梅々
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プライバシー
二人っきりって結構エロい。
あ、気にしないで。眠いだけだから、上の言葉は。
土方がお偉いさんの娘と政略結婚的なのを嫌々して、出来た子どもが沖田のこと本気で好きで、沖田もそれなりにはその子どもを好きで。土方も沖田のこと気にしてるから息子に嫉妬しちゃってて……ってどうしようもないネタ考えてました。因みにその少年は土方にくりそつだといい。このネタで小説書こうかな、いつか。
それでは片想いネタ。
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞くときぞ 秋はかなしき
見上げた空
届かなくていい。
結ばれなくていい。
この想いは、此処にあればそれだけで。
好きだ と。
告げたらこの関係は壊れてしまうのだろう。それなら、ずっとこのまま友達としていたい。
「土方さん。今日委員会サボりやすね」
「何堂々と言ってんだ。誰が許すか」
ちぇっ、と唇を尖らせ、沖田は帰り支度をする。とはいっても鞄を肩にかけるだけなのだが。
鞄に教科書やらノートやらを詰めるのを何が面白いのか沖田はじぃっと見つめてくる。欠伸を一つして、机の上に置いてあった携帯に手を伸ばす。
沈もうとしている紅い陽を受けて黄金色の髪が神秘的に煌めいている。異国の血など微塵も混じっていない筈なのに何故こうも、こいつの髪は色素が薄いのだろう。餓鬼の頃から羨ましくて堪らなかったのに、沖田はその髪の色を忌んでいる。
綺麗なのに。
素直に誉める事など出来なくて。
キラキラ輝く髪から目を反らし、書類と鞄を手に取り立ち上がる。
「ほら、行くぞ」
「何で近藤さんはやんねぇのに、俺はやらなくちゃなんねーんで?」
「近藤さんは別に仕事があんだよ」
「仕事ったってただのストーキングでしょう」
文句言うなら勝手に帰ってしまえばいいのに。
教室を出て風紀委員が占領している会議室へと向かう。振り返らずとも足音でついてきているのが分かり、そう思う。
そういう、思わせ振りな態度に振り回される。振り回すだけ振り回しといて、無頓着な総悟は新たに目に入った他の物に夢中になるのだ。
「─────ああ、そういや、あの彼女とはどうなったんで? ひとみ、じゃなくて……なんて名前だったっけなァ」
総悟が俺に、彼女の事を聞いてくる時は毎回決まって総悟の方が順調なときだ。
そういう時は決まって、俺の方は別れてたりする。
今回も例によって例の如く。
「昨日、別れた」
「またァ? あんた長続きしやせんね、ほんとに」
「うっせぇ」
しょうがないだろう。身代わりなのだから。
何度も何度も、諦めようとした。たまには、それなりには本気になったりもした。けれど、その度まるで邪魔するかのように総悟が絡んできて。
ついてないとしか言えない。
本人が気付いていないから余計に質が悪い。
「お前のほうは、どうなんだ」
聞く前からわかっているのに、会話を終わらすのが嫌でつい尋ねてしまう。本当は聞きたくもないのに。
随分自虐的なことをしている。これじゃ総悟にマゾヒストと言われても仕方がない。
カチャ、カチャと俺が渡した書類をホッチキスで止めながら沖田は比較的爽やかに答えた。
「勿論アツアツに決まってんだろィ。毎日毎日楽しいヒモ生活でさァ」
「高校生の内からヒモかよ。先が思い遣られるな」
「安心しなせぇよ。フラレたらあんたン家行ってやりやすから」
俺が嫌がるのを見るための冗談なのだろう。
だけど、今直ぐにでも来て欲しいと、そう思う。冗談なんかじゃなくて、さっさとそんなヤツと別れて俺の家に来いと、真っ直ぐと言えたならこんなにももどかしい思い、せずにすむのに。
何の反応も無い俺を不振に思ったのか、総悟は顔を覗き込んでくる。
慌てて嫌な素振りをすると、腑に落ちない、といった表情をしつつも自分の作業に戻った。
今なら言えるか。
好きだ と。
「総悟」
「へい」
「………やっぱ何でもねぇ」
「はぁ?」
思いきり眉を寄せて総悟は手にしていた書類を机に置いた。睨むように此方を見てくる。
何を血迷ってるんだ。今此処で言ってしまったら今まで堪えていた意味が無くなるではないか。
傍に居れればいいなんて、戯言だ。けれど縁が切れてしまうよりかは幾分マシだから甘んじてしまうんだ、現状に。
「土方さん、あんたいつにもまして今日変ですねィ」
「お前それ、喧嘩売ってんだろ」
俺が変なのだとしたら、全ての元凶はお前だ、と文句の代わりに冷たい一瞥を送るが、総悟はいつものことながらニヤリと笑みを返してくる。
いつもいつも、余裕そうなお前をいつか、驚かせてみたい。好きだと言ったとしたら、驚くかもしれないがそうじゃなくて。忘れられない程強烈な事をして、あっ、と言わせてみたい。
「……慰めてやろうかィ?」
「ハッ、冗談だろ。やれるもんならやってみろ」
いつもそうだ。総悟は口先だけで。冗談ばかりで。嘘しか吐かない。だから何が本当の事なのかさっぱりだ。
だからどうせ、今回のコレも嘘でしかなくて。
笑い飛ばして見せるけれど、総悟は案外真面目な顔をしていた。
「それなら、遠慮なく」
「え、」
深紅の瞳が目前に迫っていた。その瞳に映る呆けた顔をした自分と目が合った刹那、唇が重なった。
嘘だろ冗談だろ有り得ないだろ。
夢か、と思うが自分に触れる温もりは嘘に思えない。それならば何で、総悟はこんなことを?
ほんの悪戯なのだろうか?
いつものように、総悟にとっては些細なことなのか?
「…瞼ぐれぇ閉じなせぇよ。色っぽくねぇなァ」
「………開口一番にそれかよ」
「あ、土方さんが怒った」
楽しそうに笑う総悟に無性に腹が立った。
お前にとって些細なことだろうと俺にとっては一生忘れられないぐらいのことなのに。
─────こんなに、心が揺らいでしまうのに。
惨めすぎる。
「………もう二度とすんな」
「…土方さん?」
鞄を取り、逃げるようにして会議室を出る。
あのままあの場にいたら何をしていたか分からない。この関係をこの距離を、壊したくないのに。総悟はそんな願いを踏みにじるように、俺を試す。
いっそのこと、世紀の大告白をしてしまおうか。そうすれば見事玉砕して、諦め─────られるだろうか。
「………無理、だろうな」
告白することも諦めることも。だからこそ、こんなにももどかしいのであって。
こんな現状に溜め息がもれる。
好きだ
その三言さえ言えれば全て終わる。
#5
声聞くときぞ 秋はかなしき
見上げた空
届かなくていい。
結ばれなくていい。
この想いは、此処にあればそれだけで。
好きだ と。
告げたらこの関係は壊れてしまうのだろう。それなら、ずっとこのまま友達としていたい。
「土方さん。今日委員会サボりやすね」
「何堂々と言ってんだ。誰が許すか」
ちぇっ、と唇を尖らせ、沖田は帰り支度をする。とはいっても鞄を肩にかけるだけなのだが。
鞄に教科書やらノートやらを詰めるのを何が面白いのか沖田はじぃっと見つめてくる。欠伸を一つして、机の上に置いてあった携帯に手を伸ばす。
沈もうとしている紅い陽を受けて黄金色の髪が神秘的に煌めいている。異国の血など微塵も混じっていない筈なのに何故こうも、こいつの髪は色素が薄いのだろう。餓鬼の頃から羨ましくて堪らなかったのに、沖田はその髪の色を忌んでいる。
綺麗なのに。
素直に誉める事など出来なくて。
キラキラ輝く髪から目を反らし、書類と鞄を手に取り立ち上がる。
「ほら、行くぞ」
「何で近藤さんはやんねぇのに、俺はやらなくちゃなんねーんで?」
「近藤さんは別に仕事があんだよ」
「仕事ったってただのストーキングでしょう」
文句言うなら勝手に帰ってしまえばいいのに。
教室を出て風紀委員が占領している会議室へと向かう。振り返らずとも足音でついてきているのが分かり、そう思う。
そういう、思わせ振りな態度に振り回される。振り回すだけ振り回しといて、無頓着な総悟は新たに目に入った他の物に夢中になるのだ。
「─────ああ、そういや、あの彼女とはどうなったんで? ひとみ、じゃなくて……なんて名前だったっけなァ」
総悟が俺に、彼女の事を聞いてくる時は毎回決まって総悟の方が順調なときだ。
そういう時は決まって、俺の方は別れてたりする。
今回も例によって例の如く。
「昨日、別れた」
「またァ? あんた長続きしやせんね、ほんとに」
「うっせぇ」
しょうがないだろう。身代わりなのだから。
何度も何度も、諦めようとした。たまには、それなりには本気になったりもした。けれど、その度まるで邪魔するかのように総悟が絡んできて。
ついてないとしか言えない。
本人が気付いていないから余計に質が悪い。
「お前のほうは、どうなんだ」
聞く前からわかっているのに、会話を終わらすのが嫌でつい尋ねてしまう。本当は聞きたくもないのに。
随分自虐的なことをしている。これじゃ総悟にマゾヒストと言われても仕方がない。
カチャ、カチャと俺が渡した書類をホッチキスで止めながら沖田は比較的爽やかに答えた。
「勿論アツアツに決まってんだろィ。毎日毎日楽しいヒモ生活でさァ」
「高校生の内からヒモかよ。先が思い遣られるな」
「安心しなせぇよ。フラレたらあんたン家行ってやりやすから」
俺が嫌がるのを見るための冗談なのだろう。
だけど、今直ぐにでも来て欲しいと、そう思う。冗談なんかじゃなくて、さっさとそんなヤツと別れて俺の家に来いと、真っ直ぐと言えたならこんなにももどかしい思い、せずにすむのに。
何の反応も無い俺を不振に思ったのか、総悟は顔を覗き込んでくる。
慌てて嫌な素振りをすると、腑に落ちない、といった表情をしつつも自分の作業に戻った。
今なら言えるか。
好きだ と。
「総悟」
「へい」
「………やっぱ何でもねぇ」
「はぁ?」
思いきり眉を寄せて総悟は手にしていた書類を机に置いた。睨むように此方を見てくる。
何を血迷ってるんだ。今此処で言ってしまったら今まで堪えていた意味が無くなるではないか。
傍に居れればいいなんて、戯言だ。けれど縁が切れてしまうよりかは幾分マシだから甘んじてしまうんだ、現状に。
「土方さん、あんたいつにもまして今日変ですねィ」
「お前それ、喧嘩売ってんだろ」
俺が変なのだとしたら、全ての元凶はお前だ、と文句の代わりに冷たい一瞥を送るが、総悟はいつものことながらニヤリと笑みを返してくる。
いつもいつも、余裕そうなお前をいつか、驚かせてみたい。好きだと言ったとしたら、驚くかもしれないがそうじゃなくて。忘れられない程強烈な事をして、あっ、と言わせてみたい。
「……慰めてやろうかィ?」
「ハッ、冗談だろ。やれるもんならやってみろ」
いつもそうだ。総悟は口先だけで。冗談ばかりで。嘘しか吐かない。だから何が本当の事なのかさっぱりだ。
だからどうせ、今回のコレも嘘でしかなくて。
笑い飛ばして見せるけれど、総悟は案外真面目な顔をしていた。
「それなら、遠慮なく」
「え、」
深紅の瞳が目前に迫っていた。その瞳に映る呆けた顔をした自分と目が合った刹那、唇が重なった。
嘘だろ冗談だろ有り得ないだろ。
夢か、と思うが自分に触れる温もりは嘘に思えない。それならば何で、総悟はこんなことを?
ほんの悪戯なのだろうか?
いつものように、総悟にとっては些細なことなのか?
「…瞼ぐれぇ閉じなせぇよ。色っぽくねぇなァ」
「………開口一番にそれかよ」
「あ、土方さんが怒った」
楽しそうに笑う総悟に無性に腹が立った。
お前にとって些細なことだろうと俺にとっては一生忘れられないぐらいのことなのに。
─────こんなに、心が揺らいでしまうのに。
惨めすぎる。
「………もう二度とすんな」
「…土方さん?」
鞄を取り、逃げるようにして会議室を出る。
あのままあの場にいたら何をしていたか分からない。この関係をこの距離を、壊したくないのに。総悟はそんな願いを踏みにじるように、俺を試す。
いっそのこと、世紀の大告白をしてしまおうか。そうすれば見事玉砕して、諦め─────られるだろうか。
「………無理、だろうな」
告白することも諦めることも。だからこそ、こんなにももどかしいのであって。
こんな現状に溜め息がもれる。
好きだ
その三言さえ言えれば全て終わる。
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