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梅々

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ブクログ弄るの楽しい

明日から四連勤です。その3/4が居酒屋なのが辛い。辛い。辛いよ。
うぅ。

後巷説読み始めました!でも三十頁も進んでない。あわわ。





それでは蓮蓬軍の雨に打たれちゃった土方とそれが詰まらない沖田。
土沖でも沖土でもいけます。


















白い悪魔と黒い天使





『ニュースでもやっている通り、この雨が原因みたいですね。雨に打たれると顔に仮面をつけたようになり、プラカードでしか話せなくなるようです』
「あぁ、そういや土方さん、小雨だからって走ってやしたね」
『それで副長も』
「アホ面の仲間入りでさァ。あれで鬼の副長なんてちゃんちゃらおかしいですぜ。恥ずかしいのか閉じこもって出てきやしない」

 ふぅ、と淹れたての茶を冷ましながらずずっと飲む。ほんの少し熱くて、なんとか飲めるような温度だ。これぐらいの温かさが一番美味しい。出涸らしだけど。
 煎餅に手を伸ばしながらニュースに視線を向ける。中継していた花野アナもあの雨にかかり、アホ面になった。いつも体を張っていて本当にすごい。顔の地味さが山崎に似ている。何気に地味なところも似ている。
 土方さんが浴びてなかったらバケツにでも溜めてかけてやったのに。そうする前に土方さんは浴びてしまっている。詰まらない。

「で? 治るんで?」
『ただいま調査中です』
「ふーん。ってか、その面になると字書くの早くなるんで?」

 目の前ののっぺらした顔に問う。辛うじて髪型から山崎だと分かるけれど。雨を浴びた山崎はいつもより特徴があるように見える。雨を浴びた奴らは皆同じ顔になるから結局は没個性なのだけど。
 シュタッ、とプラカードが出される。いつ書いてるのかすごく気になる。俺が言い終えて二秒もしないうちに背中から出てくる。そのプラカードは使い捨てなのか、どこに隠し持っているのか。知りたくてむずむずする。

『なんか、思ったことがささっと書いてある感じです』
「なるほど」

 かわいそうな山崎。
 俺がサボらなきゃこんな面にはならなかったのに。言いながら触り心地はどうなのか白い顔に手を伸ばす。固くはない。普通の肌の感触だ。それが余計なんとも言えない。
 山崎の淹れてくれた茶もなくなって煎餅も丁度食べ終えた。引きこもりの様子でも見に行って、茶化してやろう。

「引き続き調べなせェや。俺は土方さんからかって来るから」
『挑発も程々にしてくださいね』

 念を押す言葉に適当に返事をして、縁側へ出る。雨戸ががっちりと閉ざされていて夜の闇よりも真っ暗だ。確かに吹き込まれても困る。皆が皆プラカードで会話なんて時間がかかって面倒くさい。そこまで規模がでかくなると面白さも半減する。
 土方さんの部屋の前に立ち、声をかけると同時に障子を開ける。書類とにらめっこしてる後ろ姿はいつも通りなのに、此方を向いたらあの二枚目が山崎と全く同じ顔になっているのだ。萎える。

「入りやしたぜ」

 いつもならここで事後承諾得ようとすんじゃねぇだのなんだの言われるけれど今日は五月蝿いだけの言葉も欲しい言葉も貰えない。背中に抱きついてみる。びくり、体が震えたのがおかしい。匂いも抱き心地も、土方さんそのもの。顔を見るのが嫌で背中に額を擦り付ける。苦い煙草の匂いがする。

「土方さん」
「……」

 前に回した手をぽんぽんと叩かれる。本当に土方さんはただ閉じ籠っているだけみたいだ。ついでに書類を片付けてるだけで。構って欲しい気分なんだと受け取って、より強く抱き締めてやる。

「一頻り笑ったしアンタのそのアホ面も見飽きやした。早く元に戻りなせェよ。反応が分かりづらいから詰まらねぇですぜ」

 土方さんは頑なにプラカードを使おうとしない。もしかしたら、俺が背中に張り付いてるせいで出せないのかもしれない。どちらだ。気になる。
 ふぅ、と煙を吐き出した土方さんが、ぎゅうっと俺の手を握ってくる。いつもならこのタイミングでキスを仕掛けるけどしないでいたからか。手を握られるのなんて情事の最中ぐらいでしかないから新鮮でむず痒い。
 ああ、今すぐにでもキスしたいのに。
 背中に唇をおしあてる。気付かないだろう、と思ったのに手を握る力が強められて、にんまりと口角が上がる。
 できなくなるとしたくなるものだ。珍しく俺も土方さんもいちゃつきたい気分みたい。

「山崎と同じ面にはキスできやせんからねェ」

 言った途端に固まった、その拍子に煙草の灰が土方さんの足に落ちて。周章てふためくアホ面が滑稽だった。

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