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梅々

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トシィ~!

・・・ジャンプ読みたいよ~。明日振り込みのついでに立ち読みしたいと思います。総悟・・・!私は二人のイチャつきに飢えているんです。それを証明しちゃってもなァ・・・。とか思うけど大好きだー!


では、9、10話です。


























土方さんを見てて思うことがある。

“人”は心に闇を持っていて、弱いものだな、と。そしてそれを秘そうとして深みに填まってる。

独りが嫌いなクセに一人が好き。矛盾していると思うけれど、猫みたいで可愛いとも思う。


だから、淋しいときぐらい猫みたく甘えてくれればいいのに。 










Ma cherie 第九話 










土方には見えない、と思っているのか、沖田は不貞腐れた顔をしている。が、実はカーテンの隙間から零れさす月明かりで土方には辛うじて見えている。

勿論、本人は絶対言わないが。

「なんでそうなんだよ」

「・・・好きなようにしていいって言ったから、でさァ」

「・・だから悪かった、って」

謝りながら、土方は別の事を考えていた。


・・・可愛い、な。コイツ・・・。


なんで大学生がこんな顔するんだ?というかコイツはホントに大学生なのか?っつうか可愛い、って。本当。なんで男なんだよ。女なら全然問題ないのに・・・って何考えてんだ。大丈夫かよ俺の頭。女だったらって末期症状だぞ。じゃなくて。

沖田は再び土方に背を向けた。これ以上話すことはないと思ったのもあるが、土方がジィーッと見てくるので居たたまれなくなったから、というほうが強いだろう。

土方はその行動が何故だかわからないが気にくわなくて肩に手をかけた。それを、沖田は手で払った。心の底から、煩わしそうに。

「触んなクソッたれ」

その一言に、土方の癇癪玉が弾けた。沸点が、低いのは自負しているが、こればっかはどうしようもない。

それに、こっちはちゃんと謝った。

「んだと?じゃあ出てけよ」

「わかりやした。パジャマは洗濯して返しやす」

そう言い、沖田は布団を出てさっさと玄関に向かって行ってしまった。 非常にマズイ。何がまずいかはわからないが、兎に角機嫌を損ねたのは自分なのだし、直さねば。 なんでこんなときに限って素直にいうこときくのだろうか。本当、ありえない。


・・・抱きつかれるぐらい、いいじゃねぇか。

見た目はいいんだし、そう、弟だ、とでも思えば。


土方は頭の中で必死に自分に言い訳しながら、沖田を追った。ガッ、と腕を掴み振り向かせた。

「だから離せっ・・・!」

「悪かった」

怒鳴ろうとした沖田を抱き竦め、サラサラの髪に指を絡ませた。


――――――何も、ここまでしなくてもよかったのに。

が、もうしてしまったものはしょうがない。

ゆるゆると、沖田の腕が背に回されるのがわかった。

「まぁ、よしとしてやりまさぁ」

チュ、と頬にキスされた。わざわざ背伸びするのが、微笑ましい。

「お前、本当キス魔だな」 

少し呆れつつ言うと、憤慨したように口を尖らせた。

「最近はアンタ以外にしてやせんよ。土方さん」

「いや、してもいいんだけど?」

そのほうが被害が少ない気がする――――というつもりで言ったら、今度はちゃんとキスされた。言い方がおかしいが、唇に、という意味だ。 と、いうか。この体勢、おかしくねぇか?抱き合ってキスしてんだぞ?相思相愛な恋人通しならわかるが、俺らは恋人通しじゃなけりゃ同性だぞ。

って気付けばまた舌だしてきてるし。なんなのコイツ?

「・・・もう。口開け馬鹿」

「開けじゃねぇだろーが。オイ、てめー誰の許可得てやってんだ?」

「俺と土方さん」

「許可してねぇよ!あれはほかの奴にしろっつー意味だ。さっさと寝るぞ」

「ったく・・・ムードもへったくれもねぇお人でさァ」

「うるせぇ。男相手にんなもん関係あるか」

「へいへい。おやすみー」

「おまっ・・!流すなよっ!」

「不毛な争いはやめやしょや」

たしかに、沖田の言うとおりだ。

だけど。

「事の発端はてめーだろっ!」


まぁとにかく、丸くおさまったのだからいいの・・・だろうか。 














人は“幸せ”になる為に何を犠牲にする? 金?誇り?時間?

“幸せ”になる為に犠牲なんて必要ない、と云うけれど、それは嘘だ。努力した分、結果が出るならその結果こそが“幸せ”なんだろ?ソイツにとって。

ならばその努力した分に價する“時間”こそが犠牲じゃないのか?


――――――俺は“幸せ”になる為に“過去”を犠牲にしよう。


“変革”は望まない。

“幸せ”になる、ただそれだけだ。 










Ma cherie 第十話 










土方は大抵の朝、二日酔い等をしてない限りは自然と同じ時間に目覚める。

雀の鳴き声で目覚める、というのは自分にとっては普通の事だが、毎朝清々しい気持ちで起きれる、というのは快適な事だと思う。


基本的には。


「ん・・・」

寝返りを打とう、としたが何故か身動き出来ない。

「・・・?」

恐る恐る目を開けたが、一面の黒・・・ではない。何か、ある。目線をあげると――――

「ん・・・」

もぞもぞ、と沖田が動いた。そして、先程より強く、抱き締められた。

ってなんでコイツ此処にいんの?ってなんで俺も背に手を回してんの? あ、コイツ昨日押し掛けてきたんだ。で、飯食って喧嘩して寝たんだ。 喧嘩してから寝るまでの間に、自分的に大失態を犯した気がするが、まぁ、忘れよう。俺は何も覚えていない。何も・・・。


ふと、鼻を掠める匂いに気がついた。

・・・不思議だ。昨日は家の風呂入ったんだから、匂いは同じはずなのに、甘い芳香りがする。勿論、俺ン家には甘い芳香りがするモンは全くない。香水はつけてなかったと思ったし・・・。


って、何この状態に満足してんの、俺。

いや、別に満足してねぇぞ?してないけど・・・文句言ってないなら同じか。

・・・随分、コイツに馴染んだなと今更ながら思う。頭なんて仕事以外絶対に触らせなかったなのに。

――――近藤さんにさえも。 


懐柔されたもんだな、俺も。

「オイ、総悟。起きろ」

「ん・・・?」

また少し、身動いだが、また寝入ってしまった。頭上からスースー寝息が聞こえ、何故かそれにあわせて手が、俺の頭を撫でている。 

「オイ、総悟」

「ん~?土方さん・・・?」

声が未だ寝呆けている。

・・・起きるか。 流石に起こすのは可哀相、と思ったが、此処までくると起こすしかない。予定が狂う。 力付くで腕を剥がし、起き上がろう、としたが、抱き枕のように、足も絡み付いていた。

気付かない、俺って・・・?

「オイコラ起きろ!」

「ハァ?俺は起きたいときに・・・起きる・・・」

それは別にいいと思う。


人に迷惑さえかけなけりゃ。


「オイ、起きなけりゃ殴んぞ」

「ぼーりょく変態」

「完璧脳みそ覚醒してんじゃねぇか」

「・・・王子サマのチューで起きるんでさァ」

「・・・永眠させてやろうか?」

「・・・おやすみなせぇ」

困る。いくらなんでも困る。予定が狂う、なんてのはもうどうでもいいが、コイツの所為で、っていうのは気に食わない。 もう、詰まらない意地をはるのはやめよう。どうせもう何回もされてるのだし。女じゃないんだし。自分からするくらい・・・問題あるわ。無理矢理、と合意、じゃ全然違う。違法と合法ぐらい違う。

でも、困るし。風呂入る時間なくなるし。

土方はそっ、と顔を沖田に近付けた。

長い睫毛に、白い頬。日に煌めく髪は金色だ。黙っていれば、どこぞの王子様に見えるのだが。キス魔だし?笑い方はおかしいし?黙っていれば、いいのに。

・・・それじゃ人形同様だ。そんなの、コイツじゃないか。


目をつぶり、そっと唇を合わせた。

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