梅々
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土沖サンプル
というわけでまずは土沖から。
#1『歌う金魚と寒空の夢』 土沖 P52*A5*2011年10月23日*500円
*おかしな夢を見るようになった土方と、その夢の中の沖田の話。土方の願望について。
*沖田のいなくなった世界での話。沖田のものだった金魚を飼うことになった土方は心残りについて考える。直接的表現はないですが死ネタで、あと土方が軽く病みます。
この二本立てです。
追記:ちゅっちゅしているコピ本がおまけでつきます。思ったより甘くないですが;;
#1『歌う金魚と寒空の夢』 土沖 P52*A5*2011年10月23日*500円
*おかしな夢を見るようになった土方と、その夢の中の沖田の話。土方の願望について。
*沖田のいなくなった世界での話。沖田のものだった金魚を飼うことになった土方は心残りについて考える。直接的表現はないですが死ネタで、あと土方が軽く病みます。
この二本立てです。
追記:ちゅっちゅしているコピ本がおまけでつきます。思ったより甘くないですが;;
副長、と何処かから聞こえてきた。風に乗るそれは山崎の声のようだが、姿は充満する煙の所為で見られない。返事をするのも面倒で、左手を軽く挙げ紫煙を逃がす。なにもこんな煙の中で煙草など吸わなくてもいいだろうと言われそうだが、ただの煙にはない鎮静効果が煙草にはある、と信じている。信じるものは救われると言うし何事も気の持ちようだと言う。だから煙草には鎮静効果があるのだ。他者にはどうだかわからないが。
白い中に黒い影が揺らめいた。念のため刀に手を置き意識を向ける。近づいたそれは、にへらと笑った。
「やっと見つけました」
「終わってたか」
「はい。一番隊、三番隊共に怪我人なし、相手方は二十八名捕縛、一名死亡、逃走者なしです」
「じゃ、撤退命令。あとは上の管轄だろ。ご苦労さん」
「副長こそ。……沖田隊長は奥の座敷にいます」
言うだけ言って山崎は失礼しますとまた煙の中へ消えていった。どうすっかな、と悩むふりを誰が見ているわけでないのにして足を運ぶ。
最後の一人を、投げつけられた玉ごと反射で斬ったのだそうだ。そうしたら屋敷一帯がもくもくと、白煙に覆われた。事情は原田から聞いたが当事者は一番隊の人間らしい。隊長に問えば分かるだろうと、障子を開いて奥へ突き進む。
この家屋の二階は、廊下の両側に襖で区切った八畳の部屋が五間続きになっている。一階はかなり広い生活空間だったようだが風呂場や勝手は久しく使われていないようだ。離れはないがこの家屋と同じ面積の土蔵が脇にある。元は地主の持ち物だったらしいが、いまは攘夷の隠れ家となっている。正しくはなっていた、だ。今日潰したのだから。
四枚目の襖を開ければ黒い人影が一つあった。部屋の真ん中に、ぼうっと突っ立っている。
徐に近づいていくと、無表情が俺の方を向いた。
「総悟」
「……アンタ、血塗れ」
ふっと笑う、総悟の服は煤がついている程度。俺の倍斬ったはずだが揶揄の通り血塗れな俺とは違う。
総悟の剣舞は、洗練されていて隙がない。一太刀の元鮮やかな手付きで仕留めるのだ。きっと苦しむことなく死ねるのだろう、斬られた人間は。俺や総悟は楽に死ねることはないだろうから羨ましいと少し思う。
此処へ来ると決めたのは総悟だ。だがそれは近藤さんを守るためであり、人を殺すためではない。総悟は弱音を吐くことも愚痴を溢すこともなくここまでやってきた。殺したくない、そう思っているのは知っているけれど。溜め込んだままなのが気になっている。
「斬ったのは誰なんだ?」
「俺でさァ。神山が気ィ抜いて、やられそうだったんでつい。……あれ? そう報告入りやせんでしたか?」
「はぁ。煙、なんともなかったか?」
「大丈夫でさァ」
またあいつか、言いたくなったがそう思っているのは総悟も同じだろう。神山いっぺん締めよう。
煙も大分薄くなり視界も広くなってきた。ふと、足元に転がる物に気付いた。真っ二つに割れた銀の球体。向こうに見える死体には注意を払うことなく、屈んでその半円を手にとる。意外に軽いその中には砂が入っていた。その辺りにも浜辺にあるようなこれといった特徴もない砂が零れている。半円を揺らせばさらさら、音を立てる。念のため調べさせるかとそれを手に立ち上がって総悟を見た、はずだった。
「土方さん?」
「やべ、」
ぐらり、総悟が傾いだ。いや正確には俺が傾いだ。目眩と疲労感がどっと押し寄せ、抗う間もなく目を閉じる。
確かに抱き止められたのを感じたのを最後にさらりさらり、意識は砕けた。
白い中に黒い影が揺らめいた。念のため刀に手を置き意識を向ける。近づいたそれは、にへらと笑った。
「やっと見つけました」
「終わってたか」
「はい。一番隊、三番隊共に怪我人なし、相手方は二十八名捕縛、一名死亡、逃走者なしです」
「じゃ、撤退命令。あとは上の管轄だろ。ご苦労さん」
「副長こそ。……沖田隊長は奥の座敷にいます」
言うだけ言って山崎は失礼しますとまた煙の中へ消えていった。どうすっかな、と悩むふりを誰が見ているわけでないのにして足を運ぶ。
最後の一人を、投げつけられた玉ごと反射で斬ったのだそうだ。そうしたら屋敷一帯がもくもくと、白煙に覆われた。事情は原田から聞いたが当事者は一番隊の人間らしい。隊長に問えば分かるだろうと、障子を開いて奥へ突き進む。
この家屋の二階は、廊下の両側に襖で区切った八畳の部屋が五間続きになっている。一階はかなり広い生活空間だったようだが風呂場や勝手は久しく使われていないようだ。離れはないがこの家屋と同じ面積の土蔵が脇にある。元は地主の持ち物だったらしいが、いまは攘夷の隠れ家となっている。正しくはなっていた、だ。今日潰したのだから。
四枚目の襖を開ければ黒い人影が一つあった。部屋の真ん中に、ぼうっと突っ立っている。
徐に近づいていくと、無表情が俺の方を向いた。
「総悟」
「……アンタ、血塗れ」
ふっと笑う、総悟の服は煤がついている程度。俺の倍斬ったはずだが揶揄の通り血塗れな俺とは違う。
総悟の剣舞は、洗練されていて隙がない。一太刀の元鮮やかな手付きで仕留めるのだ。きっと苦しむことなく死ねるのだろう、斬られた人間は。俺や総悟は楽に死ねることはないだろうから羨ましいと少し思う。
此処へ来ると決めたのは総悟だ。だがそれは近藤さんを守るためであり、人を殺すためではない。総悟は弱音を吐くことも愚痴を溢すこともなくここまでやってきた。殺したくない、そう思っているのは知っているけれど。溜め込んだままなのが気になっている。
「斬ったのは誰なんだ?」
「俺でさァ。神山が気ィ抜いて、やられそうだったんでつい。……あれ? そう報告入りやせんでしたか?」
「はぁ。煙、なんともなかったか?」
「大丈夫でさァ」
またあいつか、言いたくなったがそう思っているのは総悟も同じだろう。神山いっぺん締めよう。
煙も大分薄くなり視界も広くなってきた。ふと、足元に転がる物に気付いた。真っ二つに割れた銀の球体。向こうに見える死体には注意を払うことなく、屈んでその半円を手にとる。意外に軽いその中には砂が入っていた。その辺りにも浜辺にあるようなこれといった特徴もない砂が零れている。半円を揺らせばさらさら、音を立てる。念のため調べさせるかとそれを手に立ち上がって総悟を見た、はずだった。
「土方さん?」
「やべ、」
ぐらり、総悟が傾いだ。いや正確には俺が傾いだ。目眩と疲労感がどっと押し寄せ、抗う間もなく目を閉じる。
確かに抱き止められたのを感じたのを最後にさらりさらり、意識は砕けた。
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