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梅々

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時間よとまれ!

すみません八月終わるのにおきたんは終わっていません←

明日で全て終わらすとか自殺行為だ無理ですごめんなさいぃぃぃぃぃぃ!



今日携帯を忘れたというのもでかいと思います。五時間も離れ離れで、親に見られたらと気が気でなかったです。











それではおきたん土沖の二話目です。

予定だと四話で終わりますが今月中はないな←

すみません( ┰_┰)






























終わるのを知っている。



それでも満足するために必要なんだ。



夢は。











硝子の少年











「何を貰ったんだ」



声をかけてはいるが返事を待たずに部屋へ入ってきてそんなことを言う。誕生日だから、と鱈腹飲んだ俺とは対照的に、舐めただけの土方さん。今何かあったら一番動けるであろう、二人だと思う。

飲み会は参加者の九割が飲み潰れいつも通りの様子で終わり、その前や最中に貰ったプレゼントの類いは、部屋の隅に追いやられて今は布団が部屋の真ん中に居座っている。

今日もあと一時間も経たぬ内に終わる。明日は早いからさっさと眠りたいというのに。



「いつもとあんま変わりやせんよ」



「そうか」



近藤さんからは私服用の袴や足袋など一式を、あとは酒やら寄席のチケットやら細々したものから、ゲーム本体など様々な物を貰った。皆、笑顔で渡してくれてそれが地味に嬉しい。形式ばかりじゃなくて、ちゃんと祝われているのだと。

求められた質問に答えてそれに満足したはずなのに、土方さんは俺の向かい、布団の上に座ったまま。プレゼントを渡しに、という様子でもなく邪険にしていれば、あっという間に押し倒されてしまう。思考は置いてきぼりのままに抵抗をするも、両手を片手で一括りにされて足を割られたらろくな抵抗はできなくて。



「な、にしてんですか土方さん」



「分かってんだろ」



「明日俺見合い、」



「関係ねぇだろ」



一蹴して下着の上からまさぐる。余裕のなさそうな表情が物珍しくて、しかもこんなに白地に求めてくることも稀有で。反論を躊躇った俺は、流されるしかなくて。











腰いてぇ。呟きにじとっとした視線を寄越して山崎は、来年のプレゼントはふかふかな座布団か座椅子ですねと寄越しやがったので横っ腹を思いっきり殴ってやった。ちと、すっきり。

近藤さんや土方さんの見合いの様子から、分かっていることがある。とっつぁんが本気の時の見合いには、可能な限り山崎が付き添いに命令される。そこまで気乗りしていなければ付き添いは好きにしろと、言われるのだ。だから付き添いによって見合いにどのような態度で挑むかが決まっている。山崎が付き添いのときはこの上なく真摯に。相手の身分は可也高いだろうから、無礼のないように。そうでないなら若干気を抜いても許される。そんな具合に。

だから俺の気は今の腰同様に重たい。近藤さんと土方さんと俺の三人はこのセオリーを知っているのでとっつぁんが何も言ってこないときに山崎を付き添いにはつけない、絶対に。それなのに此処には山崎がいるからつまり、無礼なことをしたら首の心配もしなければいけないような相手なのだ。



「そろそろ時間ですね」



「だな。あー涼し・・・」



でも一つ助かった点がある。

見合いといえばドラマなんかでもよく見る料亭の一室だったり、和室のことが多いのだけれど。今日の見合いは貸し切りの高級レストランだった。つまり、椅子に座っている。

ただでさえ嫌いなのに腰の重たい今日一日を正座で過ごさずに良いというのは可也嬉しい。これは可也の好印象だ、なんて。

よくよく考えると。暑い中だるい体を引き摺って見廻りをするよりも、こうして涼しい中美味いもんをのんびり食っていればいいのだから、ちょっと我慢すれば此方にいるほうが随分楽だ。



「お待たせ致しました」



「あ、いえ」



山崎が立つのを横目で見てから、曲がり角から現れた初老の女性とその後ろから聞こえる奇妙な音に耳を澄ます。キィコ、キィ、と小さく聞き慣れない音がする。

親戚であろうそのおばさんから数秒遅れて、見合い相手が現れた。肩までの黒い髪を後ろで緩く留めて、桜色に藤の模様の着物を着た、同年代の女の子。

それが、これまた初老の男性に車椅子を押してもらいながら俺の前の席に着く。

和室でない理由が漸く分かった。足の悪い人間が正座なんて、無謀だ。



「初めまして。清水菖蒲と申します」



凛とした声でそう言い、彼女は座ったまま一礼をした。











山崎からこっそり聞いた話だと、清水家というのは徳川御三卿の一つで今の将軍の実家らしい。そんな家相手じゃとっつぁんが本気になるのも当然で、代が違うから義兄弟にはなれないが近縁にはなれるのだ。最高の玉の輿。

見合いは大体顔合わせをしたら二人っきりにされる。今回もまた然りで。遠くに護衛の人々がいるがレストランの入っているビルの一階、噴水の前でポツンと二人きり。



「・・・驚いたでしょう」



「何がですかィ?」



「私の足のこと。先天的なもので、歩いたことがないの」



「それは大変ですねィ。それじゃ、いつも周りに人がいたんでしょ」



「そうね、一人じゃ何もできないから」



「それなら寂しくなくていいじゃないですかィ。それに足が悪いのなんて味覚が悪いのと似たようなもんでさ。ちと不便だけど」



水面に指を入れながら何となく返すと、そうねと純粋に納得した様子で言った。

ちゃぷちゃぷ、暇を弄びながら揺らぐ水面を見ていると、少し軋んだ音と共に彼女の顔が映る。水面越しに目が合って、振り返る。

真っ黒い目に真っ黒い髪。どこからどう見てもこの国の人間だと分かる容貌で、その上凛としていて芯がある。血筋の良さが見た目で分かるというのはこういうこだろうと何となく思う。



「器量も十人並みで、秀でた所もなければ足も悪い。それでも血だけはいいから、政略結婚の道具になるしか私にはない。でも、私は私が選んで認めた人と結ばれたいの。だからって貴方にこれ以上無理強いはできないから、どうかせめて、少しでいいから、」



ゆめをみさせて。

切実でいて申し訳なさそうに、彼女は膝の上に置いた手を握りしめている。

その気持ちに身に覚えがあるから痛くて苦しくて、頷くしか出来なかった。

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