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梅々

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高杉おめでとう。

唇から血が伝う。指の背でそれを拭い舐めとる。痛みはあるがそれよりも愉快で堪らない。可愛い子犬を手に入れた。自由奔放で力の加減が分からないのは子犬の愛嬌だ。それを、責めるのは無粋。

「俺が病気持ってたらどうすんだ?移るぞ」
「うるせぇ。移ったっていいから早く帰しなせェ」

きゃんきゃん喚くのも子犬の特徴だ。毛色の具合から言えば猫に近い。服従を知っている賢い猫だ、他人になつかない可愛いげのなさを備えている。
俺の血で赤く色づいた唇を親指の腹で撫でてやる。不快そうに眉を寄せ噛みつこうとする様は狼か。ここじゃあ必然的に一匹狼にならざるを得ないだろうが、抑狼は俺でコイツは可哀想な羊だ。捕食者に捕まった、餌。
ぎち、と縄が鳴く。拘束を解こうと躍起になっているらしい。無駄なのは火を見るよりも明らか、だが抵抗がなければ楽しめない。逃げ場がなくとも睨み続ける瞳も降伏の言葉を吐かない唇も往生際悪く動く手足も。てめぇが生き延びるためではなく守るためにやっているからおかしい。

「おまえらの士道を間違ってるたァ言わねぇ。だが根本が腐ってる。汚物に迎合した時代が悪いんだがな」
「汚物はいつか屑籠に消えまさァ。それまで刀を持てりゃあいい。乳飲み子みてぇに駄々こねる破壊魔よりはマシでさ」
「確かにな」

犬の証拠である上着は落としてきてしまったらしい、犬はベストにタイと夏らしい格好をしている。
蝉が姦しい。窓の傍の木で鳴いているようだ。湿度に合わない涼風が髪を拐う。そのまま目の前の飴色も弄ぶ。
もう一度。今一番欲しいものに手を伸ばした。タイを引っ張り上を向かせ、押さえ込むように接吻をする。接吻、なんてものではない。食事だ。拒む唇を割り開き舌を奪い口内をねぶる。餌を搾取する行為に他ならない。柳眉を寄せ憎々しげにしながらも瞼を閉ざし隙あらば噛みつこうとする。もう既に一度噛まれたが気まぐれだ。噛まれてみたくなった。

「もっとじゃれろよ。つまんねぇだろ」
「っくそったれ」
「もっとだ」
「悪趣味衆道野郎」
「沖田、」
「っ、あ」

至近距離で目を見る。赤色を濃く色づけにらむ瞳が欲しい。その欲望のままに、耳元に唇を寄せれば案外可愛い反応をした。
これはいい猫かもしれない。

「沖田」
「…話すなクソッ」
「欲しいものは何がなんでも捕まえるからよ、覚悟しておけ」

耳朶に唇を寄せる。声の振動に戦慄く体は華奢で、ますます口角があがり、煙管を置く。
今夜は誰にも邪魔をさせずに、朝までこの子犬を可愛がろう。










高杉おめでとう。高沖は辛いのが好きです。
今日面接受けてきましたー!結果が不安。受かっているといいな!

いよいよ明後日は夏コミ!わくてか!

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