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梅々

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ポッキー

ポッキーの日沖土!










 ほらよ、と土方さんが頭を何かで叩きやがった。当然のことながら、むっとしつつそれを受けとる。箱だ。何の、と思いながらひょいと目の前に持ってくる。ポッキーだ。ポッキーの、箱。なんでまたと思いながらもありがたく受け取って、礼を言う。

「ありがとうございやす」
「礼だけはちゃんと言えるのな」
「当然でしょう」

 人間としてそれぐらいできなくてどうする。冷ややかに返して早速箱を開ける。チョコのいい匂いに気分があがる。そのままぱくり、袋から出したポッキーを食べる。甘過ぎないのがまたいい。
 でも一体どうして土方さんが。珍しすぎてじぃっと見ていたら、視線を感じた土方さんが振り返った。不愉快そうに寄った眉が堪らない。

「もらったんですかィ?」
「……買った」
「なんで」
「おまえイベント好きだろ」

 イベント。今日何かあったかと悩む。そもそも何日だ、と携帯の待受を見る。11月11日。誰の誕生日でもないしなぁと思ってそれから、そういえばと思い出した。ポッキーだ。

「ポッキーの日ですねそういや」
「忘れてたのか。なら買わなきゃ良かった」
「土方さんは墓穴掘る名人ですからねィ」

 言いながらチョコの多い方を咥えて先を上下に振ってみる。意図が通じるか半ばかけてみていたけども通じたらしい。馬鹿と一言寄越された。

「かもねぎでさァ」
「かもは好きじゃねぇ」
「飛んで火に入る夏の虫」
「虫かよ」
「えぇ。ほら、燃やしつくしてあげやすから」

 結構だ、なんて宣う土方さんの鼻先に、咥えたままポッキーをちらつかせる。
 土方さんは俺に甘いのだから。形だけの抵抗なんて止せばいいのに。なんて思っていたらぱくり、土方さんは食いついてくれた。
 そうそう、こういうところは嫌いじゃない。
 さくさくいい音を立ててポッキーを両端から食べていく。反れていた視線が、唇が触れ合った瞬間に合った。青いその眼差しが、とても好きだ。

「ん、」

 そのまま唇を奪うのはお約束だ。ちゅ、と重ねれば甘くてほろ苦い、チョコと煙草の混ざった味がした。

「据え膳の提供ありがとうごぜぇやす」
「何か気に食わねぇ言い方だな」
「欲情しやしたよ」

 言いながら新しく一本かじる。催促していないのに、また土方さんがかじりついてきて、でれた! と少しびっくりする。

「俺もしたわ」

 総悟、呼びながら土方さんからキスされたら他のことなんか考えられなくて。これが土方さんの計画だったら怖いなと思いながら押し倒した。

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