梅々
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積雪
雪合戦はできなかったので友人に雪を投げつけました。楽しかったです´ω`
人間としてどうだろうね☆
んで。明日の節分は明日一日で書き終えることにして明日は早起きしたい。目指せ五時半!←むりぽ
では、三周年記念の自分の中のタブーを書こう企画その一。
大筋は土沖土です。沖土のはずが。
昨日今日で書いたから文が酷いです!
人間としてどうだろうね☆
んで。明日の節分は明日一日で書き終えることにして明日は早起きしたい。目指せ五時半!←むりぽ
では、三周年記念の自分の中のタブーを書こう企画その一。
大筋は土沖土です。沖土のはずが。
昨日今日で書いたから文が酷いです!
我が儘だって分かってる
だから、全て欲しいとは望まない
千切れた雲の波間
熱でも出れば良かったのに、と思うがこういう時は大抵熱なんか出ない。だけでなく体調は素晴らしく良かったりするのだ。精神的には最悪だったりするけれども。
バカ皇子に呼び出しを食らったのは先週のことだ。詳しくは知らされていなくて、此方の都合に合わせると言われたから今日になった。見廻りをサボれることに喜んだけれど、どうせなら見廻りの方が良かった。
行きたくねぇな、呟きは優秀な上司殿に拾われて、溜め息を寄越される。
「我慢しろや」
「そうは言うけど」
送り迎えを買ってでたのは何故なのか、考えてみても分からなかった。素行の悪い部下に釘を差すためだろうけれどそんなの、見送るときにでも出来るだろうに。
バカ皇子のいる大使館は比較的屯所から近い場所に位置しているから、三十分ちょいで着く。どの大使館も変わらず無駄に広く、門はよじ登る気が起きない高さだ。それが、門番の手によりゆっくり開かれる。
「・・・土方さん、代わりに行ってこいよ」
「あんな変人に寄りたくねぇ」
「俺もアンタも方向は違えど、同じようなモンだと思いやすがね」
「おまえはいいんだよ」
車が走り始め、門の内へと入る。と同時に聞いた言葉は土方さんにしては殊勝なもので耳を疑う。俺の視線に気付いていても此方を見ないのは照れているからだ、長年の付き合いで分かる。
そんな風に絆されたフリをするのは止めてほしい。手に入らないと分かっているから、此方は遠慮をしているのに。欲しくなってしまう。
「ご足労いただきありがとうございます、沖田様」
「はぁ、」
「さぁ、此方においでください」
いつだか見たことのある、眼鏡をかけていて肌が緑色で光合成のできそうなじいさんが出迎え、館の前まで歩いていく。チャームポイントは触角だな、とその部分を見てしまう。
運転席の土方さんと顔を見合わせると、行ってこいと顎で示される。素っ気ないのはいつものことだから、揶揄ってから行こうと勝手に決めた。
「行ってらっしゃいのちゅーは」
「ばか。見られんぞ」
ペシンと頭を叩かれ今度は手でしっしと追いやられる。ここまで来たのだから今更渋っても意味がない。仕方なく、車から降りた。
今日は、近藤さんとお昼を食べる約束をしていたのだ。俺は外回りで、近藤さんは非番だったから珍しく。なのに、なんであんなバカなんかと。落胆が隠せないのはそれはもうどうしようもなくて、これで近藤さんが送り迎えをしてくれていたなら、バカ皇子を殺ってしまっていたかもしれない。
車から出て寒い中、館まで早歩きで行く。背後でエンジン音がしてとてもとても羨ましくなった。さっさと副長になりたい。
「すみませんね、こんな寒い中」
「いやいや別に」
口調からちっともそう思っていないと分かったのだろう、じいさんは苦笑を浮かべ同情致しますと告げた。一番の被害者は側近のこの人なのだろう。俺は今回しか被っていないが、この人は四六時中あのバカの我が儘に付き合っているのだろうから。
案内された応接室は、応接室のくせに館の奥にあった。大抵は余所者に内部を知られないためエントランスや玄関の傍にあるものなのに。宜しくないことに巻き込まれる、予感がした。出来れば当たって頂きたくはない。
「紅茶で宜しいですか?」
「へい」
「では、少々お待ちください」
告げてじいさんはガチャンと部屋のドアを閉じた。
二十畳ほどの広さの洋間。勿論土足で平気だが掃除されていて綺麗だし、窓の外からは裏庭が見える。
手持ち無沙汰で辺りを見回していると、盆を持ったじいさんが、俺を呼び出した張本人を引き連れ部屋へ戻ってきた。いつ見ても目障りな顔だ。不細工な分、土方さんより質が悪い。
「今日は悪かったのぉー」
「用件はなんですかィ」
目の前に紅茶が置かれ、向かいに座ったバカの前にも同じものが置かれる。体の内側からも温まりたかった俺は、砂糖をざっと入れて口を付けた。甘くて温かくて、とても美味しい。
俺が飲むのを見届けてから、バカ皇子は口を開いた。
「余はペットが好きじゃ。知っておろう?」
「あー。なんか付き合わされやしたからね」
「でだな。色々な星の生物を集めているのだが・・・まだ手に入れてないことに気付いたのじゃ」
「今度はなんですかィ」
どうしてこの人の話し方はこうも人を苛々させるものだろう。一時代前のギャルのような語尾の伸ばし方に殴りたくなる。
なんて考えていたら、ニヤリとバカが笑った。
「おまえだ」
「・・・・・・・・・・・・は?」
「地球人のペットじゃ。おまえは綺麗だから、それが良いだろうと」
「ちょっと待ちやがれ。誰がてめぇなんかのペットに・・・っ!」
立ち上がろうとした途端、視界が揺らいだ。一気に体調が芳しくなくなったのは、紅茶に何か入れられたからだと訊かなくても分かる。しくじった、油断した。何を思っても後の祭りであることには違いないから、どうすればいいか考える。体に力が入らないだけではなく、仄かに熱い。紅茶を飲んだからと言えるほど一気飲みしたわけではないし、空調は適温だからこれも、薬の効果。
・・・ということは、貞操の危機?
「じい、ベッドに運べ」
「はいはい」
「・・・なんで反抗的?」
軽々と緑色のじいさんに所謂お姫様だっこをされてしまう。これは男としてどうなのよと思うけれども抵抗が出来ないからどうしようもない。
俺の座っていたソファーの後ろに扉があり、その奥の部屋には大きなベッドがあった。これは不味いと青ざめる。俺を男だと分かっていて尚コトに及ぼうとしているのだろうし、約束を取り付け薬まで用意しているのだから昨日今日の計画ではないのは明らか。
つまり、危機も何もこのまま奪われるんじゃないか。
なんてとても笑えない。
「さてさて。楽しむとしようかのぉー」
「ざけんじゃねぇや、このメタボ。バカはバカらしく家畜に噛まれてきやがれってか死ね!」
「威勢がいいですなー。薬の分量間違えましたかな?」
「動けないならそれでいいじゃん。ほらじい、ビデオ」
言いながら紫の豚は為す術のなくベッドに横たわる俺の上にのし掛かった。あーれーって時代劇であるな、と余裕で思っているけれど、全然余裕ない状況。こんなになるなら、土方さんを襲っておけば良かったな、なんてまたまた後悔。
気持ち悪くて堪らないだろうと高を括っていたら、薬の所為で敏感になっているからか、可笑しな色の指が触れても、気持ち悪さは感じないでただ熱が倍増しただけだった。マジでこれはヤバい。絵的にとても宜しくない、俺は目の前の奴を見ただけで吐き気を催しそうだ。甘い紅茶が逆流しかけている。
そして、とうとうたらこ唇に俺のそれが奪われそうになる。
「そいつは俺のだ!!!!」
「っ・・・!?」
あと三糎、という距離まで近づいた時、この部屋の扉が吹っ飛びそうな程の勢いで開いた。
バッと振り返る(本人はそのつもりだろうけれど、緩慢な動きにしか見えなかった)バカ皇子。そしてその視線の先に立つ、先に屯所へ帰ったはずの土方さん。肩でぜぇぜぇ息をして抜き身の刀を持って、チンピラというかマフィアにいそうな相貌でいるのでとても副長には見えない。だから少し、笑ってしまう。
だがバカ皇子はそれどころじゃなかったようだ。まさしく鬼のような顔付きで睨まれ元から顔色の悪い顔を更に悪くさせてそそくさと俺の上から退いた。そしてじいさんと共に風のように部屋を出ていった。
「どうせならあんなの、斬っちまえば良かったのに」
「俺思うんだけどさ、俺よかおまえの方が二言目には斬れって言うだろ」
一点の曇りも汚れもない刀を鞘に戻し、土方さんは俺の元へと歩んでくる。そのまま、さっきの皇子と同じように俺の上に覆い被さる。
嫌い嫌いと言っているのは今でも変わらないし、口先だけではないのも変わらない。だが、それだけではなく他の感情が芽生えてしまったのも確かだ。
俺が唯一キスしたいと思うのはこの人だけ。
邪なものを伴って愛するのも、多分。
「キスしたい、土方さん」
「・・・いつもはんなこと言わねぇで勝手にするくせによ」
「薬効いてて動けやしねぇんでィ」
言うと精一杯の顰めっ面をしてから唇が重ねられた。何度も何度もそれは触れるだけで、もどかしくもあるが心地好くて甘受していると終に土方さんが堪えきれなくなったのか舌が挿入された。
それに応えるように舌を動かしてみると、意思通りに動いた。くちゅくちゅ水音をさせながら手を動かす。反応は鈍いけれどこれも意思通りに動いて、背に腕を回すと驚いたのか、唇が離された。
分量を間違えたのだろう、こんな早く切れるのだから。それか、媚薬的なものと複合して使ったのだろう、副作用で思ったより効果が短くなったのか。体が熱いのは変わらないが。
「・・・動けるじゃねぇか」
「今動けるようになったんでさ」
「・・・んじゃ、帰んぞ」
「やっぱアンタは素直じゃねぇなァ」
顔は多分俺に負けず劣らず欲情しているというのに。口先だけはそんなことを言う。
愛しくて憎らしくて大嫌いで殺したい。
言ったら矛盾してると突っ込まれるだろう、けれど全て俺の本心。
漸く薬が切れ自由を手にして上下を入れ換える。切れ長の瞳が真ん丸く、見開かれた。
「何する気だよ?」
「今だけでいいから、・・・この熱を鎮めさせてくだせェ」
全てが欲しい、だけど手に入らないし入れちゃ駄目だと知っているから。
全てを求めるのは今だけ、金輪際、身分不相応なものは望まないから。
いまだけ、頂戴。
薬の所為か目の前の存在の所為か、体の高揚は治まることを知らない。
土方さんは俺の気持ちを受け入れてくれた、だけど俺の物になったわけではない。俺達は近藤さんのものだから。
「好きにしろよ」
「・・・いいんで?」
「今だけじゃなくていい。欲しい時は望んでいいから。・・・俺だってお前が欲しい」
今日の土方さんはいつもとは違う。欲しい言葉をくれるし、俺を見る瞳が、いつものそれとは全く異なる。
愛していると、云っている瞳だ。
堪えきれなくなって荒々しく口唇を貪る。手をシャツの下に忍ばせると、土方さんから淡い吐息が漏れる。それがあまりにも官能的で、聞いたことのない声で。
熱の上がった俺を見て、土方さんは艶やかな微笑を浮かべ同じ温度の声で言った。今まで頑なに口にしなかった言葉を。
愛している、と。
―――――――――
ハタ沖はタブーです。
許せない。
これからもよろしくお願いします!←唐突
だから、全て欲しいとは望まない
千切れた雲の波間
熱でも出れば良かったのに、と思うがこういう時は大抵熱なんか出ない。だけでなく体調は素晴らしく良かったりするのだ。精神的には最悪だったりするけれども。
バカ皇子に呼び出しを食らったのは先週のことだ。詳しくは知らされていなくて、此方の都合に合わせると言われたから今日になった。見廻りをサボれることに喜んだけれど、どうせなら見廻りの方が良かった。
行きたくねぇな、呟きは優秀な上司殿に拾われて、溜め息を寄越される。
「我慢しろや」
「そうは言うけど」
送り迎えを買ってでたのは何故なのか、考えてみても分からなかった。素行の悪い部下に釘を差すためだろうけれどそんなの、見送るときにでも出来るだろうに。
バカ皇子のいる大使館は比較的屯所から近い場所に位置しているから、三十分ちょいで着く。どの大使館も変わらず無駄に広く、門はよじ登る気が起きない高さだ。それが、門番の手によりゆっくり開かれる。
「・・・土方さん、代わりに行ってこいよ」
「あんな変人に寄りたくねぇ」
「俺もアンタも方向は違えど、同じようなモンだと思いやすがね」
「おまえはいいんだよ」
車が走り始め、門の内へと入る。と同時に聞いた言葉は土方さんにしては殊勝なもので耳を疑う。俺の視線に気付いていても此方を見ないのは照れているからだ、長年の付き合いで分かる。
そんな風に絆されたフリをするのは止めてほしい。手に入らないと分かっているから、此方は遠慮をしているのに。欲しくなってしまう。
「ご足労いただきありがとうございます、沖田様」
「はぁ、」
「さぁ、此方においでください」
いつだか見たことのある、眼鏡をかけていて肌が緑色で光合成のできそうなじいさんが出迎え、館の前まで歩いていく。チャームポイントは触角だな、とその部分を見てしまう。
運転席の土方さんと顔を見合わせると、行ってこいと顎で示される。素っ気ないのはいつものことだから、揶揄ってから行こうと勝手に決めた。
「行ってらっしゃいのちゅーは」
「ばか。見られんぞ」
ペシンと頭を叩かれ今度は手でしっしと追いやられる。ここまで来たのだから今更渋っても意味がない。仕方なく、車から降りた。
今日は、近藤さんとお昼を食べる約束をしていたのだ。俺は外回りで、近藤さんは非番だったから珍しく。なのに、なんであんなバカなんかと。落胆が隠せないのはそれはもうどうしようもなくて、これで近藤さんが送り迎えをしてくれていたなら、バカ皇子を殺ってしまっていたかもしれない。
車から出て寒い中、館まで早歩きで行く。背後でエンジン音がしてとてもとても羨ましくなった。さっさと副長になりたい。
「すみませんね、こんな寒い中」
「いやいや別に」
口調からちっともそう思っていないと分かったのだろう、じいさんは苦笑を浮かべ同情致しますと告げた。一番の被害者は側近のこの人なのだろう。俺は今回しか被っていないが、この人は四六時中あのバカの我が儘に付き合っているのだろうから。
案内された応接室は、応接室のくせに館の奥にあった。大抵は余所者に内部を知られないためエントランスや玄関の傍にあるものなのに。宜しくないことに巻き込まれる、予感がした。出来れば当たって頂きたくはない。
「紅茶で宜しいですか?」
「へい」
「では、少々お待ちください」
告げてじいさんはガチャンと部屋のドアを閉じた。
二十畳ほどの広さの洋間。勿論土足で平気だが掃除されていて綺麗だし、窓の外からは裏庭が見える。
手持ち無沙汰で辺りを見回していると、盆を持ったじいさんが、俺を呼び出した張本人を引き連れ部屋へ戻ってきた。いつ見ても目障りな顔だ。不細工な分、土方さんより質が悪い。
「今日は悪かったのぉー」
「用件はなんですかィ」
目の前に紅茶が置かれ、向かいに座ったバカの前にも同じものが置かれる。体の内側からも温まりたかった俺は、砂糖をざっと入れて口を付けた。甘くて温かくて、とても美味しい。
俺が飲むのを見届けてから、バカ皇子は口を開いた。
「余はペットが好きじゃ。知っておろう?」
「あー。なんか付き合わされやしたからね」
「でだな。色々な星の生物を集めているのだが・・・まだ手に入れてないことに気付いたのじゃ」
「今度はなんですかィ」
どうしてこの人の話し方はこうも人を苛々させるものだろう。一時代前のギャルのような語尾の伸ばし方に殴りたくなる。
なんて考えていたら、ニヤリとバカが笑った。
「おまえだ」
「・・・・・・・・・・・・は?」
「地球人のペットじゃ。おまえは綺麗だから、それが良いだろうと」
「ちょっと待ちやがれ。誰がてめぇなんかのペットに・・・っ!」
立ち上がろうとした途端、視界が揺らいだ。一気に体調が芳しくなくなったのは、紅茶に何か入れられたからだと訊かなくても分かる。しくじった、油断した。何を思っても後の祭りであることには違いないから、どうすればいいか考える。体に力が入らないだけではなく、仄かに熱い。紅茶を飲んだからと言えるほど一気飲みしたわけではないし、空調は適温だからこれも、薬の効果。
・・・ということは、貞操の危機?
「じい、ベッドに運べ」
「はいはい」
「・・・なんで反抗的?」
軽々と緑色のじいさんに所謂お姫様だっこをされてしまう。これは男としてどうなのよと思うけれども抵抗が出来ないからどうしようもない。
俺の座っていたソファーの後ろに扉があり、その奥の部屋には大きなベッドがあった。これは不味いと青ざめる。俺を男だと分かっていて尚コトに及ぼうとしているのだろうし、約束を取り付け薬まで用意しているのだから昨日今日の計画ではないのは明らか。
つまり、危機も何もこのまま奪われるんじゃないか。
なんてとても笑えない。
「さてさて。楽しむとしようかのぉー」
「ざけんじゃねぇや、このメタボ。バカはバカらしく家畜に噛まれてきやがれってか死ね!」
「威勢がいいですなー。薬の分量間違えましたかな?」
「動けないならそれでいいじゃん。ほらじい、ビデオ」
言いながら紫の豚は為す術のなくベッドに横たわる俺の上にのし掛かった。あーれーって時代劇であるな、と余裕で思っているけれど、全然余裕ない状況。こんなになるなら、土方さんを襲っておけば良かったな、なんてまたまた後悔。
気持ち悪くて堪らないだろうと高を括っていたら、薬の所為で敏感になっているからか、可笑しな色の指が触れても、気持ち悪さは感じないでただ熱が倍増しただけだった。マジでこれはヤバい。絵的にとても宜しくない、俺は目の前の奴を見ただけで吐き気を催しそうだ。甘い紅茶が逆流しかけている。
そして、とうとうたらこ唇に俺のそれが奪われそうになる。
「そいつは俺のだ!!!!」
「っ・・・!?」
あと三糎、という距離まで近づいた時、この部屋の扉が吹っ飛びそうな程の勢いで開いた。
バッと振り返る(本人はそのつもりだろうけれど、緩慢な動きにしか見えなかった)バカ皇子。そしてその視線の先に立つ、先に屯所へ帰ったはずの土方さん。肩でぜぇぜぇ息をして抜き身の刀を持って、チンピラというかマフィアにいそうな相貌でいるのでとても副長には見えない。だから少し、笑ってしまう。
だがバカ皇子はそれどころじゃなかったようだ。まさしく鬼のような顔付きで睨まれ元から顔色の悪い顔を更に悪くさせてそそくさと俺の上から退いた。そしてじいさんと共に風のように部屋を出ていった。
「どうせならあんなの、斬っちまえば良かったのに」
「俺思うんだけどさ、俺よかおまえの方が二言目には斬れって言うだろ」
一点の曇りも汚れもない刀を鞘に戻し、土方さんは俺の元へと歩んでくる。そのまま、さっきの皇子と同じように俺の上に覆い被さる。
嫌い嫌いと言っているのは今でも変わらないし、口先だけではないのも変わらない。だが、それだけではなく他の感情が芽生えてしまったのも確かだ。
俺が唯一キスしたいと思うのはこの人だけ。
邪なものを伴って愛するのも、多分。
「キスしたい、土方さん」
「・・・いつもはんなこと言わねぇで勝手にするくせによ」
「薬効いてて動けやしねぇんでィ」
言うと精一杯の顰めっ面をしてから唇が重ねられた。何度も何度もそれは触れるだけで、もどかしくもあるが心地好くて甘受していると終に土方さんが堪えきれなくなったのか舌が挿入された。
それに応えるように舌を動かしてみると、意思通りに動いた。くちゅくちゅ水音をさせながら手を動かす。反応は鈍いけれどこれも意思通りに動いて、背に腕を回すと驚いたのか、唇が離された。
分量を間違えたのだろう、こんな早く切れるのだから。それか、媚薬的なものと複合して使ったのだろう、副作用で思ったより効果が短くなったのか。体が熱いのは変わらないが。
「・・・動けるじゃねぇか」
「今動けるようになったんでさ」
「・・・んじゃ、帰んぞ」
「やっぱアンタは素直じゃねぇなァ」
顔は多分俺に負けず劣らず欲情しているというのに。口先だけはそんなことを言う。
愛しくて憎らしくて大嫌いで殺したい。
言ったら矛盾してると突っ込まれるだろう、けれど全て俺の本心。
漸く薬が切れ自由を手にして上下を入れ換える。切れ長の瞳が真ん丸く、見開かれた。
「何する気だよ?」
「今だけでいいから、・・・この熱を鎮めさせてくだせェ」
全てが欲しい、だけど手に入らないし入れちゃ駄目だと知っているから。
全てを求めるのは今だけ、金輪際、身分不相応なものは望まないから。
いまだけ、頂戴。
薬の所為か目の前の存在の所為か、体の高揚は治まることを知らない。
土方さんは俺の気持ちを受け入れてくれた、だけど俺の物になったわけではない。俺達は近藤さんのものだから。
「好きにしろよ」
「・・・いいんで?」
「今だけじゃなくていい。欲しい時は望んでいいから。・・・俺だってお前が欲しい」
今日の土方さんはいつもとは違う。欲しい言葉をくれるし、俺を見る瞳が、いつものそれとは全く異なる。
愛していると、云っている瞳だ。
堪えきれなくなって荒々しく口唇を貪る。手をシャツの下に忍ばせると、土方さんから淡い吐息が漏れる。それがあまりにも官能的で、聞いたことのない声で。
熱の上がった俺を見て、土方さんは艶やかな微笑を浮かべ同じ温度の声で言った。今まで頑なに口にしなかった言葉を。
愛している、と。
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ハタ沖はタブーです。
許せない。
これからもよろしくお願いします!←唐突
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