梅々
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自己犠牲
凍てつく空気に満たされた肺が 声にならない空気を溢した
傷付いた君にかけようとした言葉は いまも胸の内にあるから
温めて
心が凍えてしまう前に
もう一度 抱き寄せて君の温もりに癒されたい
満たして
隙間風が吹かないぐらい
傷を舐めあうだけでいい それで総てが始まるなら
儀式めいた雪景色 乱れ舞う純白
かけられた魔法は冬の間だけ
夜に浮かぶ吐息 薄らいで空へとのぼってゆく
春を迎えに
守るよ
君だけが僕の存在理由
この手を握り締めてくれなくても 傍らにさえ居られたなら
愛してるよ
雪を春色に染めてしまえるぐらいに
溶け出す想いを君に捧げて 言えなかったことばを紡ぐよ
空気が冷たい日が好きです。今日みたいな。だから雪のツバサがすきってなんかデジャブな感じ?気のせいかな。
ニア好きです。あのシャツの裾の長さとかキャラとか声とか、月も好きブラック月は好きじゃないけど見てて面白い。
それでは何ヵ月ぶりの野球・第三話。まだ六月らしい。
傷付いた君にかけようとした言葉は いまも胸の内にあるから
温めて
心が凍えてしまう前に
もう一度 抱き寄せて君の温もりに癒されたい
満たして
隙間風が吹かないぐらい
傷を舐めあうだけでいい それで総てが始まるなら
儀式めいた雪景色 乱れ舞う純白
かけられた魔法は冬の間だけ
夜に浮かぶ吐息 薄らいで空へとのぼってゆく
春を迎えに
守るよ
君だけが僕の存在理由
この手を握り締めてくれなくても 傍らにさえ居られたなら
愛してるよ
雪を春色に染めてしまえるぐらいに
溶け出す想いを君に捧げて 言えなかったことばを紡ぐよ
空気が冷たい日が好きです。今日みたいな。だから雪のツバサがすきってなんかデジャブな感じ?気のせいかな。
ニア好きです。あのシャツの裾の長さとかキャラとか声とか、月も好きブラック月は好きじゃないけど見てて面白い。
それでは何ヵ月ぶりの野球・第三話。まだ六月らしい。
―――――気にしていない。
そんな風に自然消滅してくれるのを待っている現状はただ受け身なだけで、このままじゃ俺は一歩も進めないと分かっている。
・・・分かってる、ちゃんと。
SIGNAL
ボスッ、とボールがミットに食い込み、同時にスカッとバットが空を切った。
ふぅ、と一息ついて帽子を取る。
「空振り三振でさ、近藤さん」
「ちぇっ。少しは優しくしてくれよ~、総悟」
「近藤さんの為を思ってるんでさァ」
「そーそ。それに手抜きしたら俺と沖田君の練習になんねーだろぉ?」
立ち上がりマスクを外し、手で仰ぐ銀時を見つつ、沖田はグローブも外し、ベンチに寝転がる。丸々一個占領し、うつ伏せになると頭の横、もう一個のベンチに誰かが座った。そして沖田の頭を撫でてくる。
じゃあ、近藤さんだな、とアタリをつけると近くから近藤の声がした。やはり当たったらしい。
「明日は試合だな~。・・・頑張ろうな、高校で最初の試合」
「・・・明日ミスした人はアイス奢るってのはどうですかィ」
「あ、いいな。どうせならかき氷が食いてぇ」
「・・・この三人の中での約束だよな?」
「もちろん」
いま、グラウンドには銀時と近藤、沖田の他には誰もいない。
野球部は明日の試合に備え今日は休みなのだが、沖田と銀時は最終調整、という名目の元、昨日一昨日部活をサボった分を埋めていた。それに、お人好しな近藤が加わっての三人。
「よし、じゃ今日はこれで終わらすか」
「えぇぇ!? ちょっ、待て。まだ三十分も経ってないけど」
「こんなもんでいいんでさァ。顧問の先生だって、一時間ぐらいやったら帰れって」
近藤が熱を上げている保健教師を思い浮かべつつ言うと、近藤の顔がパァ、と華やいだ。
可愛いな、と沖田は思うけど、思われている彼女にしたら気持ち悪いらしい。そんなことない、俺が女だったら絶対近藤さんに惚れていた。今も、惚れているけれど付き合いたいとかそういうのではない。
「あっ、そういや。昨日久々にトシから電話がきてよ」
「・・・・・・土方さんから」
「そう。んで、明日の試合頑張れ、ってよ。あと総悟は元気にしてるか、とか投げるの楽しみにしてるとか緊張しねぇかなとか」
「・・・」
「変だよな、トシのやつ。・・・何か、あったのか?」
「なんも、ありやせんよ」
また一つ、嘘が増える。あいつの所為で、俺は嘘ばっかつくようになった。けれど近藤さんはどんな言葉だろうと信じてくれる。素直で真っ直ぐで、それが裏目にでることも多々あるけれど、男らしくて羨望する。俺はひねくれているから。
・・・でも今回のは嘘じゃないかもしれない。卒業式で会ってから一度だってコンタクト取ったことないし。
何もない、っちゃ何もない。
「なんかあったなら言えよ、総悟。話聞くぐらいならできっからさ」
「ありがとうごぜぇやす」
「よし、じゃあ今日は早く帰って寝るか!」
パン、と太股を叩き立ち上がった近藤さんにつられるようにして立ち上がり、そそくさと着替えに向かう。
黙々と沖田がシャツのボタンをはめていると、あ、と銀時が呟いた。
なになに、と近藤が食い付く。
「・・・沖田君、甘味屋に連れてくの忘れてた」
「やっと思い出したんで?」
「なんだよ、俺に秘密でデートの約束かよ~」
「まーね。一緒に来るか? 奢ってはやんねーけど」
「悪ィなー。今日はお妙さんとこ行く日なんだ」
それはただ、保健室に怪我をしに行くだけだろう、と銀時も沖田も思うが、言っても仕方がない。何を言おうと近藤は彼女の元へ行くのだから。
よくもまぁ、懲りもせず。明日は試合だというのに。
「寄り道もいいけど早く帰れよ。ミスったらかき氷だからな」
「お前もな。程々にしとけよ」
「そんじゃ近藤さん、また明日」
「じゃあな~」
仲良さげに出ていく二人を見送って、ポツリと近藤は呟いた。
「・・・あ、トシが明日観に来るっつうの忘れた」
**
「・・・なんでその土方ってやつは君に直接言わなかったんだろうね」
パフェを底から掬い、スプーン上に幾重もの層を作りつつ銀時は向かいに座る沖田に声をかけた。途端に、トロトロ、とあんみつに餡をかけていた沖田の手がビクリと止まる。
場所は駅前に出来たばかりの和風カフェ。二人組の女の子が席を埋める中俺らは著しく浮いている。最初で最後の男の二人組、なんて妙な名誉だ。でも、相手が沖田君だしまぁいいか、寧ろ光栄だと思いつつパフェを口に含む。
表情は変えずに沖田は真っ直ぐと銀時を見つめる。
そんなに見られても銀さん困っちゃう、なんて軽口を叩くと漸く、沖田はあんみつを口にした。
そんなに、嫌か。名前を聞くことさえも。
「・・・卒業式の後で絶交宣言したんで」
「ナルホド」
「名前を聞くのも嫌ですから、俺」
嫌、というよりも。畏れているように見えるのは気のせいだろうか。
自分の世界から消えてほしいと思うほど彼の中で大きな存在なんだ、会ったこともない、そいつは。
妬けちゃうなァ。
「詳しく知りてぇな。暇潰しに」
「・・・延滞料金の他に追加料金も取りやすぜ」
「えー。そりゃあねぇだろ」
純粋にただ楽しそうに小さく笑った沖田の顔が眩しく見えた、一瞬。思えば、ニヤリとかそういった腹黒そうな笑顔しか見たことが無かった気がする。
強がった素振りの間に愛らしさが見え隠れして、目が離せない。
他人に興味を抱く日がくるとは、意外な。
ガムシロップを三個以上いれたアイスコーヒーを徒に混ぜていると、沖田の白い手がコップを拐ってゆく。
チュウ、と吸い上げ、甘っ、と一言。
「・・・近藤さんたち以外と出掛けたの初めてかもしんねぇ」
「すげぇな、ソレ」
「だろィ? 狭いんでさ、俺の世界って。広げようとしないから」
「じゃあ、俺と広げてみる?」
目を見開いて、パチクリと瞬きする。
あからさまに驚いている。なのに沖田はクールビューティーだとか言っている野球部の連中やクラスのやつらは沖田を見ていない、とまで偉そうなことは言えないがどこが無表情だ。
こんなにもコロコロ表情が変わるのに。
「・・・それは本当に広がるんですかィ? どうにも違うように思える」
「広がると、思うけどなァ」
呟きながら窓の外を眺め頬杖をつく。
明日は晴れそうだ、雲ひとつ空にはない。
ふと、街中を行き交う人混みの中の一人と目があった。黒い髪に青色の切長の眼をした精悍な顔付きの男。
一瞬、なんてもんじゃない。数秒此方を見た後ジロリと鋭い一瞥。
なんだ、アイツ。
「じゃあ、任してみようかな。夫婦なんだし?」
「・・・俺が女房役だけどね」
文句言っちゃ駄目ですぜ。
ニッ、と笑んだ沖田はズズズッとコーヒーを飲み干した。
そんな風に自然消滅してくれるのを待っている現状はただ受け身なだけで、このままじゃ俺は一歩も進めないと分かっている。
・・・分かってる、ちゃんと。
SIGNAL
ボスッ、とボールがミットに食い込み、同時にスカッとバットが空を切った。
ふぅ、と一息ついて帽子を取る。
「空振り三振でさ、近藤さん」
「ちぇっ。少しは優しくしてくれよ~、総悟」
「近藤さんの為を思ってるんでさァ」
「そーそ。それに手抜きしたら俺と沖田君の練習になんねーだろぉ?」
立ち上がりマスクを外し、手で仰ぐ銀時を見つつ、沖田はグローブも外し、ベンチに寝転がる。丸々一個占領し、うつ伏せになると頭の横、もう一個のベンチに誰かが座った。そして沖田の頭を撫でてくる。
じゃあ、近藤さんだな、とアタリをつけると近くから近藤の声がした。やはり当たったらしい。
「明日は試合だな~。・・・頑張ろうな、高校で最初の試合」
「・・・明日ミスした人はアイス奢るってのはどうですかィ」
「あ、いいな。どうせならかき氷が食いてぇ」
「・・・この三人の中での約束だよな?」
「もちろん」
いま、グラウンドには銀時と近藤、沖田の他には誰もいない。
野球部は明日の試合に備え今日は休みなのだが、沖田と銀時は最終調整、という名目の元、昨日一昨日部活をサボった分を埋めていた。それに、お人好しな近藤が加わっての三人。
「よし、じゃ今日はこれで終わらすか」
「えぇぇ!? ちょっ、待て。まだ三十分も経ってないけど」
「こんなもんでいいんでさァ。顧問の先生だって、一時間ぐらいやったら帰れって」
近藤が熱を上げている保健教師を思い浮かべつつ言うと、近藤の顔がパァ、と華やいだ。
可愛いな、と沖田は思うけど、思われている彼女にしたら気持ち悪いらしい。そんなことない、俺が女だったら絶対近藤さんに惚れていた。今も、惚れているけれど付き合いたいとかそういうのではない。
「あっ、そういや。昨日久々にトシから電話がきてよ」
「・・・・・・土方さんから」
「そう。んで、明日の試合頑張れ、ってよ。あと総悟は元気にしてるか、とか投げるの楽しみにしてるとか緊張しねぇかなとか」
「・・・」
「変だよな、トシのやつ。・・・何か、あったのか?」
「なんも、ありやせんよ」
また一つ、嘘が増える。あいつの所為で、俺は嘘ばっかつくようになった。けれど近藤さんはどんな言葉だろうと信じてくれる。素直で真っ直ぐで、それが裏目にでることも多々あるけれど、男らしくて羨望する。俺はひねくれているから。
・・・でも今回のは嘘じゃないかもしれない。卒業式で会ってから一度だってコンタクト取ったことないし。
何もない、っちゃ何もない。
「なんかあったなら言えよ、総悟。話聞くぐらいならできっからさ」
「ありがとうごぜぇやす」
「よし、じゃあ今日は早く帰って寝るか!」
パン、と太股を叩き立ち上がった近藤さんにつられるようにして立ち上がり、そそくさと着替えに向かう。
黙々と沖田がシャツのボタンをはめていると、あ、と銀時が呟いた。
なになに、と近藤が食い付く。
「・・・沖田君、甘味屋に連れてくの忘れてた」
「やっと思い出したんで?」
「なんだよ、俺に秘密でデートの約束かよ~」
「まーね。一緒に来るか? 奢ってはやんねーけど」
「悪ィなー。今日はお妙さんとこ行く日なんだ」
それはただ、保健室に怪我をしに行くだけだろう、と銀時も沖田も思うが、言っても仕方がない。何を言おうと近藤は彼女の元へ行くのだから。
よくもまぁ、懲りもせず。明日は試合だというのに。
「寄り道もいいけど早く帰れよ。ミスったらかき氷だからな」
「お前もな。程々にしとけよ」
「そんじゃ近藤さん、また明日」
「じゃあな~」
仲良さげに出ていく二人を見送って、ポツリと近藤は呟いた。
「・・・あ、トシが明日観に来るっつうの忘れた」
**
「・・・なんでその土方ってやつは君に直接言わなかったんだろうね」
パフェを底から掬い、スプーン上に幾重もの層を作りつつ銀時は向かいに座る沖田に声をかけた。途端に、トロトロ、とあんみつに餡をかけていた沖田の手がビクリと止まる。
場所は駅前に出来たばかりの和風カフェ。二人組の女の子が席を埋める中俺らは著しく浮いている。最初で最後の男の二人組、なんて妙な名誉だ。でも、相手が沖田君だしまぁいいか、寧ろ光栄だと思いつつパフェを口に含む。
表情は変えずに沖田は真っ直ぐと銀時を見つめる。
そんなに見られても銀さん困っちゃう、なんて軽口を叩くと漸く、沖田はあんみつを口にした。
そんなに、嫌か。名前を聞くことさえも。
「・・・卒業式の後で絶交宣言したんで」
「ナルホド」
「名前を聞くのも嫌ですから、俺」
嫌、というよりも。畏れているように見えるのは気のせいだろうか。
自分の世界から消えてほしいと思うほど彼の中で大きな存在なんだ、会ったこともない、そいつは。
妬けちゃうなァ。
「詳しく知りてぇな。暇潰しに」
「・・・延滞料金の他に追加料金も取りやすぜ」
「えー。そりゃあねぇだろ」
純粋にただ楽しそうに小さく笑った沖田の顔が眩しく見えた、一瞬。思えば、ニヤリとかそういった腹黒そうな笑顔しか見たことが無かった気がする。
強がった素振りの間に愛らしさが見え隠れして、目が離せない。
他人に興味を抱く日がくるとは、意外な。
ガムシロップを三個以上いれたアイスコーヒーを徒に混ぜていると、沖田の白い手がコップを拐ってゆく。
チュウ、と吸い上げ、甘っ、と一言。
「・・・近藤さんたち以外と出掛けたの初めてかもしんねぇ」
「すげぇな、ソレ」
「だろィ? 狭いんでさ、俺の世界って。広げようとしないから」
「じゃあ、俺と広げてみる?」
目を見開いて、パチクリと瞬きする。
あからさまに驚いている。なのに沖田はクールビューティーだとか言っている野球部の連中やクラスのやつらは沖田を見ていない、とまで偉そうなことは言えないがどこが無表情だ。
こんなにもコロコロ表情が変わるのに。
「・・・それは本当に広がるんですかィ? どうにも違うように思える」
「広がると、思うけどなァ」
呟きながら窓の外を眺め頬杖をつく。
明日は晴れそうだ、雲ひとつ空にはない。
ふと、街中を行き交う人混みの中の一人と目があった。黒い髪に青色の切長の眼をした精悍な顔付きの男。
一瞬、なんてもんじゃない。数秒此方を見た後ジロリと鋭い一瞥。
なんだ、アイツ。
「じゃあ、任してみようかな。夫婦なんだし?」
「・・・俺が女房役だけどね」
文句言っちゃ駄目ですぜ。
ニッ、と笑んだ沖田はズズズッとコーヒーを飲み干した。
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