向に歩き出す。
連れ帰りに来たくせに先に行くのは変だろ、と思いながら土手をのぼりあとに続く。
さっぱりと後ろ髪切ったのは姉上を諦めるため。
一瞬束ねた黒髪が揺れているように見えて目を擦った。もう二度と髪を伸ばさないのだろう。綺麗な髪してるけど、うざったいし。
「・・・髪、伸ばそうかな」
「ハァ!?お前何言ってんだ。寝言は寝て言え」
冗談言っただけなのに歩を止め振り向いてまで否定され唖然とする。
止められると、敢えてやりたくなるのが俺で。
「そう言われるとやりたくなりやすねィ。後ろで結わえるぐらい伸ばしてみてぇなァ・・・」
「止めろ止めろ。女に間違われんぞ」
「そんなことありやせん」
否定はしたけど想像してみたら確かに後ろ姿は女に見えそうだと思った。土方さんは、どこから見ても粋な男に見えたのに。
幼心にも憧れていたのを憶えている。髪が短くても屋台とかで『お嬢ちゃん』とか言われていたから腹立ち紛れに後ろ髪引っ張った記憶がある。
「・・・土方さん」
「何だ?」
返事と一緒に煙が空に溶けこむ。ぼやけ、やがて消える灰色に見惚れた俺を怪訝そうに振り返る土方さんは出会った頃から表情のボキャブラリーが乏しかった。
無表情、怒ってる、悪役みたく笑う、映画に感動して泣く・・・。それぐらいしかない。
それなのに、些細な事まで分かってしまう。
「・・・バーカ」
「んだと?」
ゴツッ。
軽く殴られるけど全然痛くない。戯れてる、そんな感じだ。
「・・・酒呑みやせんか?久々に」
「これからかよ?」
「ええ」
酒の力を借りなきゃ言えないなんて、どんだけ女々しいんだろうと思う。それでも、頼めるのはこの人しかいない。
―――――壊して、と。
マゾじゃないから自分で自分を痛めつけるなんて出来ない。
「土方さん死ね」
「いきなり何だよ」
「・・・なんとなく」
わかってる。これはただの甘えなのだと。
土方さんさえいなければ俺は誰にも甘えず(近藤さんは別として)生きていけただろうに。
存在が、俺を駄目にする。
触れた途端壊れる硝子細工の月のような、儚さに躊躇われるだけで。誰にも壊されないよう、籠に閉じ込めて愛でたい。
氷のように冷たい温もりに抱かれて
本当は止めて欲しくなんか無かった。あの時、俺はずっと罵られていたかった。
別に被虐されたいとかそういうノリなわけじゃない。俺はドSらしいし。
ただ、あのままならば俺は死ねてた気がするから。・・・生きてる価値なんか無いのだし、そうして欲しかった。
だから、そういう機会を待っているのに全く、あの日から一ヶ月近く経つけど不自然な程何もない。平穏が何よりもいいとは思う。でも、今は誰かテロとか事件を起こしてくれないだろうか、そんな気分だ。
月が綺麗だ。
見惚れて散歩していると、気付けば河原に着いた。今日は非番だしどうせ明日も何もないだろうからこのまま帰らなくてもいいなと、年中無休で枯れない雑草の上に腰を下ろした。
瞼が重い。本来ながら既に寝入ってる時間で、こんなに起きてるのは珍しいと自分でも思う。そこまで今日の月は格段と美しかったのか、というとそうでもない、いつものように黄色く、少し欠けた月だ。
でも何故か、光輝くのが普段より神々しく感じて。
『怖や怖や。子どもが一人消えるよ。鍵かけて布団の中で脅えてな。お月様に連れてかれるよ・・・・・・』
ふと、近所の廃屋に住んでた御婆さんがよく歌っていた歌を思い出した。物騒な歌を歌っていた所為で皆には嫌われていたけど、俺は好きだった。
あの人も、俺の目の前で知んでしまったけど。
『・・・大丈夫か!?』
昨日、不注意で皿を落としたらいつもより大袈裟な程心配されて、土方さん喋ったんだろーな、とぼんやり思った。心配、掛けさせたくなかったから言わなかったのにあの人が言っちゃったら意味ないじゃないか。
誰よりも優しいから、近藤さんは俺を求めてくれる。
必要とされるように、餓鬼の頃から必死に稽古してたけどそんな努力しなくてもあの人なら何もない俺でも手元に置いといてくれただろう。
こんな時間なのに走る足音が聞こえてきた。段々と近付いてくる、土を踏む下駄の音、小さいけれど荒い呼吸も耳に届く。そういえば、俺は耳がいいらしい。そのおかげで誉められたことが数度ある。
「総悟!」
いきなり止まった足音に続いて名を呼ばれ反射で肩が揺れる。
・・・予想外の声でもあり予想通りの声でもある。嬉しいような嬉しくないような。
「・・・土方さん」
振り返れば土手の上に黒い着流しを少し乱した土方さんが立っていた。
何のため走ったのだろう。放っといても俺には彼処しか帰る場所は無いのに。
「・・・夜遅ェんだから出歩くな」
最近、無駄な程気にかけられてる。二人して余計に優しいからそれがおかしくて堪らない。
優しさなんて望んでないのにくれるから。
「月、綺麗ですぜ」
「・・・だな。行くぞ」
言うと同時に今来た方向に歩き出す。
連れ帰りに来たくせに先に行くのは変だろ、と思いながら土手をのぼりあとに続く。
さっぱりと後ろ髪切ったのは姉上を諦めるため。
一瞬束ねた黒髪が揺れているように見えて目を擦った。もう二度と髪を伸ばさないのだろう。綺麗な髪してるけど、うざったいし。
「・・・髪、伸ばそうかな」
「ハァ!?お前何言ってんだ。寝言は寝て言え」
冗談言っただけなのに歩を止め振り向いてまで否定され唖然とする。
止められると、敢えてやりたくなるのが俺で。
「そう言われるとやりたくなりやすねィ。後ろで結わえるぐらい伸ばしてみてぇなァ・・・」
「止めろ止めろ。女に間違われんぞ」
「そんなことありやせん」
否定はしたけど想像してみたら確かに後ろ姿は女に見えそうだと思った。土方さんは、どこから見ても粋な男に見えたのに。
幼心にも憧れていたのを憶えている。髪が短くても屋台とかで『お嬢ちゃん』とか言われていたから腹立ち紛れに後ろ髪引っ張った記憶がある。
「・・・土方さん」
「何だ?」
返事と一緒に煙が空に溶けこむ。ぼやけ、やがて消える灰色に見惚れた俺を怪訝そうに振り返る土方さんは出会った頃から表情のボキャブラリーが乏しかった。
無表情、怒ってる、悪役みたく笑う、映画に感動して泣く・・・。それぐらいしかない。
それなのに、些細な事まで分かってしまう。
「・・・バーカ」
「んだと?」
ゴツッ。
軽く殴られるけど全然痛くない。戯れてる、そんな感じだ。
「・・・酒呑みやせんか?久々に」
「これからかよ?」
「ええ」
酒の力を借りなきゃ言えないなんて、どんだけ女々しいんだろうと思う。それでも、頼めるのはこの人しかいない。
―――――壊して、と。
マゾじゃないから自分で自分を痛めつけるなんて出来ない。
「土方さん死ね」
「いきなり何だよ」
「・・・なんとなく」
わかってる。これはただの甘えなのだと。
土方さんさえいなければ俺は誰にも甘えず(近藤さんは別として)生きていけただろうに。
存在が、俺を駄目にする。
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