梅々
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歌姫
今日もゲームと花札を交互にやって一日は終わった……。
やってたら百人一首やりたくなりました。が持っていない。
やりたいよ~。
というのりで百人一首。
やってたら百人一首やりたくなりました。が持っていない。
やりたいよ~。
というのりで百人一首。
「……土方さんのことが、好きなんでさァ」
うつ向き、呟かれた告白に驚愕した俺を、真っ直ぐと総悟は見つめた。仄かに紅潮した頬が、今の言葉は嘘ではないことを告げていた。
けれど、信じ難かった。いつもいつも邪険にされているというのに、好きだなんて。それに俺らは同性で、ただの幼馴染みでしかなかったのだ。
─────少しは、俺も気にかけてはいたけれど、告白してどうのこうのして……と思う程ではなかったわけで。
黙り続ける俺に、総悟はいつもの抑揚のない声で告げた。
「………それだけ知っといてもらえば、いいんで」
思いつめたような顔をしたあの時の総悟を、俺は幾度も思い出しては問掛ける。
(こんな俺の、何処を?)
沈黙の理
「トシぃ。なんでそんなにモテんだよ。少しわけてくんね? ってかどうしたらお妙さんが俺のこと好きになってくれっかな」
「ンなこと知るか。…いい加減諦めたらどうなんだよ」
「いやムリムリ。……あ、お妙さぁぁん!!」
走り去っていく近藤の後ろ姿を眺め、ハァ、と溜め息を溢す。
なんでそんなに一途に、ただ一人を想うことができるのだろう。羨ましくて堪らない。聞けばきっと、『運命の人なんだ』とか非科学的な答えを寄越すだろうから何も言わないけれど。
確かに、あ、いいかも。程度の人は結構いた。その程度だからたくさんの人と付き合った。
けれど、近藤の言う『運命の人』とやらにはさっぱり巡り逢わなかった。
─────総悟にとっての俺は、どちらなのだろう。その程度の人間なのか至高の存在なのか。
それが知りたくて、でも聞くことも出来ずズルズルと、中途半端な現状が続いていて。
「土方くん」
呼ばれて振り返ると、今の彼女がニコニコしていた。
成り行きで付き合ったから、そこまで愛着はない。それでもいいからと言われ付き合ったのだけど。
何故か、総悟に悪いなと、後ろめたい気持ちが胸の中で燻っている。
大して総悟の事を好きなわけではないというのに。
「……キスして」
「は」
いきなりの展開に頭がついていかず怪訝な顔をしてしまう。
『そんな怖い顔しなきゃあ、あんたもっとモテんのにねィ。』いつか言われた総悟の言葉を思い出し、表情を取り繕う。
キスとか、してくれなくていいから付き合って。
そういうから、総悟に告白された次の日から付き合い始めた。
それはそれで、あいつの気持ちを踏み躪って、裏切っていることになるのかもしれない。けれど、悶々と考えて煮詰まり、他人にあたってしまうよりは、気分転換の意を含めて第三者といた方がいいのだ。
と、自分自身に言い訳している。
服を引かれ、ズルズルと無人の階段の踊り場に連れて行かれる。人前でするよりは、という彼女なりの配慮なのだろう。
教室には、総悟もいた。出際に一瞬目が合って、すぐに反らされたけれども。
チクリ、と胸が痛んだ。
「してくれれば、別れるから。…………好きな人、いるんでしょ? 付き合う前から知ってたけど」
「…………いねぇよ」
「嘘。だって、いつも、誰かのこと探してる」
「───」
その誰かとは一人しかいない。
(総悟……………)
この気持ちは、恋愛感情なのだろうか。
今までみたく、微妙な気持ちで付き合ったって、傷付けてしまうだけだ。あいつはそんな、か弱くはないけれど、でも。
避けられるなりなんなり、される。今まで通りの、“幼馴染み”ではなくなってしまう。
(─────嫌だ)
だから、俺は告白もしなかったし、この関係を壊さないようにしていた。その方がいいと、思っていたから。
………なんて、ただ臆病なだけだ。総悟みたく、踏み出す勇気がないくせに、言い訳を並べて。
「一回してくれれば、諦めつくから……」
「……わかった」
そっと唇を重ねるが、一瞬触れ合わせただけで離した。
バタバタと、響いた足音と微かに視界に映った、黒い学ランと、飴色の髪。
ドラマ宜しくこのタイミングでかよ、呆然と立ち尽くす俺の背を彼女はバシッと叩いた。
「相手が沖田くんじゃ負けは当然だしね。ほら、早く追っかけなさい」
「…ああ」
知ってたのかよ。
それならば、と問いたくなるが先に総悟を追い掛けなければ。
が、角を曲がると其処には人一人いない無人の廊下が続くだけ。僅かながらに届く足音を頼りに全速力で追う。
本当ドラマのようだ。と呑気に考えていると階段に差し当たった。
屋上か、階下か。
足音は聞こえてこない。
勘に任せ、屋上へ向かう。重い鉄の扉を押し開けた先にはフェンスと、腹立たしいまでに蒼い空が広がるだけだ。
けれど、いる。
「総悟」
「……………何ですかィ」
ホッと安堵しつつ扉を閉じ、死角になっている階段の裏側へと歩を進める。
顔を埋めるように体育座りをして、総悟は座っていた。
いい天気なのだから日陰なんかにいないで温い日向にいればいいのに。ぼんやりと頭に浮かんだ言葉を素直に口にしたら事態が悪化するだけだろう、腹をくくったからか脳天気になっている。
「お前らしくねぇなァ。どうしたんだよ」
「どうした、ってあんたがっ……!! …別に、どうこう言えた義理合いじゃねぇけど」
普段人形のように表情の乏しい総悟が、怒りを露にしているのが嬉しいと、思う。
(きっと、ずっと前から………)
「文句があんならいつもみたく言えばいいだろ」
「俺のことなんざどーでもいいだろィ。彼女と乳くりあってなせぇよ」
「誰がどーでもいいっつったよ?」
よいしょっ、と総悟の隣に座り、煙草を取り出す。
学校で吸うなんざ久々だ。そう思いつつ火をつけ、虚空に紫煙を盛大に吐き出す。
困惑した表情の総悟が、此方へと身を乗り出す。
「じゃあなんであんなヤツと…! 嘘ついてんじゃねでさ。俺のこと好きでもなんでもねぇくせに」
「好きだよ」
「はっ。冗談。あんたみたいな偽善者の嘘なんざ信じやせんよ」
「本当ねじくれてるよな、好きだっつってんだろ。…もう二度と言わねぇけどよ」
「本当に…?」
信じられない、と大きな目をぱちぱちと瞬く。
両思いなんだから素直に喜べばいいのに、ひねくれている。らしくていいけれど。
「本当だよ」
「…今なら、ジェットコースターも乗れそうな気がしまさァ」
「大袈裟過ぎんだろ」
「でも、そんぐれぇ…」
嬉しくて。
と、刹那はにかんだ笑みを浮かべ、総悟は煙草をかっさらい、口付けてきた。
心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな
#68
うつ向き、呟かれた告白に驚愕した俺を、真っ直ぐと総悟は見つめた。仄かに紅潮した頬が、今の言葉は嘘ではないことを告げていた。
けれど、信じ難かった。いつもいつも邪険にされているというのに、好きだなんて。それに俺らは同性で、ただの幼馴染みでしかなかったのだ。
─────少しは、俺も気にかけてはいたけれど、告白してどうのこうのして……と思う程ではなかったわけで。
黙り続ける俺に、総悟はいつもの抑揚のない声で告げた。
「………それだけ知っといてもらえば、いいんで」
思いつめたような顔をしたあの時の総悟を、俺は幾度も思い出しては問掛ける。
(こんな俺の、何処を?)
沈黙の理
「トシぃ。なんでそんなにモテんだよ。少しわけてくんね? ってかどうしたらお妙さんが俺のこと好きになってくれっかな」
「ンなこと知るか。…いい加減諦めたらどうなんだよ」
「いやムリムリ。……あ、お妙さぁぁん!!」
走り去っていく近藤の後ろ姿を眺め、ハァ、と溜め息を溢す。
なんでそんなに一途に、ただ一人を想うことができるのだろう。羨ましくて堪らない。聞けばきっと、『運命の人なんだ』とか非科学的な答えを寄越すだろうから何も言わないけれど。
確かに、あ、いいかも。程度の人は結構いた。その程度だからたくさんの人と付き合った。
けれど、近藤の言う『運命の人』とやらにはさっぱり巡り逢わなかった。
─────総悟にとっての俺は、どちらなのだろう。その程度の人間なのか至高の存在なのか。
それが知りたくて、でも聞くことも出来ずズルズルと、中途半端な現状が続いていて。
「土方くん」
呼ばれて振り返ると、今の彼女がニコニコしていた。
成り行きで付き合ったから、そこまで愛着はない。それでもいいからと言われ付き合ったのだけど。
何故か、総悟に悪いなと、後ろめたい気持ちが胸の中で燻っている。
大して総悟の事を好きなわけではないというのに。
「……キスして」
「は」
いきなりの展開に頭がついていかず怪訝な顔をしてしまう。
『そんな怖い顔しなきゃあ、あんたもっとモテんのにねィ。』いつか言われた総悟の言葉を思い出し、表情を取り繕う。
キスとか、してくれなくていいから付き合って。
そういうから、総悟に告白された次の日から付き合い始めた。
それはそれで、あいつの気持ちを踏み躪って、裏切っていることになるのかもしれない。けれど、悶々と考えて煮詰まり、他人にあたってしまうよりは、気分転換の意を含めて第三者といた方がいいのだ。
と、自分自身に言い訳している。
服を引かれ、ズルズルと無人の階段の踊り場に連れて行かれる。人前でするよりは、という彼女なりの配慮なのだろう。
教室には、総悟もいた。出際に一瞬目が合って、すぐに反らされたけれども。
チクリ、と胸が痛んだ。
「してくれれば、別れるから。…………好きな人、いるんでしょ? 付き合う前から知ってたけど」
「…………いねぇよ」
「嘘。だって、いつも、誰かのこと探してる」
「───」
その誰かとは一人しかいない。
(総悟……………)
この気持ちは、恋愛感情なのだろうか。
今までみたく、微妙な気持ちで付き合ったって、傷付けてしまうだけだ。あいつはそんな、か弱くはないけれど、でも。
避けられるなりなんなり、される。今まで通りの、“幼馴染み”ではなくなってしまう。
(─────嫌だ)
だから、俺は告白もしなかったし、この関係を壊さないようにしていた。その方がいいと、思っていたから。
………なんて、ただ臆病なだけだ。総悟みたく、踏み出す勇気がないくせに、言い訳を並べて。
「一回してくれれば、諦めつくから……」
「……わかった」
そっと唇を重ねるが、一瞬触れ合わせただけで離した。
バタバタと、響いた足音と微かに視界に映った、黒い学ランと、飴色の髪。
ドラマ宜しくこのタイミングでかよ、呆然と立ち尽くす俺の背を彼女はバシッと叩いた。
「相手が沖田くんじゃ負けは当然だしね。ほら、早く追っかけなさい」
「…ああ」
知ってたのかよ。
それならば、と問いたくなるが先に総悟を追い掛けなければ。
が、角を曲がると其処には人一人いない無人の廊下が続くだけ。僅かながらに届く足音を頼りに全速力で追う。
本当ドラマのようだ。と呑気に考えていると階段に差し当たった。
屋上か、階下か。
足音は聞こえてこない。
勘に任せ、屋上へ向かう。重い鉄の扉を押し開けた先にはフェンスと、腹立たしいまでに蒼い空が広がるだけだ。
けれど、いる。
「総悟」
「……………何ですかィ」
ホッと安堵しつつ扉を閉じ、死角になっている階段の裏側へと歩を進める。
顔を埋めるように体育座りをして、総悟は座っていた。
いい天気なのだから日陰なんかにいないで温い日向にいればいいのに。ぼんやりと頭に浮かんだ言葉を素直に口にしたら事態が悪化するだけだろう、腹をくくったからか脳天気になっている。
「お前らしくねぇなァ。どうしたんだよ」
「どうした、ってあんたがっ……!! …別に、どうこう言えた義理合いじゃねぇけど」
普段人形のように表情の乏しい総悟が、怒りを露にしているのが嬉しいと、思う。
(きっと、ずっと前から………)
「文句があんならいつもみたく言えばいいだろ」
「俺のことなんざどーでもいいだろィ。彼女と乳くりあってなせぇよ」
「誰がどーでもいいっつったよ?」
よいしょっ、と総悟の隣に座り、煙草を取り出す。
学校で吸うなんざ久々だ。そう思いつつ火をつけ、虚空に紫煙を盛大に吐き出す。
困惑した表情の総悟が、此方へと身を乗り出す。
「じゃあなんであんなヤツと…! 嘘ついてんじゃねでさ。俺のこと好きでもなんでもねぇくせに」
「好きだよ」
「はっ。冗談。あんたみたいな偽善者の嘘なんざ信じやせんよ」
「本当ねじくれてるよな、好きだっつってんだろ。…もう二度と言わねぇけどよ」
「本当に…?」
信じられない、と大きな目をぱちぱちと瞬く。
両思いなんだから素直に喜べばいいのに、ひねくれている。らしくていいけれど。
「本当だよ」
「…今なら、ジェットコースターも乗れそうな気がしまさァ」
「大袈裟過ぎんだろ」
「でも、そんぐれぇ…」
嬉しくて。
と、刹那はにかんだ笑みを浮かべ、総悟は煙草をかっさらい、口付けてきた。
心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな
#68
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