梅々
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あめあめふれふれ~♪
朝起きたら目の前にホワイトタイガーのぬいぐるみがありました。
とりあえず手に持ってみたけどこれ私のじゃないし、っていうか妹のだしと何故ここにあるのか真面目に悩んだ・・・。妹が寝てる、二段ベッドの上から落ちてきた?いやいや、そんな隙間此方にないし・・・抑、寝るときからあったのかもしれない、みたいな無駄に頭使ってましたが本当に無駄だww
しかもひとが衣替えしようと思った矢先の温度変化。昨日より7℃寒いってそりゃないよ。
では、野球ネタの4話目。野球そこまでくわしくないのに一時のテンションに身を委ねました。
とりあえず手に持ってみたけどこれ私のじゃないし、っていうか妹のだしと何故ここにあるのか真面目に悩んだ・・・。妹が寝てる、二段ベッドの上から落ちてきた?いやいや、そんな隙間此方にないし・・・抑、寝るときからあったのかもしれない、みたいな無駄に頭使ってましたが本当に無駄だww
しかもひとが衣替えしようと思った矢先の温度変化。昨日より7℃寒いってそりゃないよ。
では、野球ネタの4話目。野球そこまでくわしくないのに一時のテンションに身を委ねました。
たとえ世界があんたを認めようと、俺だけは絶対あんたを認めない。
SIGNAL
八対零の九回裏。あと一球投げれば終わる試合。
やっと帰れる、と息を抜けば近いけれど遠い正面で旦那も目を細めた。笑ってんだな、と分かったから試合中に笑うなよと睨めば小言は後で、と旦那は構える。
ゆっくり投げればいいよ、肩の力抜いて。
優しい目に告げられて、緊張なんかしてないけど一応深呼吸を一つ。大丈夫、俺は大丈夫。旦那が信じてくれてるから。
ゆっくりとモーションに入って、素早く肩を動かす。手を離れたボールは直線に近い放物線を描き、旦那の手の内に収まる。
試合終了。
わーという歓声の中帽子を取っていると皆が集まってくる。
おつかれー、ご苦労さん。口々に言い合っているとバシバシ背を叩かれる。振り返れば近藤さんがにこにこと笑顔を浮かべていた。
「おつかれ、総悟」
「近藤さんこそ。さっきのフライ、流石でさァ。ホームランだって打ってたし」
「そうか? でも総悟には及ばねぇよ。出塁できねぇもんな、皆」
近藤さんに誉められるとむず痒くて困る。素直に受け取るなんて柄じゃないから、むず痒い気持ちそのままに微笑を浮かべていると後ろから暑苦しい抱擁。
誰か見なくても分かる。こんなことするの一人しかいないし、漂う甘い芳香。
野郎に抱きついて何が楽しいんだか。呆れたまま無視して近藤さんと話していると耳にふっと息をかけられた。
「っひ!」
「つれねぇなぁ。夫婦の仲だろ~?」
「だからってセクハラはよしてくだせぇ」
「じゃあほら、労えよ」
「お疲れさまでさァ、旦那」
「いえいえ。総悟君こそお疲れさま」
離れて、んーと伸びた旦那をやれやれと見遣る。今日はあんまり、土方さんのことを意識せずに済んだ。それもこれも旦那のお陰かな、と思うとこんな人でも礼を言うべきなのだろう、多分。
旦那、呼び掛けると間の抜けた返事。
「このままふけましょうや」
「デートのお誘いなら」
「・・・旦那の払いならいいですぜ」
戯れ言に戯れ言を返せばへにゃっと旦那は笑い、俺の手首を握ってチームメイトの輪から離れる。
ああ俺たちって本当に不良。監督たちが大目に見てくれてるのが不思議な位だ。
そんなこと考えながら、そそくさと更衣に向かった。
*
ちょっと用を足して来まさぁ。
言って去った背を見送って出入口付近の壁に寄りかかっていると、近づいてくる足音がコンクリートに反響した。
今日はいつにもましていいボールばかりだった。心境の変化、とかなのだろうか。ともかく、終わった後はすっきりとした表情を浮かべていた。
幸運、といえば幸運。まぐれで野球やることになったとはいえ、ちゃんと自分の才能が活かされているのだから。
でも、不幸なのかもしれない。
「おい」
「なに」
足音の主が立ち止まる、顔を上げれば昨日見た男だった。目付きが悪い黒髪。容貌の非難はあんたがすべきじゃねぇ、過去に沖田に言われたことがあるから敢えては口に出さないけれど。極悪面、然しまぁモテそうな類い。羨ましい、とかこれっぽっちも思わないけどね、別に。銀さんだってそれなりにかっこいいんだから。
何というべきかと思案するような沈黙、続いて溜め息。
「沖田総悟、知ってるだろお前」
妥協のように映る表情、それは誰に対しての妥協なのか。
詰まらない程に予想通りの問い掛けに、この男の正体を確信するとともに昨日のことをこの男も覚えているのだと察する。
揺るぎない強さの声は愛着があるかのようで、なんとなく、腹が立った。
「総悟君? 知ってるけど? ・・・お前あれだろ、多串じゃなくって、ひ・・・ひじ・・・」
「土方だ」
「そうそうそれ、多串君」
「だから土方だ」
敢えて間違えてやれば、総悟君と名前を呼んだ瞬間のように眉を寄せた。若い内から眉間に皺を寄せているととれなくなるんじゃなかったっけ。
彼は会いたいだろうか、この男に。何があったか知らないけれど、ツンデレを差し引きしても会いたくないだろうというのは鈍感じゃない俺には分かる。近藤なら分からないな。
「で、総悟君がなに?」
「・・・会いたいんだけど」
「無理だな。俺らこれからデートだから」
そういえば、ついでに忘れ物も取ってくると言っていた。ある意味ラッキーなんだろうと絶句した男を見つつ思考を泳がす。
昨日の和風カフェへ行こうという話になっていた。だから、邪魔をされるのは非常に好ましくない。それが、噂の“土方”なら余計に嫌で嫌で仕方ない。
これは世で言う恋愛感情とは少し違う。興味を持っただけでしかない。
「出直しなよ、多串君」
「・・・」
「総悟君はお前に会いたくないって」
「―――っ」
目を開いて驚いた年相応に見える顔に、微笑みを向ける。俺は総悟君を応援しているから、そう易々と思い通りにしてはやらない。性格の悪さは生まれつきだ。諦めるしかない。
チッと舌打ちして踵を返した男が角を曲がって行くと同時に旦那! と先程の男のものより高い声が響いた。うん、この声結構好き。
「すいやせん、待たしちまって」
「いやいや、全然平気。ってか寧ろ好都合?」
「へっ? ・・・ってか煙草の匂い、しやせん?」
「気のせいじゃねーの? ほら、さっさと行くぞー」
考えるような仕種で首を傾げる。眉を寄せてむむぅ、と唸るが余計なエネルギーを消費しただけらしく、行きやしょう、と俺の横に並ぶ。
荷物重い、持たねぇよ、いやいやそこは、俺も疲れてんの。下らないやり取りで暇を潰しながらもついた昨日と同じ店。いらっしゃいませ、言った可愛い店員さんの様子から窺うに、昨日俺らを迎えたのと同じ人らしい。
はてさて。俺は身内には優しい人間であるからにして、総悟君には優しい。だから、嫌なことは先に済ませてあげよう。
「さっき多串君にあったよ」
「多串君・・・?」
「土方」
「・・・なんで多串君?」
「それしか出てこなかったから。本人の了承を得たあだ名だから、まぁ気にしないで」
言うと再び悩み出す。会いに来ただけで何の言付けも預かっていないから、事後報告に過ぎないけれど。
水を持ってきたお姉さんに昨日と変わらぬ注文をして、それでもじぃっとお冷やを熟視たままの彼の額を軽く弾く。
「いったぁ・・・!」
「また会いにくるってよ。修羅場になりそうな感じ?」
「んなわけねぇだろィ」
呆れて笑う、彼に言った嘘は多分本当になる。
SIGNAL
八対零の九回裏。あと一球投げれば終わる試合。
やっと帰れる、と息を抜けば近いけれど遠い正面で旦那も目を細めた。笑ってんだな、と分かったから試合中に笑うなよと睨めば小言は後で、と旦那は構える。
ゆっくり投げればいいよ、肩の力抜いて。
優しい目に告げられて、緊張なんかしてないけど一応深呼吸を一つ。大丈夫、俺は大丈夫。旦那が信じてくれてるから。
ゆっくりとモーションに入って、素早く肩を動かす。手を離れたボールは直線に近い放物線を描き、旦那の手の内に収まる。
試合終了。
わーという歓声の中帽子を取っていると皆が集まってくる。
おつかれー、ご苦労さん。口々に言い合っているとバシバシ背を叩かれる。振り返れば近藤さんがにこにこと笑顔を浮かべていた。
「おつかれ、総悟」
「近藤さんこそ。さっきのフライ、流石でさァ。ホームランだって打ってたし」
「そうか? でも総悟には及ばねぇよ。出塁できねぇもんな、皆」
近藤さんに誉められるとむず痒くて困る。素直に受け取るなんて柄じゃないから、むず痒い気持ちそのままに微笑を浮かべていると後ろから暑苦しい抱擁。
誰か見なくても分かる。こんなことするの一人しかいないし、漂う甘い芳香。
野郎に抱きついて何が楽しいんだか。呆れたまま無視して近藤さんと話していると耳にふっと息をかけられた。
「っひ!」
「つれねぇなぁ。夫婦の仲だろ~?」
「だからってセクハラはよしてくだせぇ」
「じゃあほら、労えよ」
「お疲れさまでさァ、旦那」
「いえいえ。総悟君こそお疲れさま」
離れて、んーと伸びた旦那をやれやれと見遣る。今日はあんまり、土方さんのことを意識せずに済んだ。それもこれも旦那のお陰かな、と思うとこんな人でも礼を言うべきなのだろう、多分。
旦那、呼び掛けると間の抜けた返事。
「このままふけましょうや」
「デートのお誘いなら」
「・・・旦那の払いならいいですぜ」
戯れ言に戯れ言を返せばへにゃっと旦那は笑い、俺の手首を握ってチームメイトの輪から離れる。
ああ俺たちって本当に不良。監督たちが大目に見てくれてるのが不思議な位だ。
そんなこと考えながら、そそくさと更衣に向かった。
*
ちょっと用を足して来まさぁ。
言って去った背を見送って出入口付近の壁に寄りかかっていると、近づいてくる足音がコンクリートに反響した。
今日はいつにもましていいボールばかりだった。心境の変化、とかなのだろうか。ともかく、終わった後はすっきりとした表情を浮かべていた。
幸運、といえば幸運。まぐれで野球やることになったとはいえ、ちゃんと自分の才能が活かされているのだから。
でも、不幸なのかもしれない。
「おい」
「なに」
足音の主が立ち止まる、顔を上げれば昨日見た男だった。目付きが悪い黒髪。容貌の非難はあんたがすべきじゃねぇ、過去に沖田に言われたことがあるから敢えては口に出さないけれど。極悪面、然しまぁモテそうな類い。羨ましい、とかこれっぽっちも思わないけどね、別に。銀さんだってそれなりにかっこいいんだから。
何というべきかと思案するような沈黙、続いて溜め息。
「沖田総悟、知ってるだろお前」
妥協のように映る表情、それは誰に対しての妥協なのか。
詰まらない程に予想通りの問い掛けに、この男の正体を確信するとともに昨日のことをこの男も覚えているのだと察する。
揺るぎない強さの声は愛着があるかのようで、なんとなく、腹が立った。
「総悟君? 知ってるけど? ・・・お前あれだろ、多串じゃなくって、ひ・・・ひじ・・・」
「土方だ」
「そうそうそれ、多串君」
「だから土方だ」
敢えて間違えてやれば、総悟君と名前を呼んだ瞬間のように眉を寄せた。若い内から眉間に皺を寄せているととれなくなるんじゃなかったっけ。
彼は会いたいだろうか、この男に。何があったか知らないけれど、ツンデレを差し引きしても会いたくないだろうというのは鈍感じゃない俺には分かる。近藤なら分からないな。
「で、総悟君がなに?」
「・・・会いたいんだけど」
「無理だな。俺らこれからデートだから」
そういえば、ついでに忘れ物も取ってくると言っていた。ある意味ラッキーなんだろうと絶句した男を見つつ思考を泳がす。
昨日の和風カフェへ行こうという話になっていた。だから、邪魔をされるのは非常に好ましくない。それが、噂の“土方”なら余計に嫌で嫌で仕方ない。
これは世で言う恋愛感情とは少し違う。興味を持っただけでしかない。
「出直しなよ、多串君」
「・・・」
「総悟君はお前に会いたくないって」
「―――っ」
目を開いて驚いた年相応に見える顔に、微笑みを向ける。俺は総悟君を応援しているから、そう易々と思い通りにしてはやらない。性格の悪さは生まれつきだ。諦めるしかない。
チッと舌打ちして踵を返した男が角を曲がって行くと同時に旦那! と先程の男のものより高い声が響いた。うん、この声結構好き。
「すいやせん、待たしちまって」
「いやいや、全然平気。ってか寧ろ好都合?」
「へっ? ・・・ってか煙草の匂い、しやせん?」
「気のせいじゃねーの? ほら、さっさと行くぞー」
考えるような仕種で首を傾げる。眉を寄せてむむぅ、と唸るが余計なエネルギーを消費しただけらしく、行きやしょう、と俺の横に並ぶ。
荷物重い、持たねぇよ、いやいやそこは、俺も疲れてんの。下らないやり取りで暇を潰しながらもついた昨日と同じ店。いらっしゃいませ、言った可愛い店員さんの様子から窺うに、昨日俺らを迎えたのと同じ人らしい。
はてさて。俺は身内には優しい人間であるからにして、総悟君には優しい。だから、嫌なことは先に済ませてあげよう。
「さっき多串君にあったよ」
「多串君・・・?」
「土方」
「・・・なんで多串君?」
「それしか出てこなかったから。本人の了承を得たあだ名だから、まぁ気にしないで」
言うと再び悩み出す。会いに来ただけで何の言付けも預かっていないから、事後報告に過ぎないけれど。
水を持ってきたお姉さんに昨日と変わらぬ注文をして、それでもじぃっとお冷やを熟視たままの彼の額を軽く弾く。
「いったぁ・・・!」
「また会いにくるってよ。修羅場になりそうな感じ?」
「んなわけねぇだろィ」
呆れて笑う、彼に言った嘘は多分本当になる。
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