梅々
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イン・アニメイト
最近堰がすごいです。結核かァァ!?というのは冗談です。連載やりたいけど小ネタが満載なので少しづつ昇華させてきます。
それじゃ真撰組って片思いが多いと思います小説。
それじゃ真撰組って片思いが多いと思います小説。
「うわっ・・・!」
「・・・っ!」
出来得る限り意識を最大に両手に集め、銃弾を避けるよりも早いんじゃないかって程サッと伸ばした手。けれど、それよりも早く差し出された、俺の手より一回り大きいそれに沖田さんは抱き上げられていた。
「大丈夫か?」
「・・・早く離しなせェ」
「ハイハイ」
ポンともといた段に苦笑しつつ降ろす。ガッシリとした肩に悪戯を仕掛ける事もなく、縋りつくように手をかける。
そんな二人の所作は、誰が見ても、多分局長以外の人には恋人同士に見えると思う。惚れてるから、自虐的になりやすい、というのを除いて。
「大丈夫ですか?隊長。顔色も、少し悪いですよ」
そう言うと、眩しそうに目を細め、手の甲で頬を伝う汗を拭った。珍しい。この人が汗をかくなんて。
「大丈夫でさァ。タバコに酔っただけで」
「上等だコラ」
口先だけ喧嘩を買うが、瞳は心配そうに細められている。
その顔を、沖田さんは知らない。
俺が、副長が、どんな想いで彼を想っているか。
沖田さんの心を占めているのはどんな時も、豪快に笑ってみせて、人の事を馬鹿正直に信じて、傍にいて心安らぐ、あの人の事だ。
だから、他の人から自分へと向けられてる矢印に気付こうともしないし、気付く事をおそれてる。
「で?この階段上りきったトコに何があるんで?」
「団子屋です」
上ることを嫌がる背中を押しつつ、階段を重い足取りで上る。触れた指先から感じる体温は、普通の人よりかなり低かった。
「近藤さんが食いたいんだとよ」
「へェ~」
口調は相変わらず何の感情も読み取れないが、本人も知らぬ間に頬が緩んでいるのだろう、副長はいつもより険しい顔をしている。
「じゃ、頑張りやすかィ」
再び己の足で歩き始めた彼の背は、日が反射し雪のように白かった。
「副長」
軽い足取りでさっさと前を行く沖田さんには聞こえないよう、声を詰め呼んだ。
「なんだ」
「いい加減、諦めては?」
言わなくてもわかってる。
不毛な恋をいつまで、胸の中で大切に育んでゆくかという事。
いつまでスタート地点にいるつもりかという事。
俺も、副長も、隊長も、局長も。
「諦める気はねェよ」
きっぱりとそういう背中は哀しみが滲み出ている。俺も、やっぱ似たようなモンなのだろうか。
「――――俺もです」
初めての宣戦布告に、副長は余裕そうに口角を上げ、いい加減短くなった煙草を草原へ投げ捨てた。
それは見事ポイ捨て禁止と書かれている看板に当たり、仮にも警察なんだからと失笑した。
「――――アイツも、諦める気はねェんだろうな」
「そうでしょう。じゃなきゃこんな長い間片思いなんかしてられませんよ」
「そりゃお前もだろ」
また新しく煙草に火をつける指を見て、恋が成就する前に癌で死んだらどうするんだろう、でも、副長が癌なんかに負けるタマじゃないな、と不吉な考えを巡らせる。
なんか、沖田さんになった気分だ。
「おッせェぞー!」
階段の一番上から口を尖らす沖田さんに向かって、どっちがはやく辿り着けるか、二人揃って走りだした。
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