梅々
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六道輪廻
今日は雨の中三時間ほど外で待たされまして。暇潰しにしりとりとかやっていたのですが常識的に考えてありえないだろう。
雨降ってるんだから善処してください。
そんな今日は土方さんの命日ですね。
誕生日ネタ終わらそうと思ったら終わらなかったので、小ネタを書いたら小説になりました。ばかめ←
でもなんだか、憂鬱な気分になるのはぐずついた天気の所為でしょうか?
それでは命日ですね、なお話。
夢が好きです。
土沖土、というか沖土沖です。
雨降ってるんだから善処してください。
そんな今日は土方さんの命日ですね。
誕生日ネタ終わらそうと思ったら終わらなかったので、小ネタを書いたら小説になりました。ばかめ←
でもなんだか、憂鬱な気分になるのはぐずついた天気の所為でしょうか?
それでは命日ですね、なお話。
夢が好きです。
土沖土、というか沖土沖です。
鉛の空
恐ろしい夢を視た。
瞼を開けたらなんてこともない自分の部屋で、強張った体の力がすぅと抜けた。障子の向こうより届く、微かな雨音、薄明かり。昨日までは暖かかったが今朝は少し肌寒くて、そんな中汗ばんでいて、酷く気分が悪い。
おぞましい夢だった。
思い返しただけで、今日を何事もなく過ごせなくなりそうなほどの。
戦地で敵に銃で撃たれた。四方から、容赦なく。最初に痛みを感じたのは横っ腹だった。あぁ死ぬな、思った途端に蜂の巣だ。夢の中だというのに、蜂の巣にされた経験もないのに、痛みはリアルで鈍かった。
それだけなら、良かった。自分が死ぬ夢ごとき、怖くない。不快感はあれど、恐怖など感じない。
ただ、ただ。
『土方さんっ!!』
あの悲痛な叫び声が、鼓膜を震わせ、そしてそこから離れない。半身を裂いたってそんな声でないだろうという程の、悲鳴。それが俺を呼んだ。
意識がぼやけた俺の体を強く揺さぶって、何度も何度も名を呼んで。今にも泣きそうな、顔をしていた。
此処は戦場だ、俺に構うなおまえも死ぬ。切れ切れに言ったのは通じたのか分からなかった。長い茶の髪が顔を覆って、表情も分からなかった。だから、何もかも薄れていく中で足掻くように総悟、と呼んだ。
全ての思いをこめて。
『土方さん・・・』
漸く顔を上げた総悟の顔が刹那見えて、それから後は何も無くなった。体を包む優しい温もりも、必死な声も、濡れた顔も、何も。
泣いていた。
否、涙が流れていた。強い眼差しから、涙が落ちていた。そんな、雫さえなければいつもの総悟で、でも迷子になった動物のようでもあった気がする。顔をくしゃくしゃにして大声で泣き喚かれるよりもよっぽど、それこそ銃で撃たれた痛みよりも痛かった。心臓を握り潰されたような。死因は総悟の泣き顔だと言っても過言ではなかった。
泣かせたくなかった。たとえ、夢の中でさえも。もう二度と。
近藤さんより俺らが生き残る可能性なんて万に一つもなくて、だから大事な人の死に目に総悟が合うことはないだろう、そう思っていたのに、泣かせた。実際は俺の為になんて泣かないかもしれない、でも光景が焼き付いて、思考を奪う。狂わせる。
蟠りが胸の内で犇めいて、安心したくなって布団を抜けた。変わりない、普段の総悟を見ればなんとかなりそうだ。そう思って。
静かに障子を開けて暗い部屋に忍び入る。起こしたくはなかったから、極力静かに枕元へ寄った。だけどそういうときこそ、総悟はすぐに起きる。
「ん・・・土方さん?」
寝起き特有の掠れ気味な声を発してアイマスクを上げた総悟の目はとろんとしていた。だが、俺に焦点を合わすなり慈愛の込めた笑みを浮かべる。
「・・・総悟」
「怖い夢でも見たんで? 仕方ねぇなァ、おいでなせェ」
嘲る響きのない声に誘われるまま隣に寝そべる。そのまま抱き締められて俺は抱き枕になった。反論もできず、なすがまま心音を分け与えられる。悪戯に髪を構う手は微睡んでいて、総悟も何も言う気配はない。
悲しませたくない。泣かせたくない。傲慢だろうと独り善がりだろうと、いい。
お前の涙一つで俺は、殺されるのだから。
恐ろしい夢を視た。
瞼を開けたらなんてこともない自分の部屋で、強張った体の力がすぅと抜けた。障子の向こうより届く、微かな雨音、薄明かり。昨日までは暖かかったが今朝は少し肌寒くて、そんな中汗ばんでいて、酷く気分が悪い。
おぞましい夢だった。
思い返しただけで、今日を何事もなく過ごせなくなりそうなほどの。
戦地で敵に銃で撃たれた。四方から、容赦なく。最初に痛みを感じたのは横っ腹だった。あぁ死ぬな、思った途端に蜂の巣だ。夢の中だというのに、蜂の巣にされた経験もないのに、痛みはリアルで鈍かった。
それだけなら、良かった。自分が死ぬ夢ごとき、怖くない。不快感はあれど、恐怖など感じない。
ただ、ただ。
『土方さんっ!!』
あの悲痛な叫び声が、鼓膜を震わせ、そしてそこから離れない。半身を裂いたってそんな声でないだろうという程の、悲鳴。それが俺を呼んだ。
意識がぼやけた俺の体を強く揺さぶって、何度も何度も名を呼んで。今にも泣きそうな、顔をしていた。
此処は戦場だ、俺に構うなおまえも死ぬ。切れ切れに言ったのは通じたのか分からなかった。長い茶の髪が顔を覆って、表情も分からなかった。だから、何もかも薄れていく中で足掻くように総悟、と呼んだ。
全ての思いをこめて。
『土方さん・・・』
漸く顔を上げた総悟の顔が刹那見えて、それから後は何も無くなった。体を包む優しい温もりも、必死な声も、濡れた顔も、何も。
泣いていた。
否、涙が流れていた。強い眼差しから、涙が落ちていた。そんな、雫さえなければいつもの総悟で、でも迷子になった動物のようでもあった気がする。顔をくしゃくしゃにして大声で泣き喚かれるよりもよっぽど、それこそ銃で撃たれた痛みよりも痛かった。心臓を握り潰されたような。死因は総悟の泣き顔だと言っても過言ではなかった。
泣かせたくなかった。たとえ、夢の中でさえも。もう二度と。
近藤さんより俺らが生き残る可能性なんて万に一つもなくて、だから大事な人の死に目に総悟が合うことはないだろう、そう思っていたのに、泣かせた。実際は俺の為になんて泣かないかもしれない、でも光景が焼き付いて、思考を奪う。狂わせる。
蟠りが胸の内で犇めいて、安心したくなって布団を抜けた。変わりない、普段の総悟を見ればなんとかなりそうだ。そう思って。
静かに障子を開けて暗い部屋に忍び入る。起こしたくはなかったから、極力静かに枕元へ寄った。だけどそういうときこそ、総悟はすぐに起きる。
「ん・・・土方さん?」
寝起き特有の掠れ気味な声を発してアイマスクを上げた総悟の目はとろんとしていた。だが、俺に焦点を合わすなり慈愛の込めた笑みを浮かべる。
「・・・総悟」
「怖い夢でも見たんで? 仕方ねぇなァ、おいでなせェ」
嘲る響きのない声に誘われるまま隣に寝そべる。そのまま抱き締められて俺は抱き枕になった。反論もできず、なすがまま心音を分け与えられる。悪戯に髪を構う手は微睡んでいて、総悟も何も言う気配はない。
悲しませたくない。泣かせたくない。傲慢だろうと独り善がりだろうと、いい。
お前の涙一つで俺は、殺されるのだから。
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