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梅々

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嗚呼変態

物事を土方目線で考えるととても変態になりますね、多分。
土方は変態だからどうしようもないんだよ、ドンマイドンマイ。
にしても最近、一人でいることになれてきました。
なんか嬉しい。そのぶん欲求不満なのかな、思想が危ない気がします。
プラトニックは繊細だと思います。





では、お題企画です。命名すれば『焦れったい想いで10のお題』かな。
あときゅうこ!
















1.それた視線





ここ数日の暖かさはどこへやら、冷たい空気の夜。今夜は過激派の隠れ家への討ち入りが計画されていた、前々から。
様子を窺いつつ春の寒空の下、闇夜に溶け込む服を纏い佇む。くちっと顔に似合わない可愛らしい嚔をした隣の男に笑いが漏れそうになって、周章てて思考を反らす。
信念、とはなんだろうと考えてみる。中々哲学的じゃないか。信念。真選組にいる者は皆信念がある、とは言い切れない。俺の信念は即ち近藤さんの信念で、土方も俺と同じ。山崎も原田も永倉も、そうじゃないだろうか。あとは信念など持たずに刀が振るえるからだとかそんな理由が多そうだ。では旦那は。あの人もとどのつまりは俺らとさして変わらないのじゃないだろうか。武士らしく死ぬまでありたい、というか平和だとかそんな普遍的なものを守りたいのでは。
テロリストは改革か。耳に蛸な『腐った幕府』という俺らの枕詞、それをぶっつぶして侍だけの国に戻したい、もう一度。それは同意出来るから、穏健派は嫌いじゃない。あんな偉そうにしているだけの怪物よりかは、断然。だから上からの命令の時などは皆甘くて、生け捕りとかが多い。
長屋で暮らす人たちにだってあれば松平にもありそうなもの。人によって様々なそれを容易く一括りにしてしまうのが信念か、考えいるとなんだか分からなくなる。

「総悟」

「へい」

今回の相手は用心深いだとかで、大人数では動けない。よってこの面子。慣れてるから文句はないし、これは俺にしか出来ないから。
断末魔を上げさせることのない早さで、斬る。自分の腕を信じて、この人の腕を信じて、乗り込む。
俺にしか、できないこと。

「行くぞ」

「へましねぇでくだせぇよ」

「ったりめぇだ、ばか」

布擦れの音に僅かな足音。抜刀し、静かに引き戸を開けて屋内に体を滑り込ます。誰も異変に気付きやしない。違う信念を持つ男が二人、侵入してきても。
来い、と目で促されたほうへ向かう。どうやら宴会を行っているようだった、中から楽しげな音が聞こえる。
罪のない人たちを殺めて、何が宴会だ。強く刀を握れば一つ頷き土方が襖を蹴破る。
場内が一気に静まる。

「ぬしら、真選組っ・・・!!」

「斬れ! 斬るんじゃ!」

半裸で刀を握ろうとする男たち。酔いの回った奴等に劣るようじゃ斬り込み隊長はやってけない、刀に手を伸ばした奴等を狙う。
血が舞って、視界が覆われた男を薙ぎ払い、ちらりと後ろに意識を向ける。殊更強い殺気は背中を預けている者のだ。ふぅと安心。
死ぬわけない、と分かっていてもちょっとは心配になってしまうものらしい。なんだか複雑。

「どりゃぁぁぁ!」

「・・・うるせ」

急に叫ばれてちょっぴり心臓が跳ねた。苛立ちが体を支配してあっという間に音源の男は床に伏せる。
血の臭いが酷い。
俺が殺るべき奴等は殺ったと思って振り向けば、二人とちゃんばらしている上司。手ェ出したら怒られるんだろうなと立ち尽くしてぼぅっと眺める。

「手伝えコノヤロウ」

「えーめんどくさっ」

言いながらも此方を向いた男の命を絶つ。血と酒の匂いが混ざって若干気持ちが悪い。一仕事終えた上司はふーっと肩の力を抜き煙草に火をつける。
ついさっきまで宴会していたこの部屋に残るのは二人分の殺気と死体の山。
いつものことながら返り血をあまり浴びない俺には、血みどろの土方がとても不思議でしょうがない。とててと近づいていって正面からマジマジと彼を見る。

「んだよ」

「病気移ったらどうするんで?」

「はぁ?」

「ほら、性病とか。アンタ困りそう」

「―――」

ぽかん、としている表情が滑稽だ。思ったままを言ってみただけなのに、なんで驚いているのか分からないけれど。
鋭い目には俺を映したまま、なにも言わない彼の名を呼ぶ。

「土方さん?」

「・・・」

フイ、と白地に反らされた視線。

アレ? 俺なんかした?

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