梅々
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風がすごい。
という訳で(オイ)今日から一話づつアップしていきたいと思います。dilettoの前のお話を。全20話・・・だから一日2話かな?あ、一気に2話いこうかな。
それでは、1、2話をどうぞ。
それでは、1、2話をどうぞ。
「トシィ~。こっちだ」
近藤さんに呼ばれ向かったのはいつも使ってる小さめのスタジオではなくて、有名なモデルとかが使ってる中々大きめなスタジオ。
って自分もマネージャーがついたんだし結構有名になったのか。
ma cherie 第一話
デビューといえばいいのか、とりあえず初めて粧し込んでカメラの前に立ってから四年がたった。
社長がいうには中々早い出世らしい。この世界で出世とかあるのか。とは思ったが雑誌の表紙を飾るようになったらそれは大きな一歩らしく、カメラマンは専属になるしマネはつくしスタジオは大きくなる。嬉しいっちゃ嬉しいが。
専属、っつうのはいいが、相性が最悪だったら面倒だ。マネは同級生だった近藤さんがいつのまにかなってくれてはいたが。
そんな考えが顔に出ていたのか、近藤は宥めるように話しかけた。
「トシ、安心しろ。写真とる奴はな、俺の知り合いで大学の後輩だった奴だ。」
・・・近藤さんがそう言うのなら平気だろう。多分。何せ人柄がどんなに悪くても近藤にとってはいいヤツ、なのである。たまに土方には解せない者もいるが、其処は近藤の手前愛想笑いを浮かべる。
さぁ、今回はあたりか外れか――――。半ば祈りながら鉄製の重い扉をあけた。
コードなどが犇めきあっている床から目線をじょじょにあげていくと・・。
ドキッ
・・・え?ちょっと待てや。いま、どきっつった?俺の胸どきっつった?やばくねぇか?そりゃあ相手の見た目はいいがよ、
男だぞ?
そこにいたのは骨董人形のような見た目をした青年、いや少年かもしれない。目は硝子玉のように大きく、輪郭は成長期の終わりを告げているかのようなまるみを帯びていてあどけなさを醸し出しているいるが、顔つきは大人っぽい。
近藤さんの後輩、っつっても高校生にしか見えない。童顔、なのだろうか。
「自己紹介、するか。二人とも」
近藤の顔を見上げると、目で、まず先にトシな。と言われ、あまり好きではない自己紹介をする。
自己紹介などせずとも、これから先仲良くやっていかねばならぬのだ。そのうちわかるだろう。というのが十四郎の持論だ。
「芸名はトシだ。本名は―――」
「土方十四郎。中学、高校と成績トップ。スポーツはできるし、頭もよく顔もいい。ってことで女にもモテモテ。で高校生んとき進路に迷ってたらここの社長にスカウトされてモデルに。ファンクラブには一万人もの人が入ってる――――ざっとこんなもんで?」
・・すごい。もててたかはしらないが大体合ってる。ってかファンクラブなんかあったのか。
「俺は沖田総悟。アンタか俺か・・・どっちかが引退するまでの間、よろしく頼みまさぁ」
「・・よろしく」
引退、か・・。俺は一体いつまでこの仕事をして、この仕事で食ってくのだろうか。
「トシ?」
「あ・・・」
やばい。考えこんでいた。仕事中にも関わらず。プロ失格だ。
「悪ィ」
頬を叩いて気を引き締める。その様子を見てか、沖田はクスリと笑った。
「・・・?」
「土方さん、ナマで見ると可愛いですねィ」
「ハァァァァ!?」
気を引き締めたにも関わらず、今度は奇声を上げてしまった。
コイツは感性が物凄く普通の奴とずれているのか。
俺にむかって可愛いと言った奴はいまだかつて彼以外誰一人とていやしない。
というかこれから先もきっとってか絶対彼以外いないだろう。
ma cherie 第二話
「おっ、土方さん♪」
「せめて芸名で呼べや」
前回、と言っても昨日の事だがその時、わかった。
物凄く、コイツは馬鹿だ。
あの後、三人で(当然変装してだが)買い物に出たのだが消費税の計算が出来ない。本当に大学生か、と思う程だった。小学生でもできるものなのに。
だがその反面、カメラについては天才的だと感じた。レンズを覗いた瞬間、目の色が変わる。人を小馬鹿にしたような顔つきから一変し、真剣な力強い目になる。
嘱望で身震いした程。―――いや、武者震い、というやつかもしれない。実際、今迄のカメラマンの誰をも凌駕していた。
自分の写真を見て、初めて見惚れた。ナルシーとかじゃなきゃそんな事は絶対にない、と思っていたのに。
すごい、と言わずにはいられなかった。自分が自分ではないみたいに。
「あれ?お前しかいねぇの」
見回しても、スタジオには沖田しかいない。近藤さんはなんか用事があるだとかで走り去って行った。けど、衣装とかメイクとか、いねぇのか?
「まぁ、ね。二人っきりですぜ?」
ニヤ、と若干引きそうになるような笑みを浮かべる沖田に肌が粟立った。マジ怖いからやめろや。
「・・何する気なの?お前・・」
「アハハ。別になんもしやせんよ。・・名前で呼んでくれねぇうちは」
「・・え?」
それは催促なのか?
名前を呼ぶようになったら何かしてくるってか?
ってか何をォォ!?
「冗談ですぜ。そこに座りなせぇ」
言われたとおり、沖田の傍にある椅子に座った。
「じゃ、始めやすか」
両手にメイク道具一式を持ち、先程とは違うがやはり何処か黒い笑みに生唾をゴクリと飲んだ。
「え?何?おまえやんの?」
「そ。全部俺一人でできっから二人きりなんでさァ」
「嘘だろ?一人でできるもん!て感じのノリ?おかしくなんねぇ?大丈夫なワケ?」
精一杯後ろに仰け反るが椅子の背もたれがある所為であまり意味はない。
「・・名前で呼んでくれなきゃダメかもしれやせんねィ。トシ子ちゃんになりそ~」
・・え?結局名前で呼べってか?
・・・ってかトシ子って誰?
「ほらほら、早くしなきゃマジで女みてぇにしやすよ?俺、結構上手らしいから」
「・・沖田」
「・・口紅は唐紅がいいですかィ?呉藍よりは唐紅のほうが色っぽ・・」
なんか口紅がめっちゃ並んでる箱を眺めつつ専門用語、ってかそんな昔ながら~って感じの色言われても困るから。
「ちゃんと名前呼んだだろ!何処が不満なんだよっ!」
そう言った途端、こちらを見、キッと眉を吊り上げた。
「それは名前じゃねぇ。苗字でさぁ!」
「一応名前だろーがっァァァ!」
「・・やっぱ唐紅にしやしょうか?」
真剣な面持ちでなんか小さい筆みたいのに口紅を塗り始めた。
・・・マジっぽい。
「わかったから!名前呼ぶからっ!」
「じゃあ、言いなせぇ」
じわじわと、その筆みたいなヤツとの距離が縮まる。
「・・・そ・・総・・悟」
「よし。堪忍してやりやしょう」
パタン、と口紅がたっぷり入った箱を笑顔で閉じた。
―――貞操は守られた。
小さくガッツポーズをしたが、さらなる悲劇、というか悪夢が―――。
「・・・ご褒美、やりやしょうか」
思い出したかのようにポツリ、と呟いた。何だ・・・?名前呼べたご褒美って俺は犬か?
「・・・なんだよ?ご褒美って」
「知りたい?」
クスッ、と笑う顔に見惚れたが、いままで黒い笑いしか見てなかったせいか、逆に怖い。
沖田は椅子の背後にあった壁に手をつき、屈み込んだ。ちょうど土方の顔を少し上から見る体勢だ。 土方は怪訝そうな顔で、こちらを見返してくる。
やっぱり、ナマは可愛い。
内心ほくそ笑んだが、勿論表情には出さない。
「なんなんだよ・・?」
疑問を口にした土方にニッコリ笑いかけ、答えを教えてあげる事にした。 音もたてず唇を重ねる。
「・・っ!」
驚き目を見開く土方を見つめ、ペロッと舌をだしてみる。
「ひっ・・!・・ンの野郎ッ!!」
バッと土方は沖田を突き放した。
「はい、ご褒美」
真っ赤な顔して殴りかかろうと振りかぶった土方の腕を沖田は掴み、椅子に押し返した。
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