梅々
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黙祷を
今日もまた渋谷方面へ母と所用で赴いたのですが渋谷怖い。迷う暑い。
やっぱ田舎がいい。虫嫌いだけど緑はいい。
そんな感じでした←そして本日は沖田さんの命日でございます。
今年は気付いたので、〆切まであと三日の小説を放って小説書いてしまいました。
スランプだけど書きたいものを書けた気がします。
そんな死ネタです。
やっぱ田舎がいい。虫嫌いだけど緑はいい。
そんな感じでした←そして本日は沖田さんの命日でございます。
今年は気付いたので、〆切まであと三日の小説を放って小説書いてしまいました。
スランプだけど書きたいものを書けた気がします。
そんな死ネタです。
蝉がみんみんと鳴く。
暑くて暑くて、一人でいたくなる。
でも、おまえの傍になら、いくらでもいるのに。
あなたのそらへ
淡い温もりが心地よい。
そんな風に思って次の瞬間、夏らしい暑さに眉をしかめた。
寝るときに掛けていた布団は一寸も掛かっていなくて、いまも、主に背中が暑い。それなのに何故こんなにも奇天烈なことを考えたのだろうとしょぼつく目を瞬かせつつ思考を結ぶ。意識はまだ安寧な眠りの世界を揺蕩っていたのだろうか、それにしてもおかしいだろう。
自問自答しつつ漸く体を起こして、風もなく蒸した部屋に苛立つ。
「あちぃ・・・」
膝で歩き箪笥へ寄り、無造作に着替えを取り出す。引っ張り出したのが昔よく着ていた着流しで、意識せずに声が出た。
最近は、他のを普段着ていてこれは奥にしまい込んでいたのに。何故手前にこれがあるのだろう。洗濯をしたばかりだから着替えが不足しているはずはない。じゃあ、何故。
とにかく肌に張り付く服の感触が気持ち悪くてさっさと着替えることにした。ずっと仕舞い込んでいたからか、樟脳が香る。郷愁を抱かせる香りだ。
障子を開き縁側へ出る。空は青青と広がっていて、緑に色づいた木々が風に揺れざわめく。
きれいな景色だ。
「あ、土方さんお早うございます」
「・・・はよ」
「・・・なんか、今日表情柔らかいですね」
「そうか?」
野菜の入った篭を抱えた山崎が不思議そうに俺に訊ねて、俺も首を傾げた。いたって普通だと思うのだが。
穏やかな日々だ。
剣を握ることもない。だから、自然と穏やかになってきたのは自覚しているが、白地にそうなってはいない、はず。
「・・・懐かしい格好、だからですかね」
「これな。・・・臭くて堪らねぇ」
「あれ、今日だから着たんじゃないんですか?」
「今日、だから?」
山崎がまた不可解なことを言って、短気なのはまだ直っていないらしい、あぁ? といらえをするとひぃっと肩を震わせた。こんなやりとりも久々だ。武州へ戻ってきてからはたしてやったかどうか。
昔は、こんな風にやっていたら総悟が茶化しに入っていたけれど。
―――――今日は、何日だ?
「十九、か? 今日は」
「ご存知なかったんですか? 呪われますよ、沖田さんに」
苦笑しいしい言われて、ぺしんと頭を叩き行くぞと告げる。
「え、朝飯まだ・・・」
「それ持って近藤さんとこ行っとけ」
「土方さんは?」
「ちょっくら行ってくる」
返事を待つことなく玄関へ向かい草履に足を引っ掻ける。髪がまだ長かった頃、幾度も通ったこの家の表札は沖田のままだ。
懐に手を突っ込み、長閑な畦道をゆっくりと歩く。
四季が廻り訪れる自然は変わらず美しい。十年経とうと桜ははらはら舞い、向日葵は太陽を向き、木々はめかしこみ雪は全てを包み隠し染める。だけれど、それは表面だけで、全体を見ている。
散る花弁は全て新たに芽吹いたものだし、向日葵はずっと同じ種から育つわけでもない。個々を見たら、繰り返すとは言えない。
それは、人だって同じで。世界規模で見たら変わりなく六十億人いても、それを構成する人は違う。
総悟は、もういない。
こんなに青い空も、生命力のみなぎる木々も、爽やかな風も暑苦しい日差しも、近藤さんの笑顔も、総悟は何も感じない。
石だらけで道中より少し暑い墓場だが、あちこちで草木が生い茂っている。
その奥の小さな墓石の下、総悟は家族と共に眠っている、らしい。
灰に魂が宿るものか、最近悩んでいるのだがそんなことはどうでもいいか。魂があったとしても体がなければ意思疏通はできない。
「来てやったぞ」
返り事は期待していなかったのでとりあえず墓石に水をかけて、詰んできた花を指す。
これでいいだろうと、余計な感慨を抱かないよう事務的にことを済ませ墓場を出る。
朝方枕元に感じた人の気配を思い返すと無性に泣きたくなって、堪えようとするも面影が瞼の裏にちらついて。
なんでお前は死んだんだと、幾度も繰り返した問いが涙に溶けた。
------------------
θ補足θ
・平和になって武装警察なんていらない世の中になったけれど沖田がいない、そんな幸せで不幸せな未来。
・沖田が死んでから二、三年、武州へ戻ってから一、二年経っています。
・因みに沖田は史実通り病死。療養には誰もいなくなった実家へ。そして今は山崎と土方が住んでいます。近藤さんたちは道場に。
・土方は沖田の後を追おうとしたり、夜な夜な夢に見たりしていたけれど、意識の底に封じ込めるようにして平常に戻りました。だから山崎は見張りと言っても過言ではない。
なんて書いていてより切なくなりました。
暑くて暑くて、一人でいたくなる。
でも、おまえの傍になら、いくらでもいるのに。
あなたのそらへ
淡い温もりが心地よい。
そんな風に思って次の瞬間、夏らしい暑さに眉をしかめた。
寝るときに掛けていた布団は一寸も掛かっていなくて、いまも、主に背中が暑い。それなのに何故こんなにも奇天烈なことを考えたのだろうとしょぼつく目を瞬かせつつ思考を結ぶ。意識はまだ安寧な眠りの世界を揺蕩っていたのだろうか、それにしてもおかしいだろう。
自問自答しつつ漸く体を起こして、風もなく蒸した部屋に苛立つ。
「あちぃ・・・」
膝で歩き箪笥へ寄り、無造作に着替えを取り出す。引っ張り出したのが昔よく着ていた着流しで、意識せずに声が出た。
最近は、他のを普段着ていてこれは奥にしまい込んでいたのに。何故手前にこれがあるのだろう。洗濯をしたばかりだから着替えが不足しているはずはない。じゃあ、何故。
とにかく肌に張り付く服の感触が気持ち悪くてさっさと着替えることにした。ずっと仕舞い込んでいたからか、樟脳が香る。郷愁を抱かせる香りだ。
障子を開き縁側へ出る。空は青青と広がっていて、緑に色づいた木々が風に揺れざわめく。
きれいな景色だ。
「あ、土方さんお早うございます」
「・・・はよ」
「・・・なんか、今日表情柔らかいですね」
「そうか?」
野菜の入った篭を抱えた山崎が不思議そうに俺に訊ねて、俺も首を傾げた。いたって普通だと思うのだが。
穏やかな日々だ。
剣を握ることもない。だから、自然と穏やかになってきたのは自覚しているが、白地にそうなってはいない、はず。
「・・・懐かしい格好、だからですかね」
「これな。・・・臭くて堪らねぇ」
「あれ、今日だから着たんじゃないんですか?」
「今日、だから?」
山崎がまた不可解なことを言って、短気なのはまだ直っていないらしい、あぁ? といらえをするとひぃっと肩を震わせた。こんなやりとりも久々だ。武州へ戻ってきてからはたしてやったかどうか。
昔は、こんな風にやっていたら総悟が茶化しに入っていたけれど。
―――――今日は、何日だ?
「十九、か? 今日は」
「ご存知なかったんですか? 呪われますよ、沖田さんに」
苦笑しいしい言われて、ぺしんと頭を叩き行くぞと告げる。
「え、朝飯まだ・・・」
「それ持って近藤さんとこ行っとけ」
「土方さんは?」
「ちょっくら行ってくる」
返事を待つことなく玄関へ向かい草履に足を引っ掻ける。髪がまだ長かった頃、幾度も通ったこの家の表札は沖田のままだ。
懐に手を突っ込み、長閑な畦道をゆっくりと歩く。
四季が廻り訪れる自然は変わらず美しい。十年経とうと桜ははらはら舞い、向日葵は太陽を向き、木々はめかしこみ雪は全てを包み隠し染める。だけれど、それは表面だけで、全体を見ている。
散る花弁は全て新たに芽吹いたものだし、向日葵はずっと同じ種から育つわけでもない。個々を見たら、繰り返すとは言えない。
それは、人だって同じで。世界規模で見たら変わりなく六十億人いても、それを構成する人は違う。
総悟は、もういない。
こんなに青い空も、生命力のみなぎる木々も、爽やかな風も暑苦しい日差しも、近藤さんの笑顔も、総悟は何も感じない。
石だらけで道中より少し暑い墓場だが、あちこちで草木が生い茂っている。
その奥の小さな墓石の下、総悟は家族と共に眠っている、らしい。
灰に魂が宿るものか、最近悩んでいるのだがそんなことはどうでもいいか。魂があったとしても体がなければ意思疏通はできない。
「来てやったぞ」
返り事は期待していなかったのでとりあえず墓石に水をかけて、詰んできた花を指す。
これでいいだろうと、余計な感慨を抱かないよう事務的にことを済ませ墓場を出る。
朝方枕元に感じた人の気配を思い返すと無性に泣きたくなって、堪えようとするも面影が瞼の裏にちらついて。
なんでお前は死んだんだと、幾度も繰り返した問いが涙に溶けた。
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θ補足θ
・平和になって武装警察なんていらない世の中になったけれど沖田がいない、そんな幸せで不幸せな未来。
・沖田が死んでから二、三年、武州へ戻ってから一、二年経っています。
・因みに沖田は史実通り病死。療養には誰もいなくなった実家へ。そして今は山崎と土方が住んでいます。近藤さんたちは道場に。
・土方は沖田の後を追おうとしたり、夜な夜な夢に見たりしていたけれど、意識の底に封じ込めるようにして平常に戻りました。だから山崎は見張りと言っても過言ではない。
なんて書いていてより切なくなりました。
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