梅々
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奈落
ガンダムのOP・EDはいつのまに変わっていたのだろう。去年の暮れのほうは事情が重なり見れなかったし、今年入ってからは車の中で途中からEDの少し前までだった。だから約一ヶ月ぶり。それなのに。
ラルクのはアルバムあるからいいけど、さりげなく好きだったEDは携帯で歌詞をとった程度。新しいOPも好きだけどさ・・・。
明日は横浜中華街行ってまいります。チャイナ服見たいな♪
それでは、随分前にノートに書いた百人一首。
ラルクのはアルバムあるからいいけど、さりげなく好きだったEDは携帯で歌詞をとった程度。新しいOPも好きだけどさ・・・。
明日は横浜中華街行ってまいります。チャイナ服見たいな♪
それでは、随分前にノートに書いた百人一首。
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ぶることの 弱りもぞする
落花流水
咳と共に、熱いものが込み上げてきた。咽が、焼けそうな程の熱さ。身に覚えのある既視感。
ああ、また咲いてしまう。真っ赤な真っ赤な死の花が。
堪えようと口元を押さえ、唇をきつく結んでみたがそれ如きで止まる筈もない。抵抗をものともせずあふれた咳に伴い白い布団が赤く染まった。
何度目だろう、こう布団を汚してしまったのは。明日の早朝、誰にも気付かれないように、洗濯して新しくシーツ買って・・・なんて、慣れてしまったことが不思議だ。誰にも知られぬよう、露見せぬよう、血の痕を隠すことに慣れた自分が嫌だ。
零れた咳を気に止めず、そろそろと布団を抜け出し羽織を探す。箪笥をあさっている内に寒気がしてきて、もう一寝入りしようかなと思い始めた頃に漸く見付かり、いそいそと袖を通す。
布団の上に座り足の上に掛け布団を置いて端についている紐を暗い中手探りで探す。いつもはすぐに見付かるのに、今日は中々見付からない。
ギシッ、と音が聞こえた。
耳をすませば、その足音が段々と近付いて来ているのが分かる。誰だろう、こんな夜中に俺の部屋なんかに来るのは。刺客とか、そんなんじゃあるまいし。
渇いた咳に合わせて障子が開いた。
「総悟・・・」
「土方さん」
途端に、悲しそうな目をした土方さんを疑問に思い、手元に視線を落としたら、染みのついた布団がそこにはあった。
隠し忘れていた。こんなにも容易くばれてしまった。
今までの苦労が水の泡。
今程自分の馬鹿さを恨むことは二度とない、そう思う。
「どうしたんです? こんな時間に」
「・・・何で、黙ってた?」
「質問に答えてくだせぇよ」
「お前が先に答えろよ」
「・・・」
─────知られたく、なかった。
近藤さんよりも誰よりも一番、土方さんに知られたくなかった。
俺のことを責めるけど、それよりも自分のことを責めてしまう、本当はとても優しい人だから。
なんで気付かなかった? なんで気付けなかった? と、そんなに自分を責めないでほしいのに。
これは俺の罪であり罰であるのだから。
「なァ、総悟」
開け放していた障子を静かに閉じ、隣に土方さんは座り込んだ。じぃっと顔を見られ、目をそらしてしまう。
久々に間近で顔を見られ、今までは「成長期だから」と誤魔化していた、丸みを無くした輪郭が病の所為だったのだと気付いただろう。
「─────あんたに言っても何も変わらねぇでしょうよ」
「それはわかんねぇだろ。医者に見せたり隊務休ませたりは・・・」
「それで? 治る可能性はねぇんですぜ? 無駄な努力しても悪あがきにしかなりやせん」
節榑立った手が伸びてきて、俺の両頬を掴む。そのままぐいっと頬を引っ張られる。
「いっふぁ・・・」
「生意気な事言ってんじゃねぇよ。やってみなきゃわかんねぇだろ? 俺を殺すんじゃねぇのかよ」
手が離れたと思ったら軽く叩かれて、頬がひりひりする。
痛い。涙が目に浮かぶくらい痛い。けれど久々にこうして和んだ雰囲気でじゃれた気がする。病気になってからは土方さんのことを避けていたから。
「でも、もう間に合いやせんよ。・・・それに、薬も病院も俺、嫌いだし」
「好き嫌いしてんじゃねぇよ」
「人のこと言えねぇでしょう?あんただって」
俺はあんたにとって、“生意気な弟分”でさえあれば、それでいい。“好き”になってくれなくても、傍にいて、あんたの夢を守って、一緒に築いていけただけで満足だから。
「・・・泣いたりしねぇでくだせぇよ。俺なんかのために」
「誰が泣くかよ。泣くわけねぇだろ、俺が」
そう言ってくれるだけで嬉しい。今でさえ涙目になっているのだからこの約束を守れるわけないのだけど。
その言葉だけで。
「頑張ってくだせぇよ」
俺の分まで─────。
「んなこと言うなよ」
最期まで傍にいることはできない。だからせめて、心だけは傍らに在ってほしい。
#89
忍ぶることの 弱りもぞする
落花流水
咳と共に、熱いものが込み上げてきた。咽が、焼けそうな程の熱さ。身に覚えのある既視感。
ああ、また咲いてしまう。真っ赤な真っ赤な死の花が。
堪えようと口元を押さえ、唇をきつく結んでみたがそれ如きで止まる筈もない。抵抗をものともせずあふれた咳に伴い白い布団が赤く染まった。
何度目だろう、こう布団を汚してしまったのは。明日の早朝、誰にも気付かれないように、洗濯して新しくシーツ買って・・・なんて、慣れてしまったことが不思議だ。誰にも知られぬよう、露見せぬよう、血の痕を隠すことに慣れた自分が嫌だ。
零れた咳を気に止めず、そろそろと布団を抜け出し羽織を探す。箪笥をあさっている内に寒気がしてきて、もう一寝入りしようかなと思い始めた頃に漸く見付かり、いそいそと袖を通す。
布団の上に座り足の上に掛け布団を置いて端についている紐を暗い中手探りで探す。いつもはすぐに見付かるのに、今日は中々見付からない。
ギシッ、と音が聞こえた。
耳をすませば、その足音が段々と近付いて来ているのが分かる。誰だろう、こんな夜中に俺の部屋なんかに来るのは。刺客とか、そんなんじゃあるまいし。
渇いた咳に合わせて障子が開いた。
「総悟・・・」
「土方さん」
途端に、悲しそうな目をした土方さんを疑問に思い、手元に視線を落としたら、染みのついた布団がそこにはあった。
隠し忘れていた。こんなにも容易くばれてしまった。
今までの苦労が水の泡。
今程自分の馬鹿さを恨むことは二度とない、そう思う。
「どうしたんです? こんな時間に」
「・・・何で、黙ってた?」
「質問に答えてくだせぇよ」
「お前が先に答えろよ」
「・・・」
─────知られたく、なかった。
近藤さんよりも誰よりも一番、土方さんに知られたくなかった。
俺のことを責めるけど、それよりも自分のことを責めてしまう、本当はとても優しい人だから。
なんで気付かなかった? なんで気付けなかった? と、そんなに自分を責めないでほしいのに。
これは俺の罪であり罰であるのだから。
「なァ、総悟」
開け放していた障子を静かに閉じ、隣に土方さんは座り込んだ。じぃっと顔を見られ、目をそらしてしまう。
久々に間近で顔を見られ、今までは「成長期だから」と誤魔化していた、丸みを無くした輪郭が病の所為だったのだと気付いただろう。
「─────あんたに言っても何も変わらねぇでしょうよ」
「それはわかんねぇだろ。医者に見せたり隊務休ませたりは・・・」
「それで? 治る可能性はねぇんですぜ? 無駄な努力しても悪あがきにしかなりやせん」
節榑立った手が伸びてきて、俺の両頬を掴む。そのままぐいっと頬を引っ張られる。
「いっふぁ・・・」
「生意気な事言ってんじゃねぇよ。やってみなきゃわかんねぇだろ? 俺を殺すんじゃねぇのかよ」
手が離れたと思ったら軽く叩かれて、頬がひりひりする。
痛い。涙が目に浮かぶくらい痛い。けれど久々にこうして和んだ雰囲気でじゃれた気がする。病気になってからは土方さんのことを避けていたから。
「でも、もう間に合いやせんよ。・・・それに、薬も病院も俺、嫌いだし」
「好き嫌いしてんじゃねぇよ」
「人のこと言えねぇでしょう?あんただって」
俺はあんたにとって、“生意気な弟分”でさえあれば、それでいい。“好き”になってくれなくても、傍にいて、あんたの夢を守って、一緒に築いていけただけで満足だから。
「・・・泣いたりしねぇでくだせぇよ。俺なんかのために」
「誰が泣くかよ。泣くわけねぇだろ、俺が」
そう言ってくれるだけで嬉しい。今でさえ涙目になっているのだからこの約束を守れるわけないのだけど。
その言葉だけで。
「頑張ってくだせぇよ」
俺の分まで─────。
「んなこと言うなよ」
最期まで傍にいることはできない。だからせめて、心だけは傍らに在ってほしい。
#89
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