梅々
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クリスマス
腐女子会のあとバイトしてきました!年賀状がまだ線画でやばい。
では土沖?銀沖?ホワイトデーネタの続きなクリスマス。
沖土でもかきたい。
perfume
窓の外を見れば、いつも通り町はきらきらと電光に照らされて、夜だというのに賑やかに自己主張をしている。だけど常よりやや賑やかなのはクリスマスだからだろう。歌舞伎町の夜は大体がこんな風に昼夜逆転しているかのようだから特別な感じはしない。
対する室内は、仏壇用の蝋燭三つに照らされている。ムードなんてものない、胆試しや怖い話をしているようだ。
「旦那はいつ頃行くんですかィ?」
「んー。準備できたら呼びにくるってよ」
「……誰か来るかもしんねぇのにヤったんですかィ」
炬燵からのそのそ這い出て、一番先に拾ったシャツから着ていけば旦那が俺の尻をさわさわ撫でてきた。ぱしんと払い落とし、振り返って睨み付けるもへらへら笑うだけ。
仕方なく下着にズボンにと準々に身に纏い、炬燵に戻る。机上には蝋燭三つと冷めたお茶二つ。ちょっと雰囲気出してみよう、なんて旦那は言ってたけどどちらかというとこれは悪ふざけだろう。貧乏臭い。
クリスマスを姉御の家で祝うらしい。驚かせたいからと待たされているところにのこのこ俺は遊びに来た。
せっかく恋人ごっこをしているのだしと、プレゼントの甘い匂いのローションを持って。まさかその場ですぐ使われるとは思ってなかったけど。
「旦那はプレゼントくんないんですかィ」
「あげたじゃん」
「……ホワイトデーも似たようなもんでしたね」
端から期待はしていないからいいのだけれど。
冷めた茶を飲み、未だ燻り続けている熱を鎮めようと目を瞑る。12時までには帰らないといけない。近藤さんがプレゼントを置きにくるだろうから。いいこのふりをしていないと。
「総悟くん」
「なんでさ」
「メリークリスマス」
笑って旦那は、半身を起こして俺の頭を撫でた。
子どもにするような撫で方に眉が寄る。旦那は俺とひとには言えないようなことをしているくせして、こんな風に子ども扱いをする。
あの人と一緒だ。そこは好きじゃない。
「ほらほら、面だけはいいんだから不細工な顔すんな」
「旦那なんてどこもいいとこねぇですもんね」
「餓鬼には好かれるけどな」
頭に手を置いたままそうふざけて言う。絡むのは面倒だから軽く流して、頭を撫で続ける手を甘受する。
こうやって頭を撫でてくれる人なんて、二人しかいなかったのに。俺には触れない土方さんに代わって旦那が、貴重な存在の仲間入りをした。姉上が死んでしまったいま、二人しかいないのは変わらないけれど。
「眠くなったなら帰っちまえよ。サンタが来るんだろ?」
「へい。一服したら帰りまさァ」
なんて言ったが冷めた茶をぐいと一飲みして立ち上がる。そろそろあいつらが迎えに来るのだろう。そこにいるのはなんとなく、堪え難い。
旦那の幸せに、日常に、俺はきっと含まれていない。
だから混ざれない、混ざろうと思わない。
それじゃ、と旦那に告げようとしたときちょうど、玄関の引き戸をノックする音が聞こえた。
「……帰るついでに出てやりまさァ」
「じゃあその間に服着てるわ」
のろのろと着替え出したのを横目に、薄暗い廊下を歩く。引き戸越しに見える人影が眼鏡やチャイナのものとは違うなと、思いながらもちゃんとかけてあった鍵を外す。
「へい、」
「帰るぞ」
「ひ、じかたさん」
隊服をしっかりと着こんだ、土方さんが目の前に立っていた。
旦那と犬猿の仲なのに何故ここへ。
そもそも今頃は、しっぽり過ごしているだろうと思っていたのに。
ぐいと腕を引っ張られる。そのまま歩き出すものだから突っ掛けただけだった靴の底が擦れる。意味がわからない。捕まれた腕が熱い。
「ちょっと、」
「こんなところで油売ってんじゃねぇ」
捻って離そうとするも抵抗をものともしない強さで、深夜じゃないからいいけれど階段をどたどたと引き摺られるようにして降りる。
ふざけんな。なにしやがる。
言えども土方さんは答えやしない。背中とあと白い煙しか見えない。
「朝帰りの予定だと思ってやしたけど」
こんな風に、叩くでもなく痛いぐらいに強く掴まれるのはこんな関係になって初めてだ。ただキスをして、イベントごとに乗じて物のやりとりをするぐらいだけれど。キスのときだって口が重なるだけだ、舌が絡むだけだ。
抱き締められたことすらない。そんなことされるなんて望んではいないけど。
「土方さん」
「……胸糞悪い」
「なにが」
話したと思えばそれか。腹が立ったままに低く問い返せば土方さんは言い澱んだ。
「……おまえのにおい」
「はぁ。くせぇですか?」
「万事屋のにおいがしやがる」
「そりゃ旦那んとこにいやしたし」
「いただけじゃねぇだろ」
立ち止まり振り返った。同時に投げ放たれた言葉に呼吸が止まった。
鋭い眼差しにすくむ。
「時々おまえが心底憎たらしくなる」
そう言って土方さんは煙草を踏み消し、俺の両腕を掴んで唇を塞いだ。
甘い匂いがかききえて、苦い匂いに包まれる。
俺が、本当に欲しい、匂いに。
では土沖?銀沖?ホワイトデーネタの続きなクリスマス。
沖土でもかきたい。
perfume
窓の外を見れば、いつも通り町はきらきらと電光に照らされて、夜だというのに賑やかに自己主張をしている。だけど常よりやや賑やかなのはクリスマスだからだろう。歌舞伎町の夜は大体がこんな風に昼夜逆転しているかのようだから特別な感じはしない。
対する室内は、仏壇用の蝋燭三つに照らされている。ムードなんてものない、胆試しや怖い話をしているようだ。
「旦那はいつ頃行くんですかィ?」
「んー。準備できたら呼びにくるってよ」
「……誰か来るかもしんねぇのにヤったんですかィ」
炬燵からのそのそ這い出て、一番先に拾ったシャツから着ていけば旦那が俺の尻をさわさわ撫でてきた。ぱしんと払い落とし、振り返って睨み付けるもへらへら笑うだけ。
仕方なく下着にズボンにと準々に身に纏い、炬燵に戻る。机上には蝋燭三つと冷めたお茶二つ。ちょっと雰囲気出してみよう、なんて旦那は言ってたけどどちらかというとこれは悪ふざけだろう。貧乏臭い。
クリスマスを姉御の家で祝うらしい。驚かせたいからと待たされているところにのこのこ俺は遊びに来た。
せっかく恋人ごっこをしているのだしと、プレゼントの甘い匂いのローションを持って。まさかその場ですぐ使われるとは思ってなかったけど。
「旦那はプレゼントくんないんですかィ」
「あげたじゃん」
「……ホワイトデーも似たようなもんでしたね」
端から期待はしていないからいいのだけれど。
冷めた茶を飲み、未だ燻り続けている熱を鎮めようと目を瞑る。12時までには帰らないといけない。近藤さんがプレゼントを置きにくるだろうから。いいこのふりをしていないと。
「総悟くん」
「なんでさ」
「メリークリスマス」
笑って旦那は、半身を起こして俺の頭を撫でた。
子どもにするような撫で方に眉が寄る。旦那は俺とひとには言えないようなことをしているくせして、こんな風に子ども扱いをする。
あの人と一緒だ。そこは好きじゃない。
「ほらほら、面だけはいいんだから不細工な顔すんな」
「旦那なんてどこもいいとこねぇですもんね」
「餓鬼には好かれるけどな」
頭に手を置いたままそうふざけて言う。絡むのは面倒だから軽く流して、頭を撫で続ける手を甘受する。
こうやって頭を撫でてくれる人なんて、二人しかいなかったのに。俺には触れない土方さんに代わって旦那が、貴重な存在の仲間入りをした。姉上が死んでしまったいま、二人しかいないのは変わらないけれど。
「眠くなったなら帰っちまえよ。サンタが来るんだろ?」
「へい。一服したら帰りまさァ」
なんて言ったが冷めた茶をぐいと一飲みして立ち上がる。そろそろあいつらが迎えに来るのだろう。そこにいるのはなんとなく、堪え難い。
旦那の幸せに、日常に、俺はきっと含まれていない。
だから混ざれない、混ざろうと思わない。
それじゃ、と旦那に告げようとしたときちょうど、玄関の引き戸をノックする音が聞こえた。
「……帰るついでに出てやりまさァ」
「じゃあその間に服着てるわ」
のろのろと着替え出したのを横目に、薄暗い廊下を歩く。引き戸越しに見える人影が眼鏡やチャイナのものとは違うなと、思いながらもちゃんとかけてあった鍵を外す。
「へい、」
「帰るぞ」
「ひ、じかたさん」
隊服をしっかりと着こんだ、土方さんが目の前に立っていた。
旦那と犬猿の仲なのに何故ここへ。
そもそも今頃は、しっぽり過ごしているだろうと思っていたのに。
ぐいと腕を引っ張られる。そのまま歩き出すものだから突っ掛けただけだった靴の底が擦れる。意味がわからない。捕まれた腕が熱い。
「ちょっと、」
「こんなところで油売ってんじゃねぇ」
捻って離そうとするも抵抗をものともしない強さで、深夜じゃないからいいけれど階段をどたどたと引き摺られるようにして降りる。
ふざけんな。なにしやがる。
言えども土方さんは答えやしない。背中とあと白い煙しか見えない。
「朝帰りの予定だと思ってやしたけど」
こんな風に、叩くでもなく痛いぐらいに強く掴まれるのはこんな関係になって初めてだ。ただキスをして、イベントごとに乗じて物のやりとりをするぐらいだけれど。キスのときだって口が重なるだけだ、舌が絡むだけだ。
抱き締められたことすらない。そんなことされるなんて望んではいないけど。
「土方さん」
「……胸糞悪い」
「なにが」
話したと思えばそれか。腹が立ったままに低く問い返せば土方さんは言い澱んだ。
「……おまえのにおい」
「はぁ。くせぇですか?」
「万事屋のにおいがしやがる」
「そりゃ旦那んとこにいやしたし」
「いただけじゃねぇだろ」
立ち止まり振り返った。同時に投げ放たれた言葉に呼吸が止まった。
鋭い眼差しにすくむ。
「時々おまえが心底憎たらしくなる」
そう言って土方さんは煙草を踏み消し、俺の両腕を掴んで唇を塞いだ。
甘い匂いがかききえて、苦い匂いに包まれる。
俺が、本当に欲しい、匂いに。
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