梅々
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僕の夢
文化祭の劇で、生徒が先生に「後で校長室まで来なさい」と言われたとこがあったのですが、何故か3Z銀沖が出てきた。
私の頭は沸いてるね。でも文化祭はネタパラダイスだよ。
というわけで沖土連載で文化祭ネタいってみる。
私の頭は沸いてるね。でも文化祭はネタパラダイスだよ。
というわけで沖土連載で文化祭ネタいってみる。
すり抜けていく、この手から。ヒラリヒラリと蝶のように。
信じていたい、けれど疑ってしまう。性分だから仕方がないのだけど。
羽根をもぎ取れば俺だけのものになる。
でもそれじゃあ意味はないんだ。
Diletto 第九話
「人形・・・?」
「そう、人形でさァ」
カシャ。
少し驚いた表情までもレンズにおさめられ、苦笑が洩れる。その顔までも撮られ、溜め息をはきつつ、カメラの視界から逃れた。レンズから顔を離し、目で追い掛けてくる。
「・・・別にいいでしょう、此れは俺のコレクションにするんですから」
そう言われればそれまでなのだが。スタジオに居る間しょっちゅうカシャカシャ撮られる此方の身にもなって欲しい。
そう思いながら、スタジオに備え付けてある小さな冷蔵庫を開け、緑茶を取り出す。蓋を開けて一気に飲んでいるとそれをじぃっと見つめられる。
飲みづらい。非情に飲みづらい。
「・・・何?」
「・・・視姦?」
「俺に聞くなっ!!」
和らいだのだと思う。俺の心のもちようが変わったことで。
知りたい、という気持ちが変わった訳ではない。隠さずに教えて欲しいと切に思っている。だけど、言いたくないのならば、未だ待つべきなのだと思った。“急いては事を仕損じる”―――――誰が言ったか分からないけど、この言葉の通り気長に待てばいずれ、言ってくれるはずだ。
それに、そこまで重大な話じゃないわけだし。ただ、アイツの初恋が俺だというのを不思議に思ってるだけだから。
「―――――で、人形って?」
茶の蓋を閉め、冷蔵庫に戻し勝手に休憩だということにして椅子に座る。とうの昔に堅苦しい仕事場、では無くなっているから、こうして気分に合わせて仕事する、というのが暗黙の了承になっている。
とはいっても、俺はだらけた空気は好まないから、大体は休憩をあまり入れず、さっさと帰るようにしているけど。
「ああ、人形の事ですねィ。大学の文化祭で劇やるんでさァ」
「へぇ。文化祭か・・・。何の劇やんだ?」
俺の目の前に置いてあるテーブルに腰掛け、ブラブラと振り子みたいに、総悟は足を揺らす。前後に揺れるそれを見ていると不意に、靴が飛ばされた。反射で顔を下げると、頭上すれすれを靴が通過し背後の壁にぶつかり、重力に従い落ちるそれが俺の後頭部に当たる。
「―――――コッペリアの話を、少し変えて」
落ちた靴を屈んで拾うと、頭の上に声が降ってきた。
コッペリア。
村人に変人扱いされているコッペリウス博士が創った、美しいオートマタ・コッペリアに村の青年・フランツが恋をしてしまうという世間一般で言う喜劇の部類に入る話だ。
俺には、“喜劇”だとどうしても思えないのだが。
「で、人形の役でもやんのか」
はい、と靴を渡すと足を差し出される。
履かせろ、ってことか。
渋々屈み、靴に足を食ませる。それを、愉しそうな顔して総悟は見下ろす。ドSの嗜好に付き合うのは好きではないのにこうして付き合ってしまうのが嫌だ。
「ええ。―――――相手役募集中ですぜ」
「俺出ていいのかよ」
「・・・浮気して欲しくないんでしょう?」
試すような口調に、コイツは本当、人間らしい人間だと思う。
人形のように整った顔で人間らしく言葉を操るコイツは、神の最高傑作なのではないだろうか。もし、神が居るのならの話だが。
『俺、人形なんでさァ』
どこがだ。
と言う代わりにおうむ返しする俺に、再び『そう、人形』と繰り返した総悟は、友人に無理矢理人形役にさせられたらしい。
似合う、と思う。普段から、黙って椅子に座っていれば人形のようなのだし、カツラさえ着ければ女に見える。
―――――そんなやつに抱かれてる、と思うと不思議で堪らない。近藤さんみたいに俺よかガタイのいいヤツならわかる。抑え込まれて・・・とか容易に想像できる(それでも抑え込まれてるだけで抱かれてる姿までは想像出来ない)のだが、総悟は俺よりも一回り、いや二回り程小柄だ。上下逆だと思うのは俺だけか。
「浮気なんざしねぇだろお前」
信じてる、よりも強い確信がある。コイツは俺を裏切らないと。
それでも、揺らぐ。
人の気持ちに絶対も永遠も無いと知っているから。信じたいのに大事なとこで信じられない。嫌な人間だと自分でも思う。
「・・・台本の都合上、浮気しちまうんでさァ」
「どんな話なんだよ」
「秘密。やるかやらないか、やるなら教えやす」
唇の前で人指し指をたて笑う。そのまま鞄の中から本・・・のようなものを取り出す。読もうと持ち変えた時に台本だと分かった。
それは俺を誘惑しようと思ってのことなのか。俺は、そういう演技の類が苦手だからしないが。
「やらねぇよ」
「ふ~ん・・・。でも、フランツって馬鹿なヤツですねィ。人形に恋するなんて」
そうだろうか。俺には彼の気持ちがよく分かる気がする。
人形に恋する愚かな男。
誰よりも分かっているんだ、自分は愚かだと、それでも止められないどうしようもないんだ。
坂を転がる石のように。終りを迎えるまで。
信じていたい、けれど疑ってしまう。性分だから仕方がないのだけど。
羽根をもぎ取れば俺だけのものになる。
でもそれじゃあ意味はないんだ。
Diletto 第九話
「人形・・・?」
「そう、人形でさァ」
カシャ。
少し驚いた表情までもレンズにおさめられ、苦笑が洩れる。その顔までも撮られ、溜め息をはきつつ、カメラの視界から逃れた。レンズから顔を離し、目で追い掛けてくる。
「・・・別にいいでしょう、此れは俺のコレクションにするんですから」
そう言われればそれまでなのだが。スタジオに居る間しょっちゅうカシャカシャ撮られる此方の身にもなって欲しい。
そう思いながら、スタジオに備え付けてある小さな冷蔵庫を開け、緑茶を取り出す。蓋を開けて一気に飲んでいるとそれをじぃっと見つめられる。
飲みづらい。非情に飲みづらい。
「・・・何?」
「・・・視姦?」
「俺に聞くなっ!!」
和らいだのだと思う。俺の心のもちようが変わったことで。
知りたい、という気持ちが変わった訳ではない。隠さずに教えて欲しいと切に思っている。だけど、言いたくないのならば、未だ待つべきなのだと思った。“急いては事を仕損じる”―――――誰が言ったか分からないけど、この言葉の通り気長に待てばいずれ、言ってくれるはずだ。
それに、そこまで重大な話じゃないわけだし。ただ、アイツの初恋が俺だというのを不思議に思ってるだけだから。
「―――――で、人形って?」
茶の蓋を閉め、冷蔵庫に戻し勝手に休憩だということにして椅子に座る。とうの昔に堅苦しい仕事場、では無くなっているから、こうして気分に合わせて仕事する、というのが暗黙の了承になっている。
とはいっても、俺はだらけた空気は好まないから、大体は休憩をあまり入れず、さっさと帰るようにしているけど。
「ああ、人形の事ですねィ。大学の文化祭で劇やるんでさァ」
「へぇ。文化祭か・・・。何の劇やんだ?」
俺の目の前に置いてあるテーブルに腰掛け、ブラブラと振り子みたいに、総悟は足を揺らす。前後に揺れるそれを見ていると不意に、靴が飛ばされた。反射で顔を下げると、頭上すれすれを靴が通過し背後の壁にぶつかり、重力に従い落ちるそれが俺の後頭部に当たる。
「―――――コッペリアの話を、少し変えて」
落ちた靴を屈んで拾うと、頭の上に声が降ってきた。
コッペリア。
村人に変人扱いされているコッペリウス博士が創った、美しいオートマタ・コッペリアに村の青年・フランツが恋をしてしまうという世間一般で言う喜劇の部類に入る話だ。
俺には、“喜劇”だとどうしても思えないのだが。
「で、人形の役でもやんのか」
はい、と靴を渡すと足を差し出される。
履かせろ、ってことか。
渋々屈み、靴に足を食ませる。それを、愉しそうな顔して総悟は見下ろす。ドSの嗜好に付き合うのは好きではないのにこうして付き合ってしまうのが嫌だ。
「ええ。―――――相手役募集中ですぜ」
「俺出ていいのかよ」
「・・・浮気して欲しくないんでしょう?」
試すような口調に、コイツは本当、人間らしい人間だと思う。
人形のように整った顔で人間らしく言葉を操るコイツは、神の最高傑作なのではないだろうか。もし、神が居るのならの話だが。
『俺、人形なんでさァ』
どこがだ。
と言う代わりにおうむ返しする俺に、再び『そう、人形』と繰り返した総悟は、友人に無理矢理人形役にさせられたらしい。
似合う、と思う。普段から、黙って椅子に座っていれば人形のようなのだし、カツラさえ着ければ女に見える。
―――――そんなやつに抱かれてる、と思うと不思議で堪らない。近藤さんみたいに俺よかガタイのいいヤツならわかる。抑え込まれて・・・とか容易に想像できる(それでも抑え込まれてるだけで抱かれてる姿までは想像出来ない)のだが、総悟は俺よりも一回り、いや二回り程小柄だ。上下逆だと思うのは俺だけか。
「浮気なんざしねぇだろお前」
信じてる、よりも強い確信がある。コイツは俺を裏切らないと。
それでも、揺らぐ。
人の気持ちに絶対も永遠も無いと知っているから。信じたいのに大事なとこで信じられない。嫌な人間だと自分でも思う。
「・・・台本の都合上、浮気しちまうんでさァ」
「どんな話なんだよ」
「秘密。やるかやらないか、やるなら教えやす」
唇の前で人指し指をたて笑う。そのまま鞄の中から本・・・のようなものを取り出す。読もうと持ち変えた時に台本だと分かった。
それは俺を誘惑しようと思ってのことなのか。俺は、そういう演技の類が苦手だからしないが。
「やらねぇよ」
「ふ~ん・・・。でも、フランツって馬鹿なヤツですねィ。人形に恋するなんて」
そうだろうか。俺には彼の気持ちがよく分かる気がする。
人形に恋する愚かな男。
誰よりも分かっているんだ、自分は愚かだと、それでも止められないどうしようもないんだ。
坂を転がる石のように。終りを迎えるまで。
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