梅々
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風強い
- 2013/03/19 (Tue) |
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やっとさ!!と思ったけど愚作……。
今日はゼミのミーティングは延期してばいとはなくなり結果自宅警備員でした。幸せ。でもそれなら朝のうちにしらせてくれたらよかったのに。
猫の日ネタです…。
今日はゼミのミーティングは延期してばいとはなくなり結果自宅警備員でした。幸せ。でもそれなら朝のうちにしらせてくれたらよかったのに。
猫の日ネタです…。
この国の女王と仲が悪い猫がいるという話は一介のトランプ兵でしかない土方でも知っていた。寧ろ国民の殆どが知っている事実である。だが、その猫がどのような容貌なのかだとか、名前だとか性別だとかのなると、側近の者ぐらいしか知っている者はいなかった。
興味がないのだと言ってしまえばそれまでで、特に土方などは自分がトランプ兵であるから女王を守っているだけで、彼女について知りたいことなど何一つないのだ。だから癇癪持ちで有名な女王に逆らう、そんな愚かな猫がいるのかと、思っていただけであった。
それなのに。いま目前にいる恐らく件の愚か者であろう猫に、関わってしまった。
「あーあ、俺のしっぽが……」
桃色と紫色というけばけばした縞の猫は己の尾を眺めながら溜息をついた。当然ながら土方に尾はない。故にどのようにその尾を動かしているのか大変気になる。指を動かすのと同じ容易さで尾を動かしているのだろうか。くねくねと動くそれを眺めていれば、赤い真ん丸い二つの眼が土方を射た。
「助けてくれてありがとうございやす。いけすかねぇにおいがぷんぷんしやすが、一応礼を言っておきやす」
余計な言葉も多いが礼を言われたことには違いがないので、どうもと返したが表情が気に入らなかったらしい。せっかく礼を言ってやったのにと猫は唇を尖らせた。
ふわふわとした尾に悪戯好きな森の蔦が絡まってしまったらしい。絡まった蔦を取ってやっている最中、普段ならこんなミスはしないのにと呟いていた。どうやら蝶と戯れるのに夢中になっていたようだ。
顔や耳のあちこちに鱗粉がついて、きらきら日に反射する。痒くはないのかと見ていれば肉球のついた手で顔に触れ、それをペロペロと舐めた。
花の精が花粉を運ぶ、麗らかな昼間。眠気を覚えつつなにをするわけでもなく、その様を見ていれば再び視線で射られた。女王がよく身に付けている宝石のような眼だ。
「ああそうだ。アンタに礼をしやしょう」
無機質だったそれに楽しげな色を孕ませ、
猫はそう言った。
それが一月ほど前の話である。 どうしてこうなったのだろうと考えてみるが分からないまま、土方は裸の胸をかいた。女王の兵であることを示す服は小屋の隅に乱雑に置かれており、土方はシーツを被っただけの姿でその権威の象徴を眺める。あれを着ていない土方に個性などはないのだ。あてがわれた役割を演じなければこの世界では存在に意味などなく、ただ同じことを繰り返し日々を過ごすだけになる。
それなのに。この猫は、トランプ兵としてではなく土方を求めた。
隣を見れば、土方と同じく生まれたままの姿でシーツにくるまり猫が眠っている。服を剥いでしまえば生意気な猫は細く白い、猫の耳がはえただけの青年だった。礼をすると招かれたこの家で、半ば襲われるようにしてこの体を貪ったのもまだ記憶に新しい。それからふらふらと、まるで薬が切れた患者のようにこの家へ訪れてしまう。
「そんなに俺を見て、どうしたんですかィ」
ぱちり。血管の透ける瞼に隠されていたまなざしが、真っ直ぐに土方を射た。窓から差し込む生まれたての日光を浴び栗色の髪がきらきらと輝き、アーモンド型の目はより純度の高い赤色に光る。最初は宝石のようだと土方も思ったが、あんなものとは全く違う。この猫は感情を表に出さないが代わりに、耳と尾と、そしてこの二つのまなこが物を言う。
「どうもしねぇよ」
「ああ、いつも俺のこと見てますもんね」
言われてみれば確かにそうで頷けば、猫は目を丸くしたあと、ふと愉快そうに目を細めた。
「あんたは面白いなァ」
言いながら、こちらに手を伸ばし猫は身をすり寄せてくる。白い首筋に転々と、赤い花が咲いている様に昨夜の自分がどれほど我を忘れていたのか思い知らされて目をそらしたくなる。
「いっつもあんたは、すました面してたのに。服を脱いだら表情が豊かになりやすね」
「俺のこと知ってたのか?」
「そりゃあ。何回も見たことありやすよ」
俺はおまえのこと知らなかったのに、と見つめればそれを読んだように耳が下がり、寂しげな顔をした。
「そろそろ戻った方がいいんじゃねぇですかィ? 仕事でしょう」
「ああ」
擦り寄せていた体を離し、猫は瞼を閉じううんと伸びをした。
毎日毎日、同じ服を着て同じ仕事をするのが俺の役目で、彼は好きなことをして暮らすのが役目だ。自由気ままにいるのだろうが、俺が来るときは必ず、この小屋にいる。
深読みしてもいいのだろうか。
「なぁ」
「なんでさァ」
「今日はずっとここにいてもいいか」
「えっ?」
ぱちくりと瞬きをした猫は珍しく表情を露わにした。
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