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梅々

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歪みの国

拍手ありがとうございます!
渇き。観てきましたー!とてもよかった!!!!胸くそ悪い!!(ほめ言葉)
詳しい感想は後日。



ではお待たせしました!キリリク「高熱で苦しむ土方」です!……が、そんな苦しんでないかな……。
趣味でモブ沖←土も詰め込まれました……。












「誰からもらってきたんですかィ」
枕元に正座しつつ濡れた手拭いを畳み直しながら、どうでも良さそうに総悟は言う。
「性病みたいに……言うなよ」
目を開けているのもだるく、瞼を閉ざすとそのタイミングで額に冷えた手拭いを置かれた。その手つきの優しいこと。
「わるいな」
「いーえ。鬼の霍乱でさァね」
朝計った時点で四十度近くあった。薬が効きにくい体質だからか、未だにそれぐらいあるのだろう。縫いつけられているように手足が動かない。重い。しかもひどく頭が痛む。
滅多に寝込まないが寝込んだときだけ、そして看病を頼まれたときだけはこんな風に総悟は甲斐甲斐しく看病をしてくれる。手慣れた様子で。
「部屋、戻んねぇほうがいいでしょ?」
「ああ」
「寂しがり屋ですね」
そんなわけじゃない。
こんな機会でなければ、そんなこといえないからだ。お前相手に。
なんて無駄に弁明することなく、総悟がゲームをつける音をぼんやりと聞く。

ずいぶん前から色気付いていた。恋人ができたのだろう、近藤さんの質問も否定しなかった。俺を構う時間も減った。
総悟に好い人ができたのは確実だった。だからといって俺はそれを素直に問えるような間柄ではなければ、精神的にも無理だった。
愛しい子供。幸せになってくれるのなら相手は誰だろうと見守ろうと決めていた。
どうせ俺のものにはならないのだから。
それが、一月ほど前から様子がおかしくなった。ぼんやりと物思いに耽る時間が増えたというか。よい傾向には見えなかった。それとなく近藤さんに聞いてもらったが何でもないと返されたと言っていた。
そして数日前、大きな討ち入りがあった。
あの日、討ち入りの終わった旅籠で。総悟は一つの亡骸を立ち尽くしてじっと見つめていた。
それからは目に見えて気も漫ろで飯も食わなくなり夜は寝ていないのか、隈ができていた。
そんな状態の総悟が昨日、そそくさと身支度をしてこっそりと屯所を出るのを見かけ、気になって後を付けたのだった。
道の途中で物陰に入り、山崎の部屋から拝借したのか黒髪のカツラをつけ、町外れの鯨幕の吊らされた一軒家へ入っていった。出てくるのを待つうちに雨が降り出しすぐに豪雨となった。あっという間に濡れ鼠になりながらも出てくるのを待っていると一人の温和そうな老婆とともに傘を差して出てきた。
その様子から、そして討ち入り後の後ろ姿から、察した。
「出歯亀するからそんなことになるんですぜ」
「……気づいてたか」
「あれ、起きてやしたか。……でもまぁ、そのお陰でこうして気も紛れるんですけど」
そんな声も出せるのか。
そう思うような声色に妬ましさを感じながらも意識は遠のいた。

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