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梅々

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年始というか元日ですね

あけましておめでとうございます。





今年も一年よろしくお願いします。











それでは30分遅れてしまった後編です。

これは背後注意ですよ。

ちなみに微妙にクリスマスネタの続きです。






































声を殺した僕と余裕な笑みと











ふーと満腹になって脹れた腹を撫でる。食前酒の後に運ばれてきた料理はどれも、いままで食べたことのないほどきらびやかでおいしかった。小鉢に入った和え物がとにかくうまくて、お代わりしたいと思っていたら土方がくれたから喜んでくった。屯所の賄いのおばさんたちが作るのも美味しいけれど、滅多に食えない分とても美味しい。

妊娠三ヶ月かななんて腹を撫で寛いでいると女将さんが水を持ってきてくれた。流石だ、と感嘆しつつ居住まいを正す。



「もう少しで年が暮れますねぇ・・・。こんなところで年越しなさるの? もっと景色の良い所、他にもたんとありますよ?」



「いや、此処で年越しするのも俺達には勿体無いないですよ」



「本当でさァ。うまいもん食えたし、酒もうまかったし、大満足でさァ。来年もここ来てぇなァ」



「なら連れてきてやるよ」



「そんな贔屓にしていただいて此方こそ勿体無いです。では、ゆっくりなさってくださいね」



愛想よく笑い、女将は去った。時計を見るともう年明けまで一時間は切っていて、開け放した障子の向こうから、賑わう人々の喧騒が届く。

酒で火照った頬には風が心地よくて瞼を閉じていると、頬にぬくったい指先が触れた。テーブルの向こうから伸ばされたそれをぎゅっと握ると、冷たい俺の指先が気持ち良いのか、テーブルに上体を乗せ頬杖をついている土方はにんまりと笑った。同じだけ飲んだから、土方のほうが酔っているのは当然で、頬が真っ赤な上表情が緩い。

ついさっき女将がいたときは普通に会話していたのに。可笑しなものだなぁ。



「・・・酔っ払ってやすかィ?」



「まさか。んなわけねぇだろー?」



「仕事まだ途中ですぜ? どうすんの」



「そんなのわかってんだろ? ・・・疾うに仕事は終わってんよ」



す、と元の場所に座り直し、土方は煙草に火をつける。カチッ、とライターから音がして、すぅ、と煙が一筋生まれる。眺めつつ水を飲んでいたら、向かいの喫煙者が立ち上がった。窓を閉じ、そのまま、俺の横に来る。

この六日間、というか二十五日にトッシーにされてから一度も土方と疚しいことをしていない。だから、昼間にキスされ燻ったモノは今もまだ残っている。俺はまだ若いからなぁ、なんてふざけていると頬を包まれた。酒臭さを感じないのは、俺も酒臭いからなのか。



「土方さん?」



「ん~? どうしたよ」



「どうしたって、んむっ」



あーんむっと唇を食まれて続きが言えなくなった。それだけではなくぺろぺろ唇を舐めてくるものだから、だんだん焦れったくなっていく。逃れようにも肩に顎を捉えられて叶わなくて、瞼を強かに瞑り土方の腕に縋る。

ああもどかしい。いつもみたいに即物的にしてくれればいいのに。好きだと気付いているから、余計に焦れったいものでしかなくて。



「んっ・・・ぁ、ん・・・っむ」



「・・・おまえ顔真っ赤な」



「るっさ、んんっ・・・!」



一瞬離れて辛かった瞳はもう酔っ払いのものではなくて、いつも通りの雄々しいものだった。渇望しているその瞳にみつめられているだけで体の芯から疼いていく。

今日三度目のキスは深いもので、いままでの優しい口付けとは正反対の、激しいものだった。声も何をも奪うように舌を絡められて吸われて、蹂躙されて、気持ちよくなり大腿を擦り合わせていた。キスだけでイくなんて、それは流石にないだろうけれど気を抜いたら本当にそうなってしまいそうで強く、土方の隊服を握りしめる。

息も絶え絶えで、擦り寄せていた足を土方の腰に絡める。既に反応している性器が彼の体に擦れて達してしまいそうになって、どれほど自分が溺れているか分かる。だって、キスしかされていないのに。



「・・・可愛すぎるよな、おまえ」



「んんっ・・・く、ぁっ・・・や、もう早くっ・・・」



「おまえこそ酔っ払ってる? ・・・まぁ、堪ってんのはわかるけれど」



「うるさいっ・・・小言は良いから、」



くれとも触ってとも矜恃が邪魔して言うことができず、伝われと念じる。念じるけれどそれで伝わっても似たようなものなのだが。

土方はフッと柔らかく笑い、縋る腰を一撫でしてから俺のズボンと下着を脱がせた。濡れて張り詰めた性器を直に下から先端へと扱かれ、喉から悲鳴のような声が漏れた。トロトロと白濁が垂れて、土方の手を汚してしまう。

早すぎた、と若干思うけれどそれよりも満足感に支配されて、ハァと脱力する。



「・・・ってか、いいんですかィ? こんなとこでこんなことして」



「今さらだろ。大丈夫だ、壁厚いから、こういう店」



「・・・アンタとホテル以外ですんの、初めてでさァ」



まぁな、と言いつつも、土方は俺の出したものを俺の後孔へ塗り込む。久々だというのに、すんなりと指が入ったからカッと顔が火照った。そんな、慣れたように異物を迎える体に羞恥が堪らなくあって。いままでここまで恥ずかしく思ったことはない。初恋だからか、と思い至ったらそんな思考を結ぶ自分がとんでもなく嫌になった。初恋だなんて、そんな甘酸っぱいものを。



「あぁっ、いっ・・・はぁ、んっ、や、ぁ!」



「いいのか嫌なのか、どっちかにしねぇ?」



愉しげに指を動かす土方にムッときて、衝動のまま頬に爪を立てた。すると一瞬驚いて、けれどニヤリとし、中に挿れていた指を一気に二本に増やした。それが無造作に中を突いて、しかも意地悪く、一番感じるところには触れてくれなくて、嬲られる。そもそも、慣らさなくていいから早く挿れてほしかったのだ。拷問のようでしかない。

いいけれどこれは嫌だとしか言えなくなる。



「ひゃあ! っん、ぃやぁっ・・・! やだ、っいや・・・」



「だろうな。・・・なぁ、俺が好きなんだろ?」



「っ、んなこ、ない・・・っぁあ、ん!」



飲みきれない唾液が顎を伝い落ち、性器からしとどに滴が垂れる。どこもかしこも濡れてどろどろで、みっともない姿にされてそんなことにも感じて。どうしようもない淫乱なのではないかと思ってしまう。喩えそうであっても、自分から催促するようなことはできないけれど。

いきなり指を引き抜かれ、溢れた唾液をぺろりと舐められる。そんな些細な愛撫にさえ弱くて、拒絶するように首を振るがどうしようもない。



「んっもう、いゃ・・・」



「総悟、いまぐらい素直になれよ。俺が、好きなんだろ?」



いまぐらいとは? と首を傾げていると遠くからゴォォォン、と鐘の音が響いた。除夜の鐘だと分かって、だけれど何回目か分からないから明けたのか明けていないのか、分からない。

好き、と言うのは簡単で、だからこそ負けたくない。

焦らすように鐘が鳴る。

高めるだけ高めて、触れられていない体が熱い。



「俺は好きだよ。じゃなきゃ抱かない」



「ふぇ?」



「おまえはどうなんだよ」



どうと聞きながら答は分かっているように口角を上げる。

躊躇いはもう、土方の告白によって奪われた。だからいまは矜恃も放っておこう。

荒い呼吸を調えて、微笑を浮かべる。余裕なフリをしたい、俺だって男なんだし。



「すき、ですぜっ・・・? 最近、知ったけど」



「そうだろうな」



「っひぁぁ・・・っ!」



一言かけられることもなく中に挿れられて、苦痛はないが快感で意識が飛びそうになった。これはやばい。思ったのと二度目の絶頂に達したのは同時だった。

よく知ったかたちが入っているからゾクゾク体が震えて、こんなところで感じる自分はどれだけ変態なのかと心の隅で思う。変態加減は、この男も変わらないが。



「もう二回もイッちまったのか。早ぇなぁ」



「ん、っあ、ぁあ・・・っひ、ぃや、だめっそこ・・・ひんっ!」



「締めんな、可愛いこと言うな。こっちまで出そうだっての」



「死ねっ・・・あぁ、あんっ、ふぁっ!」



強く抱き締められて、揺さぶられて、理性がきかない。がむしゃらに唇を求めて、悦楽に身を任せる。

好きで堪らないと体中で認識して、それをそのまま言葉にする。



「すきっ・・・すきでさっ・・・ああ! んゃ、あっ!」



「いきなり連呼すんなっての・・・っ」



ドクドクと体の中の性器が脈動して、弾けた瞬間俺も同じように弾けていた。











「結局泊まっちまったなぁ・・・」



「・・・なにそれ」



「クリスマスのあれな、全部見てた」



「はっ?」



「だから、写真も全部見たし、それ以前にトッシーを通して見てたから」



「・・・」



唖然とする俺の頭をそっと撫で、事後の一服をしながら土方はシャツを羽織る。あの後数えきれないぐらい肌を重ねて、俺は声がからからという悲惨な結果になっている。

それよりも知っていたなんて。思い返しても恥ずかしくて死んでしまいそうで、顔を背けると盛大に笑われた。

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