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梅々

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節分。

夕飯に恵方巻きを出すとき、「これ黙って食べるから、男は黙って~ってネタ使えるじゃん!」と少々古いネタを母上に言ったら、恵方巻きを指差して「これ男だしね」と言われました。

最初なんだか分かんなかったけどつまりあれ、言わせねぇよ?って話ですね´―`



忘れてた・・・(((^_^;)

恵方巻きの発祥は花街だったんだ。去年の今ごろ、若しくは一昨年の今頃も多分同じ下ネタを記事にしていることでしょう。成長しろ!

嫌だって食前に言うのが悪い。これ五分以内にいただきますしますよってタイミングで言う母が悪い。

しかも切ったら痛いよね、そういやフィリピンかなんかじゃ浮気した人は切られるらしいね的なのを食前に話すなー!











それでは、節分ネタで暗めで続くんだぞ☆

土沖、かなぁ。
































鬼は内



福は外











浅ましき魍魎











升いっぱいに入っている豆を鷲掴み、目の前で書類を整理している背中に思いっきり投げつけたら振り向き様に拳骨を頂戴してしまった。それこそ容赦なく拳を降り下ろされて、ズキンズキンと痛みに星が舞う。

升を床に置き頭を抱えて蹲る。其れほどまでに痛いと言うのに、再び書類整理を始め背を向けたまま邪魔するなと一言。これにはいくら温厚な俺でもカチンときた。

せっかく非番だというのに臭い臭い副長室まで来てやって、それはないだろう。それに豆を投げたのだってきちんとした理由がある。節分だからだ。情緒的な遊びで気を紛れさせてやろうという俺の思いやりを無下にするなんて、土方十四郎に許される行為だろうか、否、許されない。

そこまで一気に考えて、結果更に苛々したので俺はもう一回その憎たらしい背に豆を投げつけて、屯所を後にした。



「バカ土方死んじまえ・・・」



近藤さんは今日は忙しいらしく、トシとやってくれとこの豆をくれた。山崎も珍しく仕事でいないし、原田さんや永倉さんらも仕事だ。晩飯時には皆で豆を食うが、撒いたりはしない。だからといって別に豆まきをしたくて堪らないというわけではなくて、土方さんに投げつけたいだけ。

つまらなくて行く宛もなくのんびりと街を歩いていると所々雪が積もっている。一昨日は珍しく雪が降って、しかも二年ぶりの積雪だったらしい。積雪と言ったって雪国の人からしたら積もっているとは言えない量だけれど。

ここより武州の方が残雪があるだろう、想像したら故郷に帰りたくなった。



「―――ってぇわけで。金は払うんで武州に連れてってくだせェ」



「何そのノリ、彼氏に頼みなさい。銀さんは忙しいんですー」



「彼氏は甲斐性無しだからどうでもいいんでさァ。ってぇか、名ばかりで実際はんなことねぇし」



思ったままを言ったらふーんと興味の無さそうな声と共に興味が多いにありそうな視線を旦那は寄越した。だから道中で買ったむしまんの箱をテーブルに置けば、旦那はかったるそうに立ち上がる。

相手の存在が絶対だ、というほど愛しているわけではない。そういう見方をしたら姉上と近藤さん以上に愛している人はいないわけだから、他人と付き合おうとは思わない。それは向こうも同じ。だから、俺らは恋人同士と云う寒気のする関係になったいまも、何も変わらずにいる。

思うに、俺は土方さんの目付け役なのだ。姉上の愛したあの人が、悪い虫を選ばないように。それを土方さんは理解していて、だから手っ取り早く他の悪い虫が付かぬよう、俺が恋人の座を得ただけ。

だから思い上がることも愛することもあってはならない、今以上。

これ以上を求めるのは浅ましい。



「・・・俺と一緒でいいのか? 墓参り行くんだろ?」



「旦那と一緒なら、姉上は喜びまさァ」



「多串君と一緒のが喜ぶと思うけど?」



「・・・あの人と一緒に、姉上の墓前に立てる程、面の皮は厚くねぇんです」



付き合え、と三ヶ月前に言われた。

姉上のいない世界にもそれなりに馴染んで、土方さんとの関係も元通りになって、ただ一つ違うのは心の中に空虚が生まれたことだけ。手紙は来ないし、部屋には小さなものだが仏壇がある。それだけだ。此処から故郷までの距離も長かったけれどそれよりも遠くへ、彼女は行ってしまった。

だから、邪な気持ちを抑制するものも無くなって途方に暮れた俺に、土方さんはそう言った。理由をこじつけて傍にいることを選んだ。罪悪感も自分に言い訳することで見ないフリをして、傍にいられる幸せに酔いしれた。

恋人という名があるならそれでいい。虚実でも。



「素直になりゃ、案外世界は過ごしやすいかもよ?」



「なれねぇの、分かって言ってんだろィ」



「まぁな。でも、お前の幸せを願ってる人は、なってほしいって思ってんじゃねぇの」



気だるげな声はバイクのエンジン音にかき消されることなく俺の元まで届いた。

姉上は許してくれても、願ってくれていても、俺がそれを許さない、認めない。



これが、自分への免罪符だから。

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