梅々
苑咲早良が運営する銀魂BL小説サイトです。 心意気は18禁。 著作権的な何かは放棄していません。マナーは守ってください。 メールフォームやコメント欄は下にありますので、何かございましたらお気軽にご使用ください。感想とか頂ければ舞い上がります! 不定期更新な別館を作成しました。ミツバさん愛してる! 気が向いたらお越しください→http://tokosienoai.dou-jin.com/
片付け中
アンケート結果を参考にしつつカテゴリ分けの最中です。07年9月の途中まで、カテゴリ分け終わったのですが、色々と。
長編のカテゴリは18禁に直します。あと、これいつか続きを!ってやつもいれておきます。全部が全部18禁ではありませんが、一話は長編カテゴリ、二話は18禁、と分けたら読みづらいので。
あと18禁カテゴリは小ネタも含みます。
銀魂はその他です。銀新、沖楽、その他沖田受け。
カテゴリしててすごく恥ずかしかったです。四年前?2007年。そんな昔のを改めて見直すとひーっとなります。
あ、カテゴリ分け、こんな分け方は?というのがあったらよろしくお願いします!なるべく読みやすくなるようにしたいので。
では、ひめはじめ一段落!
次こそひめはじめですね。
その前に沖土でも書きたいです。
長編のカテゴリは18禁に直します。あと、これいつか続きを!ってやつもいれておきます。全部が全部18禁ではありませんが、一話は長編カテゴリ、二話は18禁、と分けたら読みづらいので。
あと18禁カテゴリは小ネタも含みます。
銀魂はその他です。銀新、沖楽、その他沖田受け。
カテゴリしててすごく恥ずかしかったです。四年前?2007年。そんな昔のを改めて見直すとひーっとなります。
あ、カテゴリ分け、こんな分け方は?というのがあったらよろしくお願いします!なるべく読みやすくなるようにしたいので。
では、ひめはじめ一段落!
次こそひめはじめですね。
その前に沖土でも書きたいです。
終わらないで、終わらせないで
続かせて
息絶えるまで
シンデレラデー
いっそ憎めたら。幾度となくそう思ったことがある。こんな感情、邪魔なだけであっても誰も幸福にならない。寧ろ、不幸にするばかりだ。だから、土方は不毛なものを断ち切る契機として想いを告げたのかもしれない。それがこうして受け入れられて、きっともう、意図的に断ち切るのは至難の業だ。
もっと、自分の感情は思いのままに封じることができると思っていた。武州にいたあの頃よりは成長し、不本意で嫌悪するものにも我慢することを覚え、仕事のために感情を消すのも慣れた。
だが、それはあくまで仕事の上でのことだったと土方は気付く。
風にさわさわ枯れた音を立て木は揺れ、木漏れ日が沖田に光を当てては影を作る。年明けはあまり寒くないでしょう、天気予報ではそう言っていたが寒さが足元から這い上がり、目前の沖田がぶるり、身震いした。
「今年はあいつか」
「・・・なにがですかィ」
「てめぇが付き合うのがだよ」
もう、口出しできる立場でないのだが。開口一番、音に乗せて逃げた言葉は沖田を非難するようなものだった。こんなことなら縋りついた方が良かったのかもしれない。昨日の内に、未練がましく腕にとらえたまま。もし昨日に戻れたとして、実際にそんなこと、土方はしないだろうが。
何の反応のない沖田は俯いたままだ。冷たい風に金糸のような髪が遊ばれて、撫でたいと土方の指がぴくりと動いた。
「・・・っそうだったとして、アンタに関わりないんじゃありやせんか」
どの口がそう言う、落ち着いていたものがまた、爆発しかけて沖田の腕を掴む。ハッと、顔を上げた沖田の表情に土方は、息を飲んだ。
珍しく沖田が大切にしていたものがあった。愛着がわいたとして、それが気の迷いとでも言えそうなぐらい短い沖田が、唯一長い間精を注いだものが。
近藤が取ってきた金魚だった。金魚すくいの土産で袋に入った小さなそれを沖田は大事に大事に育てていた。まだ江戸へ出てきたばかりのことだったから、沖田の心の拠り所になったのかもしれなかった。とりあえず沖田は、屯所にいる間はそれの傍にいた。金魚なんてすぐに死ぬものだと土方は思っていた。土方の記憶では、幼い頃夏にとった金魚は大抵冬には死んだ。それが、一夏を過ぎ冬を迎えてもパクパク口を開けて泳いでいた。
土方にはどうでも良いことだった。沖田が金魚を飼っていたことも、その金魚は実は自分が取ったものだったことも、ある日突然、死んでいたことも。なのにそんな、今まで忘れていたことを思い出したのは沖田の所為だ。
金魚が死んだ、朝と同じ顔をしている。あれが沖田の傷ついた表情を見た初めてのことだった。
「俺をそんな、尻軽女みてぇにアンタは思ってたんですか」
「てめぇは俺を、裏で嘲笑ってたんじゃねぇのかよ」
「あっきれた。ヘタレだとは思ってやしたがそんなにまでなよなよした女々しい男だったんですかィ。馬鹿みてぇ」
「あんだと? どう意味だ」
傷ついて見せたかと思えば怒気を孕んだ声で罵る。それにつられて思ってもない言葉が弾丸のように飛び出すのが土方には分かる。被害妄想が好きなわけでなければ沖田が、そんな人間ではないのも確かに分かっている。
サクサクと、小気味良い音をたてて心臓にナイフを突き立てられているようだ。否、ナイフを握っているのは自分自身かもしれない。
「あんとき頷かなけりゃ良かった! こうなんなら、いっそ、っ!」
聞きたくない言葉に耳を塞ぐよりも口を塞ぐことを選び、雨のように、鋭利な刃ばかり生み出すそれに蓋をする。
いっそ、頷かなければ良かった。そんな後悔、していたとして耳にする勇気はない。土方にとって、去年一年はあの夕焼けの似合う懐かしい頃と同じように、忘れられない大事なものになるはずであり、それを、後悔してほしくはない。他ならぬ沖田が、無かったことを望むものを、大切になどできやしない。これは、自己満足のためだ。
小刻みに震える肩を掴む力を優しくする。これでは本当に、救いようのない自己中心的な人間だ。沖田を大事にしたいと思っているのに。責められて非難されても仕方がない。沖田が、そうすることで楽になるのなら。
「・・・頼むから、それだけは言うな。もう、干渉しねぇから」
「なら、言いまさァ。俺はアンタがどんなに姉上を大事に思ってるか知ってる。姉上が、どんなにアンタを大事に思ってたかも」
痛々しい表情で、今にも泣くんじゃないかという表情で、土方の胸ぐらを掴みながら沖田は言う。
郷愁とともに、懐かしい芳香りを思い出す。ミツバの、持っていた匂袋の匂いだ。果てしなく優しい、桜の香り。
優しく笑う、彼女を恋慕しているのは今でも変わらない。眩しい初恋だ。咲くことのない。それとは、形は違うが同じように土方は沖田を想っている。
「姉上はアンタの腕の温かさも知らないのに、俺がそれ以上を知るなんて」
「総悟、」
「だから俺は、」
一年だけと、心に決めて。
手が離れていき、自嘲めいた笑みを沖田が浮かべる。女々しいのは俺だと、小さく呟いた。
「・・・いつもは図太いくせによ」
「図太いのは土方さんの神経でさ」
「知ってるよ」
頬を撫で、頭を撫でる。日の当たっていたそこは仄かな温もりがあり、柔らかい髪が吸い付くように手に馴染む。
ミツバが藤壺なら沖田は紫の上だ、土方にとって。一つ違うのは、沖田がミツバの代わりなどでは決してないことだ。光源氏が無理なように、土方が二人を幸せにできるはずがない。
だけど、だからこそ。
「今年も一年、付き合ってくれよ」
「・・・アンタ正気?」
「ああ。おまえだけが知ればいい。俺のことを。おまえ以外が知らなければ、アイツだって嫉妬する相手はおまえだけでいいわけだろ」
そもそもそんなこと、ミツバはしないだろう。
ミツバが大事にした沖田だからこそ、という理由もあるのかもしれない。沖田が笑っていれば、ミツバは幸せだろう。土方が幸せなら、とも思っているかもしれない。ならば、気兼ねして互いに不幸であるのはおかしく、沖田を幸福にすることがミツバの望むことなのなら、何を遠慮することがあるだろう。
辻褄合わせではあるが。
「どうすんだよ、総悟」
「・・・俺が、飽きるまでなら、いいですぜ。だから、俺が飽きるまで終わらせねぇでくだせェ。金魚みたいに」
淡く染まった目元を誤魔化すようにじっとりした目を向けた沖田は、もしかしたら知っていたのかもしれない。
なんて幸せなことだろう。
続かせて
息絶えるまで
シンデレラデー
いっそ憎めたら。幾度となくそう思ったことがある。こんな感情、邪魔なだけであっても誰も幸福にならない。寧ろ、不幸にするばかりだ。だから、土方は不毛なものを断ち切る契機として想いを告げたのかもしれない。それがこうして受け入れられて、きっともう、意図的に断ち切るのは至難の業だ。
もっと、自分の感情は思いのままに封じることができると思っていた。武州にいたあの頃よりは成長し、不本意で嫌悪するものにも我慢することを覚え、仕事のために感情を消すのも慣れた。
だが、それはあくまで仕事の上でのことだったと土方は気付く。
風にさわさわ枯れた音を立て木は揺れ、木漏れ日が沖田に光を当てては影を作る。年明けはあまり寒くないでしょう、天気予報ではそう言っていたが寒さが足元から這い上がり、目前の沖田がぶるり、身震いした。
「今年はあいつか」
「・・・なにがですかィ」
「てめぇが付き合うのがだよ」
もう、口出しできる立場でないのだが。開口一番、音に乗せて逃げた言葉は沖田を非難するようなものだった。こんなことなら縋りついた方が良かったのかもしれない。昨日の内に、未練がましく腕にとらえたまま。もし昨日に戻れたとして、実際にそんなこと、土方はしないだろうが。
何の反応のない沖田は俯いたままだ。冷たい風に金糸のような髪が遊ばれて、撫でたいと土方の指がぴくりと動いた。
「・・・っそうだったとして、アンタに関わりないんじゃありやせんか」
どの口がそう言う、落ち着いていたものがまた、爆発しかけて沖田の腕を掴む。ハッと、顔を上げた沖田の表情に土方は、息を飲んだ。
珍しく沖田が大切にしていたものがあった。愛着がわいたとして、それが気の迷いとでも言えそうなぐらい短い沖田が、唯一長い間精を注いだものが。
近藤が取ってきた金魚だった。金魚すくいの土産で袋に入った小さなそれを沖田は大事に大事に育てていた。まだ江戸へ出てきたばかりのことだったから、沖田の心の拠り所になったのかもしれなかった。とりあえず沖田は、屯所にいる間はそれの傍にいた。金魚なんてすぐに死ぬものだと土方は思っていた。土方の記憶では、幼い頃夏にとった金魚は大抵冬には死んだ。それが、一夏を過ぎ冬を迎えてもパクパク口を開けて泳いでいた。
土方にはどうでも良いことだった。沖田が金魚を飼っていたことも、その金魚は実は自分が取ったものだったことも、ある日突然、死んでいたことも。なのにそんな、今まで忘れていたことを思い出したのは沖田の所為だ。
金魚が死んだ、朝と同じ顔をしている。あれが沖田の傷ついた表情を見た初めてのことだった。
「俺をそんな、尻軽女みてぇにアンタは思ってたんですか」
「てめぇは俺を、裏で嘲笑ってたんじゃねぇのかよ」
「あっきれた。ヘタレだとは思ってやしたがそんなにまでなよなよした女々しい男だったんですかィ。馬鹿みてぇ」
「あんだと? どう意味だ」
傷ついて見せたかと思えば怒気を孕んだ声で罵る。それにつられて思ってもない言葉が弾丸のように飛び出すのが土方には分かる。被害妄想が好きなわけでなければ沖田が、そんな人間ではないのも確かに分かっている。
サクサクと、小気味良い音をたてて心臓にナイフを突き立てられているようだ。否、ナイフを握っているのは自分自身かもしれない。
「あんとき頷かなけりゃ良かった! こうなんなら、いっそ、っ!」
聞きたくない言葉に耳を塞ぐよりも口を塞ぐことを選び、雨のように、鋭利な刃ばかり生み出すそれに蓋をする。
いっそ、頷かなければ良かった。そんな後悔、していたとして耳にする勇気はない。土方にとって、去年一年はあの夕焼けの似合う懐かしい頃と同じように、忘れられない大事なものになるはずであり、それを、後悔してほしくはない。他ならぬ沖田が、無かったことを望むものを、大切になどできやしない。これは、自己満足のためだ。
小刻みに震える肩を掴む力を優しくする。これでは本当に、救いようのない自己中心的な人間だ。沖田を大事にしたいと思っているのに。責められて非難されても仕方がない。沖田が、そうすることで楽になるのなら。
「・・・頼むから、それだけは言うな。もう、干渉しねぇから」
「なら、言いまさァ。俺はアンタがどんなに姉上を大事に思ってるか知ってる。姉上が、どんなにアンタを大事に思ってたかも」
痛々しい表情で、今にも泣くんじゃないかという表情で、土方の胸ぐらを掴みながら沖田は言う。
郷愁とともに、懐かしい芳香りを思い出す。ミツバの、持っていた匂袋の匂いだ。果てしなく優しい、桜の香り。
優しく笑う、彼女を恋慕しているのは今でも変わらない。眩しい初恋だ。咲くことのない。それとは、形は違うが同じように土方は沖田を想っている。
「姉上はアンタの腕の温かさも知らないのに、俺がそれ以上を知るなんて」
「総悟、」
「だから俺は、」
一年だけと、心に決めて。
手が離れていき、自嘲めいた笑みを沖田が浮かべる。女々しいのは俺だと、小さく呟いた。
「・・・いつもは図太いくせによ」
「図太いのは土方さんの神経でさ」
「知ってるよ」
頬を撫で、頭を撫でる。日の当たっていたそこは仄かな温もりがあり、柔らかい髪が吸い付くように手に馴染む。
ミツバが藤壺なら沖田は紫の上だ、土方にとって。一つ違うのは、沖田がミツバの代わりなどでは決してないことだ。光源氏が無理なように、土方が二人を幸せにできるはずがない。
だけど、だからこそ。
「今年も一年、付き合ってくれよ」
「・・・アンタ正気?」
「ああ。おまえだけが知ればいい。俺のことを。おまえ以外が知らなければ、アイツだって嫉妬する相手はおまえだけでいいわけだろ」
そもそもそんなこと、ミツバはしないだろう。
ミツバが大事にした沖田だからこそ、という理由もあるのかもしれない。沖田が笑っていれば、ミツバは幸せだろう。土方が幸せなら、とも思っているかもしれない。ならば、気兼ねして互いに不幸であるのはおかしく、沖田を幸福にすることがミツバの望むことなのなら、何を遠慮することがあるだろう。
辻褄合わせではあるが。
「どうすんだよ、総悟」
「・・・俺が、飽きるまでなら、いいですぜ。だから、俺が飽きるまで終わらせねぇでくだせェ。金魚みたいに」
淡く染まった目元を誤魔化すようにじっとりした目を向けた沖田は、もしかしたら知っていたのかもしれない。
なんて幸せなことだろう。
PR
TRACKBACK
TrackbackURL
COMMENT