梅々
苑咲早良が運営する銀魂BL小説サイトです。 心意気は18禁。 著作権的な何かは放棄していません。マナーは守ってください。 メールフォームやコメント欄は下にありますので、何かございましたらお気軽にご使用ください。感想とか頂ければ舞い上がります! 不定期更新な別館を作成しました。ミツバさん愛してる! 気が向いたらお越しください→http://tokosienoai.dou-jin.com/
よし!
今週末はセンター試験なんですね。
受験生の皆さん、頑張ってください(>_<)
では成人の日ネタ後編。袴が活かされていません。
土沖ですよ。
受験生の皆さん、頑張ってください(>_<)
では成人の日ネタ後編。袴が活かされていません。
土沖ですよ。
本当は知っていた、帰る場所はひとつだと
凍てついた空気は溶けて
張り切ってどの店にするか、と歩を進める二人についてゆっくりと総悟と並んで歩む。不承不承といった表情でいるものだから、つい笑ってしまう。すると胡乱な瞳を向けてきて、なんだと口には出さず問われた。
ふと、空気が酷く変わって昔に戻ったようだった。くだらないことばかり話して重要なことは何一つ見ないで、触れ合っていたあの頃。たかだか二年前のことだけれど随分と経ってしまったようだ。
「・・・元気にしてたか?」
「まぁ」
「おまえが来ねぇから寂しいってお袋が言ってた」
「・・・じゃあ今度遊びに行きまさァ」
「・・・一人で?」
「一人で」
会話をしても目が合うことはなくて、それが故意にだと気付いた途端、可能性をそこに見つけた。
まだ、俺と同じくらい未練が残っているんじゃないか。じゃなきゃ意識なんかするはずがない。上辺を取り繕うことに長けていてプライドの高いこいつが、それさえもできないほど俺を気にかけている。
(・・・ご都合主義、かもしれねぇけど)
俺と同じ、そうとしか思えない。
「・・・なぁなぁ、お妙さんとこでいいか?」
「・・・そうだろうと思った」
「いつになったらストーキング止めんでィ・・・」
「そりゃあ、どっちかが諦めるまでですよ」
「俺は諦めねぇぞ!」
だよなぁ、なんて溜め息を吐く。けれど隣の総悟は柔らかく微笑んでいて。
理由、が知りたくて口を開く。けれど俺の声に被さるようにして近藤さんが叫んだ。
「ぅお妙すわぁぁぁん!!」
「うげっ、近藤さん・・・」
「あり?」
叫びながら志村酒店に飛び込んだ近藤さんを迎えたのは、同じ志村でも弟の方だった。そういや会場を出るとき、懐かしい3Z女子の面々が俺達とは反対方向へ向かうのを見た気がする。勿論その中に近藤さんの想い人もいた。それよりも総悟の方が気になり、その時は気に止めなかったが。
と近藤さんに告げるとしょぼーんとしていたが、いいや、飲もう! と志村について店の奥へ向かった。この店は店先では酒を売り、奥では数名が飲めるよう、簡易テーブルと椅子がある。この人数では貸しきってしまう形にはなるが、こんな昼間から飲むようなマダオはいないだろう。
なんて思いながらついていっていたら家の中へ通された。
「・・・オイ、いいのか?」
「平気ですよ。せっかくなんだし、寛げた方が楽しいじゃないですか」
「新八くん、将来の弟よ!!」
「何言ってんですか」
わいわいがやがやしている中、総悟は黙々と皆にチューハイを配る。そんなに飲みたいのかと手伝ってやると一瞥された。なんか言えよ、とこっちも心の声。
パンパン、と手を叩いて、総悟は場を静めた。本来なら山崎がやるようなことだけれど、目が酒飲みたいと如実に語っているから、皆も各々配られたチューハイを手にする。
「そんじゃあ、せーの」
「乾杯!」
志村も入れて五人で、乾杯してゴクゴクとチューハイを飲む。つまみあったか見てきます、言って志村は一缶一気に煽って行った。そんなに耐性はさそうだが、大丈夫だろうか。
なんて他人の心配している間もなく、クラリと目の前が僅かに歪んだ。
まだ半分しか飲んでいないが総悟のように酒に強いわけではなく。これ一缶しか空けられないな、と持っていたチューハイを一旦テーブルに置いた。そのタイミングで、近藤さんが口を開いた。
「そういやトシ、新しい彼女とはどうだ?」
「っ・・・!」
その途端、煩わしい程に緊張したがそれよりも、ガタン、と総悟が立ち上がったことに吃驚した。見開かれた瞳が、真っ直ぐに俺を写す。やっとまともに視線が合ったな。なんて、空気にそぐわないことを考えて、綺麗な瞳を見返す。
瞬間、総悟の表情が変わるがまた戻り、トイレ借りてきまさァと小さく、呟いた。
なんで、あんな悲しそうな顔をした。
(俺を切り捨てたのは、おまえだろう?)
「トシ?」
気付いたら追っていた。志村家には主に近藤さんの引き取りに度々来ていたから、トイレがどこにあるか分かる。だからと言ってズカズカ断りもなく行くのは如何なものかとは思うが、そんなこと気にしてはいられない。
廊下を出て、洗面所へ向かう。ここの家は洗面所から風呂場とトイレに行けるようになっているから、きっと総悟はトイレには入らずそこに、いる。
「総悟」
「っ」
ビクン、と此方に背を向けていた体が跳ねた。鏡は驚いたように此方を見る総悟が写っている。
あの関係が心地好かった。学校では普通に喧嘩したり馬鹿やって、誰もいないところでは互いを求め合った。若かったから互いにそう言ったことに好奇心旺盛だったのだ。なんて言葉で片付けられるものではない。
愛しくて、甘い雰囲気になるたび満たされていた。甘えられることなんて滅多になかったが、俺の些細な行動に喜んで、けれどそれを隠そうとする姿にまた愛情を募らせた。
「・・・なんか用ですかィ」
「おまえこそ、あるんじゃねぇの?」
「なぁんにもないですぜ」
鏡越しでさえ、視線が反らされた。伏し目をしているから睫の長さが際立つ。昔から長かったけれどいまも変わらない。目で人の印象の殆どが決まるそうだが、それなら総悟は誰にでもこう印象を受けるに違いない。綺麗だ、と思ったら呟いていたらしい。
総悟が再び顔を上げた。
「・・・そんなこと、彼女にでも言えばいいじゃないですか」
「もうとっくに別れた」
「っアンタの恋人の話なんざ聞きたくないっての! いいから退きなせェ。通れねぇ」
漸く此方を向いた体を掴んで、あっという間にトイレへ連れ込んで抱き締めていた。驚きにひゅっと空気を吸い込んだのが聞こえて、もっと強く抱き締める。
体から立ち上る甘い芳香も指通りの良い髪も、何一つ傍にいた頃のまま。
「俺は、聞きたいよ」
「・・・?」
「おまえがいまどんなヤツを好きで、俺と別れてからどんなヤツと付き合ったのか。全部知って、・・・おまえに触ったヤツ皆、殺したい」
「な、に言って・・・」
本音を吐露すると総悟は徐に顔を上げ、真ん丸な瞳を向けた。その瞳が、俺以外の誰かを愛しそうに写している様を、想像するのも嫌だ。
狂っている。そんなこと、知っている。
「おまえが好きだ。おまえじゃなきゃ、愛せない」
「・・・嘘」
泣き出しそうな声がそれだけをこぼした。眉を弱々しく寄せていて、今にも涙が零れそうだ。泣かしたくない、笑わせてやりたい。それなのに、望んだ通りにはいかなくて。
もどかしさをそのままに、頬をゆっくりと撫で目蓋に口付けた。
「せっかく、手離したのに」
「そんな必要、なかったんだよ。一時も忘れられからな」
静かに頬を涙が流れた。それを唇と指先とで拭ってやっていると、背中に腕が回った。その腕に応えて強かに、抱擁する。
総悟よりもいい女なんて、狭い世界を飛び出してみても結局いなかった。無論、いるわけもないと信じていたけれど。男なんて論外で、総悟以外に口付けたいとは思いもしない。
(そんぐらい、惚れてたんだ・・・)
「俺も、あんたを忘れられなかった・・・土方さん」
「ったりめぇだろ。おまえには俺しかいないんだから」
そう言うと涙を流しながらも満面の笑みを総悟は浮かべた。それにつられて笑うと、恥ずかしそうに身を擦り寄せて、今晩、飯食いに来てくだせぇと夕飯のお誘いをいただいた。
断るはずもなく頷いて、数年分のキスを何度も繰り返した。
凍てついた空気は溶けて
張り切ってどの店にするか、と歩を進める二人についてゆっくりと総悟と並んで歩む。不承不承といった表情でいるものだから、つい笑ってしまう。すると胡乱な瞳を向けてきて、なんだと口には出さず問われた。
ふと、空気が酷く変わって昔に戻ったようだった。くだらないことばかり話して重要なことは何一つ見ないで、触れ合っていたあの頃。たかだか二年前のことだけれど随分と経ってしまったようだ。
「・・・元気にしてたか?」
「まぁ」
「おまえが来ねぇから寂しいってお袋が言ってた」
「・・・じゃあ今度遊びに行きまさァ」
「・・・一人で?」
「一人で」
会話をしても目が合うことはなくて、それが故意にだと気付いた途端、可能性をそこに見つけた。
まだ、俺と同じくらい未練が残っているんじゃないか。じゃなきゃ意識なんかするはずがない。上辺を取り繕うことに長けていてプライドの高いこいつが、それさえもできないほど俺を気にかけている。
(・・・ご都合主義、かもしれねぇけど)
俺と同じ、そうとしか思えない。
「・・・なぁなぁ、お妙さんとこでいいか?」
「・・・そうだろうと思った」
「いつになったらストーキング止めんでィ・・・」
「そりゃあ、どっちかが諦めるまでですよ」
「俺は諦めねぇぞ!」
だよなぁ、なんて溜め息を吐く。けれど隣の総悟は柔らかく微笑んでいて。
理由、が知りたくて口を開く。けれど俺の声に被さるようにして近藤さんが叫んだ。
「ぅお妙すわぁぁぁん!!」
「うげっ、近藤さん・・・」
「あり?」
叫びながら志村酒店に飛び込んだ近藤さんを迎えたのは、同じ志村でも弟の方だった。そういや会場を出るとき、懐かしい3Z女子の面々が俺達とは反対方向へ向かうのを見た気がする。勿論その中に近藤さんの想い人もいた。それよりも総悟の方が気になり、その時は気に止めなかったが。
と近藤さんに告げるとしょぼーんとしていたが、いいや、飲もう! と志村について店の奥へ向かった。この店は店先では酒を売り、奥では数名が飲めるよう、簡易テーブルと椅子がある。この人数では貸しきってしまう形にはなるが、こんな昼間から飲むようなマダオはいないだろう。
なんて思いながらついていっていたら家の中へ通された。
「・・・オイ、いいのか?」
「平気ですよ。せっかくなんだし、寛げた方が楽しいじゃないですか」
「新八くん、将来の弟よ!!」
「何言ってんですか」
わいわいがやがやしている中、総悟は黙々と皆にチューハイを配る。そんなに飲みたいのかと手伝ってやると一瞥された。なんか言えよ、とこっちも心の声。
パンパン、と手を叩いて、総悟は場を静めた。本来なら山崎がやるようなことだけれど、目が酒飲みたいと如実に語っているから、皆も各々配られたチューハイを手にする。
「そんじゃあ、せーの」
「乾杯!」
志村も入れて五人で、乾杯してゴクゴクとチューハイを飲む。つまみあったか見てきます、言って志村は一缶一気に煽って行った。そんなに耐性はさそうだが、大丈夫だろうか。
なんて他人の心配している間もなく、クラリと目の前が僅かに歪んだ。
まだ半分しか飲んでいないが総悟のように酒に強いわけではなく。これ一缶しか空けられないな、と持っていたチューハイを一旦テーブルに置いた。そのタイミングで、近藤さんが口を開いた。
「そういやトシ、新しい彼女とはどうだ?」
「っ・・・!」
その途端、煩わしい程に緊張したがそれよりも、ガタン、と総悟が立ち上がったことに吃驚した。見開かれた瞳が、真っ直ぐに俺を写す。やっとまともに視線が合ったな。なんて、空気にそぐわないことを考えて、綺麗な瞳を見返す。
瞬間、総悟の表情が変わるがまた戻り、トイレ借りてきまさァと小さく、呟いた。
なんで、あんな悲しそうな顔をした。
(俺を切り捨てたのは、おまえだろう?)
「トシ?」
気付いたら追っていた。志村家には主に近藤さんの引き取りに度々来ていたから、トイレがどこにあるか分かる。だからと言ってズカズカ断りもなく行くのは如何なものかとは思うが、そんなこと気にしてはいられない。
廊下を出て、洗面所へ向かう。ここの家は洗面所から風呂場とトイレに行けるようになっているから、きっと総悟はトイレには入らずそこに、いる。
「総悟」
「っ」
ビクン、と此方に背を向けていた体が跳ねた。鏡は驚いたように此方を見る総悟が写っている。
あの関係が心地好かった。学校では普通に喧嘩したり馬鹿やって、誰もいないところでは互いを求め合った。若かったから互いにそう言ったことに好奇心旺盛だったのだ。なんて言葉で片付けられるものではない。
愛しくて、甘い雰囲気になるたび満たされていた。甘えられることなんて滅多になかったが、俺の些細な行動に喜んで、けれどそれを隠そうとする姿にまた愛情を募らせた。
「・・・なんか用ですかィ」
「おまえこそ、あるんじゃねぇの?」
「なぁんにもないですぜ」
鏡越しでさえ、視線が反らされた。伏し目をしているから睫の長さが際立つ。昔から長かったけれどいまも変わらない。目で人の印象の殆どが決まるそうだが、それなら総悟は誰にでもこう印象を受けるに違いない。綺麗だ、と思ったら呟いていたらしい。
総悟が再び顔を上げた。
「・・・そんなこと、彼女にでも言えばいいじゃないですか」
「もうとっくに別れた」
「っアンタの恋人の話なんざ聞きたくないっての! いいから退きなせェ。通れねぇ」
漸く此方を向いた体を掴んで、あっという間にトイレへ連れ込んで抱き締めていた。驚きにひゅっと空気を吸い込んだのが聞こえて、もっと強く抱き締める。
体から立ち上る甘い芳香も指通りの良い髪も、何一つ傍にいた頃のまま。
「俺は、聞きたいよ」
「・・・?」
「おまえがいまどんなヤツを好きで、俺と別れてからどんなヤツと付き合ったのか。全部知って、・・・おまえに触ったヤツ皆、殺したい」
「な、に言って・・・」
本音を吐露すると総悟は徐に顔を上げ、真ん丸な瞳を向けた。その瞳が、俺以外の誰かを愛しそうに写している様を、想像するのも嫌だ。
狂っている。そんなこと、知っている。
「おまえが好きだ。おまえじゃなきゃ、愛せない」
「・・・嘘」
泣き出しそうな声がそれだけをこぼした。眉を弱々しく寄せていて、今にも涙が零れそうだ。泣かしたくない、笑わせてやりたい。それなのに、望んだ通りにはいかなくて。
もどかしさをそのままに、頬をゆっくりと撫で目蓋に口付けた。
「せっかく、手離したのに」
「そんな必要、なかったんだよ。一時も忘れられからな」
静かに頬を涙が流れた。それを唇と指先とで拭ってやっていると、背中に腕が回った。その腕に応えて強かに、抱擁する。
総悟よりもいい女なんて、狭い世界を飛び出してみても結局いなかった。無論、いるわけもないと信じていたけれど。男なんて論外で、総悟以外に口付けたいとは思いもしない。
(そんぐらい、惚れてたんだ・・・)
「俺も、あんたを忘れられなかった・・・土方さん」
「ったりめぇだろ。おまえには俺しかいないんだから」
そう言うと涙を流しながらも満面の笑みを総悟は浮かべた。それにつられて笑うと、恥ずかしそうに身を擦り寄せて、今晩、飯食いに来てくだせぇと夕飯のお誘いをいただいた。
断るはずもなく頷いて、数年分のキスを何度も繰り返した。
PR
TRACKBACK
TrackbackURL
COMMENT