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梅々

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ちょっと待てィ!!

ジャンプ立ち読みしに行ったら店に並んでなかったんですけどォォォォ!?そんなにもトシ&総が好きな人が居るの?ここら辺。あかまるとセットで読みたいよ空知先生。



では11,12話です。




















願いは尽きる事なく生まれてくる。誰にでも、必ず一つはあるものだ。果たして、その内のいくつが叶うのだろうか。

叶えられない、と識りつつも、願わずにはいられない願い―――――果てしなく続く、願いの輪廻。


あなたは、何を願う? 










Ma cherie 第十一話 










唇を合わせた瞬間、物凄い力で抱き締められ、気がつけば自分が下になっていた。


・・・起きてんじゃん。とっくに。そんなに力あるじゃねぇか。俺がこんな決心しなくともよかったんじゃねぇか?


なんて考えてる隙に、舌が唇の隙間を辿り、中へと入ってきた。

「・・ん・・」

角度を変え、何度も貪られる。いつもの態度からは考えられない激しさで。

くちゅ、と音をたて、舌が、唇が離れていった。目を開けると見たこともないくらい、眩しく沖田が笑っていた。

「・・・クソ餓鬼」

「赤い顔して言っても、迫力ありやせんよ」

「ほら、してやったんだ。さっさと起きろ」

たしかに、沖田の言うとおりなのだが、認めるなんて癪だ。すると、沖田はニヤリと意地悪く笑った。

「いまので体は起きやしたが、頭はまだなんですよねィ・・・」

「んなの聞いてねぇぞ!退け。もうてめぇなんか知らねぇ」

怒りで顔を真っ赤にする土方に、沖田は揶揄するように言い、上から退いた。

「誰もキスしろ、なんて言ってやせんよ?それに、さっきだって無理矢理でも起きられただろィ?」

「・・・っ!」

恥ずかしいのか、怒っているのかはわからないが、土方は一瞬目を見開き、その後不機嫌な顔をし、居間へむかった。


――――遣る瀬ない、だろうなァ。


土方の後ろ姿を見つめ、クスッと笑った。

プライドはズタズタだろうし、こんなのに唇奪われちゃうし。でも、根は優しいからすぐに、許してしまう。それが土方さんの善いところでもあり、悪いところでもある。


―――――――俺、の好きなトコでも、ある。


ほかにも、好きなところはたくさん、あげれる。

涙もろい事とか、今時珍しいくらい純情だ、とか。まぁ本人はそうは思ってないだろうけど。一人で居るときは淋しそうな顔をしてて可愛いし、寝顔なんてこどもみたく無邪気で無垢だ。

・・・とかまだまだたくさんある。

嫌いなトコは・・・ない、という訳じゃない。強がってるとこが、可愛いとは思うけど、気に食わない。

もっと甘えてくれればいい。と常日頃思う。でも、バランスがとれてていいのかもしれない。

“嫌いなトコなんかない。すべて愛してる”なんて嘘だって思うし、“すべて”かどうかなんて誰にもわからない。本人でさえ、自分の事をすべて、なんつ知らないのに、どうして他人が知る事ができる?と、俺は思う。


「総悟」

朝飯が出来、呼び掛けたが返事はない。アイツが気まずい、だなんて思うはずがないし・・・。寝室を覗くと、枕を抱いて寝ていた。

・・・家では抱き枕でも使ってんのか?と本気でききたい。

そっと髪を撫でようと手を伸ばしたら、総悟が小さく呟いた。


土方さん


と。 

















総悟は、俺に何を求めているのだろう。こんなにちっぽけで取り柄なんて何もない俺に。詰まらない、俺に。

前に訊ねた時は、

―――――秘密。

とはぐらかされてしまったが。


今なら、教えてくれるか? 









Ma cherie 第十二話 










「総悟と組み始めてもう一ヵ月か・・・早いなァ」

「・・・そうだな」

「どうだ?俺から見りゃあナイス・コンビだと思うがな」

どうだ?とは相性の事だろうか。それならまぁまぁだと思うが。

・・・アイツなら誰にでも合わせられるだろうし。

「この一ヵ月で仕事も増えたしな。総悟はトシにとっての幸運の女神かもしれねぇぞ?」

「・・・女神、じゃねぇだろ」

女、ではないのだから。

というか、あんなのが自分の幸運の女神、だなんて嫌だ。・・・って女神じゃねぇよ。

ちょくちょく泊まりに来るし、その次の日の朝は絶対抱き締められてるし、キス魔だし。

「土方さん」

「うぉわァッ!?」

ボーッと考え事をしていたところに、突然沖田が現れ、土方は椅子ごと後ろに倒れそうになった。モラル、というかプライドで、ぎりぎり、倒れずに済んだが。

沖田の後ろから、不安そうな顔をした近藤が顔を出した。

「・・・トシ、大丈夫か?」

「驚いちまったんで?すいやせん」

沖田が真顔で、素直に謝るものだからつい、反射的に取り成した。

「ななな、訳ね・・ねぇだろ」

「どもってるぞ?トシ」

「・・吃ってなんかねぇよ」

とはいいつつ、不貞腐れた顔をしていることに、本人は気付いていない。

「で、どうしたんだ?総悟。こんなとこに呼び出すなんて」

こじんまりとしたカフェの二階、テラスのようになっている所に、三人はいた。

彼此一時間前、沖田が二人をこの場所に呼び出したのだ。あまり人気がないカフェがあるから、そこに来てくれ、と。まぁ確かに、店には店員と老人が一人いるぐらいで、他には自分達しかいない。沖田曰く、“程よい静かさ”らしい。

土方も、こういう雰囲気が好きだった。

だから、休日は家の中で静かに過ごすのが日課、だったが最近は沖田がしょっちゅう来るので、若干喧しい。喧しい、とは言っても、沖田は度を弁えているので、煩わしくはない。

「・・マンションから追い出されちまいやした」

「は!?」

「えっ?ちょっ、何で?」

「さぁ?」

事もなげに言う沖田に土方は絶句した。追い出される理由・・・といえば、一般的には家賃滞納か。でも、ちゃんと働いているし・・・なぜだ?

「まぁ、理由は置いといて。居候、させてくれやせんか?ちゃんと生活費は払うんで。出来れば近藤さんがいいんですけどねィ・・・」

・・・じゃあ俺は予備、っつう事か?近藤さんが駄目だった場合の。

「別にいいけど・・・」

「俺ン家来いよ」

「えっ?」

たじろいだ沖田を見て、土方はハッ、と自分の失言に気付いた。


―――――何言ってんだ?自分。


ただ、自分が近藤さんが駄目だった時の為だけに呼ばれた、ぐらいで。ちょっと癪に触っただけだったのに。

「・・・いいでさァ、土方さん。これ以上アンタに迷惑かけれやせんよ。それに・・・」

どうせまた、反射的に言っちゃったんだろ?

と言外に含んだ沖田の言葉に、土方は腹を括った。

「来い、っつってんだよ。今迄もしょっちゅう来てたんだし、変わんねぇだろ?それに仕事もしやすいし」

「・・・でも」

「まぁ、総悟。トシがああ言ってんだから」

沖田が複雑な表情で此方を伺ってきた。何を思っているのかわからない、独特の表情で。

「・・・わかりやした。お願いしやさァ」

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