梅々
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めでたいのぉ
イラストでお祝いしたいなと思ってます。今日土沖飽和状態なので土沖熱が高いのは当たり前ですが沖土熱も高い。
今週中にやらなきゃ来週までパソコン触れませんし。早くかかなきゃです。
それでは三夜連続だぜ☆
夏・連作で百人一首。
沖土で一応、テーマは「海」ですが。土方が限りなく甘い。
今週中にやらなきゃ来週までパソコン触れませんし。早くかかなきゃです。
それでは三夜連続だぜ☆
夏・連作で百人一首。
沖土で一応、テーマは「海」ですが。土方が限りなく甘い。
名にし負はば あふ坂山の さねかづら
人に知られで くるよしもがな
入道雲を追え
「起きてくだせぇよ、土方さん」
ギシ、とベッドが軋み、何者かがカーテンを開く。朝の柔い光に、徐々に土方の意識が覚醒してゆく。
それとともに、何故土方の部屋に沖田がいるのか、だとか疑問も芽生える。芽生えるけれど低血圧の土方には目を開けることができない。
寝る前、部屋にはきちんと鍵をかけた。自分の手でちゃんとかけたのだからよく覚えている。
沖田の部屋は隣だ。ベランダ越しに此方へ来ることは不可能に近い。
「土方さん、いい加減にしねぇと濡れ雑巾顔面にかけやすよ」
―――――あぁそうだ。
昨日沖田を部屋にあげたのは他ならぬ自分自身だった。シャワーを浴び終え頭を拭いていたらノックが聞こえて、出てみたら沖田が一升瓶持って立っていた。
・・・鍵をかけてからの記憶が無いけれど。
脅されてしまったので仕方なく瞼を開けると、目前には雑巾が迫っていた。ポタポタと、水が顔に滴る。
「ってめ、やめろ! きったねぇな!!」
「あら、起きちまったんで? チッ」
「舌打ちすんな!!」
雑巾を退けさせ顔を洗いに洗面所へ向かう。洒落た蛇口を開き顔を洗い、下ろしたてのタオルで顔を拭いていると鏡越しに沖田と目が合った。
柄になく、何かを訴えるような眼差しをしていたので少し、気になる。
タオルを元有った場所に戻し振り返り、沖田と視線を合わす。
「どしたよ」
「海行きやしょうよ」
「気持ちは分かるけどよ、仕事が・・・」
「近藤さんが行ってきていいって。上様の警護ぐらいお前らに任せなくてもできるから、楽しめって」
俺たちは今、上様の避暑の警護という名目で江戸から離れた、有名なホテルで寝起きしている。ベッド脇の大きな窓からは白い砂浜と青いビーチが臨める。
武州には海が無かった。一度だけ、道場の皆と海へ行ったことがあったがその時、確か幼かった沖田は風邪を引いていて行けなかったのだ。
初めて生で見る海だ、興奮しても仕方がない。
「行くかァ・・・」
「よし、んじゃあ水着着てきまさァ」
ぱたぱたと駆けて行く後ろ姿に苦笑が漏れる。
なんだかんだ言っても沖田は未だ子どもだ。感情が乏しいだけで、他の思春期の少年らと何ら変わりがない。
故に、土方は時々不安に思う。
いつかは、万事屋にいるチャイナ娘のような誰かと結婚してしまうのではないかと。俺に執着しているのは一時の気の迷いなのではないかと。
「土方さん、行きやしょう」
「ああ」
そんなことを考えても仕方がないのだと分かってはいる。
指を絡め手を繋がれ、ズンズン歩いていく沖田の歩幅に合わせ砂浜へ向かう。
ロビーを出で、階段をおりればそこはもう砂浜だ。白い砂がキラキラと目に眩しい。
「・・・土方さん、あんた水着着て来なかったんで?」
「まぁな。別に入る気はねぇし」
念の為、というよりも沖田の為に持ってきたタオルを波打ち際よりも遠い、絶対に濡れない場所へ投げ捨て、波打ち際に立つ。
ズボンを捲りシャツも捲った沖田が爪先だけ水に浸かる。どうせ水着を履いてきたなら脱げばいいのに、とぼんやり思いながら煙草に火をつける。
「そういや、上様が来てるから特別に花火あげるそうですぜ、今夜」
「へぇ~。花火なぁ」
花火、と聞いて思い出したのはこの間の隅田川の花火大会だ。見に行こう、と誘ったのは口実だったのか殆ど見せて貰えなかった。
パシャパシャ、と沖田が近付いてきたと思ったら、思いきり腕を引かれた。
バランスを失った土方は、自然の摂理に従い揺らめく水へと倒れこむ。
バッシャーン!!
白く泡が舞い、再び母なる海の一部に戻る。
その様子を見ることの出来なかった土方は綺麗と思うことも不可能であり、見れたとしてもこんな精神状態ではそう感じられなかっただろう。
「っにしやがんだよ!!」
「澄ました顔してたから、つい」
「ついじゃねぇっての」
ズブ濡れになった前髪をかきあげながら沖田を見上げる。
楽しそうな笑みを浮かべている沖田は見た目だけは天使のようで。
今にも消えてしまいそうな。儚さなんて無縁な人間なのに、何故。
不安が煽られる。
いつかは、と。
沖田を引き寄せ、土方はその足元に抱きつく。
離れて行かないように、強く強く。
「土方さん?」
「・・・黙っとけ」
そう言うと、顔を両手で包まれ上を向かされる。
天使のような笑みを浮かべた沖田が土方の目を真摯に見つめながら囁く。
「安心しなせぇ。あんたは一生俺の玩具ですから。ね?」
「・・・安心できるかよ。馬鹿だろ」
笑顔のまま沖田は土方の頬を掴んだ手を離し、再び水の中へ押し倒す。
咳こみつつ顔をあげた土方の唇に沖田は噛みつくように唇を合わせる。
誰かに見られたら、と土方は思うがたまには妥協してやるか、とそれを甘受する。
「さて、泳ぎやしょうか」
「・・・だから水着ねぇっての」
「もうズブ濡れじゃねぇですかィ」
ね、とそういったくせに沖田は土方を連れ砂浜へと向かう。
若いとは罪だ、そう思いつつ、暑い太陽を背に土方は役に立たないタオルを拾い沖田の後を追った。
#25
人に知られで くるよしもがな
入道雲を追え
「起きてくだせぇよ、土方さん」
ギシ、とベッドが軋み、何者かがカーテンを開く。朝の柔い光に、徐々に土方の意識が覚醒してゆく。
それとともに、何故土方の部屋に沖田がいるのか、だとか疑問も芽生える。芽生えるけれど低血圧の土方には目を開けることができない。
寝る前、部屋にはきちんと鍵をかけた。自分の手でちゃんとかけたのだからよく覚えている。
沖田の部屋は隣だ。ベランダ越しに此方へ来ることは不可能に近い。
「土方さん、いい加減にしねぇと濡れ雑巾顔面にかけやすよ」
―――――あぁそうだ。
昨日沖田を部屋にあげたのは他ならぬ自分自身だった。シャワーを浴び終え頭を拭いていたらノックが聞こえて、出てみたら沖田が一升瓶持って立っていた。
・・・鍵をかけてからの記憶が無いけれど。
脅されてしまったので仕方なく瞼を開けると、目前には雑巾が迫っていた。ポタポタと、水が顔に滴る。
「ってめ、やめろ! きったねぇな!!」
「あら、起きちまったんで? チッ」
「舌打ちすんな!!」
雑巾を退けさせ顔を洗いに洗面所へ向かう。洒落た蛇口を開き顔を洗い、下ろしたてのタオルで顔を拭いていると鏡越しに沖田と目が合った。
柄になく、何かを訴えるような眼差しをしていたので少し、気になる。
タオルを元有った場所に戻し振り返り、沖田と視線を合わす。
「どしたよ」
「海行きやしょうよ」
「気持ちは分かるけどよ、仕事が・・・」
「近藤さんが行ってきていいって。上様の警護ぐらいお前らに任せなくてもできるから、楽しめって」
俺たちは今、上様の避暑の警護という名目で江戸から離れた、有名なホテルで寝起きしている。ベッド脇の大きな窓からは白い砂浜と青いビーチが臨める。
武州には海が無かった。一度だけ、道場の皆と海へ行ったことがあったがその時、確か幼かった沖田は風邪を引いていて行けなかったのだ。
初めて生で見る海だ、興奮しても仕方がない。
「行くかァ・・・」
「よし、んじゃあ水着着てきまさァ」
ぱたぱたと駆けて行く後ろ姿に苦笑が漏れる。
なんだかんだ言っても沖田は未だ子どもだ。感情が乏しいだけで、他の思春期の少年らと何ら変わりがない。
故に、土方は時々不安に思う。
いつかは、万事屋にいるチャイナ娘のような誰かと結婚してしまうのではないかと。俺に執着しているのは一時の気の迷いなのではないかと。
「土方さん、行きやしょう」
「ああ」
そんなことを考えても仕方がないのだと分かってはいる。
指を絡め手を繋がれ、ズンズン歩いていく沖田の歩幅に合わせ砂浜へ向かう。
ロビーを出で、階段をおりればそこはもう砂浜だ。白い砂がキラキラと目に眩しい。
「・・・土方さん、あんた水着着て来なかったんで?」
「まぁな。別に入る気はねぇし」
念の為、というよりも沖田の為に持ってきたタオルを波打ち際よりも遠い、絶対に濡れない場所へ投げ捨て、波打ち際に立つ。
ズボンを捲りシャツも捲った沖田が爪先だけ水に浸かる。どうせ水着を履いてきたなら脱げばいいのに、とぼんやり思いながら煙草に火をつける。
「そういや、上様が来てるから特別に花火あげるそうですぜ、今夜」
「へぇ~。花火なぁ」
花火、と聞いて思い出したのはこの間の隅田川の花火大会だ。見に行こう、と誘ったのは口実だったのか殆ど見せて貰えなかった。
パシャパシャ、と沖田が近付いてきたと思ったら、思いきり腕を引かれた。
バランスを失った土方は、自然の摂理に従い揺らめく水へと倒れこむ。
バッシャーン!!
白く泡が舞い、再び母なる海の一部に戻る。
その様子を見ることの出来なかった土方は綺麗と思うことも不可能であり、見れたとしてもこんな精神状態ではそう感じられなかっただろう。
「っにしやがんだよ!!」
「澄ました顔してたから、つい」
「ついじゃねぇっての」
ズブ濡れになった前髪をかきあげながら沖田を見上げる。
楽しそうな笑みを浮かべている沖田は見た目だけは天使のようで。
今にも消えてしまいそうな。儚さなんて無縁な人間なのに、何故。
不安が煽られる。
いつかは、と。
沖田を引き寄せ、土方はその足元に抱きつく。
離れて行かないように、強く強く。
「土方さん?」
「・・・黙っとけ」
そう言うと、顔を両手で包まれ上を向かされる。
天使のような笑みを浮かべた沖田が土方の目を真摯に見つめながら囁く。
「安心しなせぇ。あんたは一生俺の玩具ですから。ね?」
「・・・安心できるかよ。馬鹿だろ」
笑顔のまま沖田は土方の頬を掴んだ手を離し、再び水の中へ押し倒す。
咳こみつつ顔をあげた土方の唇に沖田は噛みつくように唇を合わせる。
誰かに見られたら、と土方は思うがたまには妥協してやるか、とそれを甘受する。
「さて、泳ぎやしょうか」
「・・・だから水着ねぇっての」
「もうズブ濡れじゃねぇですかィ」
ね、とそういったくせに沖田は土方を連れ砂浜へと向かう。
若いとは罪だ、そう思いつつ、暑い太陽を背に土方は役に立たないタオルを拾い沖田の後を追った。
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